あたまの話。

この世には、二種類の女がいる。

美容院で思いどおりのことを言える女と、言えない女。

そして私は後者なのである。

もう何か月も前から

ミツカン酢のCMの、ヤスダナルミのような髪型にしたいなあ…

みつかん

と思っているのだが、美容院の椅子に座るとどうしても言えない。

先週も美容院に行ったのに、結局伸びた分だけをカットし、1か月前の自分に戻ってすごすごと帰ってきた。

思えば若いころから、美容院では苦汁をなめてきたのだ。

好きな髪型がうまく言えない、というだけでも大問題だが、大学の時は、たまたま入った美容院で、ご近所のお嬢様大学の学生と勘違いされてしまった。

なぜかはっきりと否定できず、美容師さんの記憶にはそのまま刷り込まれてしまい、以後カット中の会話に苦労した。

学部学科などがわからないので、本屋でその女子大の赤本を見てから髪を切りにいった、情けない記憶がある。

しかし、世の中には、美容院の椅子の上で、ピンクのケープを巻かれたテルテルボーズ状態でも、堂々と思ったことが言える偉大な人もいるのである。

友人のミヤコちゃんがその人である。

彼女はかつて、全盛期のコイズミキョウコの写真を持って美容院に行き、

コイズミ

これと同じにしてください!

と言ったという。そんな彼女が勇者でなくして何であろうか。

私は、高知県の女性は酒が強いだけでなく、とんでもなく豪胆である、と信じて疑わないが、その印象はミヤコちゃんによるものが大きいのである。



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もろもろ | コメント(22) | トラックバック(0) | 2014/06/15 10:53

ふりょう話。

6月になって、学ランだったムスコが白シャツに衣替えした。

ひょろひょろ体型のムスコは、学ランだとまるで動くえもんかけのようなので、シャツを着ている方がまだマシである。

しかし気になることが一つ。

ムスコはこの白シャツの下に柄つきのTシャツを着るのである。

当然のことながら胸元に

REDWOOD FESTIVAL MUSIC and CAMP

とか

1958

などという文字がくっきりと浮き上がっている。

一応、ムスコには質してみた。

そういう風に透けてるのは校則違反とかじゃないの?違反じゃないにしても、不良と思われない?

母よ、今の時代、服装や持ち物でわかるような『不良』なんていないんですよ。ビーバップハイスクールとか、昔の話です

そういうもんなのかなあ?

服の乱れは心の乱れ

そう言われて育った世代の私には、にわかには信じがたいのである。

確かに、昔いたような、道で会ったら避けたくなる『不良』って、今は見ない気がする。何が不良かは、時や場所によって違うのかもしれない。

私の中学時代、不良はセーラー服のスカートを長ーくするものであった。

そんな不良少女は、私服のスカートも「ロンタイ」という長ーいのを愛用していたと思う。

ところが3つ下のイモートの年になると、不良はスカートをウエストのところでくるくる折って、膝小僧が見えるほど短ーくし始めた。

硬派の不良から軟派の不良への移行が、3年という短い期間で起こったんである。

また、私たちの学校では、靴下は折らずに伸ばして穿くのが決まりで、女子はみんなソックタッチというスティックのりみたいなので、ずれ落ちないように止めていた。

そして、不良の子だけが靴下を伸ばさず、足首のところに細く折っていた。

ところが、修学旅行で他の地方に行くと、そこの女子学生は、靴下を足首で折っているではないか。

みんな不良には見えない、普通の子たちである。

観光バスの窓から、下校中の女子学生を仔細に観察していると、中に一人、眉を細くし、髪を束ねないままの、明らかに不良の子がいた。

ふりょう
(明らかな不良の例)

足元を見ると、まじめな子たちの三つ折りソックスの中、その子の靴下だけが、ソックタッチを使って、ピシーッと伸ばされ、ふくらはぎに固定されていた。

まるで、私たちの学校の、一番の優等生のように。




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むかしむかし | コメント(20) | トラックバック(0) | 2014/06/14 09:11

さんみー話。

デジカメに写真が溜まってきたので、整理しようと思った。

何で撮ったのかわからないのがいっぱいある。

夕焼け空とかちぎれ雲の写真は、たぶん思春期のおセンチ君(=ムスコ)の仕業であろう。

その日の空は、その日見ればそれで良しとしとけよ、少年…

などとつぶやきつつ消去する。

私が撮るのは、ヘンな看板、誤字、誤植など、もっぱら他人の揚げ足取りである。

我ながら、あんまりイイ趣味じゃないよね~

と、おおいに反省しつつ消去する。

どんどん消し進むと中にこんなのがあった。

サンミー

「サンミー」は、チョコとクリームとクッキー生地、甘々の三つの味が好きだけど、昔からある何の変哲もないパンである。

なんだろ?

