よびこう話。

私は日頃、塾や予備校のお世話になったことがない!と、エラソーに自慢しているが、実はちょびっとだけ予備校に行ったことがある。

大学入試直前のことである。

自学自習でやってきたものの、終盤になって不安になってきた私は、敵情視察と称して予備校の短期講習に申し込んだ。

志望校より一つ上のレベル、しかも苦手科目。周りが自分よりカシコそうに見える。

中でも、特に大きな声を出している一団があった。

ノビノビと自信ありげで、物慣れた雰囲気。

…傾斜配点… …出題の傾向が… …経済学部で…

…それより法学部の… …去年の数学で… 

詳しい受験情報を、互いに競うようにまくし立てている。

私は友だちとそんな話をしたことがなかったし、だいいちしゃべれるほどの知識がない。

どんな大学も、合格点を取れば受かる、そんなものだと思っていた。

でも、こんな風に、いろんな受かり方を知っている人もいるんだ。

スッゴイなあ なんかプロっぽい…

自分が世間知らずの子供に思えて、圧倒されたが、だんだん変だな、と思い始めた。

プロの受験生って何なんだ?

プロとは、経験があり、物事に習熟した、デキる人。

しかし、ホントにデキるなら、経験を積む前にさっさと受かって、受験生じゃなくなるだろう。

そう考えると、彼らのプロっぽさが、不思議な感じに見えてきた。

よびこうきょうし
(この人がインテリ代表の扱いなのも不思議)



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2016/02/29 10:29

じゅけん話。

昼過ぎの普通列車のロングシートは、ポツポツと空席。

適当に座ると、隣はママ友らしい三人連れだった。

どうやら中学生のお母さんらしく、高校受験の話題で深刻そうである。

…あそこの特色入試は…  …内申の比率が… …推薦の…

ところどころ耳に止まるが、さっぱりわからない。

私は、実の母にも教育不熱心の烙印を押された女。( → ねっしん話。

細かな受験の制度とか、偏差値とか内申とか、ナンノコッチャの一言で片付けている。

何の参考書を見るでもなく、ペラペラ受験の知識を披露できる、こういうお母さんがたを見ると、驚異である。

プロっぽいなあ!と思う。

受験生の母のプロ(以下「PJM」と略 )。言葉にしてしまうとヘンテコだが、そんな人がいっぱいいるのだ。

私も、今まで3度受験生の母という立場になったのに、うまくPJM化しなかった。

自分の周りのママ友が、気づけばPJMになっている、その時の驚き、焦り。

昨日まで私と同じ、ただのお母さんだったのに、いつの間に、どうやってなるのだろう。 

見当もつかなくて、ただボーッとしているうちに、あれよあれよと子供の受験は終わる。

すると、あら不思議。

あれだけいたPJMは潮が引くようにいなくなり、クリーム色のスーツにお花をつけた、きれいなお母さんが現れて、入学式に出席する。

そして、毎回PJM化に乗り遅れる私は、クリーム色も似合わないのである。むむむ。

にゅうがくしきのおかあさん
(入学式以外に着る時がないスーツ)

※ 「ろへっしょなる じゅけん まま」の略


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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/02/28 10:01

