しまいの話。

イモートが帰省してきたので、外で会いがてら、一緒に展覧会を見に行った。

どっちか希望したというわけではなく、たまたま招待券があったのである。

かいけい
「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」奈良国立博物館

週末の博物館はごった返すほどではなく、ガラガラでもなく、ほどほどの混み具合。

アタシさ~ いつも思うんだけどさ~ 仏像ってもともと ピカピカだったんでしょ?

そうらしいね 大仏も、あんだけデカいけど 金箔貼ってあったっていうし

こんな風に薄黒いままにしとかないで ちゃんと貼りなおしゃいいのにね~

その方が もっとアリガタイ気持ちになるかね 

言いあいながら、仏像の間を巡ると、新品みたいに金色に光る阿弥陀様があった。

こりゃまたえーらいピカピカだねェ

ニセモンじゃないの~?

貼りなおせとか言うわりに、キレイだとニセモノ呼ばわりするのだからひどい話だ。

混雑を避けて、見物人の少ない展示ケースを覗くと、お経を墨書した巻物が広げてある。

もともと仏像の胎内に収められていたものらしい。

うーん、いい字だわァ~

イモートは書道師範なので、文字の美醜には敏感だし、崩し字が読める。

ねえねえ、じゃあこっちは?

ウーン… 上手いけど、ちょっと癖が…

じゃあさじゃあさ、これ何て読むの?

これは人の名前だとか、50画くらいありそうなこの漢字は何だろう、とか、熱心に見ていると、どんな面白いものがあるのか、と、他の見物人が寄ってきては、ガッカリして去って行く。

しばらくして、我々が見に来たのは仏像であった、とハタと気づき、観覧を再開。

この人キレイね、とか、手が長いのに足が短いね、とか、小学生レベルの感想を交換しつつ、順路を進む。

最後の展示室には、ほぼ同じ大きさの阿弥陀如来像が6点、ずらりと並べてあった。

作風や表情の細かい違いを味わうための配慮だろう。みな真摯な表情で、1つ1つ見比べている。

私たちも真面目な顔を作り、それに倣ったが、しばらくしてイモートがヒソヒソ声で

ねえねえおねーちゃん、どれか1つくれる、って言われたらどれにする?

と耳打ちしてきた。

ちょうど私も同じことを考えていたのだ。

この子と私は、本当にきょうだいなんだなあ、と思うと、なんだか心がなごんだ。



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ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/05/29 11:30

いらない話。

ムスコの大学から郵便物が届いたので、何かやらかしたかとドキドキしながら開封すると、

アルバムのご案内

という文字が目に飛び込んできた。

アルバムう?

先月入学したばっかりなのに、もう卒業アルバムの案内とは、4年も積み立てないと買えないほど高いのだろうか、と思ってよく見たら

入学記念アルバムのご案内
にゅうがくきねんあるばむ

はア?!なんじゃソレ?

シンジラレナイ思いで分厚い色刷りのパンフレットをひっくり返すと

~ご子息、ご息女のご入学の なによりの記念となります 入学記念アルバム~

新たな道を歩み出した2017年春の記憶を凝縮したこの一冊はご家族の宝物となるでしょう


さらにシンジラレナイ文章がずらずらと続いている。

いやいやいや、まだ1か月かそこらしか通ってない大学の思い出、要らねーし。

内容は、大学の沿革やキャンパス風景、合格発表や入学式の模様、個人写真とクラス写真など。

そういえば、アパート探しに行った時、なぜか会場に写真屋がいて写真を撮られたが、あれがこれだったのか。

こんなとぼけたことをやっているのは、ムスコの大学だけだろうと思いきや、昨今どこの大学でも入学記念アルバムを作っているのだという。

確かに教育熱心な親御さんにとっては、子供の大学入試は一大事業である。よくやった、と褒められるような、目に見える成果が欲しくなるのかもしれない。

それにしても2万は高いと思うが、私はケチなのだろうか。

念のため、ご子息にLineでお伺いを立てたところ

いらね

と、にべもない返事であった。



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/05/21 11:30

しゃんぷー話。

春から遠くの大学に通うようになったムスコは、大型連休に帰省した。

帰省といっても、目当ては地元のツレと遊ぶことである。

家ではご飯を食べて寝て、遅く起きては出て行くを繰り返し、最終日には夏物をカバンに詰めて、アッサリ帰っていった。

帰った後の部屋を見たら、スマホか何かのコードを忘れているので、念のため連絡した。

…あ、それ… こっちにもう1本あるから…

あ、そ じゃ送らないでいいね

…ウン… あ、そうだ… シャンプー…

へ?シャンプー?

