へいせい話。

その日は第1土曜日だった。

当時、私の職場は完全週休2日ではなく、金融機関にならって、第2・第3土曜日だけが休み。

バタバタと慌てて起きて、いつものように出勤したら、いつもは昼休みしか点かないテレビが点いていた。

私は見なかったが、早朝にそのニュースがあったのだという。

平常通りの仕事をし、来客に応対しつつ、皆が時々点けっぱなしのテレビに目をやっている。

土曜日だからふだんなら半ドンなのだが、今日は帰宅する者はいない。

やがて、待っていたニュースが画面に流れた。

へいせい

新元号「平成」が発表されるなり、社内は上を下への大騒動になった。

午前中から打ち合わせの通り、社内いっせいに作業開始だ。

各種伝票・用紙の日付欄にある「昭和」を「平成」に訂正する作業である。

本社からは、取り急ぎゴム印を、追って新しい書式を支給するとの通達があったが、週明けから使う書類には間に合わない。その分を手書きで訂正するのである。

「昭和」とある所のすべてに「平成」を書き加え、「昭和」のほうは2重線で消す。

へいせいにていせい

あらゆる手続きが、ことごとく書面で行われる時代だったから、その枚数は尋常ではない。

役職者もヒラも関係なく、全員がボールペンを持ち、紙の束に立ち向かった。

平成、平成、平成…

いったい何回書いただろうか。

平成という字が視界の中でばらけ始め、別のものに見えかけた時、隣席の同僚がけたたましく笑いだした。

どうしたの、と彼女の手元を見たら、平成・昭和と併記した、平成のほうが2重線で消されている。

次長がもうそろそろいいでしょう、と声をかけて、その日の残業は終わった。

明けて1月8日は日曜日。

28年前の今日、平成という新しい時代がはじまったのだ。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ



スポンサーサイト
てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/08 10:56
コメント
こんにちは、
そうですね。
28年前のことで当時は慣れるのに苦労したものですが、現在は当たり前に馴染んでいます。
もし、天皇が退位されると、平成から何に代わるのでしょうか。
No title
”平成おじさん”の顔を久しぶりに見て、懐かしかったです。
その時自分は何をしていたか、などと思い返してしまいました。
No title
おはようございます
今日でしたか~平成になったのは・・・
もう、29年も前なんですね。
ということあれから29も年を取ったということか~
Re: こんにちは、
春駒様

私はいまだに平成ってなじまないままです。今が平成何年なのかもすぐあやふやになるし…。

西暦のほうがまだ確かなんですよね。柔軟性がないのかなあ。
Re: No title
ミドリノマッキー様

私の場合、「その日」というピンポイントの記憶があるのは珍しいのですが、神戸の震災と、昭和最後の日は忘れないでしょうね。

小渕さんのこの髪型が寝癖かどうか考えたことも覚えています。
Re: No title
Carlos様

ご安心ください、29年ではなく、まだ28年しかたっていませんよ!

だから、年も28しか増えていないということになります。若い若い!
平成に切り替わったとき
役員にこの際だから年号は全て西暦に統一しましょうと提案。
以外にも受け入れられて、部下にそのことを伝え準備していたら、いきなり「やっぱり和暦にする」との連絡が来てムカついたことを覚えています。


台湾の紀年法は民国紀元です。
西暦2017年は、中華民国(民国)106年なんですって。
もう三桁なんだ。

オリジンは辛亥革命(1911年)の翌年である1912年に中華民国が樹立されたためだそうですよ。
Re: 平成に切り替わったとき
rockin'様

日本の会社はどこでも両方使うからめんどくさいですよね。

例えば表彰状みたいなもんを考えたら、和暦のほうが字面は良さそうですけど。

管理者のみに表示