にている話。

この人何かに似ているな、とつい考えてしまう癖がある。

しみずしょうご

シミズショウゴ氏は、イヤミな上役とか、ウラのある政治家の役が多かった俳優だが、私はこの人を見るたびに

タクシーに似てるなあ…

と、ひそかに思っていた。

彼に限らず、痩身で、メタルフレームのメガネをかけた初老の男性には、旧型のタクシーに似た人がたまにいる。

特殊な感想であることは確かなので、今まで人に言ったことはない。

大学の同級生のモリ君とは、もう20年以上会っていない。

当時も特に親しくしていたわけではなく、近況も所在も知らないが、時々思い出すことがある。

あれは語学の授業だったか、何となく同級で輪になって雑談をしていた時、ふと

モリ君って、オカダユキコに似てるね

と、思いついたことを言ってしまった。

おかだゆきこ

銀縁メガネにチェックのシャツのモリ君と、ふりふりドレスのアイドルのイメージの落差に、周囲はドッと沸いた。

言いだした私にだって、そのギャップを面白がる気持ちがどこかにあったと思う。

おとなしいモリ君は、いきなり笑いの対象になって、何も言えず顔を赤くしている。

悪いことをした、と悔やんだが、言ってしまった言葉は戻らない。

表立ってとがめられたわけではなく、改めて謝ることも無く、このことは小さなとげのように、ずっと引っかかっていた。

卒業して、忙しく働いていたある日、オカダユキコ嬢が亡くなった。

盛りの花びらをむしるような、無惨な最期を惜しむと同時に、モリ君のことを思い出した。

やっぱり、誰が誰に似てるとか、軽率に言うもんじゃない。

時は過ぎ、モリ君は、今頃どうしているだろう。

今も粗忽な私だが、もし彼に再会して、タクシーに似ていたとしても、それを口に出さない程度には、賢くなった。



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2016/02/27 11:05

さいごの話。

公募で名前が決まったばかりの、マクドナルドの新しいハンバーガーを食べてきた。

きたのいいとこばーがー

懸賞金を出すほどとも思えないが、まあ公募なんてそんなものだ。差し障りのある案を除けていったら、パッとしないのが残る。

さて肝心の味の感想の前に最後の一口の味についてご説明申し上げたい。

例えばごく普通の洋食屋で、ハンバーグ定食を注文する。

はんばーぐていしょく

順調に食べて、食事は終盤にさしかかる。

主役のハンバーグはすでに無く、ドレッシングびたしの千切りキャベツと、ポテサラひとさじ、ひき肉のかけら混じりのデミグラスソースに、ケチャップスパゲティーが3筋ばかり。

これらをカッカッとお箸で集めて、口に入れる…。

ハイその時の味!それが最後の一口の味です。

個別に食べてきた一つ一つの要素が混じり合った、最後の一口には、また違った味わいがある。

不思議なことに、メインがハンバーグでも、生姜焼きでも、エビフライでも、この最後の一口の味は同じなのだ。

マクドの新バーガーは、この最後の一口の味である。

決してマズくはないが、最初の一口目からその味がすることについては、賛否ありそうだ。



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2016/02/26 10:21

じゅくせい話。

夜中にテレビを見ていたら、ジュウジュウ肉を焼く映像が流れてきた。

こんな時間においしそうなものを見せるなんて、ほんとーに悪趣味だと思う。

タレントが能書きを言っている。

熟成肉だそうだ。

じゅくせいにく

最近は、肉の他にも魚などいろんな食品を熟成させるのが流行りらしい。

流行りのものにはまず反感を持つ、という厄介な性癖を持つ私であるが、そもそも食べ物をやたらといじって、むやみに美味しくするのは、もっと好きではない。

ケッ、と思いつつテレビを消し、すきっ腹を抱えて寝ることにした。

翌朝、まず何か食べようと冷蔵庫を開けると、安売りで買ったカップのヨーグルトがあった。

賞味期限を大幅に過ぎているが、そんなことでへこたれる私ではない。

あおしまけいじ

期限は会議室で決めるんじゃない!現物で決めるんだ!

青島刑事風にキメたところで、フタをはがしてみた。

白い地平線が少し下がり、透明な水分がかなり上がっている。

買ったばかりの時と様子は違うが、この程度なら問題ナシと判断した。

う… こ、これは…

美味しい!美味しいのである。

水分が浮いたヨーグルトは、こってりと、味が濃くなっている。

うまいぞ!熟成ヨーグルト

さっそく大量に買いだめして、すぐ食べずに熟成させることにしよう。

(良い子とおなかの弱い人はぜったいにマネしないでね!)



