うらがね話。

お盆なので、故人の話をもう一つ。

私の母方の祖父は、戦後の復興期、商売を盛り上げた我が家の中興の祖である。

同時に、家族にとってはなかなか難儀なジイサンであった。(→ 「うなぎの話。」

目端が利いて商売はうまいが、道楽もしたし、お金も使った。

舶来品を扱う商売柄か、ずいぶんシャレたジイサンだったようだ。

店のウインドウには、二輪馬車のイラストに添えて、こんな文句が書かれていたという。

にりんばしゃ

御者よ 心して鞭を当てよ 美しき影が乱れる

今でいうキャッチコピーである。

ジイサンの娘であるおばーちゃんは、今も時々、歌うように唱えてみせる。

もちろん戦後の混乱期の商売人であるから、シャレてるだけでは乗り切れない。

もう時効だからご勘弁願いたいが、所得のゴマカシなんぞもそれなりにやっていたらしい。

裏金を入れておく口座があって、その名義が

角下 兼太
 ↓
かくした かねた
 ↓
隠した金だ


自分の思いつきに一人悦に入る、ジイサンの顔が目に浮かぶようだ。

タコ坊主みたいな禿げ頭のくせに、80過ぎても、笑うとえくぼが浮かぶ人だった。

架空名義で口座が作れた、のんきな時代のことである。



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/08/15 09:52
コメント
文才のDNAはこのお祖父様から?
素敵な惹句!私ならフラフラ入店してしまいます。
豪放磊落なのにこのセンス。正にお血筋ですね(^^;
隠し口座のお名前、お茶目過ぎです。私、大好きです。
No title
裏口座の名前が「角下兼太」。「隠した金だ」につながるとは説明がないと気付きませんでした。なんと、機智に富んだおじいさんでしょう!ぢょん・でんばあさん、きっとこのおじいさんの血を濃く受け継いでいますよ。
No title
こんばんは
粋なおじいさんだったようですね。
角下 兼太 なかなかいい名前じゃないですか。
えくぼのおじさんかわいかったんでしょうね。
No title
粋なおじいさんでしたね。

ま~身内としてはそうも言ってられないでしょうが(笑)。

でもその血は子孫に無事受け継がれているようですね!
Re: 文才のDNAはこのお祖父様から?
Ray様

妻や子は泣かせたおじいさんでしたが、孫にとっては面白い人でした。

商才が遺伝したらよかったんですけどねえ…。

ふざけた性格だけが伝わってきたようです。まあそれも財産ですよね!
Re: No title
nobotanさん様

ふざけてますよねえ!

今じゃ考えられないですが、昔はそんなことができたんですね。

マジメに隠そうとしてるとは思えないです。

おじいさんの遺伝…喜んでいいのか、どうだか…
Re: No title
Carlos様

私の知ってるおじいさんはタコ坊主でタイコ腹でしたが、昔はなかなかモテたらしいです。

おばあさんは泣かされたと聞いています。

今の男性とは考え方も生き方も違いますね。
Re: No title
バニーマン様

そういう父親を持って、うちの母は娘心にずいぶんと悲しい思いもしたようです。

孫の私たちにとっては、ただの面白いおじいさんでしたけどね。

性質は似ても、今の時代、そんなに破天荒に生きるわけにもいかないですね。
昔は
裏金、架空口座天国でした。
お爺様、やりますね。

父の遺品を整理していたら母の字が書いてある封筒が出てきました。

封筒の中には印鑑がありました。
て、封筒には苗字と「京子」と書いてありました。
あと架空口座印鑑と書いてありました。

通帳は同封されてませんでした。
母がなくなって20年以上。

気になりますが架空口座の行方と口座の正体が分かる事は永遠にないでしょう。

浪漫です。
Re: 昔は
rockin'様

京子さん!

京子さんいませんか?

rockin'家の隠し財産を我が物にするチャンスです!

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