ふりこむ話。

ムスコの大学受験もいよいよ、二次試験の出願。

まずは受験料を振り込まねばと銀行に出かけた。

金融機関の中には、受験料の振り込みをすると、合格祈願グッズをくれるところもあるらしい。

ごうかくきがんぐっず
(合格=五角形の鉛筆とか)

しかし、私の地元では、そんなシャレたことはない。なにしろ、待たされてイライラしてたら

まあ、そう急がんでも

と、のたまった銀行なのである。(→ ぎんこう話。

今日は待たされることもなく、ちょっと年配の、落ち着いた女性の窓口に伝票を差し出すことができた。

しばらくして名前を呼ばれ、おつりと受取証をもらう。

手続きが終わると、窓口の女性は、知り合いに世間話をするような調子で

合格されたら、寂しくなっちゃいますねえ…

と言った。伝票から、ここからは通えない遠くの大学と分かったからだろう。

接遇のマニュアルならばこういう時

お子様の合格をお祈りしております

とかなんとか言うように書いてあるだろうし、

寂しくなっちゃいますねえ…

は、どう考えてもダメだ。

でも、なぜだろう、親しい人の手で背中をポンポンとされたような、暖かい気持ち。

グッズはないけれど、きっと受かりますよと言われた気がして、なんだか嬉しかった。



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ごきんじょ | コメント(20) | トラックバック(0) | 2017/01/31 11:18

ようせい話。

まだまだ毎日寒い。

ムスコは棒ニンゲン と呼ばれる痩せ男なので、この寒さはことのほかコタエるようだ。
ぼうにんげん
(※棒ニンゲン… 図解などで用いられる棒だけで描かれた人間)

初売りのヒートテック、長袖シャツとズボン下を制服の下に着こみ、ようやっと寒さをしのいでいる。

自分の部屋が寒いからと、リビングで身支度をするのを見ていて、何かに似ているなと思った。

まだズボンをはかず、ズボン下にスリッパを履いて、ワイシャツをひらひらさせている姿は、昔なにかの舞台で見たことのある誰かに似ている。

ふらいんぐぴーたーぱん

ピーターパンだ。

高3のムスコを永遠の少年というのはちょっとずうずうしいが、フォルムはそっくりである。

永遠の高校生… 高校の妖精… か…

そんなものはいないわけで、今はワイシャツの裾から細っこい足を出しているムスコも、やがてふてぶてしいオッサンになっていくのだろう。

春になれば家を出て、新しい生活を始めるムスコ。

彼のはかなげな妖精姿を見るのも、この冬がたぶん最後である。



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ごかぞく | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/01/30 11:29

ままちゃり話。

うららかな晴れの週末。風は冷たいが、立ち止まれば日差しが暖かい。

交差点で信号を待っていると、少し離れてママチャリが停まった。

乗っている女性の顔はマスクで分からないが、身なりからは私より少し若い、40代くらいに見える。

になったばかりの信号は、なかなか変わらない。

一瞬車が切れて静かになった時、ママチャリの人が低くブツブツつぶやいているのが聞こえた。

寒いのか、眩しいのか、眉をしかめ厳しい表情だ。

そうだよね、私は今日はお休みだから、お日様があったかいなあ、なんてノンビリ待っているけれども、急ぐときはホントにイライラするんだ、この信号。

やがて、ようやく車道の信号が黄色から赤に変わり、歩道の青信号がともる。

待ちかねたようにスタートしたママチャリの人は

♪ … さいれんま~じょ~りてぃ~ ♪

ついうっかりボリュームアップした一節を後に残して、私を追い越していった。

さっきからのつぶやきは、イライラじゃなくてだったのだ。

眉をしかめた中年女性が、マスクの中でモジョモジョつぶやいていたのが

♪ 君は君らしく生きて行く自由があるんだ 大人たちに支配されるな ♪

そんな歌詞だったのか、と思ったらおかしくて、立ち漕ぎで去って行く背中を見ながら、小さく笑った。

さいれんとまじょりてぃー
(夢を見ることは時には孤独にもなるよ 誰もいない道を進むんだ)