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てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/02/25 10:25

ソロッタ本。

子供の頃、繰り返しまき返し、読んでいた本がある。

金色の箱に入った、大判の童話全集。挿絵もカラーで、とてもきれいな本だ。

昔は、本を近所の本屋からとる、という制度があった。

本屋さんの配達の自転車が、キーと音を立ててうちの前に止まると、今月はどんなお話だろう、とドキドキしたものだ。

昔むかしのお話も、遠い知らない国のお話も、この全集で読んだ。(→ ガイコク本。

読み聞かせの効用が喧伝される、はるか以前である。

自分でページをめくり、しげしげと挿絵に見入ったり、お姫様のつもりでセリフを言ってみたり、この本と長い長い時間を過ごした。

やがて、私の読むものが文庫本になっても、金色の箱はずっと、実家の本棚に並んでいた。

大人になってから、古書店で、同じ装丁の知らないお話を見つけて、驚いた。

あらためて見直すと、うちの全集には、ずいぶんと欠番がある。

おばーちゃんに理由を聞いても、なんだか歯切れが悪い。

推測だが、昭和40年代に定価390円は、我が家の家計には高価だったのではないか。

私が楽しみにしていると知りつつも、今月は要りません、と断ることもあったかもしれない。

飛び飛びの番号を見ていると、若いママだったおばーちゃんのエプロン姿が、目に浮かんだ。

すっかりくすんだ金色の箱のホコリを払って、実家から持ち帰り、時たま見つかる欠番を、ポツポツ買うようになった。

そして、最後の1巻。全50巻が完結したとき、私は50歳を過ぎていた。

今、この全集は、本棚の一番いい場所に、ずらりと並んでいる。

かろりーぬのぼうけん
(最後の一冊、これが高かった!カロリーヌのぼうけん (オールカラー版世界の童話 35)



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ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/02/24 10:23

しゅぎょう話。

期末試験が終わると、ムスコの高校の修学旅行

行先は北海道で、スキーをする予定である。

楽しかるべきこの行事が、目下ムスコの最大の悩みのタネなのだ。

なにしろムスコは学校がキライ、集団行動キライ、寒いのキライ、スポーツがキライ。

学校のみんなで北海道に行ってスキー、という旅行には、彼の好きな要素が一つもない。

修学旅行… 行きたくないなあ…

または

修学旅行… 休んじゃダメ?

と、何度も打診されたが、

ダメ!泣きながらでも行け!

いつになく強硬姿勢の私である。

ボシカテーの貧しい経済から、ようよう支払った旅費を、無駄にしてもらっては困る。

おごそかな顔を作り、笑いださぬように気をつけながら言った。

ムスコよ、修学旅行、という字を見てごらん 

ムスコは、また何を言い出すんだこの母親は、という表情。

最初と最後をくっつければ修行となるでしょう!修学旅行、それは修行なのです!

そこまで聞くと、さすがにバカバカしくなったらしい。

オレ荷造りあるから…

と、リビングを出ていった。

でもさ、ホントにそうなんだよ。

ちょっとヤダなと思う時、敢えてエイッとやっちまうと、ふだんと違う場所に着く。

そこからは、今まで見てなかったものが見える。世界が、少ーしだけ広がる。

それが人生の修行ってもんじゃない?

あー靴下クツシタ! スキー用買ってきたから!

スポーツ用品店の袋を手に、部屋に向かうムスコを追いかけた。

すきーようくつした
(高機能の製品ほどデザインが変なのはなぜか)


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ごかぞく | コメント(16) | トラックバック(0) | 2016/02/23 11:32

べらんだ話。

風が強い日。

ベランダに置いたバケツが倒れて、ガラン、と音を立てた。

ここは山の上で、けっこうな突風が吹くことがあるので、いろんなものが飛んでくる。

見慣れない木の葉などは、掃除していても心楽しいが、ありがたくない飛来物も多い。

多いのはコンビニやスーパーのビニール袋

濡れたビニールというのはワイセツでイヤなものだ。たいがいのものは平気な私でも、素手ではつかめない。

バケツを隅に寄せておこうとベランダに出たら、案の定ありがたくないブツが落ちていた。

スーパーでお寿司などを入れるトレーの、透明のフタの部分のようだ。

拾い上げると、ラベルの字が目に入った。

刺身盛り合わせ 2980円

さらに内容を示すシールが

本マグロ 中トロ

と、金色に輝いている。

昨夜うちは豚汁と高野豆腐の煮物。中トロなんてもう何か月も食べていない。

しかたなくプラスチックゴミの袋に入れる。

このでっかいフタを、プラゴミの収集のある金曜日まで、うちで保管するわけだ。

こういう時、人間は、プンスカ怒ってもいいのではないだろうか。

そうは思ったが、具体的にどうすればいいのか、ちょっとわからなかった。

さしみもりあわせ
(割引シールが貼ってないのがねたましい)



