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じしゃく話。

おばーちゃんが、冷蔵庫を買い替えるらしい。

今のは10年物で、しかも一人暮らしにあるまじき容量のでっかいヤツ。

おばーちゃんの背丈よりはるかに高く、おばーちゃんの手では届かないほどに奥の深いそいつに、おばーちゃん一人では食べきれない量の食料がぎっしり詰まり、魔窟を形成している。

もっと小さい省エネタイプへの買い替えは大賛成なので、積極的に協力することにした。

家電量販店でカタログを集め、実家に持参する。

それで、どういうのがいいの?

いろんなメーカーのカタログを広げながら聞くと、

ドアがのやつ!

は?

だからドアが鉄でできてるやつ!

???

ナンノコッチャと思ったが、これしきで混乱していたらおばーちゃんの娘は務まらない。

なんで鉄がいいの?

磁石がつくでしょ…

確かに、おばーちゃんの冷蔵庫には、ものすごい数のマグネットがついている。

自分で買ったの、もらったの。私やイモートも、旅行のお土産に何個かずつあげている。

メモを留めるとか、そういう機能はほとんど果たしておらず、単にくっついているだけだ。

えー別にいいじゃん つかなければ外せば… その方がスッキリしない?

外してどうすんのよ 置いとくとこがないでしょ

おばーちゃんには、使わないから処分する、という選択肢はない。

他には要望がないようなので、メーカーや容量は私が決めた。これから二人で電気店に行き、

このドアはですか?

という謎の質問を繰り出して、店員を困らせる予定である。

れいぞうこのまぐねっと
(全部外せばたぶん何キロか軽くなるはず)



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2016/01/31 11:21

かみいろ話。

2か月ぶりにチハル先生に会ったら、アタマが黒くなっていて驚く。

チハル先生は、音楽教室の講師で、名前だけではわかりにくいが、50代の男性である。

お知り合いになって10年以上になるが、ずっと金髪になさっていた。

ミュージシャンという自由業で、若々しいスタイルなので、今までそう違和感はなかった。

しかしこうして黒髪になったのを見ると、やはり落ち着いてステキになったと思う。

お疲れのときなど、乱れた金髪には、何か無残な印象を受けることもあった。その点黒髪だと、見やすいというか、年齢なりで、安心して見ていられる。

口に出して褒めかけて、思いとどまる

黒くした髪をあんまり褒めるのも、今までの金髪をけなすようでマズいのではないだろうか。

50代男性としてはガンバッた感じの金髪を維持するのに、チハル先生だってそれなりにエネルギーを使ってきたはずだ。

口さがない人はどこにでもいるものだし、年甲斐もなく、なんて言われたりもしただろう。

この年で敢えて黒髪に戻したについては、内心忸怩たる思いがあるやも知れぬ。

若い子の髪型が変わったように気楽に、前より良くなりましたね、などとは言えないのである。

結局、髪の色については一切話題にできず、そのまま帰ってきてしまった。

実はノーコメントのほうがずっとマズかったのではないか、と、今は思っている。

はうるのうごくしろ
(黒髪だったり金髪だったりするといえば、この人)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/01/30 10:43

きゃたつ話。

台車 脚立 電動ドライバー

独身女性の三種の神器を挙げたが、この一つとして使う気がない独身女性が一人いる。

わが母、おばーちゃんである。

もうずっと前から言い続けているのだが、聞いてくれない。

縛った新聞紙を提げて回収場所まで、ヨロヨロ何度も往復したり。

椅子に乗って背伸びして、照明のホコリを拭いたり。

後期高齢者になったのだから、そういうことはいいかげんやめていただきたいのである。

先日、実家に出かけたとき、もう帰り際になって気になることを言いだした。

カーテンが汚れてるのよねえ 洗濯しないと…

実家のリビングのカーテンは、天井すぐ近くから下がっている、長~いやつ。

ながいかーてん
(こんな豪邸ではありませんが)

カーテンレールから外すには、おばーちゃんよりずっと背が高い私でも、脚立が必要だ。

もー!なんで来てすぐ言わないのよ!そしたら外してあげるのに!

だが私にもこの後の予定がある。

こんど私がやるから、絶対に一人で外したりしないよう、念を押して帰った。

さて、そのつもりで次に実家に行ってみると、カーテンがやけにサッパリしている。

おーかーあーさーんー!

精一杯怖い顔をしてみるが、後の祭りである。

だって先週とってもいいお天気だったでしょ?週末は崩れるっていうし…

いつものことながら、納戸の脚立には、触った形跡さえない。どうやったか聞くと

テーブルをね、ここまで引きずってきて、その上に、電話帳を置いて…

やーめーてー!!



