ふしんの話。

お世話になってる先生が、講演をされるので、カバン持ちの、腰ギンチャクの、金魚のフンとなってついていく。

会場はナニガ市立ナントカ文化会館。結婚式場のようなハイカラな建物だ。

郷土の偉人の展示館や各種会議室、300人収容のホールなどを併設したなかなか立派な施設で、キラキラの透明エレベーターで上がると講演会場である。

先生の講演には残念ながら300人も集まらないので、大会議室の一つで行われる。

開始の50分前に到着した我々は、新建材のニオイのする、明るく真っ白な控室に通された。

さっそく会館の担当者である若い女性と打ち合わせをしていると、突然

…んごごごごごごん…

重い椅子を引きずるような音が壁から響いた。

趣旨を説明していた先生が、ンン?と一瞬黙ったが、その後何事もないようなので話を続けた。

担当者嬢がプログラムの時間配分を示していると、また

…んごごごごごごん…

無視できないボリュームであるにもかかわらず、彼女は気にも留めていない様子だ。

その後も、同様のんごごご音は、ある程度の間隔を置いて、途切れることなく鳴りつづける。

講演の前途に暗雲が立ち込めるような不吉な予感がするが、まさか先生にそれは言えない。

不安のまま間もなく開演という時刻になり、お手洗いを済ませておくことにした。

新しい施設らしく、トイレもまた大きな鏡に暖房洗浄便座付きのきれいなものだ。

少しほっとしてペーパーを引っ張ると、あの音がした。

…んごごごごごごん…

どうやら我々の控室はペーパーホルダーを設置したトイレの壁の向こう側らしい。

べんじょがみ

それにしても、便所紙を引く音があれほど響くとは、何たる安普請か。

講師紹介が済み、壇上に進まれる先生。その足元に、突如大穴があくのではないか、などと、さっきまでとは別種の不安に襲われた。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/01/28 08:32
コメント
No title
典型的な乾式工法ですね。鉄骨を組んで壁材を貼っただけ。
空間を断熱材で埋めるのは外壁だけで、工費を節約するというやり方。多いんですよ最近。
地震でもあると、内壁が破れてトイレを使っていた人が丸見えになったりして・・・
No title
音のしない高級ペーパーホルダーを本気で作ってみます!

音って気になりますもんね。

楽しみが増えました^^
No title
おはようございます。
いや~何事かと思いましたよ。
トイレットペーパーの音だったんですか~
でも、そんな音がするのはどうでしょうかね~
床が落ちなくて良かったですね。
Re: No title
old comber 様

なるほど~、理由のあることなんですね。費用をケチれば、それなりのものしかできませんものね。

見た目しゃれててキラキラしてても、あれじゃサッパリです。

トイレ滞在も最低限にしようっと。
Re: No title
歩き茄子さま

わ~、すごい!溶接してくださいね、ぜひ。

あれはトイレットロールのほうにも関係あると思うんですよね。

取り換え回数が少なくて済むように、シングルの巻きの多い紙を使ってると、特に使い始め、ロール自体が重くて、金属製のホルダーに負荷がかかり、音が響くんです。

家庭で使っているような、ダブルで軽いフワフワのロールだと、あれほど響かないと思います。
Re: No title
Carlos様

本当に不吉な地響きのような音だったんですよ。

まあとにかく先生と聴衆の皆さんはご無事でよかったです。
No title
ここ最近は、指名入札が業者と役人の癒着を疑われる原因になるからずいぶんとオープンになって来ている。
すると安値で応札した方が有利になるから、建築原価をけちって帳尻を合わせようとする。
だから新築の公共施設は注意した方が良いですよ。
古い施設は大抵湿式工法で造られているから大丈夫。
鉄筋コンクリートということね。(姉歯さんでなければの話)
分譲マンションにも言えるかな?
やたら工期が短い物件は疑ってかかった方が良い。
Re: No title
old comber 様

確かに異様に工期の早い建物ってありますね。

乾式工法っていうのか。覚えておこう。

公が箱モノを作るといいことないですね。

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