うぉーきん話。

ここ数日、帰りが遅くなることが続いた。

駅からの道を歩いていると、暗い中、ウォーキングの人とすれ違う。

何人も出会うところを見ると、この遊歩道はこのあたりで人気の場所なのだろう。

一口にウォーキングといってもいろんな人がいる。

ちょっとそこまで、みたいな気軽な服装で、気楽に歩いている人。

そうかと思えば、スポーツ用品店で上から下まで揃えたらしい装備でビシッとキメている人。

ご夫婦で、のんびり食後の散歩風の人もいれば、マナジリを決し、千万人といえども吾往かんとばかり、すれ違う人を跳ね飛ばしかねない勢いの人もいる。

お友だち同士、誘い合わせて歩いている人もいて、中でも年配の女性3人組が気になった。

いかにもウォーキング風のジャージ姿に不審はないのだが、表情が何やらアヤシイ。

陰惨というか残忍というか、揃いもそろっておよそオダヤカならぬ顔つきで何か話している。

悪趣味と思いつつ、後ろについて聞き耳を立ててみた。

…だいたいアノ人はいちいち… 

…いっつもいっつもエラそうに…

詳細は避けるが、どうやらそこにいない人の悪口である。3人が3人とも、「アノ人」には、よほど腹に据えかねるものがあるらしい。

まるで、ギリシャ神話のゴーゴンの姉妹が、頭を寄せて毒気を吐いているみたいだ。

吐き出されたうっぷんが、道わきの暗がりにわだかまるようで、息苦しくなった。

をーきんぐでっど
(さすがにこんな物騒な人はいない)


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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/06/30 10:17

てんてき話。

ああ~、今日アベッチかあ~…

シフト表を見て、ため息交じりの声が出た。

それなりの人生修業は積んできた私の、唯一の苦手。それがアベさん。

普通に応対し、平常心を保つよう努力しているが、傍から見ると分かるらしく、事情を知る人は彼女を、私の天敵と呼ぶ。

今日も今日とて、ヒラヒラフリフリとアベさんが寄ってきた。

彼女の趣味はナチュラル&ガーリー。白とレースに包まれ、泡のようにフワフワしている。

ゆるふわまき
(ヘアスタイルもゆるふわ巻きですよ~♥)

ねーねー♥ 昨日どこ行ったと思いますう?

いたずらっぽい表情で問いかけるが、ノーヒントで当てられるほど親しくないし、そもそも彼女がどこに行こうとどーでもいい。

さあ… わかりません

んー じゃあヒント♥

いやいやヒント要らんし。

不毛なやりとりのあと、全っ然キョーミないおしゃれカフェの話が延々と続く。

仕事がはじまり、ホッとしたのもつかの間。

ねーねー♥ これってどーでしたっけー?

あの、前回と同じのですよね…

んー♥ 急にわかんなくなってー 手伝ってもらえませーん?

こないだはちゃんとお一人でできてましたよ 前回通りでお願いします

ヤダー♥ なんか冷たい言い方ー♥

口をとがらせ、胸元にグーを作ってクネクネしている。

あたしゃアンタの彼氏じゃないよ、と思うが、もちろん口には出せない。

アベさんはべつに仕事の出来ない人ではない。手助けなんか要らないのだ。

もっと言えば、彼女は私よりずっと先輩。ご主人もお子さんもお孫さんもいる。

なんであんなに始終かまってほしいのか、わからない。

天敵アベッチを、私はひそかに嬢ちゃんばあちゃんと呼んでいる。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/06/29 11:07

