しゅうかつ話。

テレビを見ていたら、年配の男女が出てきて、ニコニコと自分たちのシュウカツについて話している。就職活動かと思ったら、終活だという。

終活とは、葬儀や墓など、自分の死んだ後の事前準備をすること。

近頃は誰かが何か思いつくと、すぐ「○○活」で、流行り物の嫌いな私は反感を持っているが、残された者に迷惑をかけまいという心がけはアッパレである。

数年前に亡くなった父が、生前そういうことを一切口に出さなかったため、どうするのが父の意にかなうのか、いろいろ迷った。(→ 「おはかの話。」

一言、俺が死んだらこうしてくれよ、と言い残してくれていたら、母もどんなに気が楽だったろう、と何度も思ったものだ。

しかし番組を見ているうちにだんだん違和感が膨れ上がってくる。

出演者はみな、墓は要らない、葬儀も要らない、と、こだわらない風を装っているが、よくよく聞けばそうでもない。

夫の実家の代代の墓には絶対入りたくない、とか、思い出のあの海に遺灰を撒いてほしい、とか、漠然と死んで漫然と墓に入るより、よほど強いこだわりである。

彼らの死後の希望を聞くうちに、つい、やらされる側の気持ちになり、ああメンドクセエ、と思ってしまった。

でっかい墓や盛大な葬式を要求するのも迷惑だけど、ナントカの曲を流せとか、ナニナニの木を植えろとか、コマゴマ指示を残すのも、同じくらいワガママじゃないのだろうか。

死ぬのは怖い。死んだ後のことを考えるのも怖い。

だから自分の思うままになると想像すれば、その時少しは安心していられるのかもしれない。

私ならどうかちょっと考えてみた。

私は自分は死んだら物体になると思っている。

物体になったら、法律に触れない限り、残った者が一番楽な方法で片付けてくれればいい。

逆に、どーしても私の偉業をたたえ、後世に残したい!と思うなら、巨大な墓石を立て、何千人も会葬者を集めて、ど派手な葬式をしてくれてもかまわない。

どんなハズカシイ葬式でも、物体だから平気だ。

テレビを見ながら、ちょうどそこにいたムスメとムスコに言ってみた。

アタシはさ~ 葬式だの墓だの 本当にどーでもいいから! 何をどうしたって化けて出たりしないから!

2人はちょっとギョッとした様子だったが、わりに素直にうなずいた。

子供には、これから時々こういうことも言っておこう。それが私のシュウカツである。

2001ねんうちゅうのたび
(全人類の墓標 「2001年宇宙の旅」より)



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てれびじょん | コメント(16) | トラックバック(0) | 2017/02/22 11:36

