すうちの話。

薬を飲みだして3か月たったので、検査してみましょうか、とヒカワ先生が言う。

気軽に言ってくれるものだ。

検査というのはもちろん血液検査であって、私の大っキライな採血がある。

無意識にかなりイヤそうな顔をしたらしく、ヒカワ先生は中腰になって揉み手をしながら、

ベッドで寝て取ってもらいますから、ね!

と、やけに低姿勢なので、断れなくなった。

後日その結果を聞きに行く。

けんさけっか

診察室に入ると、先生がカルテを片手に、なんだか浮かない顔である。

もしや、検査の結果、重大な病が?

ドキドキしながら丸椅子にかけると、こう切り出された。

お薬がよく効いて、コレステロール値は正常範囲です、が…

が、って何だよ!

説明によると、血液中のある酵素が、通常の10倍以上の高い数値を示しているのだという。

検査前、なんか変わったことしましたか?

別に…、ああ、前の日はプールで1キロほど泳ぎましたけど、そんなの毎週だし…

1キロ?!そんなに!

ヒカワ先生が引くほど驚いているので、こっちも驚く。

ボクなんか、25メートルも泳いだら、息も絶え絶えですよ!1キロ

いや、それは先生の個人的な事情だから!

私より10も15も年上のお姉さんがたもいらして、皆それくらい泳いでますよ、と言っても、およそ信じられない、という顔である。

再検査でまたぞろ大キライな採血をされることになったので、憂鬱なことこの上ないが、

1キロ…1キロかぁ…

診察室を出るときも、まだアゴに手を当てて、首をひねっていたヒカワ先生の様子を思い出すと、少しだけ心がなごんだ。



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/21 10:06

かじかじ話。

テレビを点けたら、達人が、家事の悩みを解決する!という特集をやっている。

番組としては面白いが、私はこういう試みには悲観的で、達人が帰ったら、どうせ逆戻りしちゃうんだろうなと思って見ている。

昔の職場の後輩だったユリちゃんは家事全般が苦手。

外で会うととてもそうとは思えない、身だしなみのいい美人だが、家はスズメの巣みたいにぐちゃぐちゃである。

私だってアドバイスできるような達人じゃないが、ユリちゃんよりはなんぼかマシだ。

片付けたいけど、無理なんですよ~。どうしたらセンパイみたいに楽しくやれますかね~

え?別に、楽しくないよ?

え?楽しくないんですか?

ユリちゃんが、とんでもない勘違いをしていることに、この時気づいた。

ユリちゃん、みんな楽しいからやってると思ってんの?!

違うんですか?あたしは楽しくないからやりたくないんで、センパイは逆かと…

違うよ!やりたくないけど、しょうがないからやるんだよ!家事なんてそんなもんでしょ!

ええ~っ!

ユリちゃんはシンから驚いている。

マスコミだって悪いのだ。

かじがたのしく

雑誌を見れば、お料理が楽しくなるヒント!

家電のCMを見れば、スイスイ楽しくお掃除!

ワイドショーでは、片付けが楽しくなるプロのコツ!

ユリちゃんが、家事は楽しくやらなきゃいけない、と思い込んでしまうのも、無理はない。

楽しくなくっていいんだよ、ユリちゃん!

そうなんだ~、楽しくなくっていいんだ~!なんか、気が楽になってきました!

ユリちゃんはいくらか明るい声になって、電話を切った。もしかしたら、ちょっとは片付けるかもしれない。

しばらくすれば逆戻りだろうけど。



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てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/05/20 10:21

おっさん話。

ゼミのOB会(OGだけど)に久しぶりに参加した。

自分を棚に上げてナンだけど、同期の男の子たちを見てギョッとする。

白髪・禿頭・下腹部の突出、どこからどう見てもオッサンのこの人たちと、自分が同級生だという、厳然たる事実。

動かぬ証拠を突き付けられた、犯人のような気分だ。

しかし、杯を重ねて次第にほぐれてくると、ぎこちなさも取れて、話がはずみだす。みんなオッサンの皮を着ているけれど、中身はおんなじだな、などと思う。

生活習慣病の話題で盛り上がってしまうのはご愛嬌として。

腰痛持ちの一人が皆に断わって座ったのをシオに、私も腰を掛けることにした。

今回は同期だけではなく、全体の会なので、見回せば先輩も多数出席されている。

オッサンの域を越えた先輩は、生臭みも消えて、なんだかフワフワと軽やかだ。

驚くべきことに、この方たち、会が始まって3時間になろうとするのに、一人として椅子にかけないのである。

声こそ大きくないものの、白髪を揺らしてハッハッハッと笑い、乾きかけたサンドイッチなどをかじり、気軽に会場を移動して、後輩たちに声をかけていらっしゃる。

かといって若々しいというわけではない。エッセンスだけが残った、まるでオッサンの妖精のようだ。

学生時代から20キロ太ったという腰痛男が

水気が抜けて軽くなってるから、疲れないんじゃねえのか?