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ごきんじょ | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/01/29 11:38

こころの話。

昔はなかったけど、今は当たり前のように聞く言い方に心が折れるというのがある。

ノンキに見える私でも、このトシにもなれば、それなりに苦しい思いはしてきたつもりだが、

心が折れそう…

もしくは

もうダメ、心が折れてしまったわ…

のように思ったことは、今までたぶん一度もない

そもそも、折れるという表現がヘンだと思う。

正確な定義は知らないが、折れるものというのは一般に棒のように細長い形状をしている。

それでは、心は棒状なのであろうか。

心だからハート型よ

などと、年甲斐もなく主張する気はないが、何か丸いカタマリをイメージするのが普通じゃないだろうか。

喜怒哀楽の心理をつかさどる部分が、すりこぎやラップの芯みたいな形状だとは、私にはどうしても思えないのである。

他に折れるものは無いかと考えた時、折り紙が頭に浮かんだ。

おお、紙も折れるぞ。

白い紙のような心に、様々な感情が描かれていく、というのは、悪くないイメージだ。

しかし、紙の場合、折れるというのはさほどのダメージではない。

心が折れたわ… 伸ばせばいっか…

とか、あるいは

汚れないように、心をキチンと折っておこう!

のように、むしろ前向きに心を折る、という方向性さえありうるではないか。

もしも心が紙のようなシート状である場合は、「心が折れる」よりも「心が破れる」というほうが、激しいショックを表すのにはふさわしいだろう。

心の形状に関しては今後さらなる考察が待たれる。

こころがおれる
(作品名・「折れた心」)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/28 11:28

ふめいな話。

私は美容にはおおむね無関心だが、一定の間隔で

このままではいけない!

と発作的に思い立つことがある。

友だちと会って触発されたり、ふと目にしたテレビ番組だったり、キッカケは様々だが、いつも買わない化粧品を買ったり、食べないものを食べだしたり、ガラにもないことを始めてしまう。

美容・健康器具を買ってしまうのもそんな時だ。

器具といっても、ビンボーでケチな私だから、高価な美顔器などではない。

ちょっとした道具のようなものが関の山である。

その程度の動機で始めた、その程度の器具だから、あっという間に飽きて使わなくなる。

大きな声では言えないが、わが家にはそういうモノがけっこう溜まっている。

いわば美容器具の墓場だ。

時々探ってみるが、なんでこんなもん買ったんだろう、と首をかしげざるを得ないものばかり。

先日ふと墓場の掃除を思い立ち、ゴソゴソやっていたら、こんなものが出てきた。

なぞのぬの

ハンカチくらいの大きさの、ピンク色の布。黒線で表したところには切込みが入っている。

タオルみたいにモコモコしていて、手触りは悪くない。

布地だからどこかを拭くのかもしれないが、それにしてはこの切込みが謎だ。特に真ん中のU字の部分が分からない。

ここにあるからには、健康か美容に効果があるはずだが、いかんせん使用法が不明である。

明らかに不用品なのだが、使えば現状がいくばくか改善するのかと思うと、なんとなく捨てにくい。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/27 10:38

こうこう話。

駅前のロータリーでバスを待ちながら、バス停の掲示板を見ていた。

丁寧にビニール袋で雨除けをした、素人っぽいポスターが貼られている。

あんまりうまくないマンガイラストの上の文字は

ヘイセイ高校生と遊ぼう! ※校名は仮名です

この駅の近くにある高校のイベントらしい。

近寄ってよく読もうとしたところで、目的地へのバスが来たので、慌てて乗り込んだ。

どんなイベントなのかなあ。

なにしろ本物の高校生と遊べるわけだから、JK目当てのオッサンが押し寄せるであろう。

警備に気を配らないと、変質者が出没するかもしれない。挑戦的な催しだ。

その日家に帰ってから、友だちの少ないムスコに言ってみた。

ヘイセイ高校に行ったら 遊んでもらえるらしいよ

…何が?

今日ポスター見た 「ヘイセイ高校生と遊ぼう」っての

ああ…そりゃ子供だろ…幼児教育とか先生になりたい人の学校だからな… てかなんでオレ?

