すてーき話。

業界団体の会合が、都心のホテルで行われた。

クロークにコートを預けながら、サチエちゃんの披露宴を思い出すと笑えてきた。

25年まえ、幼なじみの華燭の典が、ここで行われたのだ。

時はバブル最盛期、場所は憧れの有名ホテル、それはそれは豪華な披露宴。

乾杯、ケーキ入刀と、プロ司会者の進行で順調に式次第は進み、お食事が始まる。

サチエちゃん夫妻の支払うであろう莫大な金額と、持参したご祝儀の金額を暗算で差し引きし、申し訳ない気分とともに前菜を味わっていると、会場隅のドアが開いた。

白いコック帽をかぶった4人のシェフが、銀盆を捧げ持ってしずしずと入場。

用意された鉄板の前にスタンバイすると、BGMがピタッと止まった。

何が始まるのか??と疑問でいっぱいの招待客たちに向かって、司会者が

皆様に、ただいまより、メインディッシュのご紹介を申し上げます…

重大発表のような口調で言い出すと、照明が暗くなった。ドラムロールダラダラダラ…と鳴った気がするが、たぶん記憶違いだろう。

本日のメイン、フィレステーキとフォアグラのマリアージュ 地中海風でございます!

4人のシェフが揃って、肉にブランデーをかけた。暗い会場で、1メートル近い火柱が4つ、あかあかと上がった。

ふらんべ

あまりにもドラマチックな演出に、招待客全員が、ぱちぱちと拍手を送った。

さっきまで炎に包まれていたお肉は、アツアツでとてもおいしい。

照明とBGMが戻り、快くおなかがふくれるにつれて、たまらなくおかしくなってきた。

さっき私たち、ステーキに拍手したな。

肉に拍手

ケーキカットよりも、お色直しよりも、両親への手紙よりも、その日一番盛大な拍手だった。

あれ以来、ここは、私にとっては「肉に拍手したホテル」なのである。

もちろん、今日の会合では「おーいお茶」が配られるだけで、ステーキは出ない。

だけど、何となくほのぼのと面白おかしい気分のまま、ホテルのベーカリーで、明日のパンを買って帰った。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ





スポンサーサイト
むかしむかし | コメント(4) | トラックバック(0) | 2015/02/27 08:49
コメント
No title
こんにちは
へ~凄く豪勢な結婚披露宴だったんですね。
肉に拍手ですか~感激だったでしょうね。
でもいい思い出でしたね。
それに比べて今回はすごく地味~な感じ。
ホテルのパンは美味しいんでしょうね。
もし其処にいたら
自分がその場に居合わせた場合を想像してみました

シェフが4人表れた時点でワクワク

司会者の紹介で目がキラキラ

火柱4本では「ゥオー!」と声を上げて、少し大きめの掌でバシバシと拍手

私もお肉に拍手してみたかったです
( *´艸`)
Re: No title
Carlos様

あのころの披露宴は派手でしたねえ。

私の友達は地味な人が多くて、ゴンドラに乗るようなのはなかったですが、それでもこの程度は普通でした。

今は地味婚っていうんですってね。
Re: もし其処にいたら
山猫様

お肉に拍手、私は初めてでしたが、その時同席した友達は、当時流行りのレストランウエディングで見たことある、って言ってました。

炎って年齢性別関係なく、興奮しますよね(笑)。

管理者のみに表示