と、憎まれ口をきいた。




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もろもろ | コメント(18) | トラックバック(0) | 2015/05/19 09:12

しぶやの話。

仕事を含め色々な用事がたまたま重なったので、東京に行ってきた。

数年ぶりの大都会は、やはりどこに行っても人が多い。

シブヤ

社会人になりたてのころ、先輩に夜のシブヤに連れていかれ、あまりの人の多さに

今日は何かお祭りですか?

と尋ね、大笑いされたことなど、懐かしく思いだす。

シブヤといえば、小さいころ子供を連れて行ったこともあった。

当時は都内在住とはいえ、混んだところに慣れないうちの子たち。

ムスメはキョロキョロ珍しそうに周囲を見回していたが、ムスコはみるみる機嫌が悪くなり

うるさい… くさい… かえりたい… はやくかえろうよ… うるさい…

壊れたレコードのようにこれしか言わなくなってしまった。

私もすっかり疲れてしまい、とりあえず休憩しようとファーストフードに入った。

冷たい飲み物で少し落ち着いたと思ったやさき、ムスコが火のついたように泣き始めた。

もういやだ… こわい… かえる… かえりたい… !

向かいの席に座ったムスコがいったい何を見たのか、思わず振り返る。

そこには二人連れのガングロギャルが、白い厚い唇をぱっくりと開け、のような爪で、ハンバーガーをつかんで食べていた。

確かに、泣きたくなるほど恐ろしかった。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/05/18 09:07

おしりの話。

うちのご不浄には温水洗浄式便座がついている。

うぉしゅれっと

このボタン、それぞれおしり やわらか ビデとなっているが、おかしくないか。

おしりは洗浄する箇所。

やわらかは洗浄の強さ。

ビデは洗浄する機器。

指し示すものがてんでんばらばらなのだ。

一般に、3つの選択肢を並列するならば、

「いぬ さる きじ」 「赤い 白い 青い」 「止まる 歩く 走る」

のように、同種の概念を並べるべきだ。

「おしり やわらか ビデ」のうちどれかを押せ、というのは、「いぬ 白い 走る」の中から一つ選べ、というようなムチャな選択である。

…などと延々と考えたのは、実はボタンの押し違いが原因である。

いつもは「やわらか」なのだが、誤って「おしり」を押してしまい、文字通り臓腑をえぐるが如き強烈な水流に飛び上った。

水流を最強にした犯人はムスコである。ヒョロヒョロのくせに、局部的に丈夫なヤツだ。

いまいましい気分でボタンを眺めていて、上記の考察に至った次第である。



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/17 08:59

5・15話。

あ、今日って犬養毅が撃たれた日だ…

ムスコがパソコンで「今日は何の日」を見て言った。

あーハイハイ、なんだっけ…、551事件だっけ

考えなしに口に出すのが私の悪癖である。

違うよ、なんだよ、5月51日って

許せムスコよ。なにしろ日本史を習う以前から刷り込まれているのだから。

大阪生まれの私は、5だの1だのといえば、これしか出て来ないのだ。

551.png

しかたがないなあ。

食べたくなっちゃったじゃないか。

ぶたまん
(立てて入れてあるのがステキ)

ちょうど出かける用事もあるし、帰りに買ってくることにしよう。


ちょっと豚まんを買いに行ってきます。遅くなるのでコメント欄は閉じておきます。
FC2ブログの方は、戻り次第ご訪問いたしますので、しばし失礼お許しください。




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もろもろ | 2015/05/16 07:13

しぼうの話。

メタボ健診で、かかりつけのヒカワ先生におどかされ、マジメな私は体組成計を購入した。

たいそせいけい

今までの体重計はアナログで、針の指す数値にはこれくらいだといいな~という希望を多少は反映できたのだが、デジタルはその点容赦がない。

コンマ以下まで自分の体重を知ったのは久しぶりだ。

おまけに、算出された体脂肪率を見て愕然とした。

この数値を信用するのなら、私の身体の3分の1強が脂肪である。

とはいえ人は何にでも慣れるものだ。

近頃はさほどショックも受けずに、マジマジと数値を見ることができるようになった。

それによると、私は体脂肪率こそ高いものの、生活習慣病の元凶と言われる内臓脂肪はむしろ少なめで、筋肉量も多い。

つまり私の脂肪は、ほぼ皮下脂肪なのである。

ふと、テレビのドキュメンタリーで見た、アラスカのアザラシ狩の映像を思い出した。

アザラシを解体するためナイフを入れると、毛皮の下には、真っ白な脂肪が層をなしている。

力強く海中を泳ぐアザラシは、体温を失わないため、筋肉を厚い脂肪で包んでいるのであった。

水泳でちっとも体重が減らない自分を、アザラシになぞらえたことがあった(→ やせない話。) が、あながちハズレではなかったということであろうか。

あざらし
  (筆者近影)