ナルホド、オッサンは来ないのか。納得とともに、女子高生の身の上は安全と知り、ホッとする。

…あそこの駅前ってさー イオンがあるだろ

確かに、歩道橋のむこうには日本全国どこでも見る、巨大な平たい建物があった。

アレができた時、高校のヘンサチが上がったらしいぜ…

野っ原が広がる駅で降りるより、帰りにイオンに寄れるほうが、そりゃあ学生生活も楽しいだろう。

でも、それがヘンサチなんて数値に反映されるとは、なんだかおかしくて、かわいらしい。

きっと、のどかでいい校風なんだろうなあ、と想像した。

いおんしょっぴんぐせんたー
(イオングループは地域の教育にも貢献します)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/01/26 11:06

ちーずの話。

甘いものよりしょっぱいおやつが好きである。

チョコやクッキーよりは、ポテチやおせんべいを食べたい。

痩せない理由はたぶんそれだが、ほっと息をつく昼下がり、おかきの一つもつまめないで、何の人生か。

そういうわけで、今日のチョイとひと口はコレ。

ちーずあーもんど

小さなおせんべいの上にチーズ、その上にアーモンドを一粒のせた、おなじみのお菓子だ。

個包装の小さな袋をピッと裂いた時

♪ぴんぽーん♪

無粋なドアベル。

中身をポイと口に入れ、モグモグしながら応対に出た。宅配の伝票にハンコを押しながら

このおかきもチーズが少なくなったなァ… アーモンドの風味も乏しいし…

などと思う。

小麦粉の価格が上がり、ドーナツやパンが軒並み一回り小さくなった。牛乳の生産調整によるバター不足も記憶に新しい。

今度はチーズか。まったく、世知辛い世の中である。

おおいに世相を憂いつつリビングに戻り、届いた段ボールを荷ほどきした。

箱を開けたら、待っていた商品だったので嬉しくて、ガラにもない世相批評はすっかり忘れてしまった。

しばらくして、受験勉強をしていたムスコが休憩に現れ、コーヒーを淹れてテーブルについた。

卓上に何かを見つけ

…なにコレ?

と、つまみあげたのを見ると

  ちーずあーもんど2

アーモンドのくっついたチーズのカケラである。

どうやら、さっきのおかきにのっかっていたのがとれたらしい。

そもそものってなかったのだから、チーズが少ないのも、アーモンドの風味がしないのも当然だ。

確認のため、新しく封を切って口に入れたら、チーズもアーモンドもいつも通りおいしかった。

三幸製菓さん、疑ってごめんなさい。



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/01/25 11:34

イソップ本。

ムスコの受験に、学資の金策、来たるべき一人の老後など、悩み多いお年ごろ。

のび太並みの就寝スピードを誇る私(→ ねむたい話。)にも、眠れない夜はある。

そんな時こそ寝床で読書だ。

長編小説は途中でスジを見失うし、あまりドラマチックな内容では興奮して眠れなくなる。

だからといって退屈な本は読みたくない。

あれはダメ、これはどうかと試行錯誤して、良い本を見つけた。

いそっぷぐうわしゅう
(「イソップ寓話集」岩波文庫)

誰でも子供の頃、1つや2つは読んだことのある、イソップの寓話集である。

長くても10行そこそこで、単純でわかりやすい筋立てのたとえ話が、順不同に並んでいる。

ただ面白く読み飛ばしても、そういえば私も…とわが身に思いを致してもいい。

中には、いったい何の教訓なのか、意味不明なお話もある。

キツネとワニがお互いの家柄を競いました。
ワニは自分の先祖を自慢して、「私のご先祖は体育館長をしていたのだぞ」と言いました。
キツネは「なるほど、君の皮膚を見れば、長年身体を鍛えてきたことはよくわかるよ」と答えました。
このように、事実はまた嘘をつくものをすっぱ抜くものです。


