のぼった話。

スキー初日で、散々な目に遭った私。

旅館の夕飯と温泉で、幾分回復したものの、また滑ろう、とはどうしても思えなかった。

翌朝、ウェアに身をかためた他の二人と一緒にスキー場に出向き、スキー板を返却した。

ニット帽をかぶったレンタル受付のおじさんは最初、

2日間の貸出だから、返却してもお金は戻らないよ!

と言っていたが、

いいんです… もう…

と、しおれた様子の私を見ているうちに気の毒になったのか、

ホントはダメなんだよ

と、周囲を窺いながら、1日分の代金を返してくれた。

ぶつけたオシリはまだ痛むが、もう滑らずに済む、と思うと、驚くほど気分が軽くなった。

気の毒そうなクミちゃんユキちゃんに、元気に手を振って別れを告げ、市内行きのバスに乗る。

せっかく遠い雪国まで来たのだから、観光をして帰ろう。

昨日とは打って変わって、開放的な楽しい気持ちで、城下町を歩く。

たどり着いたお城は、雪に覆われて、言葉を失うほど美しかった。

まつもとじょう

せっかくなのでチケットを買って、城内に入った。

雪の白さに慣れた目が暗さにくらむ。板張りの床は、備付のスリッパをはいても冷たい。

順路の矢印に従って進むと、意外なほど簡素な梯子段があった。

手すりをつかんで登り始めるが、足元がスリッパなので、パタついて心もとない。

忘れかけていたオシリの打撲を思い出す。

高くそびえる名城の梯子段は、延々と長い。

まとわりつくスリッパを脱いで、ようやくてっぺんに着いたときには、足先はのように冷え、オシリは脈拍に合わせて、ズキズキと痛んでいた。

天守からの眺めは素晴らしかったが、私の気持ちは沈んでいる。

冷えてかじかんだ足と痛むオシリで、あの長い長い梯子段を下りなければならないのだ。

転がり落ちることなく、無事に下まで到着できるだろうか。

そう思いつつ見渡すと、ご城下の雪景色が、あの果てしないゲレンデに見え始めた。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/02/03 10:01
コメント
No title
こんにちは
よっぽど、懲りたんですねスキー
でも、一人で帰る気になったんですね。
でも市内観光ができて良かったかも・・・
お尻の痛さが気になったんですね。
足も冷たかったし・・・
お疲れ様でした。
かわいそうな
ぢょん・でんばあ様。
キャッスルパワーでも心は晴れずお尻の痛みはひきませんでしたか。

ゴルフしませんか?
転倒はあまりありませんから。
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Re: No title
Carlos様

お城はちょっとつらかったですが、美術館を見たり、おやきを食べたり、楽しかったんですよ。

スキーはもういいですが、また訪ねたい街でした。
Re: かわいそうな
rockin'様

お心を痛めていただいて、ありがとうございます。この後、名物のおやきを食べて元気を取り戻しましたのでご休心くださいませ。

ゴルフとマージャンは、父の遺言でやらないことになっております。

ちなみに父は雀鬼と呼ばれた男でございました。
Re: No title
鍵コメw様

ご名答!白馬です。

碌山美術館なども見て、大好きになりました。

また行きたいなあ、ってか、息子がここの大学に行ってくれないもんかと思ってるんですが、学力のほうが…。
こんにちは
スキーは
凄くハマる人と
寒さ・痛さで... 二度と行かない人に
分かれるみたいです... (;^_^A

最初は... リフトを使わずに練習して
少し滑れる様になってから
リフトデビューすると... 良いんですがね〜

次の人生では
スキーにハマるかもしれませんよ
V(^_^)V
Re: こんにちは
うおチャン様

まあスキーと私は出会うのが遅すぎましたよね。

せめて学生時代の良い出会いがあればまた違ったんでしょうが。

来世に期待します。

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