ふぉーのひ話。

ふだんなら仕事のある日なのだが、なぜか休みが入っていて、ゆっくり起きた。

4月4日。

なんで休んだんだっけな。何かあった気がするけど、思い出せない。

ムスコの引っ越し支度で家の中はぶっくら返っている。

4月4日。

なんか引っかかるな、と思いつつ、コーヒーを淹れてソファに座った。

テレビを点けたら「今日はフォーの日というCM。

ふぉーのひ

4月4日。

4だからフォーか。ムリヤリだなあ。いかにフマジメな私といえども、ベトナムの麺のために仕事を休んだりしない。

窓の外はいい天気。まあいいや、せっかくの休みを楽しもう、と、身体を伸ばしたその時。

♪ぴんぽーん♪

ドアチャイムが鳴った。

どうも~ ガス設備の法定点検にうかがいました~

ぎゃー!

4月4日、これだった!

家の中は史上最大規模に散らかっている。

しかも、私はネマキに毛が生えた、いや、ネマキから3本毛が抜けたくらい、ヒドイ格好である。

確かわざわざ指定して、今日4月4日にしてもらったので、出直せとは言えない。

ゴメンナサイ… 忘れてて… 家がメチャクチャなの…

言い訳がましく、さわやかな笑顔のガスのお兄さんを、招き入れる。

全然大丈夫ですよ~! 元栓はここと… ファンヒーターもご使用ですね!

しゃがみかけたお兄さんの足元にホコリのかたまりが見えたので、超光速でつまみあげた。

家と家主のキタナさにもかかわらず、点検は問題なく終わり、サインを求めるお兄さんに

ホントに散らかってて… このことはどうか ご内密に

思わず小さい声になると

わかりました… 

と、お兄さんまでがなぜか眉をひそめ、ヒソヒソ声になった。



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/04/04 11:45

ねんれい話。

ふだん年齢を意識することはあまりない。

さいわい大した不調はないし、見た目はトシ相応にイタんできても、ものの考え方や気持ちはずっと足踏みしているから、主観的には中学2年生くらいの感じでいる。

唯一、現実を突きつけられるのは、同年輩の人がテレビで紹介される時である。

もちろん向上心のない私のことだから、美魔女に触発されたりするわけではない。

人生にくたびれ、肌のハリと毛髪を失ったオッサンの、力なくたるんだ顔の下に

ナンノナニガシ(54)

などとキャプションが出ると

アタシって このオッサンと同い年?!

思い知らされて、ショックを受け、改めて洗面所に鏡を見に行く。

ふだんの手入れの悪い顔を、この時ばかりは仔細に点検し、さっきのオッサンほどではない、と確認できると安心して、テレビの前に戻るのである。

オッサンにしてみれば、えらく失礼な話だ。

私がテレビに映る予定は今のところ無いが、もしそうなったら、世のオッサンたちはどうせ

オレって このオバハンと同い年?!

と思うのだろうから、おあいこである。

でびゅーふじん
(この人はたぶん、私の母と同い年である)



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/03/19 11:50

あまざけ話。

あまり好き嫌いのない私だが、どろどろして薄ら甘いものがちょっと苦手だ。

おかゆはキライだし、バナナジュースやシェイクも好きではない。

スムージーなんてものが流行ったが、固形で食べられる果物や野菜を、わざわざ電気を使って粉砕する意味が分からない。人間には歯というものがあるだろう。

この手の苦手食品の一つ、甘酒が、ちかごろ流行っているらしい。

夕方のローカルニュースで、自家製甘酒の作り方を紹介している。

灘や伏見に酒どころのイメージを奪われ、パッとしないわが県だが、実は清酒発祥の地であって、県内には酒造所がたくさんあるのだ。

甘酒そのものには興味は無いが、地場産品には注目しておこうと、腰を据えて見た。

…米麹210グラムをよくほぐします…

なるほど酒粕ではなく麹を使うのだな。

…炊いたご飯210グラムはさましておき、さきほどの麹とよく混ぜます…

ん?

…次にボウルに80度のお湯580ccを注ぎます…

んんん?

なんで580cc?

どうして210グラム?

