にげきる話。

きらめき

期替りで少し間があいて、久しぶりのスイミング。

半月以上泳いでないわ~

泳ぎ方忘れたかも~ 浮くかしらワタシ~ 

お決まりのやりとりをしつつの着替え。準備体操中も会わない間の情報交換をして、ようやく水に入った。

なんだかんだ言って、水に浸かればスイスイ。さすがの先輩たちである。

今さ~ もう花粉症で大変なのよ~ 

ワタシも~ でも泳ぐとちょっとマシよね いろいろ洗い流されるからかしら

何が洗い流されているのだろうかと、ついプールの水を見る。

私はまだ花粉症、ないのよね…

そうおっしゃるのは未亡人オカさんである。

アラ~ いいわね~ ウラヤマシイ!

あ、でも、うちの母 70歳前にイキナリ発症したわよ

そうそう、アレはなんかの限界を越えたらイキナリなるのよ 私もそうだったわ

それまで花粉症なんて気のせいだとか言ってたくせに もー大騒ぎよ

限界って いつ頃来るのかしら…

オカさんは少し不安そうである。

まあ、人それぞれ抵抗力とか…体質もあるだろうし…ならないかもしれないしね…

そうそう 限界が来る前に寿命が来るかもしれないし…

物騒な意見にヒヤヒヤしていると、オカさんはパッと明るい表情になり

そうね、そうよね、私、ガンバッて逃げ切るわ!

話はそこで終わったのだが、オカさんが、具体的にはどうやって花粉症から逃げ切るつもりなのか、そのことで頭がいっぱいで、バタフライの泳ぎに身が入らなかった。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/04/21 11:27

はなみた話。

どなたもあちこちへ、お花見に行かれる季節。

思い立って出かけても、まだ全然咲いてなかったり、逆に散った後だったり、あるいは雨が降っていたりと、どうもお花見運が悪い。

その日は出先で仕事だった。

地味で根をつめる作業、よく知らない方に混じって、ムダ口の一つもきけずに午前中を過ごした。

ようやく昼休み。

配られたお弁当とお茶をひらこうとした時、1人がふと、思い立ったように口を開いた。

平城宮跡の…今日あたり満開じゃないかしら…

実はその作業場所、広い公園の近く。せっかくだから、と、ぞろぞろと外に出た。

降らず照らずのお花見日和、平日なので人出はほとんどない。

波うつ桜色の雲のむこうには壮麗な宮殿。かつての都の繁栄を思わせて、ことのほかめでたい。

三々五々、花の見え方を考え、好きな場所に陣取って、お弁当をひらく。

誰もが口数少なく、こめかみに当たる柔らかな春の風を楽しんでいる。

やがてお昼休みが終わると、皆てんでに立ち上がり、おしりをはたくと仕事場に戻った。

午後の仕事場は相変わらず静かだが、空気は親しみを増していた。

お酒を飲むでなく、ご馳走を食べるでなく、仲良い友達が集まったのでもない。

それでも、あの日のお昼のほんの1時間は、いまだに私のいちばんのお花見である。

へいじょうきゅうせきのはなみ



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/04/11 12:53

べたべた話。

よく知りもしないのに、なんだか虫が好かない人、というのはいるものだ。

帰宅ラッシュの通勤電車の中。

週半ば、くたびれた勤め人の群れの中に、その声が聞こえた。

…でネ その人が言うのよネ…

大きな声ではないが、どこか聞こえよがしな、ベタベタした甘え口調が耳に障る。

ただでさえ疲れた一日の終わりに、聞かされるには不愉快な声である。

見れば2匹の室内犬のように、よく似た女性の2人連れ。パッと見て姉妹かと思ったが、もの言いからして、どうやら母娘らしい。

服装や髪形までそっくりの、友達母娘ってやつかもしれない。

…アタシはちゃんとやってるのにサ… まだやってないのかとかサ…

延々と聞こえるのは母親のベタベタ声だけで、娘の相槌は聞こえない。

仕事や上司の愚痴を娘にこぼす、というのもなんだかなあ。

…もう4分の1終わってるんだぞ!とか 急に言いだしてサ…

何の4分の1だろう?娘も同じ思いだったらしく、ここまでではじめて聞こえる声で

4分の1って 人生の4分の1

と尋ねた。

ちがうわよ!1年の4分の1

母親はヒヒヒと笑いながら

…人生の4分の1って…アタシの人生2百年

乗り合わせた全員が、割り算の暗算をしたと思う。

お若く見えて、ケッコーいってますねお母さん。

声は相変わらずベタベタしていたが、なんだかもういいや、という気分になった。

といぷー
(ソックリだけどどっちかが母親)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/04/07 11:36