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/01/29 10:17

どらいば話。

電動ドライバーが壊れた。

10年以上前、気張って買った、重くて強いヤツ。アタッシェケースのようないかついケースに入っている。

離婚して、まだ幼いムスメとムスコと3人になった時、父親がいないからって、子供に不自由をさせてはならないと、そればかり考えた。

男手がないからできない、という言い訳は、絶対したくなかった。

独身の女にとって、

台車 脚立 電動ドライバー

この三つは三種の神器、と呼んでいいと思う。( →だいしゃ話。 )

重いものも、高いところも、固いネジも、いい道具があれば、女一人でやっつけられる。

この電動ドライバーは、引っ越したり、家具をばらしたり、また組み立てたり、家族の生活が変わるたび、強い味方になってくれた。

とはいえ、子供は育ち、今の家はおそらく私にとって終の棲家になる。

もうバタバタ引っ越すことはないし、なにより、あの頃は頼りなく小さかったムスメとムスコが、私よりデカくなっている。

ゴツいドライバーに助けてもらう時代は、終わったのかもしれない。

充電式のコンパクトなのが欲しいなあ、と、今は思っている。

でんどうどらいばー
(こんなのがカワイくて良いなあ)



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むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/01/28 10:16

みえみえ話。

本を読むのは好きだが、予算も置き場所も限りがあるので、図書館を利用することが多い。

棚に並んでいない本もネット検索してリクエストできるから、最近は便利になった。

最寄りの図書館に頼んだ本が届いた、とメールが入ったので、取りに行く。

予約の本お願いします

カウンターに貸出カードを提示すると

3冊届いてますね

手際よく貸し出し処理が済んだ本を手に、思わず赤面する。

ほんでみえみえ
(借主が20代男性ではないことは明白)

決して一度に予約したわけではない。すぐ来た本、だいぶ前に予約して待たされた本、たまたま同時に到着して、まさかの女50代3連発である。

そこにいたのが若い子だったら、急いで本をかっさらって、逃げるように帰ったかもしれない。

でもそのとき対応してくれたのは、ふっくらした年配の女性だった。

年齢がミエミエで、恥ずかしいですね…

カバンに本を入れながら、つい余計なことを言うと、ニコニコして

いいじゃないですか~ 今から心がけて準備して… 私もその頃読んでおけばよかったワ…

え?同じくらいじゃないんですか?

丸顔で若く見える人だが、聞けば60代だという。

本が重くて腰や肩が痛いこと、書庫が冷えることなど、少し話したが、他の利用者が近づいてきたので、お礼を言ってカウンターを離れた。

この図書館を利用し始めて10年を越すが、カウンターで要件以外を話したのは、はじめてだ。

そう考えると、オバサンになるのも悪くないと思った。



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2016/01/27 10:09

モメンノ本。

知らない人が、あたかも旧知の友人のように話しかけてくる、というのは、地域性もあるかもしれない。

ふと昔読んだ随筆の一節を思い出した。

筆者は北海道の出身で、大阪に住んだ時の経験を書いている。

心斎橋の婦人小物店で買い物をしていたところ、着物の袖をグイと引かれるのを感じて、驚いて振り返ると、二人の中年の奥さんが両側からその袖を持って、生地の品評をしている。

鹿ノ子やおまへんで

そうでんな なんやゴリゴリしてまんな

奥さん方は、振り返った筆者(つまり着物の持ち主)の存在をいっさい斟酌せず、心ゆくまで、その珍しい生地を鑑賞したのち、ようやく解放してくれたが、その間筆者はただ茫然と、されるがままだったという。

このくだりが、私はおかしくてならない。

それくらいやりそうだな、と思えるあの顔、この顔を、思い浮かべることができるからだ。

もめんずいひつ

(「もめん随筆」 森田たま)

大阪のオバチャン、というと、テレビの影響もあって、ヒョウ柄を着て、アメちゃんを持って、自転車に傘をくっつけて、スーパーの特売を奪い合いしている庶民のイメージだ。

しかし、阪神間の高級住宅街に住み、何不自由なく暮らすお上品な奥様にも、昔からどこか他人に対する敷居の低い、開放的な部分があったようだ。

「細雪」を読むと、四姉妹のそれぞれが、えらく女性的でくにゃくにゃしていて従順らしいが、そのくせ頑固で、命じられたことにシラッと背いたりする。

おとなしく黙っているかと思うと、突然思い切った行動に出る、という不合理のかたまりが、いかにも昔の大阪の女性らしい。

筆者は札幌という新しい街で育った、近代人らしい合理的な知性で、大阪という古い土地の人々、とりわけ女性を、興味関心を持って見つめている。

この本もまたぞろ絶版であるが、再々復刊されているので、比較的手に入りやすいはず。



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/01/26 10:46

わかさの話。

今日は定期検診。

ヒカワ医院の看護師さんは、若くてカワイイが、そう言うといつも

ちっとも若くないですよ~ アラサーですよ~

と否定する。カワイイの部分は否定しないのがエライ。

彼女は、私が怖がりのビビりなのを知っていて、採血の間、おしゃべりで和ませてくれる。

ちゅうしゃばり
(針の先がこうなってると想像すると怖い)

バーゲン行ったんですよ そしたら女の人に話しかけられて…

どんな人?

50代くらいかな… お母さんって感じの…

つまり私みたいな人、ということだ。さては、私の顔を見て思い出したな。

いきなり、「あなた身長何センチ?」って聞かれて…

それは、いきなりだねえ!