キリのいい200グラムと550ccでいいように思うが、それじゃダメなのだろうか。

甘酒苦手な私には、もとより無関係なことではあるが、どうやら甘酒作りは厳密な計量を要する、むずかしいものらしい。

あまざけ
(甘酒が飲める酒蔵カフェには行ってみたい→久保本家酒造 酒蔵カフェ


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てれびじょん | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/02/23 11:02

しゅうかつ話。

テレビを見ていたら、年配の男女が出てきて、ニコニコと自分たちのシュウカツについて話している。就職活動かと思ったら、終活だという。

終活とは、葬儀や墓など、自分の死んだ後の事前準備をすること。

近頃は誰かが何か思いつくと、すぐ「○○活」で、流行り物の嫌いな私は反感を持っているが、残された者に迷惑をかけまいという心がけはアッパレである。

数年前に亡くなった父が、生前そういうことを一切口に出さなかったため、どうするのが父の意にかなうのか、いろいろ迷った。(→ 「おはかの話。」

一言、俺が死んだらこうしてくれよ、と言い残してくれていたら、母もどんなに気が楽だったろう、と何度も思ったものだ。

しかし番組を見ているうちにだんだん違和感が膨れ上がってくる。

出演者はみな、墓は要らない、葬儀も要らない、と、こだわらない風を装っているが、よくよく聞けばそうでもない。

夫の実家の代代の墓には絶対入りたくない、とか、思い出のあの海に遺灰を撒いてほしい、とか、漠然と死んで漫然と墓に入るより、よほど強いこだわりである。

彼らの死後の希望を聞くうちに、つい、やらされる側の気持ちになり、ああメンドクセエ、と思ってしまった。

でっかい墓や盛大な葬式を要求するのも迷惑だけど、ナントカの曲を流せとか、ナニナニの木を植えろとか、コマゴマ指示を残すのも、同じくらいワガママじゃないのだろうか。

死ぬのは怖い。死んだ後のことを考えるのも怖い。

だから自分の思うままになると想像すれば、その時少しは安心していられるのかもしれない。

私ならどうかちょっと考えてみた。

私は自分は死んだら物体になると思っている。

物体になったら、法律に触れない限り、残った者が一番楽な方法で片付けてくれればいい。

逆に、どーしても私の偉業をたたえ、後世に残したい!と思うなら、巨大な墓石を立て、何千人も会葬者を集めて、ど派手な葬式をしてくれてもかまわない。

どんなハズカシイ葬式でも、物体だから平気だ。

テレビを見ながら、ちょうどそこにいたムスメとムスコに言ってみた。

アタシはさ~ 葬式だの墓だの 本当にどーでもいいから! 何をどうしたって化けて出たりしないから!

2人はちょっとギョッとした様子だったが、わりに素直にうなずいた。

子供には、これから時々こういうことも言っておこう。それが私のシュウカツである。

2001ねんうちゅうのたび
(全人類の墓標 「2001年宇宙の旅」より)



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てれびじょん | コメント(16) | トラックバック(0) | 2017/02/22 11:36

ゆきふる話。

不思議に静かで明るい朝。カーテンを開けると、外は真っ白だった。

西日本一帯を覆った寒気の影響で、この冬一番の

温暖な当地では積雪が珍しいので、なんとなくソワソワする。

コーヒーを手にテレビを点けてみると、全国ネットのワイドショーが映った。

雨模様の東京の空。雪は降らないようです、とアナウンサーがホッとした口調で言う。

ああそうかい、東京で降らなきゃ、それでいいのかい。

東京の雪は全国ニュースだが、うちみたいな田舎で珍しい雪が降っても、誰も何も言わない。

今さら腹も立たないが、それが当然になってしまっているのは、やっぱりいい気分ではない。

昔は住んでいたし、今も好きなお友だちがたくさんいる東京。

それでも、東京の人が慣れない雪道でスッテンコロリと転ぶ映像を見て、ついザマアミロ、と思ってしまう。

テレビを消して窓に寄れば、雪が木を、山を、そこらじゅうを暖かそうに覆っている。

私の醜い心も隠してくれればいい。

軽く、静かに、雪は降り続く。

ならこうえんのゆき



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/02/09 10:58
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