てちょうの話。

デジタル化の進行で、手書きの文化が衰退しつつある中でも、手帳を使う人はまだまだ多い。

かく言う私も、バッグの中に手帳は欠かさない。

高価な手帳がいいとは限らない。軽くかさばらないのが気に入って、私は地元の地銀が年末に配る手帳を愛用している。

新しい手帳を手にするとまず、めぼしい予定にシールを貼る。

てちょうのしーる

旅行・買い物・誕生日…などと、予定を示すシールを、私は大量に持っているのだが、実はこれ、子供雑誌の付録

ムスメとムスコが見向きもせず、雑誌ごと捨てようとするのを待て待てと押しとどめ、シールだけを本誌からはがして、とっておいた。

部活・遠足・球技大会…と、大人には縁のない行事も含まれているが、私の世代では、裏が糊になっている、というだけで貴重に思えて、捨てられないのだ。

こうして、タダの手帳にタダのシールを貼って、気持ちも新たに1年がはじまる。

それから3か月。1年の4分の1を過ぎて、今日久しぶりに見たら、シール以外の書き込みはほとんどなく、しおりのヒモは1月の終わりの週に挟まっていた。

唯一の用途はここ。

ぎんこうのてちょう

今年が西暦何年で、平成何年なのかわからなくなると、手帳を取り出し、表紙を見て確認する。

そういうことはけっこう頻繁にあるので、手帳の出番は多いのである。

ただ、ブツが手帳である必要はぜんぜんない。いっそ年号を書いたかまぼこ板でいいのではないか、という気がしてきた。



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もろもろ | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/03/25 11:39

ほてるの話。

…パリのホテルがさ~ エレベーターが古くて狭くってさ~ 

部屋じゅう広げた荷物を片付ける気配も見せず、お土産話に花を咲かせているのは、卒業旅行から戻ったムスメである。

スーツケース2個積んだら、あと1人しか乗れないんだよ~

えー、狭すぎ!

しかたないからさ~ トモダチと交代に螺旋階段使ったよ~ 4階なのにさ~

わー、チョー大変!

字に書くと苦労話だが、話すムスメも、聞く私も、なぜかニッコニコである。

ムスメと私は、ヘンなホテルが大好きなのだ。

新建材でペカペカの新しい部屋なんか、公民館と変わらない。

年月を経た味わいや癖のあるホテルに泊まるのこそ、旅の醍醐味というものである。

もちろん、スラム街みたいな本当に荒れ果てた場所は、おっかないし楽しくない。

建った当初はエレガントで最先端だったが、今では古びてガタが来ているのを、従業員一同、懸命に手入れしつつ営業してる、というタタズマイが好ましい。

たとえば、窓枠が錆びて、丁寧にペンキが塗り直してあるんだけど、ちょっと固まってカギが開けにくい、なんて風情が最高だ。

同じホテルで新館と旧館が選べるならば、ためらいなく旧館を選ぶ。

ロンドンはさ~ カステラ立てたみたいな狭ーいとこでさ~

スマホで撮った部屋の写真を見せてくれた。

なにコレ!ヘンな間取り

そーでしょ~ ここ、くぼんでるけど窓じゃないのよ~ カーテンで隠してんの~

うわー、 

ホテル談義は続く。

ムスメの旅行は、宿にも天候にも恵まれて、楽しかったらしい。私もどこかに行きたくなった。

picaossito.jpg
(ムスメのお土産 ピカソベア)



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もろもろ | コメント(7) | トラックバック(0) | 2017/03/23 11:45

