おかきの話。

チハル先生のお教室にちょっと寄ったら、お茶を出してくださった。

先生は見た目ハイカラだが、中身は旧家のボンボンなので、お煎茶におかき、純和風のティータイムである。このおかきが美味しかった。

先生おいしいですね~、このおかき…

そやろ… ウチはいっつもこれですワ… 

ご近所?京都のお店ですか?

いやいや… 通販でね

お取り寄せですか!うちでも買ってみようかな…

会社の名前が書かれた包み紙をバッグにしまっていたら

あのナ、先に言うといたげるけど ホームページ見たらな、ちょっとビックリすると思うよ

チハル先生はふっふっふと含み笑いなどなさっている。

何です?なんか怖いな…

いや大丈夫 もう何年も買うてるけど、実害はないから…

先生の態度に引っかかりを感じつつも、うちに帰ってから、包み紙のHPアドレスにアクセスしてみた。

トップには、お菓子の写真と、定期購入コースの案内。別に変わったところはないな。

…と続いてスクロールして、ギョッと驚く。

全日本人に告ぐ!

極太の筆文字と、白地に赤い丸のデザイン。

こ…これは、アカンやつでは…。

慌ててページを閉じ、念のため履歴を消去した。

後日別件でチハル先生に電話した時

先生!あのおかき屋さん…

あーハイハイ、すごいですやろ 通販注文したらナ 面白いお手紙いろいろ入ってくるデ…

社長の思想信条を述べたパンフレットが、商品とともに届くらしい。

おかきは本当においしかったのだが、そういうわけで、なかなか注文に踏み切れずにいる。

おいしいおかき



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もろもろ | コメント(9) | トラックバック(0) | 2017/01/22 11:44

まんねり話。

テレビを点けていたら、料理コーナーがはじまった。

有名シェフが鍋料理を紹介している。

いつものしゃぶしゃぶを イタリアン風味に 目先を変えていただきます…

ちょっと待てよ。

いつものしゃぶしゃぶ?

しゃぶしゃぶって、そんなにいつも食べるもんか?

最後にしゃぶしゃぶを食べたのはもう何年前だろう?ひょっとしたら10年どころじゃないかもしれない。

私なら、目先を変えてくれなくても、スタンダードタイプのしゃぶしゃぶで十分だ。

続いてのシェフは、鮭の味噌鍋を北欧風にアレンジしてみせる。

マンネリになりがちな鍋料理を新鮮に…

いやいや、鍋物でマンネリになったことないですけど?

私の感覚では、鍋物はゴチソウだ。

今日は鍋よ!

と家族に声をかければ

やったー! ママ、明日はホームランだね!

というくらい、盛り上がるメニューだ、と思っていた。

それに飽きたりマンネリになったりする、とはどういうことなのだろう。

それとも私以外の人は、そんなにひんぱんに、スキヤキや水炊きや寄せ鍋を食べているのだろうか?

世の中、いつの間にそんなにゼータクになったのか。

鍋物は、鍋物であるというだけで、非日常のゴチソウなんじゃないのだろうか。

まえまえから、うちはビンボーだという自覚はあったのだが、地味にショックである。

ねこなべ

(こういう目先の変え方はいい→「写真集『ねこ鍋』」



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/01/21 10:58

うはうは話。

お友だちの発表会を見に、お城のある古い町に出かけた。

地方の箱モノでありがちなことだが、そのホールは、町はずれの田畑の中に、忽然と建っていた。

周囲に建物らしい建物が無いので、アレがソレだとすぐわかるが、見つけてからが長い。

あぜ道に毛が生えた程度の、かろうじて舗装された道路を、とぼとぼ歩く。

道の両側は刈り入れの終わった田んぼばかりの、単調な景色。

田んぼと同じ四角い区画に水を溜めた、ため池にさしかかったので、なんとなく覗き込むと、小さいモノが私の影に驚いて、ぴちぴちと跳ねた。

金魚。

そう、ここは金魚の町なのだ。

よく見れば、ため池の周囲にはノラネコ対策の針金も張られている。

和金というのだろうか、ただ赤くて、誰もが考えるサカナの形をしたやつが、うじゃうじゃいる。

こんな野天で飼われていることからも、単価の安い、おそらくは金魚すくい用の金魚だろう。

安物でも、泳ぐ魚を見るのは楽しいものだ。開始まではまだ間があるし、通る人もない。路傍にしゃがみ込んで、じっと水面を眺めた。

どれくらいそうしていたのか、ふと気配を感じて目を上げると、そこに白いヤツがいた。

シラサギである。

長い脚を水につけてゆるゆる歩く姿は優雅そのものだが、ヤツの目的は優雅とは程遠かった。

目にもとまらぬ速さで菜箸のようなクチバシを繰り出し、何かをつまみだす。

コイツ、金魚を!