一応保留として、遡って見て行ったら理由がわかった。

ヨンミー

こいつだ。

三つの味の「サンミー」に、イチゴ味をプラスして四つの味で「ヨンミー」。

なんじゃそら!

と思った私は、その比較対照のため、あとでわざわざ「サンミー」も買ってきて撮ったのだ。

ダジャレ風味の「ヨンミー」もどうかと思うけど、私のこの根っからの揚げ足取り体質もいかがなものか、と、改めて反省した。

(写真に使用したサンミー、ヨンミーは、後ほどスタッフがおいしくいただきました)




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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2014/06/12 11:37

わからん話。

高校の同級生のミドリちゃんは、地元で学習塾を経営する女社長である。

男前のダンナに、子供二人は大学生。でっかい二世帯住宅に自分の両親が健在で、日常の家事をしてもらうという、うらやましい境遇。

彼女と会うと必ず愚痴大会となる。

メグマレナイ私がウラヤマシイ彼女に愚痴を言うのかと思えば、それがそうじゃないのだ。

聞けば学習塾は少子化で経営難

男前のダンナは仕事が続かない甲斐性ナシ

二世帯住宅には莫大なローン

おばあちゃんは家事こそするが年中体調不良、おじいちゃんは頑固者で、孫とケンカばかり。

ミドリちゃんのロングヘアは、日々の心労のせいで、染めなきゃもう真っ白だそうだ。

白髪が少なくていいわねえ、あなたは苦労がないからよ

バツイチ子持ちの中古マンション暮らし、不安定な雇われの身で、去年父を亡くした私が、ウラヤマシイとミドリちゃんは言うのである。

街でランチした後、ビルの庭園のベンチに腰かけてミドリちゃんの愚痴を聞いていたら、目の前の池にふわーっと一羽のカルガモが降りてきた。

かるがも

わー、お庭で飼ってるのね、カワイイ!癒されるワ!

ミドリちゃんは愚痴を忘れて喜んだ。人工の池でも、カモが浮かんでいるのは、とても自然で落ち着く風景だ。

二人で羽づくろいするカモをのんびり眺めていたら、後ろで声がした。

うわ~!カルガモだっ!写真写真!

振り向くと若い男性が興奮気味に、スマホでカモを撮っている。作業着にこの庭園のあるビルのロゴがついているので、ビルメンテナンスの人らしい。

あの~、このカルガモって、珍しいんですか?景色にぴったりだから、飼ってるのかと…

ボク、ずっとここで仕事してますけど、初めて見ました!ああっ、飛んだ!

興奮冷めやらぬ若者と、ぼんやりした私たちを残して、カルガモは飛んで行ってしまった。

カモは毎日そこにいるみたいに馴染んでいたけど、そうじゃなかったみたいだ。

何でも聞いてみないと、見た目だけじゃわかんないもんだな、と私は思った。

 


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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2014/06/10 15:01

さいんの話。

大きな書店に行くと、たまに著者サイン会をやっているのに出くわすことがある。

大好きな作家さんにサインがもらえたらうれしいだろう。

残念ながら私が好きな作家はほとんど鬼籍に入っているので、サインはもらえない。

先日アマゾンで古書を買ったら、こんなのがあった。

しじゃく

大好きな落語家、桂枝雀サンのサイン本である。

どうせお弟子さんの代筆だろうとは思うけど、生きた枝雀サンにサインをもらうことはもうできないので、何となく嬉しい。

アマゾンでは、こういうのが来たこともある。

むらかみ

村上たかしさんのマンガだが、見返しにイラスト付きサインがある。

村上さんはあんまりさっさと描けるタイプではないのか、サインなのにイラスト部分にエンピツの下描きがあるのが微笑ましい。

単なる古書を買ったつもりの私としては、ちょっとお得な気がするが、下描きまでして書いてもらったサイン本を、古書店に売っぱらっちゃうのってどうなのか?とも思う。

サイン本というのは、何もない本よりも値打ちがある気がするが、古書店の方に伺うとそうでもないらしい。

よっぽどの大家・文豪が、自著初版本にサインしたもの、とかいうのでない限り、大方は単なる汚れ扱いで、買い取り価格も安くなるのだそうだ。

他ならぬその本の著者のサインが、コドモが記名しちゃったのと同じ、汚れ扱い、って、なんかすごい。

そういえば私はこういうのも持っている。

ばんび

マンガを買ったら、サインはされてなかったけど、開けたところにこんなの↓が挟んであった。

えりか

○○○先生

1ページも読まず、メモにも気付かずに売りましたね○○○先生!

