しちゅうの話。

朝夕の空気が冷たくなり、街路樹の色合いも変わりはじめる頃。

下草が枯れ始めたせいか、ふと、いつも見ないものに目が止まった。

ささえ1

街路樹に添えられた支柱である。

この辺りは20年ほど前に開発された新興住宅地で、道路脇の植え込みもおそらくその頃のものだ。

ささえ2

このように、もはや支えの不要なほどに育った木も多い。

役目を終えた支柱は

ささえ4

長年支え続けてきた、その木の足元に力なく倒れ、朽ちていくが、

ささえ5

支え、支えられる関係が終わっても、並んで生きていこう、と決めたものもいる。

かと思えば、

ささえ6

いったい、二人の間に何があったのか、いささか険悪な状態のものや

ささえ9

ワイワイと多人数で、楽しければそれでいいじゃないか、と日々を送るものもいる。

中でも異色を放つのは、

ささえ7

本来支えるべき樹木を失い、ときに自らの存在の意義を疑いつつ、ひとり立つ支柱である。

孤高ともいえるその生き方には、何か励まされる。

…と、何もない道路脇を見つめ、ウンウンとうなずく私を、部活帰りらしい高校生が気味悪そうに見、遠回りによけて通り過ぎて行く。

ハッと我に返って、また歩き出した。

ささえ8
(もはや何が何だかわからなくなっている例)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ



スポンサーサイト
もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/10/16 11:28
コメント
なんと言っても
ひとり立つ支柱に心を打たれました。
存在理由が見当たらない支柱。
非実用の支柱。
こうなると存在意義は存在そのものに昇華されています。
これはもう「純粋支柱」です。

この支柱は実用世界から藝術の世界へと次元移動しました。

我が家の支柱はそろそろ交換時期になっています。
ひとり立ちも以前は存在しておりました。
No title
いいなあ~~。
でんばあさんの(語り口)。

もし今 同じ物を見ていても、何も感じないかもしれない私だ。
年は取りたくない、、それでも昔は(詩人)だったような気がする。。
No title
目のつけ所が違う。(今回に限らない)
たいしたもんだ。

だから惹きつけられるんだよね。
No title
赤瀬川原平の「トマソン」(不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物)を思い出しました。

でんばあさんの透徹した観察眼によって、支柱も純粋芸術になるんだなあ…
Re: なんと言っても
rockin'様

純粋支柱は、何物も支えていないようで、実は何もかもを支えているのかもしれません。

Re: No title
アイハート様

アイハート様も詩人ですよ。

花を作る人はみんな、花で人の心を動かし、詩を語っているんじゃないかなあ。
Re: No title
ミドリノマッキー様

お褒めにあずかり恐縮です。

こんなヘンなことを書いて、読んでいただけて、しかも褒めていただけるなんて、嬉しいことです。
Re: No title
きょうこ様

トマソン好きなんですよね。

ひそかに写真を撮ったりもしてましたが、発表の機会もなく死蔵しております。

管理者のみに表示