やまもも話。

役場の前のヤマモモの木が、いまスズナリだ。

やまもも

誰も摘んだり食べたりしないまま、落ちた赤い実が敷石をよごす。

せっかく生ったのにもったいない、と思いつつ、自分だって食べない。木の下を歩けば、タネが靴の底でペキペキと音を立てて割れた。

ムスコが3歳から通ったのは、都会の小さな幼稚園

敷地の半分に、2階建ての園舎がいっぱいいっぱいに建ち、あとの半分が園庭である。

狭い場所にさまざま植え込まれた樹木の中で、ひときわ高いのがヤマモモだ。

遊具もあまりないその園庭で、それは活発な男の子たちの木登りに格好の大木だった。

父母会の役員をしていた時だったか、夕方になってから、園に用があって出かけた。

子供たちも帰った後の静かな幼稚園。

門を入りかけると、誰もいないはずの園庭で、ヤマモモの木がゆさゆさと揺れた。

木の上に何か大きな動物がいる。

ハッと息をつめていると、なんと園長先生が、むっくりしたクマのように、よっこらしょう、と降りてきた。

ハハハ…ビックリさせましたか…

え、園長先生、木登りなんかなさるんですか?

いやいや… 子供が登るでしょう? 折れそうな枝とか、いろいろね…

なるほど木の下には切り払った細い枝がたくさん落ちている。

よく見れば、子供たちの足がかかる高さには、丁寧に添え木や補強がなされていた。

ふだんニコニコと子供たちを眺めているだけの、白髪の園長先生が、まさか皆が帰ってから、あのヤマモモの木に登ってらしたとは。

怖がりのムスコは、木登りしたことはなかったが、それでも、いい園に入れたな、そう思った。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/06/28 10:06

ふくろの話。

私はケチ貧乏性

私の亡き父は、遺産として、メモ用の裏の白い紙を衣装ケース三つ分残した人物であり(→ ほうふな話。)、この貧乏性は骨がらみの遺伝である。

父を反面教師に、不用品の処分はできるようになったが、ケチは治らない。

未だに抵抗があるのはゴミ袋

捨てる袋をお金を出して買うと思うと、悩ましくて身体がヨジレる。

さいわいうちの市では指定ゴミ袋がなく、あり合わせの袋が使えるのだが、スーパーでは割引目当てにエコバッグを使うため、レジ袋はなかなかたまらない。

レジ袋だけでなくあらゆるビニール袋を再利用せんと、私はコシタンタンなのである。

ゴミ箱にセットするので、サイズも重要。どんなビニール袋でも使えるというわけではない。

トイレットペーパーの外袋が、洗面所のゴミ箱にピッタリのサイズと気づいたときは、大げさでなく、飛び上がるほどうれしかった。

今なんとか使いたいと思っているのは、食パンの袋だ。
 
毎日食べて定期的に手に入る袋を、ただ捨て続けるのは惜しい。

パンの袋がピッタリ合うゴミ箱を探して、ステキなのを見つけたのだが、これがイタリア製で、ゴミ箱としてはけっこうなお値段。

パンの袋を有効利用するために、数千円使うというのはどうなんだろう、と迷い中である。

もえるごみぶくろ



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2016/06/27 10:51

ごるごな話。

50代の私の美容に関するモットーは

なるようになれ

というものである。(→ はんてん話。

シミが出ようが、シワになろうが、基本放置。経年劣化は生きていく上での当然の経過だ。

若い頃の美をいつまでもとどめようとお金や時間を惜しみなくつぎ込む美魔女の努力には頭が下がるが、かといって見習うつもりはない。

うんと言葉悪く言えば、しょせん悪あがきじゃないか。

私は外面の美よりも、むしろ精神の潔さを採りたいのである。

しかし先日。

同僚が、あれこれミョーに気を使うので、なぜか尋ねると

あの… 怒ってるんじゃないの?

