のんびり話。

4月から、ムスコが住む町を見に行った。

特急電車で2時間ばかり。フワフワ旅行気分になりかけたが、そうもしていられない。

不慣れな場所をアチコチして部屋探し。どこに行くにもバスの本数が少ないし、とにかく乗り継ぎが悪い。聞きしに勝るクルマ社会であるらしい。

加えて独特のノンビリペースで、万事がはかどらない。歌うように語尾をひっぱる、この地の方言のイントネーションまでが、なんだかいまいましい。

私は田舎者のくせに生来のセッカチなので、地元で行動する時の5倍はくたびれた。

なんとかやるべきことは済ませて、ひとまず帰宅の日。ホテルを出て、駅までタクシーに乗った。

ヤギに似た白髪の運転手さんは、生粋の土地の人らしく、この2日ですっかり聞き慣れた口調で

そうかね 大学へね ここはいいとこですよぉ (この「~」の部分が独特)

…はア…

怖い事件もないし 学生もおとなしいしね

…そーすか…

ヘトヘトの私ははかばかしい返事もできず、代わりにムスコが相槌を打っている。

例のノンキなイントネーションが、波のように耳をうち、ついウトウトしかけた時、大通りにさしかかった。

あーあー えーらい混んどるわ ちょっと他へ行ってもよろしいか

了承を求めたので、いいですよと言ったものの、そのえーらい混んどる道路は、私の目には普通に流れているように見える。

あれで混んどるなら、ふだんはどれだけスッカスカなのだろう。

駅前で降りて、ムスコを見たら、ふだんにも増してフヌケた、ノンビリした表情になっていた。

もしかしたら、ムスコはいい土地を選んだのかもしれない。ふとそう思った。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/03/15 12:09

ほわいと話。

私はこう見えて旧弊で義理堅い人間である。

いただきものをしたら、お返しをしなければならぬ、と思っている。

釣り合いの取れたお返しを、いいタイミングでお渡しするのは気を使う。あまり高価だとイヤミだし、もらってすぐにお返しすると、バシンと打ち返すようで感じが悪い。

お返し一つとっても、本当にいろいろ考えることがあるのだ。

そんな私が今、ヤキモキと気をもんでいる。

ムスコも男子のハシクレなので、バレンタインにはお恵みでチョコをもらったらしい。

お返ししなくていいの?

と聞くと、

…いい… 要らねえ…

なんで?ホワイトデーだよ?

…あんなの オヤジの風習だろ…

ムスコいわく、学生のチョコ配りは告白とか好意とかではなく、ただの集団イベント、皆でチョコを食う日である、と。

…持ってきたやつも 自分でバクバク食ってたぜ…

いや、でも…

本当に本当だろうか。

はるか昔のOL時代、義理チョコに適切なお返しをしなかったオジサンが、裏でどれだけひどく言われていたか、それを思い出すと、あっそう、と簡単に引き下がる気持ちにはなりにくい。

本当に本当?ダイジョブ?

…大丈夫じゃなくったって もう会わないんだから平気だろ…

アッサリしたものだ。

なんだか急に、心配性のババアになった気がしてきた。

ほわいとでー



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もろもろ | コメント(22) | トラックバック(0) | 2017/03/14 11:31

しゅにえ話。

当地に春を呼ぶと言われる行事が、お水取りである。

お水取りお水取りと呼んでいるが、正式には修二会という。もとは旧暦の2月1日から行われていたので、二月に修する法会という意味をこめて「修二会」なのだ。

東大寺二月堂の修二会は、創始以来千二百有余年もの間、一度も絶えることなく、連綿と引き継がれてきた。

若狭井という井戸から観音様に供えるお香水を汲み上げる行事や、行を勤める練行衆の道明かりに灯す大きな松明が有名で、そのためお水取り・お松明の名でも呼ばれる。

(→華厳宗大本山 東大寺

と、ここまでは県民のタシナミとして、私も以前より了解し、ことあるごとに無知なる他県民に教えてあげていた。

ところが今年になって、ショックな事実を知った。

お水取りの正式名称だと思っていた修二会に、さらに別称があるというではないか。

十一面悔過

じ、じ、じゅういちめん、け、けか~?

