たいけん話。

行きがけに図書館に寄ったら、新顔がいた。

いつもの、覇気のないアンチャンでも、怒らせたら怖そうな老嬢でも、ただ息をしてるだけの、定年寸前のオヤジでもない。

リンゴみたいにほっぺの赤い少年である。

お仕着せの黄色いエプロンをして、緊張した面持ちでカウンターに座っている。

そういえば、この近くの中学校で、職場体験をやってる時期。昔はなかったが、最近の学校ではだいたい行われている行事だ。

昨日行ったコープの店舗でも、お母さんみたいなパートさんに付き添われ、男の子がスナック菓子の品出しをやっていた。

今日はこのまま出かけるので、返却だけのつもりだったが、リンゴ少年のせっかくの体験を、少しばかりエキサイティングにしてやろう。

ちょっとだけ慣れてきました、という風情で、返却手続き中の少年に言ってみた。

予約した本はまだ来ていませんか?

案の定、リンゴ君は、手にした本を取り落としそうになるほど驚いて、椅子から飛び上がった。

は!へ?ヨヤクですか?

声変わり前の、甲高い声。赤いほっぺがさらに紅潮する。

ふだんは奥に引っ込んでなかなか出て来ない老嬢が、ボーヤの危機を察知して飛んできた。

彼女があんなに素早く動けるとは知らなかった。

頼れる味方の登場にホッとしたリンゴ君は、老嬢の指導よろしく、端末で予約状況を調べ、届いていた本を何とか見つけ出して、慎重にバーコードリーダーを通し、貸出手続きをしてくれた。

11ガツ25ニチのヘンキャクです…

カワイイ声で言って差し出す本をお礼を言って受け取り、外に出た。

夕方の帰り道、図書館の前を通ったら、ガヤガヤと出てくる中学生の集団に出くわした。

中にあのリンゴ君もいた。できるだけ声を低く野太く作って、

オレさぁ… めっちゃアセッてさぁ…

なんて言っている。

今朝がた自分に試練を与えたオバサンのことなんか忘れたように、友だちと楽しそうだ。

一日持って歩くことになった予約の本は、ちょっと重たかった。

としょかんせんそう
(こんな職場体験は困る)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/11/12 11:15
コメント
No title
こんにちは
そうなんですか~今の教育では体験学習というのがあるんですか。
驚きです。
でも、少年、いい経験をしましたね。
優しい小母さんが。
こんにちは
リンゴ少年対優しい試練オバサン!
良い話です(^^♪
息してるだけのオヤジは近所にイッパイおります。
職場体験
「図書館戦争」の職場体験は、大変そうですね。

あれだけ戦いながらーの、働きながらーの、恋愛しなきゃいけませんもの。

先日テレビでやっていた映画を見て、うはーっ!あんな体力がほしい~!と思ったところでした。
予想外
の局面対応は誰しも避けたいものですが、避けられないんですよね。
逃れられない。
真っ向勝負しかない。

予定外局面はミスを呼びがちですが、度重なると度胸がつきます!
Re: No title
Carlos様

大学生のうちの子が中学の時、もうありましたから、ここ10年くらいで定着した行事のようですね。

職業教育の一環なんでしょう。

そのうちお孫さんがどこかのお店に行かれるかもしれませんよ!
Re: こんにちは
花ちゃん様

家では生意気言ってる年頃ですが、大人に混じるとかわいらしいですね。

仕事って大変!と思ってくれるといいんですけど。
Re: 職場体験
mikaidou様

ほんとに。

あれじゃ本を読む暇がないでしょうね。
Re: 予想外
rockin'様

予想外があるからこそ、機械ではなく人が働く意味があるんですものね。

そこで逃げたら働くということ自体できなくなるでしょう。

青少年よ働け!と応援している私です。

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