おどりこ話。

その朝、私は最高に憂鬱だった。

連休明けの登校。おまけに今日は大キライな物理と体育がある。

熱でも出ればいいのに、健康そのもののわが身が恨めしい。

いつものように電車に乗って、いつもの道を歩いたら、いつものように学校についてしまった。

視線を感じて、つま先を見ていた目を上げたら、ミドリちゃんが灰色の校門にもたれていた。

ねえ、タカラヅカ見に行かない?

はあ?

すっとんきょうな申し出に、状況が飲み込めないでいると、ミドリちゃんは

今日これからタカラヅカ見に行こうよ アサミレイだよ

と、かさねて言った。

彼女がヅカファンなのは以前から知っていたが、誘われたのは初めてだ。

正直、タカラヅカに興味はなかった。その頃はタカラヅカの舞台中継がテレビでも見られたが、チャンネルを合わせたこともない。

でも、学校をサボってどこかよそへ行く、と思ったとき、なぜだか急にコレだ!という気がして、ついていくことにした。

登校する学生の流れを遡って歩く。同級生が私たちを認めて、アレ?と、物問いたげな表情で見たが、誰にもとがめられず駅に着いた。

ふだん乗らない路線の電車を乗り継いで、宝塚へ。

タカラヅカの駅は、降りた時からキラキラヒラヒラとして、レビューの雰囲気満点である。

キップとかはどうしたのだろう?ミドリちゃんが持っていたのか、それとも30年以上前のこと、当日券があったのだろうか。覚えていない。

ミラーボールが回り、オーケストラは鳴り続ける。ライトの中、羽とフリルに包まれたスターが、現れては消える。

大学受験とか、選択科目とか、傾斜配点とか、そんなものから一番遠い、美しい人たち。

朝の憂鬱な気分は、いつの間にかすっかり消えていた。

その後私がヅカファンになったか、というと、そんなことは無い。あの日の演目も、覚えていない。濃厚なラブシーンの記憶があるから、「ジャワの踊り子」だろうか?

1日で治ってしまった、私の5月病の思い出である。

じゃわのおどりこ
(雪組公演 宝塚大劇場 麻美れい 遥くらら)



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/05/09 11:30
コメント
No title
こんな風にね、、、
上手くリセット出来ていたら、今の私は無かったと思うの。

青春をもう一度やり直したい、、、68歳になってもね。
No title
おはようございます
学生時代の思い出ですか~結構大胆なことをやってたんですね。
いいですね
一生に一度思い出す、サボった思い出が「宝塚」ってのが美しいです。
私もやればよかった(笑)。
宝塚!
ゴルフに行くとき、宝塚劇場の近くを時々通りります。

私、小学生の時、社会見学で女性歌劇(団体名は忘れた)を見に行って、大感動した記憶があります。
なんて綺麗なんだ。
何と楽しい。
てなことを思いました。

ぢょん でんばあ様の5月病は、建設的なものであったようです。


宝塚の音楽が rock だったらいいのになぁ。
あ、それもあるにはあるみたいですが。
Re: No title
アイハート様

今のままのアイハート様が無いと、困る方がたくさんいらっしゃるでしょう。

可能性豊かだったあの時代に戻れたらと思うことは私にもありますが、今手にしているものも大切ですよね。
Re: No title
Carlos様

私の高校はそのころは出欠もいいかげんですし、制服がなかったので自由な校風でした。

今はずいぶん締め付けが厳しくなっているようですが、ご時世ですね。
Re: いいですね
まこ様

誘ってくれた友達に感謝しないといけませんね。

でも、彼女にその時の話をすると「そんなことあったっけ?」っていうんですよ。

Re: 宝塚!
rockin'様

私は子供の頃は、OSKは時々見てたんですよね。あやめ池に劇場があったので。

その跡地も今はマンションとなり近大付属小学校となり、時の流れを感じます。

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