でも、じかにサインは入ってなかったから、売値が安くならなくってよかったですね、○○○先生!



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2014/06/09 11:27

しとつの話。

出先で定食屋に入った。

印刷のメニューの他に、手書きの「お品書き」が壁に貼ってある、いい感じの店だ。

ツョウガ焼定食

シリ!スタミナ定食

読んでいるうちに、なんだか小学生に戻ったような、懐かしい気持ちになった。

ここの店主も「ツ」と「シ」の書き分けが苦手な人のようだ。

とても不思議なのだが、「のようになってしまう」人は、必ず同時に「のようになってしまう」のは、どうしてだろう。

たまには「のようになってしまうが、は正しく書ける」人や、その逆があってもよさそうに思うのだが、まずそういうことはない。

二つは必ずセットになっているから

ヅャイアンシ

ワイツャシ

といった、見ただけで体がヨジレルような言葉が出来上がるのだ。

ふと、小学6年の時の同級生の男の子を思い出す。

運動が得意で、跳び箱は体育倉庫にありったけを積み重ねて大人の背丈くらいになったのをポーンと飛んでしまうような元気な子だった。

彼の名前はシマヅカくん。

上履きにマジックで書かれた彼の名前は、いつも「ツマジカ」になっていた。

どうやら、彼のお母さんも書き分けが苦手だったようだ。



ましさーづ
 
↑ 間違いでも、こういうのは、一種旅情をそそって、悪くない。



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むかしむかし | コメント(14) | トラックバック(0) | 2014/06/07 17:28

アコガレ本。

歌手、作家、スポーツ選手。コドモはいろんな人に憧れるものだが、私の憧れはオソノエさんだった。

ごりら

小薗江圭子(おそのえ けいこ)。イラストレーターで、ぬいぐるみ作家で、バーを経営、作詞家で、童話作家。

たぶん一番有名な作品は、森山良子『この広い野原いっぱい』の歌詞だろう。

手に取ったのは、蔵書の乏しい地元の図書館で、読めそうな本を片っ端から読んでいた中学生のころ。

プロフィルから、当時39歳。私にとってはおかーさんと同じくらいのオバサンだ。

39歳にもなった人は皆、必要だけど退屈な仕事をし、はしゃぐ子供は叱り、マンガは読まずに新聞を読み、テレビも見ないでお皿を洗ってるものだ、というのが、コドモの私の認識。

人生は、コドモのうちは楽しいが、オトナになればつまらなくなる

誰に言われたわけでもないのに、どこかでそう思っていた。

ところがオソノエさんは、毎日とても楽しそうなのだ。

裏通りの駄菓子屋で、おはじきやメンコやスパイ手帳をオトナ買い。

赤い格子縞のテーブルクロスのイタリア料理店で、一人で食事。

ふと思いついて知らない駅で降り、歩きたいだけ歩いて、飽きたら帰る

ブリキの金魚、ロウ細工のパフェやプラスチックの拳銃など、ただ「面白いから」という理由で持っていて、飾って喜ぶ。

トロペッタン」なんていう、謎の料理を友だちに教わって、作って食べる。

お母さんでも奥さんでもない、オソノエさんの39歳の生活の楽しみがそこにあった。

オトナになるのも悪くないな、こんなオトナなら、なってもいいな

中学生の私は初めてそう思った。

それから30年以上、とっくに39歳を超えちゃった今の私には、オソノエさんは親しいお友達に思える。

昭和49年9月、講談社刊、表紙は和田誠ですが、挿絵は著者で、もちろん絶版。童話の代表作『オバケちゃん』や、遺稿『ボリガペッパとゼラ』なら、新刊で買うことができます。
 
                         :
                         :

ちなみに、同じく絶版の『小薗江圭子のぬいぐるみ76』(昭和49年 婦人画報社刊)も一見の価値あり。

↓ のような世にも不思議な作品が見られるだけでなく、実用書だからその作り方も載っています。


ぬいぐるみ

誰が作るんだ?!



