ミカンノ本。

名前を呼ばれて振り向いたら、暖かな黄色の、まあるいものを渡された。

はい!おすそ分け…

わあ キレイ… なんていうミカンですか?

うーん… なんだっけ… 家に帰って段ボール見ればわかるんだけど…

今はいろんな品種がありますもんね

そーなの 何だっけな…確か、なんだか女の子の名前みたいな…

え?女の子?

ナンノコッチャと思ったところでお昼休みが終わったので、話はそこで中断。

家に帰って文明の利器で調べて、ナルホドと腑に落ちた。

はるみ
はるみちゃん

せとか
せとかちゃん

きよみ
きよみちゃん

じつにたくさんの女の子がいる。

ミカンというとコタツで食べるものと思っていたが、冬に出るのは温州ミカンなど一部の品種で、おおかたのミカンの旬は春先なのだという。

そういえば、

「これは レモンのにおいですか?」

で、はじまる、あのお話にも、モンシロチョウやタンポポが出てきた。

しろいぼうし
(「車のいろは空のいろ 白いぼうし」 ポプラ社)

どこか遠くから来た、この子の名前は何かしら。そう思いながら、ミカンをてのひらにのせた。



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ブックガイド | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/04/24 11:13

たけのこ話。

おばーちゃんとケンカして、ただいま冷戦中。

ここのところ電話もかけず、実家にも行かないでいる。

母親だから付き合ってるけど、だいたいこの人とは性格が合わないのだ。

赤の他人として出会っていたら、絶対友達になれないと思う。

おばーちゃんはひどく女性的で、万事察してほしい、めんどくさいタイプ。

私はどっちでもいいわよ… 

などと言いながら、内心思うようにならないと不満を溜めていき、ドンドン機嫌が悪くなる。

気に入らないならちゃんと言え、言えないなら後で不足を言うな、という私と、合うわけがないのである。

遠くに住んで、盆と正月だけ帰省してた時も、後半は必ず大ゲンカになって

二度と来るもんか!こんなうち!

と、捨てゼリフをして帰るようなことが、よくあった。

私も齢50を越して、若い頃よりは穏やかになったものの、性格は変えられない。

とはいえ、独居の後期高齢者である母のこと、気がかりでないわけはない。フトンの中でふと、おかーさんどうしてっかな、と思ったりする。

没交渉のまま数日が過ぎた朝。

♪ぴんぽーん♪

宅配便だ。

お兄さんの抱えた段ボールの、ガムテープでぐるぐる巻きにした、ヘタクソな荷造りを見て、すぐ誰からかわかった。

考えなくても押せる電話番号をぴぽぱぽと押し、

…モシモシ おかーさん? タケノコ来たよ… ウン… ウン… アリガトウ…

こうして、めんどくさい人との、めんどくさい付き合いが、また始まる。

たけのこ



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ごかぞく | コメント(11) | トラックバック(0) | 2017/04/23 11:42

さくらの話。

子供の歓声にふりかえると、幼稚園の柵のむこうに、八重桜が咲いていた。

やえざくら

ぽってり重い花の房が、緑のリボンでひとつひとつ、枝の先に結び付けたように咲いている。

なんてかわいいんだろう。

思わず胸をつかれて、立ち止まる。

若い頃は、パッと咲いてパッと散る、染井吉野の潔さのほうが、美しく、好ましく見えて、八重桜なんて、と思っていたが、今は違う。

染井吉野が自分の都合でぶわーっと咲いて、あとは知らん、とばかりに葉桜になってから、

遅くなりまして…

と、丸いかわいい顔を出す、かわいらしさ、いじらしさが、なんともいえない。

八重桜を軽視していた昔をふりかえって、申し訳なく、ゴメンネとお詫びしたい。

話は変わるが、私の好物の一つに玉子サンドがある。

まだファーストフードが普及しない子供の頃、母に連れられて外出して昼ごはん、という時、よく喫茶店でサンドウィッチを食べた。

今のように様々な選択肢がある時代ではない。ハムキューリと玉子のミックスサンド一択、というお店が多かった。

喫茶店の玉子サンドには2種類ある。

茹で玉子をマヨネーズで和えてはさんだのと、玉子焼きをはさんだの、である。

私はマヨネーズのほうが断然好みで、玉子焼きのがテーブルに来ると

今日はハズレ

などと思っていた。

ところが先日、お付き合いで久しぶりに喫茶店の玉子サンドを食べたら、これが美味しかった。

フワフワのあったかい玉子焼きが、パンに塗ったバターを溶かしながらほぐれる。ケチャップの甘さも好ましい。

長年ハズレとか思っていてホントにすみません、と、詫びたい気持ちだ。

しかし八重桜も玉子サンドも、どこに向かって謝ればいいのか、わからないのである。



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むかしむかし | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/04/22 11:26