ふりこめ話。

昨日も今日も郵便局の窓口へ。

それというのもムスコが春から通う大学関係の振込が、こまごまとあるからだ。

入学金をドカンと支払った後も、学生保険と共済、生協加入、教科書代金。入ったばかりなのに、早くも同窓会の加入依頼まで来るのには驚いた。

1度に払えば済みそうなものだが、請求元も振込先もバラバラ、何度にも分けて来るのである。

加えてビンボーの悲しさ、あっちのおカネをこっちに、こっちのをあっちに、と、都度金策に走り回らねばならない。

とにかく期限までに振込を済ませないとエライことなのだ。

大学名のある封筒で赤や青の枠のある小さい紙が届くと、動悸がする。

今日も届いた1通を、慌てて開けて中身を確認したところ、何かの会費で、金額は3千円。

これくらいならすぐ払える、と、サイフをつかんで玄関を飛び出そうになったが、何か引っかかるものがあり、封筒を見直した。

アレ?色が違う…

ムスコの大学は薄茶色の事務用封筒を使っているが、これは水色だ。

よくよく見れば、先般、濡れ手で粟のウン十万をふんだくられたスベリ止め(→ 「もうかる話。」)ではないか。

あやうく盗人に追い銭をくれてやるところだった。

頭にのぼった血が下がってから考えた。

この時期、お金を払い過ぎてボーッとした親に、手当たり次第に振込伝票を送りつけたら、何枚かに1枚は、どさくさ紛れに振り込まれるのではないだろうか。

どうやら新しい犯罪を思いついてしまったようだ。

おじぎふくすけ
 (毎度ボロ儲けをありがとうございます)



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/03/22 11:27

けーたい話。

4月から1人暮らしになるムスコの、家財道具を買いに行く。

ゼイタクやオシャレとは無縁のムスコではあるが、家電など最小限は揃えねばならず、なかなかのモノイリである。

合計金額にドッと汗の出る気分になりつつ支払いを済ませ、配送の受付にまわる。

ムスコが新しい部屋の住所を書き込んだ用紙を、カウンターのおねえさんはチェックして

あ、ケータイの番号もお願いします

すみません この子まだ持ってないんです 入学までに買います

そう、ムスコは今どきの高校生にはあるまじきことに、スマホはおろか、ガラケーすら持たずに、今日まで過ごしてきたのである。

メールはパソコン、カエルコールは公衆電話。節目節目に、買ってやろうと提案はしたのだが、

…いいよ… 別に要らねえ…

と、却下されてきた。どなたもシンジラレナイだろうが本当である。

実家を出るにあたり、いよいよ買ってやらないと、とは思っていたのだ。

配達日に連絡が取れないと困りますので… じゃあお母様のケータイでも…

ごめんなさい 私も持ってない

どなたもシンジラレナイだろうが本当の本当である。

なんでそうなったのか、イキサツは省くが、要するにことごとくタイミングを逸したのである。

カウンターのおねえさんは、突如現れた恐竜を見るような目で私たち親子を見、

私… 大人でケータイをお持ちでない方 お客様でお2人目です…

と、言わずもがなを口走った。

けっこう失礼なことを言われたわけだが、そりゃそうだろうな、と、ぜんぜん腹は立たなかった。

1人目ってどんな人だったんだろう、聞けばよかったな、と、今思っている。

ひらののら
📞シモシモ~?あ、あたし、ぢょん子~📞



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もろもろ | コメント(15) | トラックバック(0) | 2017/03/17 11:30

のんびり話。

4月から、ムスコが住む町を見に行った。

特急電車で2時間ばかり。フワフワ旅行気分になりかけたが、そうもしていられない。

不慣れな場所をアチコチして部屋探し。どこに行くにもバスの本数が少ないし、とにかく乗り継ぎが悪い。聞きしに勝るクルマ社会であるらしい。

加えて独特のノンビリペースで、万事がはかどらない。歌うように語尾をひっぱる、この地の方言のイントネーションまでが、なんだかいまいましい。

私は田舎者のくせに生来のセッカチなので、地元で行動する時の5倍はくたびれた。

なんとかやるべきことは済ませて、ひとまず帰宅の日。ホテルを出て、駅までタクシーに乗った。

ヤギに似た白髪の運転手さんは、生粋の土地の人らしく、この2日ですっかり聞き慣れた口調で

そうかね 大学へね ここはいいとこですよぉ (この「~」の部分が独特)

…はア…

怖い事件もないし 学生もおとなしいしね

…そーすか…

ヘトヘトの私ははかばかしい返事もできず、代わりにムスコが相槌を打っている。

例のノンキなイントネーションが、波のように耳をうち、ついウトウトしかけた時、大通りにさしかかった。

あーあー えーらい混んどるわ ちょっと他へ行ってもよろしいか

了承を求めたので、いいですよと言ったものの、そのえーらい混んどる道路は、私の目には普通に流れているように見える。

あれで混んどるなら、ふだんはどれだけスッカスカなのだろう。

駅前で降りて、ムスコを見たら、ふだんにも増してフヌケた、ノンビリした表情になっていた。

もしかしたら、ムスコはいい土地を選んだのかもしれない。ふとそう思った。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/03/15 12:09
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