その速度たるや金魚すくいの比ではない。金魚どもはなすすべもなく、次から次へと食われていく。

我に返ってガバと立ち上がると、ヤツはこっちをチラリと見てから、おもむろにわっさわっさ羽ばたき、悠々と飛んで行った。

それまで私は、鳥類というものは、比較的表情乏しいものであると思っていたが、あの時のシラサギの

ワハハハ… 大漁だぜえ!

というウハウハ顔で、まったく認識を改めた。

それにしても、金魚なんてマズいだろうと思うが、鳥の味覚はわからない。

しらさぎ
(こうして見ると目がコワいね)




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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/01/20 10:30

きんぎょの話。

週1で通っている水泳教室では、3か月ごとにクラス替えがある。

上達した人が上のクラスに上がるのはもちろんだが、もうシンドイからという理由で自主的に格下げをする人がいるのも、高齢者の多い教室ならでは、であろう。

今日は、前回のクラス替えで入ってきた人が1人、来ていなかった。

あれ?あの人お休み?

え、誰?

ホラ、60くらいの、声の大きい…

あ、金魚と泳いだ人?

そうそう!金魚と泳いだ人!

これだけ聞くとなんだかわからない。

その人が、前回更衣室で、昔金魚の養殖池に落っこちた話をした、それだけのことなのである。

そういえばオカさんもいないわね…

カニじゃないの?

ああ、カニね… 季節だもんね

こんな意味不明なやりとりで、クラス全員が納得するのにも、やはり理由がある。

オカさんは食道楽で、四季折々美味しいものを食べに出かける。お休みの翌週、グルメ旅行の話題になることが、過去に何度かあったのだ。

プールでのお付き合いって一種独特なものだ。

ハダカの付き合いをしてるのに、名前はうろ覚えだったり。

親しくモノを言っていながら、どこに住んでいるのか、何をしてる人なのか、知らないままだったり。

だから、限られたやりとりの中で、たまたま口に出たエピソードだけが、その人の属性になる。

オカさんも美味しいものばかり食べているわけじゃないし、金魚の人にいたっては、大昔、たった1度、養殖池で足を滑らせただけのことだ。

それなのに、あの人はカニ、この人は金魚と、ぱっぱと振り分けられてしまうのがおもしろい。

何年も、毎週毎週会っていても、辞めてしまえばもうその先、ぜんぜん会わなくなる。

なんだかハカナイ、だからこそ楽しい、そんな間柄なのだ。

やまとこおりやまのまんほーる
(県内に、金魚がいっぱいいる街があるのよ)



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/01/19 10:47

よかった話。

ポストを開けたら、DMに混じって、白地に赤の目立つ1枚。

年賀ハガキである。

松もとれてずいぶんになるのに、今ごろナニゴトかと裏を返せば、それはセンセイからのお返事だった。

センセイは、小学校の5年を担任してくださった恩師だ。

校庭から低い山なみの見える田舎の小学校を卒業し、中学、高校と進んでからも、年賀状をお出しすれば必ずお返事を下さった。

リタイアされてからは、こちらのお年賀を待たず、元旦にお葉書を下さるようになり、恐縮したものだ。

昔の先生は、みなさん字がお上手だった。

とりわけ達筆のセンセイが、美しく書いてくださる宛名は、自分の名前を書く時のお手本になった。

そんなセンセイの年賀状が、パソコンの印刷になったとき、もしや、と思わずご自宅に電話をしてしまった。

もしもし…

モシモシ!ぢょん子ちゃん?

教卓から聞こえたままの、ハリのあるセンセイの声が、送話口から聞こえて、ホッとする。

老人大学でパソコン習っているのよ!キレイにできたでしょう!

ご自慢だけでなく

あなたはパソコン出来るの?ちゃんと時代についていかないとダメよ

懐かしい声で、久しぶりに叱られてしまった。やっぱり、先生はいつまでも先生だ。

そんなセンセイだが、ここ数年はめっきりお元気をなくされている。

無理もない。私が教わったころ、ちょうど今の私くらいのお年だったはずだから、もう軽く90歳を超えてらっしゃるのだ。

ご負担を考え、こちらからのお年賀には、お返事はご無用に、と添書きをしている。

そこに今年、数年ぶりのお返事がいただけたのだ。

筆圧こそ弱々しいが、大きくハガキの面を使った、いつものセンセイの字。

なんでもバカスカ捨ててしまう私だが、この1枚は永久保存版である。

2017のねんがはがき


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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/01/18 11:26
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