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/02/22 09:55

へとへと話。

最近、トシのせいか、どーもくたびれる。

仕事だけ、家事だけならナントカなるが、他に何かすると途端にヘトヘトだ。

仕事帰りにちょっと買い物があり、ついでに図書館に寄っただけで、もうグッタリ。

何もする気になれず、ソファにひっくり返ってテレビを点けたら、サスペンスドラマの再放送をやっていた。

連続殺人の犯人が、巧みに探偵を欺く。

車のトランクに隠した死体を、人知れず海まで捨てに行ったり、複雑なトリックを考えたり、首を突っ込んできた探偵を、闇夜に背後からぶん殴ったり。

その合間合間に、ふだん通りの仕事をこなし、人前では笑顔で、何事もないように生活する。

犯人になるには、とんでもない体力が必要なようだ。

もし私が犯人だったら、とてもこうはできない。

時刻表首っ引きでアリバイトリックを考えたら、睡眠不足で目の下にクマが出る。

殺そうとした相手の反撃で、肘や肩や腰を痛める

夜中に穴を掘って死体を埋めたら、次の日は疲れて起きられない。

仕事にも家事にもあきらかに支障が出る。

容疑者の中で、ひとり異常にくたびれている私は、一目瞭然で犯人とバレてしまうだろう。

これまでの人生、無理だと諦めてきたことはたくさんあるが、どうやら完全犯罪なども、その一つらしい。

かようさすぺんすげきじょう
(「その疲れ具合!犯人はお前だな!」)



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てれびじょん | コメント(18) | トラックバック(0) | 2016/02/21 11:12

のうとれ話。

おじーちゃん亡き後、おばーちゃんの確定申告を引き受けている私だが、正直ヒマではない。

そこで今年は、嫌がるおばーちゃんを

脳トレだから!ボケ防止にもなるから!

と言いくるめ、手伝わせることにした。

じつはボケることを恐れている彼女は、こっそりパズルの本や大人のぬりえを買っては、地味に努力している。

「脳トレ」は、おばーちゃんの弱点ワードなのである。

とりあえず、医療費の領収証を、医院別に日付順に並べてもらうことにした。

複数の医療機関に通うので、140円とか、390円とか、わずかな金額の領収証が山のようにあるのだ。

私がやれば、ものの5分かそこらだろうが、この際効率は無視である。

なんとか、自分も申告事務に携わるのだ、という自覚を持ってもらいたい。

ブツブツ不平を言いながら、30分近くかかって、とにかく領収証の束が出来上がった。

ところが、明細を作ろうとめくってみると、3月14日の後に2月23日があり、ヒカワ医院の中にツジナカ耳鼻科があり、と、並んでいるようでチョコチョコ間違いがある。

一つや二つならまあ仕方ないが、ちょっと間違いが多すぎる。

どうしようもない衰えを突き付けられた気がして、ドキッとした。

内心の動揺を隠し、笑顔を作りながら

もー、おかーさん! アッチャコッチャ間違ってるよ~!

と指摘すると、当の本人は

ちょっとくらい大丈夫よ~ どーせ税務署も、そんな細かい金額、見てないんだから…

百も承知、という様子で、シラッとしている。どうやらテキトーにやっつけたらしい。

そうだ、この人、昔からこういうことに無頓着な人だった…。

変わらぬクオリティーに、安心したような、ガックリきたような。

一つ言えることは、やっぱりおばーちゃんとはお友達になれない、ということである。

いーたくん
(ネット申告は正確にしようね)
 


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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2016/02/20 12:14
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