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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/15 08:34

えいごの話。

おばーちゃんがまた、Tシャツをくれた。買ったはいいが、また袖が長かったらしい。(→ さいずの話。

ムスメに見せたら、ププッと笑って袋に戻したので、やむなく私が着ることとする。

えいごのしゃつ

さあ、恒例の英文チェックといこう。

OBVIOUSLY SOMETHING'S GOT TO GIVE Season's Greetings EXPERIMENTAL COMMUNICATE

語順はこんな感じでよいだろうか。

試しにネット翻訳にかけてみた。

明らかに、何かが、季節の挨拶 実験的通信を与えるようになった

とりあえずおゲレツワイセツな内容ではないので、部屋着に採用することとする。

「明らかに」の部分を、シルバーのツブツブで「明らか」に表現しているのがデザインポイントだろうか。

「何か」が何なのかは謎だし、こんな文章を胸にくっつける理由も、全く不明ではある。

しかし最大の驚きは、トルコブルーピンクのラメとシルバーをあしらったこのシャツを、70代後半のおばーちゃんが、袖丈が合えば着るつもりだったことであろう。



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/05/14 09:09

ぼうしの話。

台風一過、今日はいい天気。

紫外線をさほど気にしない私でも、お出かけに帽子や日傘が必要な季節になった。

今年は帽子を新調したいなあ…と思っているのだが、これがなかなか容易ではない。

私は頭がデカいのである。

雑貨店や洋服屋さんに、かわいくディスプレイしてある帽子は、ほぼ100%、私の頭には、はまらない。

自分の頭が標準よりデカいと知ったのは、小学3年の時だった。

入学した時からかぶっていた黄色い校帽がくたびれて窮屈になってきたので、正門前の文具屋さんに行った。

きいろいぼうし
(わが母校は男女ともこのタイプ)

店のオバサンが、3年生ならこれくらいかしら、と出してくれた新しい帽子をかぶってみると、きつい

そう言うと、オバサンは、あら?という表情で次を出してくれたが、それもきつい。

オバサンは、私がかぶってきた古い校帽をひっくり返し、サイズを確認した。

おじょうちゃん、これ、うちにある一番大きいサイズだワ。これより大きいのは、取り寄せになるよ

ということは、新入生の時点で、すでに最大サイズをかぶっていたことになる。

私はかぶってきたボロい帽子のまま、スゴスゴと帰宅した。

頭のデカさは、パッと見ても分からないが、地味に効いてくるコンプレックスである。

私の頭にはまる帽子を買うためには、まず専門店に行かねばならない。

さらにその店員さんに頭の寸法を打ち明けて、軽く驚かれる、というミッションを潜り抜けなければならない。

新しい帽子に至る道のりを思うと、晴れた空とは対照的に、心は曇っていくのであった。


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むかしむかし | コメント(22) | トラックバック(0) | 2015/05/13 09:54

すずめの話。

その家は、住宅街の中の、いたって普通の建売住宅(築20年見当)。

表札、庭の様子、車庫に停めた車、どこを見ても平和な一般市民のマイホームだ。

しかし、他の家とその家には、はっきりと違いがあった。

それはその家の玄関先に落ちている、大量の鳥のフンである。

私はかねがね、なぜこの家だけ、誰かが白ペンキの刷毛を振り回したみたいに汚れているのか、不思議に思っている。

田舎とはいえ片側二車線の道路際で、鳥にとって特にいい環境とも思われない。

一度じっくり考えてみたいと思いつつ、ここで立ち止まれば、私もまた上空から爆撃を受けるやもしれぬ、と、早足に通り過ぎるのが常だった。

しかし、どんな事象にも、必ず理由があるのである。

車道の対岸には、小さな米屋がある。

今朝早く通りかかると、ちょうど店のオヤジが出てきたところだった。手に小さなザルを持っている。

オヤジが左右をうかがって、車道を横切りはじめると、十数羽のスズメが、どこからともなく中央分離帯の芝に降り立ったではないか。

オヤジはザルの中身をスズメに向かって撒くと、車道を横断して戻って行った。

米屋だから、割れ米粉米が出るのだろう。それをスズメにやっているらしい。

スズメたちは芝の中を熱心につついている。

空を見上げれば、電柱と電柱をつないで、車道を見晴らす位置に伸びる電線

それはちょうど、あの家の前あたり。

スズメは毎朝電線の上で、オヤジが花咲か爺よろしく米を撒くのを待っているのである。

でんせんにすずめ

大量のフンの理由は分かったが、今度は、住人がその理由を知っているのか、知っているとすれば、米屋のオヤジをどう思っているのか、気になり始めた。

これは、わりに深刻なご近所トラブルというやつじゃないのだろうか。



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ごきんじょ | コメント(20) | トラックバック(0) | 2015/05/12 08:31
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