えっせい話。

オバサン向けの番組のゲストに、中年の女優と並んで、50代のエッセイストが出ていた。

20代の頃、就職活動の体験記でデビューした人だ。

男女雇用機会均等法の施行のころ、世の中はバブル景気に沸き、就職は売り手市場。

企業の採用に当たっては、就職協定というものが存在した。○月○日までは学生と企業は個別に接触してはならない、などと、決まりがあった。

しかし、実際はその下をかいくぐって、活発に採用活動が行われていた。よくある話である。

筆者の彼女は、その有名無実の就職協定を信じ込み、就職活動に出遅れた。その挫折と憤懣を描いて、話題になったのだ。

同世代には、興味をもって彼女の本を手にした人が多かったが

結局、自分がボンヤリしてたってだけの話でしょ

友達がいないんじゃないの

自分だけがマジメで、うまくいった人はズルいみたいな書き方はムカつくわ

と、私の周囲の評価は散々であった。

著書の中の彼女の仮想敵は、クリスタル族と呼ばれる女子大生たち。

ちょうどその頃、ブランド物に身を包み、業界の人と交流し、才気と美貌をちやほやされて、華やかに世の中を渡っていくヒロインを描いた小説が流行ったのだ。

その流行に乗った女子大生はクリスタル族と呼ばれ、小説は映画化もされた。

クリスタル族は、コネと学閥で、広告代理店だの商社だのに、スルスルと就職したらしい。

もちろん、この時期に就職できた人が、みんなクリスタル族だったわけではない。

地味でビンボーで容姿に恵まれない女子大生にとってこそ、就職は深刻な問題である。だから、セコセコ情報交換をし、噂に振り回され、時に眠れぬ思いをしながらガンバッたのだ。

しかし、そんな大多数のフツーの子には、彼女は関心がなかったようである。

時は流れて今、画面の彼女はネコナデ声で、自分の老後への備えについてなど語っている。

隣でニコニコしている中年の女優を見て、ハッと気づいた。彼女こそ、クリスタル族の映画で、ヒロインを演じた人ではないか。

クリスタル族をこきおろして有名になった人と、クリスタル族を演じて脚光を浴びた人。

この配置の妙にニヤニヤできるのも、同世代のフツーの女ならでは、だろう。

くりすたるひとしくん
(こちらはクリスタルひとしくんです)



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てれびじょん | コメント(4) | トラックバック(0) | 2016/08/26 10:35
コメント
No title
こんにちは
クリスタル族ね~そういえばそんな言葉がありましたね。
私が札幌にいたころの話です。
Re: No title
Carlos様

札幌にもいらしたんですか?

以前、大阪でお勤めだったとうかがったのも覚えています。

文字通り全国を飛び回っていらっしゃったんですね。
クリスタル族
輝いていた「族」だったでしょうね。

私なんて「曇りガラス族」。
視界は良くないし、見た目もよくないし、先も見にくい。
なんなんだ、私は!v-42
Re: クリスタル族
rockin'様

小説が流行ったころ私と私の友達は「私たちなんて貧乏だし田舎だし石ころだよね」などと笑っていました。

石ころ上等!ナイス、曇りガラス!

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