ゆきふる話。

不思議に静かで明るい朝。カーテンを開けると、外は真っ白だった。

西日本一帯を覆った寒気の影響で、この冬一番の

温暖な当地では積雪が珍しいので、なんとなくソワソワする。

コーヒーを手にテレビを点けてみると、全国ネットのワイドショーが映った。

雨模様の東京の空。雪は降らないようです、とアナウンサーがホッとした口調で言う。

ああそうかい、東京で降らなきゃ、それでいいのかい。

東京の雪は全国ニュースだが、うちみたいな田舎で珍しい雪が降っても、誰も何も言わない。

今さら腹も立たないが、それが当然になってしまっているのは、やっぱりいい気分ではない。

昔は住んでいたし、今も好きなお友だちがたくさんいる東京。

それでも、東京の人が慣れない雪道でスッテンコロリと転ぶ映像を見て、ついザマアミロ、と思ってしまう。

テレビを消して窓に寄れば、雪が木を、山を、そこらじゅうを暖かそうに覆っている。

私の醜い心も隠してくれればいい。

軽く、静かに、雪は降り続く。

ならこうえんのゆき



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/02/09 10:58

とくしゅな話。

お昼ご飯の後、テレビを点けっぱなしのまま、ソファでウトウト眠ってしまった。

朝からプールに行って泳いだせいだ。

まだ湿った髪が冷たくて、目が覚めたら画面はワイドショーに変わっていた。

…お笑い芸人のナンノナニガシさんが、一般女性との結婚を発表しました…

ラチもない芸能情報である。

ナンノナニガシ氏に好悪の感情は一切ないのに、何か引っかかったのは

…ナンノナニガシさんが、一般女性との結婚を…

ここだな、一般女性

一般人、一般大衆の一般。

芸能人と付き合って結婚するような女性が一般的といえるかどうかはさておき、お相手が一般だというなら、ナンノナニガシ氏は一般ではない、わけだ。

「一般」の対義語は「特殊」である。

ナンノナニガシ夫人が「一般女性」なら、ナンノナニガシ氏は「特殊男性」というわけだ。

けっこういいんじゃないか、特殊男性という言い方。

私はかねがね、芸も能もないのにテレビに出る人を、芸能人と呼ぶことに疑問を感じていたのだ。

そういう人は今後、特殊男性あるいは特殊女性と呼ぶことにしたらどうだろう。

えーっ?ナニ子結婚するのぉ?相手なにしてる人ぉ?

うーん、ナイショ!特殊男性の人だからぁ…

なんてね。

まつこでらっくす
(特殊な男性といってもこういう特殊ではない)



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てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/02/02 11:35

きせのん話。

きせのさとゆたか

朝のワイドショーで、新横綱稀勢の里の出身地が話題になっていた。

呼び出しは茨城県牛久市だが、中学生時代までを過ごしたのはお隣の龍ヶ崎市だという。

牛久には現在ご実家があるが、ご本人は中学を卒業してすぐ上京し、部屋に入ってそれっきりなんだから、龍ヶ崎市出身と言っていいような気がする。

後援会もあるだろうし、パレードまでやってもらって言いにくいだろうが、正直なとこ、ご本人は牛久出身と言われても、あんまりピンと来ないんじゃないか。

だいたい、出身地というのはどこを言えばいいのだろう。ちょっと考えて思いつくのは

1・生まれた土地
2・育った土地
3・実家のある土地


私などは、生まれて独立するまで同じ所に住んでいたのでカンタンだが、子供時代に転々としている場合はややこしい。うちの子供たちなんかがそうだ。

元亭主は転勤族だった。

知り合いもいない場所で妊娠して、生まれたらすぐ引っ越して、幼稚園も小学校も、入ったところを出られたことがない。

ちょっと落ち着いたと思ったら離婚である。

食べ物が違い、気候が違い、言葉が、文化が違う土地を移りながら大きくなったムスメとムスコ。

親の都合で連れまわされた2人は、自分はどこ出身だと思っているのだろう。

改めて聞いたことはないけれど、知りたいような、知りたくないような、気持ちである。



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てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/02/01 11:35

ふこーか話。

今朝もうちではテレビが点けっぱなしである。

…23日午前4時前、110番の通報を受けて静岡県警浜松東署員が駆け付けたところ、この家に住む会社員ナンノナニガシさんが、頭から血を流して倒れており、その場で死亡が確認されました…

朝っぱらから物騒なニュース。

ナンノナニガシ氏のご冥福を祈りつつ、私の耳は変なところに引っかかっていた。

「静岡県警」の「しずおか」を、アナウンサーはハッキリ「しぞーか」と発音したのだ。

以前にも聞いた気がするが、その時は他のことをしながらだったので、聞き違いかと思っていた。

しかし今日は間違いない。

しぞーか。確かにそう言った。

実はもう一つ、前々から引っかかっている地名があるのだ。

「福岡」=「ふこーか」である。

不思議なことに、タレントや俳優が、しぞーか、ふこーか、と言うのは聞かない。

食レポばっかりやっている二流のタレントでも

ハイ!今日はしずおか県浜松市に来ております!

などと、ちゃんと言っている。

ところが、訓練を受けた言葉のプロであるはずのアナウンサーにだけ、

…大寒の今日、しぞーか県立大学では…

とか

…まもなくふこーか市で行われる ふこーか国際マラソン…

のように発音する人がいるのだ。

このように発音せよ、と業界における指針が存在するのか、あるいは電車の車掌のアナウンスが、日々繰り返すうちに変形して、どんどん極端な発音になっていくような、職業的なナマリなのか。

しぞーか、ふこーかの他にもないだろうか、と、ただいま考え中である。

ならけんないのにゅーす
(「以上、ふこーかからお伝えいたしました」)



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てれびじょん | コメント(20) | トラックバック(0) | 2017/01/23 11:54
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