むずむず話。

ちゃつみ

♪ 夏も近づく八十八夜   ♪
♪ 野にも山にも若葉が茂る ♪


爽やかに晴れた日。停留所でバスを待ちながら、脳内ハナウタを楽しむ。

本当は、誰もいなければ歌いだしたいところだが、連休の旅行に出かける家族連れが、後ろに列を作っている。

道路も混んでいるのか、定刻になってもバスは来ないが、こんな日なら待たされても、ハナウタ(脳内だけど)交じりで待てる。

♪ あれに見えるは茶摘みじゃないか ♪ ……?

あれに見えるは、新茶の若芽…ではなく、青々とした雑草

雑草などという草は無い!と叱られそうだが、名前を知らないのだからしかたがない。子供の頃、庭に生えてくると、必ず抜いていた草だ。

田舎の家の庭は無駄に広くて、草引きはなかなかの苦労である。台所をうろちょろされるのがキライだった母が、われわれ子供に命じた「お手伝い」のダントツ1位は「草を抜くこと」であった。

ひとくちに草と言ってもさまざまだ。

背ばかり高くなるやつ、地を這うやつ、日陰に生えるやつ…植生を考えるには格好の知的機会だったはずだが、凡庸なる私の関心事は

簡単に抜けるか、抜けないか

この一点であった。

どんな草にも抜き頃というのがあり、それを逃すとテキメンに抜きにくくなってしまう。抜き頃を逃さず、ひげ根の先までイッキに抜けると、本当に気分が良かった。

植物には詳しくならなかったが、子供の頃のその経験から、いまだに草を見ると、スッと抜けるやつか、抜けにくくて手こずるやつか、すぐわかる。

バス停に生えていたそれは、まさに抜き頃であった。

敷石の隙間のヤッカイな場所に生えているが、今なら根元を持って引けば一度で抜ける。

ついしゃがみかけて、慌ててひざを伸ばした。

抜いたとしてどうする。泥のついた草を持ってバスに乗るのか。

並んでいる親子連れも、前のオバサンがいきなりズボッと草を抜いたら、驚くだろう。

ハナウタも忘れて迷っているうちに、バスがやって来た。

ムズムズする手をグーパーしてから、定期入れを取り出す。帰りに見に来よう、と心に決めて。



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/05/03 11:31

しきしま話。

北海道や東北を周遊する、あたらしい豪華寝台列車が運行を始めた。

とらんすいーとしきしま

真新しいユニフォームの係員に迎えられて乗り込む乗客の映像を見ていたら

本当に、心の底から、この列車に乗りたいの

と、1人1人捕まえて、詰問したい思いに駆られた。

この手の豪華列車に乗る動機も様々であろう。純粋な旅の楽しみばかりではないはずだ。

誰よりも早く豪華列車に乗るという話題性

高倍率の抽選をくぐり抜け、乗れずに指をくわえる人を尻目に乗り込む優越感

くわえてドッとおカネを使う快感もあるはずだと、私はにらんでいる。

おカネを使う一番の楽しみは浪費である。

しかし、どうどうと浪費をするのは、なかなか難しい。

いちばん簡単な浪費は買い物だが、難点は買ったモノが手元に残ることだ。モノは邪魔だし、見るたび無駄遣いを責められる気分になる。

その点、旅行は後に何も残らないし、なにより聞こえがいい。

話題の豪華列車に乗る、と聞いて、いいなあとうらやむ人はいても、非難されることは無い。

カジノで100万円スッた、と聞いて眉を顰める人も、3泊4日で95万円の豪華列車、と聞けば、あらステキね!と言うのである。

豪華列車で純粋に旅を楽しむ方には、きわめて失礼な内容になってしまったが、しょせんビンボー人のヒガミ、見逃していただきたい。



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もろもろ | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/05/02 11:57