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ブックガイド | コメント(4) | トラックバック(0) | 2014/06/06 15:36

たぬきの話。

♪スイ スイ 水曜まで スイ スイ 水曜まで♪

…と、ヨネクラリョウコが歌っていた、ドリームジャンボ宝くじ。スイスイ水曜日は昨日。また、買いそびれてしまった。

              たからくじら

そもそも買わなきゃ当たらないんだし、万が一、いや、億が一、当たったりすれば、現世の不都合・不自由のほとんどは解決するのになあ、とは思うのだけど。

売り場の前に立って財布を持つまでしても、結局いつも買うのをやめてしまう私だ。

中学生のころ、町内にヤマニシさんというお宅があった。

ヤマニシさんのタロウくんはイモートの小学校の同級生で、かけっこの速い腕白小僧。お母さんはスーパーのお総菜売り場でおはぎやコロッケを売っている、くりくりした感じの元気な人だ。

その日、何でそうなったのか、用件は覚えていないけど、私はヤマニシさんちにお邪魔した。

さ、さ、上がって上がって~!

と言われて運動靴を脱ぎ、玄関からガラス障子を開けた茶の間にあがり、ペタンと座って見回してビックリした。

茶の間に6枚あるふすま、2枚は押入れの、4枚は奥の間に続くそれが、6面全面極彩色のナニカで張りめぐらされているのだ。目を見張る私にお母さんはこう言った。

ハハハ…きれいでしょ。「狸の宝くじ」よ

タぬきのタカラクジ…つまり、か・ら・く・じ

ヤマニシさんのお母さんの趣味は宝くじを買うことで、溜まったはずれくじをふすまに張っているのだった。私はその時初めて「宝くじ」の現物を見たと思う。

あれから30年以上経つが、宝くじを買おうかな、と思うたびに、ヤマニシさんの、からくじのふすまが鮮やかに目に浮かぶ。

そして、ちょっとため息なんかついて、出しかけた財布をまたしまうのである。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2014/06/05 09:25

かわむら話。

カワムラさんはどこにいるのだろう?

心当たりがない。

親戚にも、学生時分の友達にも、同僚にも、私の身の回りにはカワムラさんって人はいないのだ。

困ったなあ…。

何の気なしに買い物したばっかりに…。

これなんですけどね。

かわむらさん 001

こんな↓ことが…。

かわむらさん 002


そんなこと、急に言われてもねえ…。

ボールもないし…。

カワムラさんは、サッカーボールお持ちですかねえ…。



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もろもろ | コメント(19) | トラックバック(0) | 2014/06/03 16:11

たしなみ話。

私も、もう「いいオトナ」を通り越し、ババアに近いトシなのだが、それでも母親というのはひとこと言いたいものらしい。

一体いつまで説教をされ続けるのだろうか。

服が地味だとか派手だとか、化粧くらいしろとか言われるのは、まあ私自身サボってる分野だという自覚はあるので、甘んじて聞こうと思うが、おばーちゃんのやり玉に挙がるのはそんなことだけではない。

先日おばーちゃんに付き合って買い物をしていて、ちょうど薬味のネギがなかったと思いだし、ついでに買おうとしたところ

あんたね、ネギぐらい植えときなさい。根っこを土に入れとけば、勝手に増えるんだから!

と怒られた。

だってうちマンションだもん。おかーさんとこみたいに庭ないし

と口答えすると、

六畳一間ってわけじゃなし、プランターくらい置きなさい!

と、さらに怒られてしまった。

おばーちゃんいわく、一家を構えたらネギくらい植えておくのがタシナミなのだそうだ。

また別の日。

一緒にデパートに行こうと電車に乗っていた時、私は何の気なしにセキバライをした。ちょっと空気が乾燥していたのかもしれない。

すると、おばーちゃんはすかさず、ちっちゃな巾着を取り出した。大阪名物・おばちゃんのアメちゃんである。

アメを一粒くれながら、おばーちゃんはこんこんと、言い聞かせるように言った。

あんたももうイイ年なんだから、アメちゃんくらい持ってなさい。タシナミ

もらったアメが喉に詰まりそうになったので、仕方なく黙ってうなずいた。

そして後日。おばーちゃんに手渡されたのがこれ↓

あめちゃん

カバンに入れとけ、だってさー。もう~、どうしよう。



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ごかぞく | コメント(16) | トラックバック(0) | 2014/06/02 19:37
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