と言われた。怖い顔をしているというのだ。

驚いて鏡をのぞいてみると、そこにはゴルゴ13がいた。

このごろ頬の肉が落ちはじめ、くたびれた時など、目の下にクマやシワが出る。

その目の下のシワが、その日ことのほか深く、ペンで描いたような線が刻まれていた。

ごるご13

これでは怖がられてもしかたない。

年相応のババアに見えるのは全然かまわないが、怖い厳しい人と思われるのは困る。

気さくで後生楽なのが、私の唯一の美点なのである。

とりあえずこの線をゴルゴ線と命名し、対策を考えている。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/06/26 10:56

はんどん話。

今は昔、半ドンといふものありけり 。 

※訳 今となってはもう昔のことだが、半ドンというものがあったことだよ

思わず古語になってしまったが、半ドン、ってもはや死語なのだろうか。

土曜日、臨時の仕事をやっつけるために出勤。同僚のイシザキさんとミヨシさんも来ている。

仕事中なんだけど、ふだんよりノンビリお休み気分になるのは、事務所に人けが少ないからか、それとも、やはり土曜だからだろうか。

なんかノンビリしちゃいますね~ お休みだからかな

伸びをしながら言う、ミヨシさんも同じ気分なようだ。

土曜日だもんね~ 昔なら半ドンよね

イシザキさんも同調する。

半ドンの日って不思議とノンビリしましたよね 来客も少なくって…

帰りにどこに寄ろうか、朝から考えて、上の空でね…

私とイシザキさんが昔話で盛り上がっていると、ミヨシさんが申し訳なさそうに口をはさんだ。

あのう… 半ドンって、何ですか

え、知らない?

ほら、昔は学校も、土曜は午前授業だったでしょ?

いえ、小学校の時から、土曜日はお休みでした

えーっ!本当?

半ドンって、何となく聞きますけど、ドンブリじゃないし、何だろう…って…

半チャンラーメンなんかと混同しているようだ。

半ドン、死語かぁ~。ちょっとショック。

いや、知ってる言葉が通じなかったのがショックなんじゃない。

まだアラサーだけど落ち着いてて、話しても違和感のないミヨシさんだけど、やっぱり若者は若いんだなあと、思い知らされた気がした。

どんぶりまんとりお
(てんどんまん・かつどんまん・かまめしどん)



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むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/06/25 11:14

ぎらぎら話。

晴れた日の昼日中、静かな住宅街。

急ぐことはない。あの家、この家を品定めしながら、ぶらぶらと歩く。

ところが、ある一角にさしかかった時、異常な輝きに目を射られた。

一区画が、全面ギラギラと乱反射しているのである。

いったいナニゴトか、おそるおそる近寄ってみた。

じゅうたくちのきらめき

目がくらんで何が何だかわからなかったが、懸命に眩しさをこらえ、目を凝らす。ちょうど一軒分の全面に、黒い光沢のビニールシートが敷き詰められ、日光を反射している。

異常なきらめきの原因はシートだけではない。

かがやきのしょうたい

シートの上に、等間隔に並べた、2リットルのペットボトル

ざっと数えて百を超すその全てに、水がいっぱいまで詰められている。

頭がくらくらするのは、太陽がまぶしいから、だけではない。

この場所を支配する、理由のわからない熱意に圧倒される。

怖い。

先ほどまでののどかな気分はどこかにかき消えた。

早く、早くここを離れなければ。

へっぴり腰で泳ぐように逃げていく私の後ろ姿は、さぞ滑稽であったろう。

コンビニに入ったら、全身にかいた汗が冷房ですうっと冷えて、ホッとする。

飲み物売り場に近づくと、ミネラルウォーターのペットボトルが目について、ドキンとした。


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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2016/06/24 10:55

