やまもも話。

役場の前のヤマモモの木が、いまスズナリだ。

やまもも

誰も摘んだり食べたりしないまま、落ちた赤い実が敷石をよごす。

せっかく生ったのにもったいない、と思いつつ、自分だって食べない。木の下を歩けば、タネが靴の底でペキペキと音を立てて割れた。

ムスコが3歳から通ったのは、都会の小さな幼稚園

敷地の半分に、2階建ての園舎がいっぱいいっぱいに建ち、あとの半分が園庭である。

狭い場所にさまざま植え込まれた樹木の中で、ひときわ高いのがヤマモモだ。

遊具もあまりないその園庭で、それは活発な男の子たちの木登りに格好の大木だった。

父母会の役員をしていた時だったか、夕方になってから、園に用があって出かけた。

子供たちも帰った後の静かな幼稚園。

門を入りかけると、誰もいないはずの園庭で、ヤマモモの木がゆさゆさと揺れた。

木の上に何か大きな動物がいる。

ハッと息をつめていると、なんと園長先生が、むっくりしたクマのように、よっこらしょう、と降りてきた。

ハハハ…ビックリさせましたか…

え、園長先生、木登りなんかなさるんですか?

いやいや… 子供が登るでしょう? 折れそうな枝とか、いろいろね…

なるほど木の下には切り払った細い枝がたくさん落ちている。

よく見れば、子供たちの足がかかる高さには、丁寧に添え木や補強がなされていた。

ふだんニコニコと子供たちを眺めているだけの、白髪の園長先生が、まさか皆が帰ってから、あのヤマモモの木に登ってらしたとは。

怖がりのムスコは、木登りしたことはなかったが、それでも、いい園に入れたな、そう思った。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/06/28 10:06
コメント
No title
こんにちは
ヤマモモですか~食べたことはないですね~

私が子供のころは、今頃は桑の実が紫に熟れて、すごく甘いんです。

田舎では蚕を飼っている家が多かったので、どこの家にも桑の木がありました。
ただ、食べると手や、唇が紫になってなかなか落ちなくて・・・・

今の子は木登りなんかは、あまりしないようですね。

No title
こんにちわ

ヤマモモの実 そちらでは今が盛りですか…
こちら横浜の緑道では終わってしまいました。
季節の移ろいは 九州の方から順番じゃないんですね!。

小さい頃は 木に登ってよく食べたものです。
口周りを真っ黒にさせて…。
いいお話です
私もこれはなに?と思って尋ねたらヤマモモでした。道に落ちていて、、、、もったいないですよね。娘はお酒を造っていましたが。
園長先生のお話し、微笑ましく、よかった!
やまもも
初めて知りました。

木登りは大切で楽しい遊びです。
これ、降りるのが難しいんですよね。

いい園長先生でいい幼稚園です。
No title
こんにちは。
はずかしながら・・・
「木から降り立った先生の手には
 袋いっぱいのやまももが・・・」という
オチを想像しておりましたf^_^;
メッチャええ話ですやん~!

余談ですが、ヤマモもモ。おいしんですよねー
種でかいけど(笑)
そして地面に落ちたヤマモモの表面のぶつぶつの間には、
必ずといっていい程、砂粒がはさまっており、
洗っても取れなかったりするけど!
Re: No title
Carlos様

桑の実は、「赤とんぼ」の歌にも出てきますね。

残念ながら、たべたことがありません。

近畿地方の気候は養蚕には向かないのか、桑の木もほとんど見ないです。

唇を紫にして食べてみたいなあ。
Re: No title
ジイジ様

ヤマモモは、関西出身の私には、もともとあまりなじみのある木ではないんですよね。

近年街路樹・公園の植栽に植えられるようになって、はじめて知った木です。

我が家の付近は田舎なので、比較的冷涼な気候だと思います

Re: いいお話です
白秋マダム様

へえ~お酒になりますか!

きっとルビー色のきれいなお酒でしょうね。

味の感想などお聞かせいただければと思います。
Re: やまもも
rockin'様

うちは息子は木登り苦手ですが、娘はよく団地の植木なんかにも登ってました。

一度おしりを抱えながら帰ってきて「落ちた」と言ってたこともあります。

止めなかった私もたいがいですね。
Re: No title
メカ沢様

それが、幼稚園のヤマモモには、実がなってたって記憶がないんですよね。

息子も知らないって言ってますので、オスの木だったんじゃないかなあ。

落っこちたのは食べないほうがいいんですね、イイコト聞いたわ。

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