にもつの話。

久しぶりの好天。洗濯物を干し終わり、ホッとしてコーヒーを飲んでいたら、チャイムが鳴った。

宅配の荷物である。心当たりがないので、配達員に

どちらからですか?

と尋ねると、聞き慣れた、けれど今は遠くなった、住所と名前が読み上げられた。

私にとっては元・シュートとシュートメ。別れた亭主の実家の両親だ。

年末になると、孫であるムスメとムスコに宛てて、お年玉と、お菓子や果物などを詰め合わせた、重たい重たい荷物が届く。

荷造り紐を十字にかけた段ボールを玄関に置いたまま、ムスコの帰りを待った。

…タダイマ…

リビングに入ってきたムスコは手ぶらである。

オカエリ… 玄関に荷物あったでしょう

あ… 

かなり大きな段ボールなのに、無頓着にまたいで入ってきてしまったらしい。

ムスコは玄関に引き返し、軽々と抱えてリビングに戻ってきた。

バリバリと開けられる箱を見るともなく見ていると、お菓子がたくさん出てきた。スーパーで売っている、ありふれた袋菓子だ。

いつも同じおせんべい、同じスナック。

私は覚えてないけれど、ムスコやムスメが小さい頃、好んで食べたものを選んでくれているようだ。

ムスメもムスコも、もうスナック菓子を喜んで食べる年ではない。そのおせんべいが好きだったことも、たぶん忘れてしまっている。

シュートシュートメの頭の中では、2人はまだ小さかった頃のまま、止まっているのだろう。

続いて大きなリンゴ、底には庭で取れた、いびつながぎっしり詰まっていた。

お礼の電話しなさいよ…

あ、伝票捨てちゃった…

いいよ、言うから… いい? ぜろ…なな…

もう何年も掛けていない電話番号が、驚くほどスラスラと、口から出る。

やがて、ムスコが手にした受話器から、待ちかねていたような、声が洩れてきた。

あの人たちと、かつて親子でいた日々、その長さを思う。

にわのかき



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2016/12/07 10:40
コメント
No title
あちゃっ、私、もう30年になろうとするのに、
まだ夫の実家の電話番号なんて、覚えてません。ダメだ。
でも、おじいちゃん・おばあちゃんにとって、
孫のイメージは小さい頃のまま、っていうのは同じですね。
離れられた経緯は存じませんが、
温かなつながりを息子さんに残してあげられてることを、尊敬します。



No title
こんにちは

シュウト、シュウトメにとっては、やはりかわいい孫なんでしょうね。
小さいときのイメージしか残っていないんでしょう。

実家の電話番号がスラスラ出てくるなんて、大したもんです。
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No title
この爺さん(おら)は、二歳の孫に何を買ってやったらいいか・・・さっぱり解からない・・・
孫は
可愛いと聞きます。

もう両家は同じ時間を共有していませんが、接点は時間の枠外に存在しているんですね。

きっとお礼の電話に喜ばれておられることでしょう。
Re: No title
サ・エ・ラ様

今は皆さんケイタイですから、家の電話の番号は覚えにくいですよね。

うちは昔転勤族で、転勤先からよく電話したので、それで覚えているのだと思います。他のことはすぐ忘れるんですけどね。
Re: No title
Carlos様

私の母はすぐ孫に会えるのに、向こうはそうではないのはお気の毒に思います。

細々とでも連絡は取りたいと思います。
Re: No title
鍵コメm様

どのお宅にも様々事情がありますよね。

子供に悪いことをしたなと思っても、そうしかできなかった大人の事情もあり。

それぞれに抱きしめて生きるしかないのでしょう。
Re: No title
鍵コメj様

お互い年を取りました。

もと義父母ももう80代です。
Re: タイトルなし
鍵コメk様

離婚というのは子供の親戚を半分にすることなんですよね。

電話一本では償えるものではないんですが。

k様にも穏やかで幸せな日々が早く来ますように。
Re: No title
ひげ様

2歳なら、まだご本人の希望より、そのお母さんのご意向を優先なさるのがよろしいですよ。

子供が喜ぶものは親が困る…という図式がありますから。

Re: 孫は
rockin'様

数えてみると元姑ももう80歳なんですよね。

声しか聴いていないけど年を取っただろうなあと思います。

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