…うちのシャンプーってさ あれ、何?

何って普通のだけど

こっち帰ってきてさ こっちのシャンプー使ったらさ えらいサラサラなんだけど…

1人暮らしを始めた時に、ムスコは気づいた。

ずっとゴワゴワだと思っていた自分の髪が、気づけばサラサラになっていることに。

それが、今回の帰省の数日の間に、またゴワゴワになった。原因はシャンプーとしか思えない、と、ムスコは言うのである。

確かにうちのシャンプーは、売り場にある中で常に最も安いやつだ。

…まったく… コーヒーといい… 安物買いもいいかげんにしろよ…

そう言ってムスコは電話を切った。

ちくしょう、何のための節約だと思ってやがる。

軽くムカついたが、ムスコが使っているシャンプーの銘柄は、一応聞いておいた。

さらさら
(ここまでサラサラにならなくてもいい ショートだし)



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/05/19 11:30

しらがの話。

私は、実の母であるおばーちゃんと、あまり似ていない。

顔立ちや体つきなど、父方の親戚に共通点が多い。中でも父の妹の叔母さんとは、親子と間違われるほど似ていた。

しかし幸いなことに、に関してはおばーちゃんに似たらしい。

父方の親戚は白髪が出るのが早く、亡くなった父も40代から染めていたが、母のほうはハゲはいても白髪はない家系。

90で亡くなった祖母でさえも、まだ黒い髪を残していた。

そんな私も、40代後半ともなると、チラホラ白いものが出始めた。

染めるほどの本数ではないので、見つけるたびにつんつん抜いていたら、おばーちゃんにキツーく戒められた。

その時、おばーちゃん曰く

シラガも毛のうち

たしかに、白かろうが赤かろうが、生えてさえいりゃなんとかできるが、ないものは染めることもできない。

あれから数年、50を過ぎたら髪は本数が勝負かもしれない、と思う。

子供時代から今に至るまで、おばーちゃんからタメになることを教わった記憶はほとんどないが、この件に関しては非常に感謝している。

ゆうざん
(私の白髪は海原雄山タイプ → ゆうざん話。 




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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/05/18 11:30

たすけた話。

おばーちゃんから早朝に電話。

た、た、タスケテ~!

驚いて実家に行くと、腕をまくり、濡れ手のまま出てきて

泥だらけじゃ悪いから 一応洗っといた…

と、すでに疲れている。

台所に行くと、シンクがあふれるほど大量のホウレンソウが山盛りになっていた。

もー、イノウエさんにも困ったもんだね…

そうなのよ…いないうちに置いてくんだから 断りようもないし…

ご近所のイノウエさん、時々畑のお野菜を下さるのだが、その量が尋常でない

今朝もゴミ出しから帰ってくると、玄関ポーチに段ボールが置かれ、中にホウレンソウが詰まっていたのだという。

前はうちとシノダさんとウエキさん、3軒でもらってたんだけどね…

シノダさんは亡くなられ、ウエキさんがお子さんとご同居のため越して行かれて、3軒分のお野菜が、おばーちゃんに集中するのである。 

あの人、畑は上手だけど友達が少ないのよ…

くれるほうももらうほうもオバアサンなのだから、植える量からちょっと考えりゃーいいのにと思うが、畑というのはそう簡単には行かないらしい。

おでん鍋を出して大量のお湯を沸かし、何度かに分けてホウレンソウを茹でる。

あまりの量にお風呂で茹でたら、と提案したが、アクがつくからイヤ、と却下された。

さしものホウレンソウも熱には勝てない。クタッとなったところを絞って、ありたけのタッパーに詰め、冷凍庫と冷蔵庫に分けて仕舞う。

ヤレヤレと腰を下ろすと、おばーちゃんはお疲れ様、とお茶を出してくれた。

帰りのバスの車中、イモートにLineで

今、おかーさんとこの帰り

と報告すると

母の日だもんね 喜んでた?

と返信があった。プレゼントを渡すどころか、ホウレンソウを大量にもらってきてしまったので、シマッタ、と思いつつ

喜んでた、と思う

と返事をした。

ははのひけーき



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ごかぞく | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/05/15 11:30
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