ばばしゃつ話。

私はオバサンなので、ババシャツを愛用している。

商品名としては、レディースインナー、とでもいうのだろう。

Tシャツ1枚で過ごす真夏以外は、ほぼ通年、何かしらのババシャツを着用に及ぶ。

近頃めっきり暖かくなったので、厚手の長袖はひっこめ、今日はコットンセーターの下に、半袖のババシャツを着て出かけた。

楽しい1日を過ごした帰りの電車。暗い窓に我が身を映して、ギョッとした。

セーターの襟あきから、ババシャツが盛大に見えているではないか。

慌てて上着を羽織り、襟元をかき合わせるが、顔が赤くなっているのが分かる。

むかしむかし、学生の頃、セーラー服の襟元からババシャツがはみ出ていることをババチョロと呼び、それは女学生にとってこの上ない恥辱であった。

私も50になり、相当ずうずうしくなったからまだいいが、昔なら明日から学校に行けないところである。

襟元を気にしながら帰宅し、その日一緒にいた人に

今日1日ババシャツが出てたよ~! 注意してよ~!

と、メールしたら

あれババシャツだったの? レースが華麗だったから ワザとかと思った!

と返信され、よけい凹んだ。

ばばしゃつ
(このようなタイプは今や少数派である)



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/04/25 12:01

めろでぃー話。

コールセンターに電話で問い合わせる。

カスタマーサービスの電話番号にかけると、申し訳ございませんがこちらではわかりかねます、と言われるが、この程度は想定の範囲内なので、腹も立たない。

あーハイハイ、じゃあ分かるところに回してください

おそれいりますが少々お待ちください

ところがその少々が、少々の少々ではない

♪ぴろりろぴろりろ ぴろりろぴろりろ ぴろろりりぴろりろろ♬

保留音が延々と流れる。

この、保留音というのも、会社によってさまざまだ。

この会社はピアノ曲、それも、その昔カレーのCMでナカムラヒロコが弾いていたような、華麗で速いテンポの曲を採用している。

はうすざかりー

♪ぴろりろぴろりろ ぴろりろぴろりろ ぴろろりりぴろりろろ♬

早いタッチで気がせいて、イライラを助長する。

しかし、かといって

♪り~ら~ り~ら~ り~らら~り~り~♬

というような悠長な曲が流れたら、それはそれでムカつくかもしれない。

大変ながらくお待たせしております まことに申し訳ございません

というお詫びが流れる会社もあるが、私のようなひねくれ者は、申し訳ないとか思ってないくせに、と、無用な反感を抱いてしまう。

保留音ひとつとっても、難しいもんだ。

けっきょく、3カ所をタライマワシにされ、とくに得るところのないまま、電話を切った。

まあこの程度は覚悟していたので、いちいち腹を立てたりはしない。

唯一ムカつくのは、

♪ぴろりろぴろりろ ぴろりろぴろりろ ぴろろりりぴろりろろ♬

このメロディーをソラで歌えるほど、バッチリ覚えてしまったことである。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/04/18 11:12

かこんだ話。

年に一度、イースターの休暇に帰省する友だちを囲む会がある。

花どきだけれど花見をするでもなく、ウバザクラが5、6人集まって、飲み食いするだけの会である。

帰省の日にちが決まるとメールがあり、来られそうなメンバーに声をかけ、お店を予約する。

毎年恒例のこの会に、今回異変が起きた。囲まれる当人が、直前になって熱を出したのだ。

やむをえず、囲まれる人不在の、囲む会が行われた。

囲む会といってもじっさい囲むわけではない。みんなで居並んで、ご飯を食べるだけである。

かごめかごめ
(このようなことをする会ではない)

囲まれる人だって、他の人に比べて特に注目されるでもなく、テーブルスピーチをするでもなく、メンバーの1人に過ぎない。

どこから来ようが、1年ぶりに会う、という点では、みんな同じなのだ。

今年の囲む会が囲んでいるのは、囲まれる人がご所望のスキヤキである(ややこしいなあ)。

ナニナニ牛と名前のある高級牛肉が、花びらのように煮えている。

おしゃべりなウバザクラ連のこと、何があろうとも、いつもどおり話は弾んだが、牛肉の高級さにかかわらず、心なしか目出度さに欠ける会となった。

やはり囲まれる人がいないせいかもしれない。

会費を肉の枚数で割り、千円札を煮て食べたようなものだなあ、と思いつつ、家に帰った。

玄関に立てば、いずこからとも知れぬ桜の花びらひとつ。

今年も花見をしないまま、花ももう終わりである。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/04/17 11:54
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