はいしゃの話。

歯科医院に定期検診に行った。ここの初診の問診票には

アレルギーはありますか  はい/いいえ

妊娠・授乳中ですか    はい/いいえ


などの一般的な項目に混じって

怖がりですか      はい/いいえ
 
という珍しい項目がある。ことのほか怖がりである私が

はい

大きく丸を付けたのは言うまでもない。

近所に別の歯科医院もあるのだが、ここに決めているのは、怖がりの患者に理解がある、という安心感のためだ。

まずクリーニングを受ける。怖がり宣言のおかげか、娘のように若い歯科技工士さんが、子供にするように優しくしてくれる。

目に関しては、開ける派と閉じる派があると思うが、私は閉じる派

いつも迷うのは、口の開け閉めである。

もちろん施術中はあーんと開けているわけだが、機械の先端を交換するような、ちょっとした合間に、すかさず口を閉じるのか、開けたままで待つのか。いちいち

はい 開けてくださーい

と言わせるのも悪い気がするが、かといって、手先の作業をしている時、そばに洞穴のようにぱっくり開いた口があるのも、気味が悪いんじゃないか、とも思う。

様々な雑念で頭をぐるぐるさせていたら

起こしまーす お口ゆすいでくださいね~

の声にハッと我に返る。

傍らのワゴンの、ドリル的なものを見ないようにして、紙コップのぬるま湯を口に含む。

最後に先生のチェックを受けて検診は終わり。

ぐう~ …

機械音に混じって、地鳴りのような有機的な音がする、と思ったら、耳のそばで先生のお腹が鳴っている。

虫歯も歯肉炎もなくて、今回はめでたく無罪放免。

先生も私も、おひるごはんの時間である。

しるばにあのはいしゃさん
(患者も先生もげっ歯類)

 
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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/06/23 11:18

らむねの話。

やっと買えたから おすそわけ~!

ニッコニッコしながらクリタさんがちっちゃな袋をくれた。

開けてみると丸い小さいお菓子が入っている。

レインボーラムネだ。

れいんぼーらむね
(→ ラムネ菓子のイコマ製菓本舗

わあ~! ありがとう!嬉しい!

やや大げさ気味に喜んで見せたのは、ラムネが大好きだから、ではない。

このお菓子がどんなに入手困難か、知っているからである。

我が県内の小さな工場で作られるこのラムネは、生産量に限りがあり、激レア!などと騒がれるお菓子なのだ。

年に二度の申込期間に、ハガキで申し込みをし、当選すると購入できる。

当選枠3,500に対して、前回の応募は11万通。なんと競争率35倍である。

えらい人気に驚くと同時に、今どきハガキかあ~?と、そのアナログさにも驚く。

これはおそらく県民性にも関係ありそうだ。

東京ならたちまち増産するだろうし、京都なら、もったいぶって上手に高く売るだろう。

ホントそういうとこヘタクソだなあ~、と思いながら、ラムネを口に入れる。

ふわんと桃の香りのラムネは、とろんと溶けて、あっという間になくなった。



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/06/22 10:19

ぶとうの話。

歯科医院の駐車場を横切っていたら、ギラリと金属のように何かが青く光った。

4センチはある立派なコガネムシだ。

何もない駐車場の真ん中で、どうしてそんなことになったのか、完全にひっくり返っている。

6本の足を、ボートのオールを漕ぐように盛んに動かすが、周囲に引っかかるものがなくて、どうにもならない。

背中が丸く厚みがあるので、足が浮いて地面につかないのだ。硬い外翅がコンクリートに当たって、カチカチ音を立てている。

ジタバタしたあげく、重心が動いたのか、ブレイクダンスのようにグルン!と回転した。

面白い。うつ伏せにただじっと光っているコガネムシより、よほど見ごたえがある。

コガネムシにしてみればえらい災難だ。

しかし、キラキラと日に光り、時に回りながら足を動かし続けるコガネムシは、、死の舞踏とでも言うべき、一種の美を備えている。

もしかしたら彼の本領は、あおむけにひっくり返っている時こそ発揮されるのではないか。

生命の危機に瀕して、戦う姿だから美しいのだろうか。

舞踏とか芸術とか、そういうものの起源を見た気がした。

そのうち太陽で後頭部が熱くなってきたので、観察を切り上げて歯科医院に入った。

診察を終えて出てくると、どうにかしてひっくり返ったのか、それとも誰かに蹴飛ばされたのか、コガネムシはもういなかった。

すからべ



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2016/06/21 10:19
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