にげきる話。

きらめき

期替りで少し間があいて、久しぶりのスイミング。

半月以上泳いでないわ~

泳ぎ方忘れたかも~ 浮くかしらワタシ~ 

お決まりのやりとりをしつつの着替え。準備体操中も会わない間の情報交換をして、ようやく水に入った。

なんだかんだ言って、水に浸かればスイスイ。さすがの先輩たちである。

今さ~ もう花粉症で大変なのよ~ 

ワタシも~ でも泳ぐとちょっとマシよね いろいろ洗い流されるからかしら

何が洗い流されているのだろうかと、ついプールの水を見る。

私はまだ花粉症、ないのよね…

そうおっしゃるのは未亡人オカさんである。

アラ~ いいわね~ ウラヤマシイ!

あ、でも、うちの母 70歳前にイキナリ発症したわよ

そうそう、アレはなんかの限界を越えたらイキナリなるのよ 私もそうだったわ

それまで花粉症なんて気のせいだとか言ってたくせに もー大騒ぎよ

限界って いつ頃来るのかしら…

オカさんは少し不安そうである。

まあ、人それぞれ抵抗力とか…体質もあるだろうし…ならないかもしれないしね…

そうそう 限界が来る前に寿命が来るかもしれないし…

物騒な意見にヒヤヒヤしていると、オカさんはパッと明るい表情になり

そうね、そうよね、私、ガンバッて逃げ切るわ!

話はそこで終わったのだが、オカさんが、具体的にはどうやって花粉症から逃げ切るつもりなのか、そのことで頭がいっぱいで、バタフライの泳ぎに身が入らなかった。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/04/21 11:27

はこんだ話。

街路樹も山も、緑に萌える季節となった。

歩道の植え込みの陰、足元のモシャモシャした茂みが懐かしくて、ふと足を止めた。

その昔、ムスメが幼稚園に上がったばかりの、春の日のこと。

手をつないで通う通園路にもまだ慣れなくて、物珍しくアッチコッチを見ながら歩く。

住宅地の道をノンビリ歩いていたら、道の真ん中に緑のカタマリがある。

何だろう?と近づくと、それは引っこ抜いた雑草の束だった。

枯らしてから捨てるにしても、道に投げるとは感心しないなあ、と、草のカタマリを道脇によけ、園に向かった。

ボーッとしているムスメを預けた帰り道、誰が取り捨てたのか、もう草は無くなっていた。

数日後。

少しは園にも慣れたムスメの手を引いて歩いていたら、道に面した住宅の門が開き、60代くらいの奥様が出てこられるところだった。

奥様は持ってきたものを道に投げかけたが、私とムスメに気付いて手を止め

ハイこれ

と、当たり前のようにそれを手渡してきた。

引き抜いたばかりの雑草の束。この前、道に投げてあったのと同じものだ。

?????

戸惑っている私の様子に気付いた奥様は、あっ、という顔をしてから、ほがらかに笑い、

これね… ハコベ… コッコちゃんとウサちゃんの…

はこべ

聞けばこの奥様は、庭の草取りでハコベをとると、幼稚園のニワトリやウサギのためにそれを取り除けておいてくださるのだという。

お宅が通園路に面しているため、道にポイと投げ出しておくと、誰かが拾って園まで持って行く、そういう習慣になっていたらしい。

それから何度、ハコベを拾って登園しただろうか。

みずみずしくやわらかい春先のハコベは、ニワトリもウサギも大好物だった。

ハコベを運んだ、春の思い出である。(今回ダジャレ)



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むかしむかし | コメント(11) | トラックバック(0) | 2017/04/20 11:26
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