この、何が何だかわからない5文字が、お水取りいや修二会の、実は正式名称だというのだ。

みんながお水取りって言ってるのは、ホントは修二会なんだけど、実はそれも正式名称じゃなくて、ホントのホントはジューイチメンケカっていうんですよ~♥

そんなこと言われて、あーハイハイと受け入れられるものだろうか。

このぶんでは、ジューイチメンケカで安心していたら、ホントのホントの正式名称がまた出てこないとも限らない。

やはり、千三百年近くもやってる行事となると、一筋縄ではいかないのだ。

伝統のお水取りは、本日深夜におこなわれる。

のりこぼし
(このお菓子の名前は「のりこぼし」で間違いない…と思う → 御菓子司 萬々堂通則



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もろもろ | トラックバック(0) | 2017/03/12 11:24

くようの話。

今日はひな祭り

うちにもムスメがいるから、ささやかながら毎年お雛さまを出して飾る。

しかし周りのお母さん連中に聞いたところ、子供が大きくなるにしたがって、お雛さまを出さなくなるおうちも多いらしい。

年に一度しか出さないお人形を、一度も出さなくなったら、それは不用品である。

押入で場所をとるばかりの雛人形が厄介者に思えて、処分を考えるようになるが、人形というのは非常に捨てにくい。

そこで誰しも思いつくのが、人形供養

ゴミに出すのは気が咎めるが、いくばくかの供養料を包めば罪悪感が薄れるのか、お願いする人はとても多いらしい。

へそ曲がりの私はこの人形供養というやつが何だか気に食わない。

供養といったって結局代わりに捨ててもらうわけだ。それを都合よく、イイコトしたみたいに言い換えるのは、ズルくないか。

今の家に越す前、荷物の整理のため、ずいぶんと物を捨てたが、中には人形やぬいぐるみもたくさんあった。

私だって鬼でも蛇でもない。カワイイ顔のあるものを捨てるのはつらかったが、歯を食いしばってゴミ袋に詰めた。

あの時、私は意地になっていたのだと思う。

お人形を、クマさんを、買ってしまったのは私。自分で始末をつけないで、誰かに代わってもらうのは、卑怯に思えた。

街で、お店で、かわいいお人形を見て欲しくなることは、今もある。

そんな時、ゴミ袋の中から私を見ていた、ピンクのウサギのまるい瞳を思い出しては、グッと思いとどまるのだ。

ぱんだのひなまつり
(パンダのひな祭りはササと氷でお祝いする)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/03/03 11:46

にている話。

出品が危ぶまれた趣味のグループ展(→ 「しめきり話。」)であったが、なんとか間に合って、今日は開催初日

作品搬入のあと、受付のお手伝いをする。

ミゾグチさん、という、よく知らない女性と一緒に、芳名帳の前に座ることになった。30代後半くらいだろうか、意志の強そうな眉が印象的な美人だ。

ふと、ハラちゃんに似ているな、と思った。

学生時代の友人のハラちゃんとはしばらく会わないが、似顔絵を描くとしたらまず描きたくなるような、濃くてきれいな眉をしていた。

今日の案内ハガキはいちおう出したけれど、どうしているかしら。

友だちに似ていると思うと親しみが湧いて、初対面のミゾグチさんが好きになった。

シロウトの集まりが見せるタダの展覧会だから、応対に困るほど人が来ることはない。合間合間にお話しながら、ポツポツとやってくる人に応対をするうち、午後も遅くなった。

会場の入り口に新しくやって来た女性の顔に、なんだか見覚えがある。

ハラちゃん?ハラちゃんなの?!

驚いたことに、数年来会わないハラちゃんが、ハガキを見て来てくれたのだ。

嬉しくなって思わず席を立ち、久闊を叙する。しばらくは夢中で会わない間の話をしてから、では作品を見てね、と、いったん受付に戻った。

お友だちですか?

ミゾグチさんはニコニコして尋ねてくれたが、その顔を見て、内心驚いた。

似てない。

ハラちゃんとミゾグチさん、並べて見るとぜんぜん似てない。

フリーダ カーロとヴィヴィアン リーくらい、似てない。

一体全体どこをどう見てこの二人が似てると思えたのだろう。

誰に似てるとか彼にそっくりだとか、うかうか口に出すべきではない、とあらためて自戒した。

ふりーだ かーろ   びびあん りー
( Frida Kahlo 、1907.7.6- 1954.7.13 )( Vivien Leigh、1913.11.5-1967.7.8)




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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/02/19 11:30
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