おばさん話。

高校生にオバサンと呼ばれて腹を立て、殴っただの暴れただのという事件があったらしい。

腹が立ったからといって殴りかかる短絡性はいただけないが、どう呼ぼうが口調がムカつくやつというのはいるから、問題の本質がオバサンにあるかどうか、ホントのところは分からない。

50代の私など堂々たるオバサンであるから、今さらどう呼ばれようがビクともしないけれども、もっと若い頃は抵抗を感じることもあった。

その昔、私よりもっともっと若い、20代のママ友がいた。アヤセハルカみたいな美人で、まだ遊んでいてもいい年頃なのに、私などよりよほどシッカリした、素敵なママだった。

公園でそれぞれの子供を遊ばせていた時のこと。彼女がうちの子を手招きして

ほら、オバチャンとこにおいで…

ごく自然に、そう言ったのを聞いて、そのあまりのカッコよさに、私はシビレた。

こんなに若い、かわいい人が、こともなげにオバチャンと自称してのけるのだ。自分の小さなひっかかりが、ものすごく恥ずかしくなった。

オバサンと呼ばれて腹が立つのは、若いことに価値を置くゆえである。

オバサンと呼ばれて怒る人というのは、じつは呼ばれたことだけに怒っているんではない。

自分が心のどこかで、若いほうがいい、と思っているのを、見透かされて恥ずかしいのだ。

オバサン呼ばわりされて腹を立てる、その心のあり方こそが、オバサンの始まり

若かったママ友も、今はもう40代だが、きっとステキな女性になっていることだろう。

あやせはるか



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/03/29 12:42

まつりの話。

トーフを出して冷蔵庫の扉を閉め、振り返ったところでドン!と重い音がした。

整理の悪い冷蔵庫の中でナダレが起こったか、と、開けて確かめてみたが、別状ない。

おかしいな、とまた閉めたら、続けてドン!ドン!と音が続いた。

リビングでひっくり返っていたムスメとムスコも、異常を感じて腰を浮かしている。

なにあの音?事故

念のためガスを止め、窓を開けてビックリたまげた。

はなびたいかい

満天の花火だ。

なんで?何の花火?

念のためカレンダーを確認したが、今日は祝日でもなんでもない、ただの連休の中日である。

ムスメがスマホで検索しても、特に大きなイベントがあるとも出ない。

他の部屋からも、わらわら住人が出てきて、ベランダから外を見て驚いている様子である。

ずいぶん時間も長く、盛大で豪華。大玉の凝った花火が次々と上がる。

こんなヘンな時期に、こんな盛大な花火大会が、前触れもなく行われるとは。

倉庫の火事じゃないの… 花火屋の…

アッチはたしか 河川敷と田んぼだよ そんなのあったかなあ?  

期末の予算消化じゃない?

3月末という時期ではあるが、儲けすぎて花火を上げるなんて聞いたことがない。

いったい何なのか、理由が分からないと不安になり、一向に楽しめない。

何なんだろう、何なんだろうね、と言いあううち、たっぷり10分続いた花火は終わった。

ベランダに出ていた人たちも、三々五々部屋に戻る。

どうしても気になってパソコンを立ち上げ、検索キーワードをあれこれ工夫して、ようやく隣県で市制10周年記念のイベントをやっていたことを知った。

それにしても見つけにくいサイトだ。やってることを知られたくなかったとしか思えない。

あれほど豪華な花火を打ち上げる予算があるなら、ちょっと宣伝すれば、人も集まっただろうに。

いろいろ反省材料のありそうなお祭りだが、済んでしまった今となってはどうしようもない。

これこそ後の祭りというやつである。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/03/20 11:00
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