その、私みたいなオバサンは、要するに、お嬢さんの洋服を買いたかったのだ。

そこにいないお嬢さんの代わりに、よく似た背格好の女の子に、洋服をあてがってみよう、と考えたわけである。

でもスゴイですよね~ ぜんっぜん知らない人なのに!

まあでも、買っちゃってサイズ合わない、とかって、面倒だしね…

そう言いつつも、思った。

そんなことなら、私もやりそうだ。

全然知らない人にも、知り合いみたいに話しかけるのは、オバサンの特権なんだよ。

そして、それにビックリしている貴女は、とっても若いと思うよ。

なんとなく、ほのぼのした気分になり、気がつくと採血は終わっていた。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/01/25 10:16

らーめん話。

寒いから、ラーメンを食べたくなった。

遠出はイヤだから、またしても、手近なラーメン屋に行くことになる。

この店で私は、常連とまでは行かないが、

あ、スタミナラーメンと豚キムチと生ビールの人だ

という程度に認識されているようだ。( → いつもの話。) 

スタミナと、豚キムチと…

と注文しかけると、パートのオバチャンに

…生ビールですね

と言われてしまう。

また常連度が増すだろうか、と思いつつ、湯気で曇るガラス戸を開けた。

らっしゃーえ!

食事時を少し外したので、狭い店内に他の客の姿はない。

テーブルに着こうとしたら、いつものオバチャンが

お先ショッケンのほうお願いしまーす

と店の一角を指さした。

テーブルをずらして無理に作った空間に、見慣れぬ機械が立っている。

ショッケン?ああ、食券か。

戸惑いながらお金を入れ、ランプの点いたスイッチを押すと、一片の感熱紙が吐き出された。

テーブルに着いたのを見計らい、水のコップを持ったオバチャンがやってきて、食券を回収していく。

なにか釈然としないが、スタミナラーメンが運ばれてきたので、黙って食べる。

釈然としないまま食べ終わり、中腰になってお勘定…と言いかけてやめる。そうだ、食券で支払い済みなのだ。

なお釈然としないままガラス戸を開け、フワフワした感じで店を出た。

交差点で信号を待ちながら、今日は豚キムチも生ビールも注文しなかったな、と思った。

スタミナラーメン
(スタミナラーメンの味は同じでした)



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2016/01/24 11:55

はなみず話。

今日の記事は、タイトルの通りバッチい内容となっております。お食事中の方は、食後に改めてお越しください。


特に名を秘すある人と、某所で居合わせたところ、どうやら風邪ひきらしい。

年初からひきこんだ風邪がやっとこ治ったところなので、用心して離れたところにいたのだが、

ずるずるずる…

鼻をすする音が聞こえる。

ちょっとタレたのをスッと吸い上げる感じではなく、たっぷり大サジいっぱいはありそうなハナミズを、鼻の入り口から奥まですすり上げるような、長ーい音だ。

しかも一度や二度じゃなく、一定の間隔を置いて、何度もやっている。

ずるずるずる…

音の不快もさることながら、だんだん腹が立ってきた。

同じ音をさせるなら、なぜ鼻をかまない

鼻の穴に一定量のハナミズを通過させる音量は、出すもしまうも、同じはずだ。

だったらグズグズ温存してないで、スッキリかめばいいじゃないか。

ずるずるずる…

鼻をかむという行為が恥ずかしいのか。

ハナミズというバッチいものを出してくるのが恥ずかしいのか。

しかし、鼻をすする音を始終発している、ということは、そのバッチいものが、自分の顔面の中央に溜まっています!ということだ。

一瞬鼻をかむ音を発するのと、バッチいものが溜まり続けるのと、いずれが恥ずかしいか、火を見るより明らかではないか。

ずるずるずる…

気がつけば手がグーになっている。

相手を殴りつけない前に、早々に退散することにした。

はなたば
(バッチい話でしたのでこれでご気分をお直しください)



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2016/01/23 10:47

おつかい話。

私が子供の頃、父はまだタバコを吸っていた。

イモートがまだ小さかったので、家では吸っている姿をほとんど見なかったが、会社に行く父の胸ポケットには、いつでも新しいタバコのパックが入っていた。

買い置きのタバコがなくなると、父は私を呼んで、手のひらに小銭をのせる。

落とさないように、その手をゲンコツにして、ズックを履き、玄関を飛び出す。

道でゴム飛びをしている友達が声をかけてくるが、

あとでね!

と返事をして、振り向かずに走る。

角のタバコ屋まではすぐそこ。

ガラスの引き違い窓を開けて、握ってきた硬貨をカウンターに出すと、メガネのおばちゃんが、何も言わなくても父のいつもの銘柄を出してくれる。

さっきまでギュッと握ってきた手を、こんどは軽いパックをつぶさないように、ふわっと持って帰るのだ。

その手の感覚を覚えている。

今では考えられないお使いだが、昔は世の中全般がタバコに寛容だったと思う。

しばらくして父もタバコをやめた。

お前たちがお嫁さんになるまで、元気でいたいからな

そう言って。

たばこや
(ご進物にタバコをもらったらビックリするなあ)



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むかしむかし | コメント(18) | トラックバック(0) | 2016/01/22 10:27
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