なんのこっちゃわからないが、なんとなくおかしい。

わかったり、わからなかったり、脳にほどよい波状の刺激を受けるうちに、とろとろ眠くなる。

ベッドサイドに最適の本だ。

もう1つ紹介しておこう。

ラクダが激流を渡りながら、こらえきれずに糞をしました。
激流に流された糞が、目の前を通りすぎていくのを見て、ラクダが言いました。
「これはしたり、私の後ろから出たものが、私の先を進んでいくとは!」
これは、最も劣った考えのない者が、思慮深い人を差し置いて、力を得ている国に当てはまります。


ラクダの糞がリーダーになる国とは、いったいどこだろう。

※(注) 紹介した寓話は内容に影響しない程度に原文と表現を変えています



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/24 10:59

ふこーか話。

今朝もうちではテレビが点けっぱなしである。

…23日午前4時前、110番の通報を受けて静岡県警浜松東署員が駆け付けたところ、この家に住む会社員ナンノナニガシさんが、頭から血を流して倒れており、その場で死亡が確認されました…

朝っぱらから物騒なニュース。

ナンノナニガシ氏のご冥福を祈りつつ、私の耳は変なところに引っかかっていた。

「静岡県警」の「しずおか」を、アナウンサーはハッキリ「しぞーか」と発音したのだ。

以前にも聞いた気がするが、その時は他のことをしながらだったので、聞き違いかと思っていた。

しかし今日は間違いない。

しぞーか。確かにそう言った。

実はもう一つ、前々から引っかかっている地名があるのだ。

「福岡」=「ふこーか」である。

不思議なことに、タレントや俳優が、しぞーか、ふこーか、と言うのは聞かない。

食レポばっかりやっている二流のタレントでも

ハイ!今日はしずおか県浜松市に来ております!

などと、ちゃんと言っている。

ところが、訓練を受けた言葉のプロであるはずのアナウンサーにだけ、

…大寒の今日、しぞーか県立大学では…

とか

…まもなくふこーか市で行われる ふこーか国際マラソン…

のように発音する人がいるのだ。

このように発音せよ、と業界における指針が存在するのか、あるいは電車の車掌のアナウンスが、日々繰り返すうちに変形して、どんどん極端な発音になっていくような、職業的なナマリなのか。

しぞーか、ふこーかの他にもないだろうか、と、ただいま考え中である。

ならけんないのにゅーす
(「以上、ふこーかからお伝えいたしました」)



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てれびじょん | コメント(20) | トラックバック(0) | 2017/01/23 11:54

おかきの話。

チハル先生のお教室にちょっと寄ったら、お茶を出してくださった。

先生は見た目ハイカラだが、中身は旧家のボンボンなので、お煎茶におかき、純和風のティータイムである。このおかきが美味しかった。

先生おいしいですね~、このおかき…

そやろ… ウチはいっつもこれですワ… 

ご近所?京都のお店ですか?

いやいや… 通販でね

お取り寄せですか!うちでも買ってみようかな…

会社の名前が書かれた包み紙をバッグにしまっていたら

あのナ、先に言うといたげるけど ホームページ見たらな、ちょっとビックリすると思うよ

チハル先生はふっふっふと含み笑いなどなさっている。

何です?なんか怖いな…

いや大丈夫 もう何年も買うてるけど、実害はないから…

先生の態度に引っかかりを感じつつも、うちに帰ってから、包み紙のHPアドレスにアクセスしてみた。

トップには、お菓子の写真と、定期購入コースの案内。別に変わったところはないな。

…と続いてスクロールして、ギョッと驚く。

全日本人に告ぐ!

極太の筆文字と、白地に赤い丸のデザイン。

こ…これは、アカンやつでは…。

慌ててページを閉じ、念のため履歴を消去した。

後日別件でチハル先生に電話した時

先生!あのおかき屋さん…

あーハイハイ、すごいですやろ 通販注文したらナ 面白いお手紙いろいろ入ってくるデ…

社長の思想信条を述べたパンフレットが、商品とともに届くらしい。

おかきは本当においしかったのだが、そういうわけで、なかなか注文に踏み切れずにいる。

おいしいおかき



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もろもろ | コメント(22) | トラックバック(0) | 2017/01/22 11:44
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