せーるの話。

その店の前を通ったら、セールをやっていた。

いいなと思いつつ、なんだか敷居が高くて、入ったことのない店だ。

私にとって敷居が高い店というのは、お値段の高い店ではない。

なにしろ、こちとらバブル世代である。

シャネルだろうがヴィトンだろうが、ウン万だろうがウン十万だろうが、ビクともしない。(買わないけど)

入りにくいのは若い人向けの、かわいい感じの店である。

50代って難しい。

もう少し年配になれば、若い子向けのファッションに興味を持つのも微笑ましいし、マゴに買ってやるのよ、という顔もできる。

しかし、私の年頃では、自分は若いと誤信している、あるいは若くありたいと悪あがきしているようで、いたたまれないのだ。

もちろん、ウッカリ入ったとしても、礼儀正しい店員さんは、そんな風を見せはしない。それでも

フフフ…オバサン、がんばっちゃって…

内心そう思われはしないか、ビクビクする。

しかし、セールの時なら

セール好きのオバサンですよ~

という顔ができるではないか。

ヨシ、入ってみよう。

念のため、ドア付近に示されたセールの表示を確認する。

0ぱーせんとおふ

ぜろぱーせんとおふ?

それはセールではないのでは?

そう思ったが時すでに遅し、自動ドアが開き、

イラッシャイマセ~

若いかわいい声の合唱が、オバサンを迎えた。



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ごきんじょ | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/11/20 11:30

ひっぱる話。

喫茶コスタリカ(→こーひの話。)の

コーヒ

という表記。

昔はこの手の庶民的なお店でけっこう目にした。

ひっぱる音を省くなら「コヒ」とでもなりそうなものを、なんで文末だけ、音引きを略しちゃうんだろう。

思い当たるのは、短い言葉の語尾をひっぱる、関西弁の特性である。

特に1字の語では、この特性が著しい。

関西人は、手を「てえ」と発音する。

目は「めえ」で、歯は「はあ」だ。

しかし、字に書く時は、ちゃんと手、目、歯と書く。

かのばか
(これは「かあ」である)

同様に、「こおひい」の末尾の「い」は、省くべきだと考えたのではなかろうか。

「コーヒ」と書いたオバチャン(なぜかオバチャンのような気がする)も、口頭では「こーひー」と発音しているに違いない。

おお、結論が出た。

しかし、この仮説は、その隣に書かれた

コーラー

によって、軽々と覆されてしまうんである。

おしょゆう
(オバチャンはこれを「おしょゆう」と呼ぶ)



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もろもろ | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/11/19 11:30

こーひの話。

昔の高校生は喫茶店に屯した。

たわいないおしゃべりとバカ笑い、そして流行のインベーダーゲーム

すぺーすいんべーだー

お小遣いが潤沢なクミポンは百円玉を何枚もテーブルに積み、ピュンピュンと音を立てて、光る虫をやっつけている。

私とサオリッチは、フトコロの温かい時にはパフェやクレープ。ふだんは飲み物1杯で、いつまでもネバる。

喫茶店で一番安いのはだいたいホットコーヒーである。冷たい飲み物は氷が溶けて薄くなるので、長居には不向きなことを知った。

あそこはコーヒー200円だよ、などと、安い喫茶店の情報にはみな敏感だった。

高校周辺で一番安いのは、喫茶コスタリカ

店名から連想される南米感はゼロ。ウエイトレスと呼ぶのもはばかられる、年齢不詳のオバチャンが、ぬるい水を運んでくる。

うっすら汚れた化粧合板の壁には手書きのメニュー。

コーヒ 100円

コーヒー、じゃないんだな、などと思いつつ、その隣に目をやると

コーラー 150円

「-」はなぜか、50円高いほうに引っ越している。

頭が痛くなるほど長っちりをして、外に出れば日は既に傾き、冷たい空気がほてった頬に快い。

あの店はどうなったのだろう。心当たりを歩いてみても、今では何のあとかたもないのだ。



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むかしむかし | コメント(5) | トラックバック(0) | 2017/11/18 11:30

こーらの話。

高校生になった私には、果たしたい夢があった。

コカコーラを飲んでみたい。

その頃コーラは既に普及していたのだが、うちでは母に禁じられていたのである。

何が入ってるかわからない、あんな黒いもの…

という母のお気に入りは、透明なキリンレモン

中学の前の駄菓子屋には、チェリオという量ばかり多い炭酸飲料しかなかった。

高校で電車通学になり、小遣いもいくらか潤沢になったので、ぜひともコーラデビューをしたいものだと思っていた。

お弁当の時、その夢を語ったところ、一緒に食べていたサオリッチは、意外な反応をした。

ええっ!それは珍しいよ!

そお?

確かに、高校生でコーラ飲んだことないって珍しいね

横からクミポンも同意する。

笑われたことはあっても、珍しがられたのは初めてで、嬉しい気もしたが、話は意外な方向に転がっていく。

せっかくなんだから記録を更新して行くべきだよ!

そうだよね コーラなんて珍しくもない 飲んだことないほうがずっと…

珍しいし貴重だよね!

その日その場で、クミポンとサオリッチによる「ぢょん子をコーラから守る会」が、私の同意なく結成された。

構内の自販機に近寄ると、2人が駆け寄ってきて

何飲むの?

えーと… コーヒー牛乳…

厳しいチェックが入る。

守る会の活動は、いつしかクラス全員の知るところとなり、会員でない男子までが、通りがかりに

おい コーラ飲むなよ…

と、声をかけていく始末。

なんだかなあ、と思いつつも、私のコーラ飲まない記録は1日、また1日と伸びていく。

どれくらいやったのだろうか。けっこう長かったような、そうでもなかったような。

女子高生は移り気だ。

いつのまにか、守る会は消滅し、私もいつのまにか、当たり前にコーラを飲んでいた。

はじめてのコーラの味は覚えていないが、ただ自販機の前でキャーキャー騒いでいた、あの頃が思い出される。

あれからずいぶん経つけれども、あいかわらずコーラには、何が入っているかわからないままだ。

きょうりゅうのこーら
(今じゃお土産にもらってしまうほどのコーラ好き)



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むかしむかし | コメント(16) | トラックバック(0) | 2017/11/17 11:30

あきかん話。

1人暮らしにもかかわらず、空き瓶や空き缶はかなりのペースで溜まる。

リサイクルに協力したいのはやまやまだが、分別回収のめんどくささはなんとかならないのか。

分別回収といっても、分けるだけでは終わらない。

牛乳パックは洗って、乾かして、平らに切り開いて。ペットボトルは洗って、ラベルとふたをとって、つぶして。

それぞれに細かくやり方が決まっている。

なんだかんだいって私はマジメなので、チマチマやるが、つぶすというのがよくわからない。

缶をつぶす機械が市販されているのは知っていても、買わされるのは業腹だ。

ぺっちゃんこにするならともかく、手でつぶしたくらいでは、たいしてカサは減らないだろう。

そんなの迷信だと思っていた。

現に回収ボックスの中を見れば、つぶさない缶がほとんどではないか。

ところが先日、回収ステーションまで持って行くのに、アルミ缶を1つ、何気なくつぶした。

すると、手提げに入りきらなかった缶が、あっさりおさまったのだ。

驚いて、残りの缶を全部つぶしてみた。

特別な用具を使ったわけではないし、満身の力を込めたわけでもない。缶の胴中を指で押しただけである。

あきかん

それだけのことで、手提げ袋に入る缶の数が、おおかたになったのだ。

つぶせつぶせというのにも理由があったのである。

今後はじゃんじゃんつぶしていきたいし、あらゆる空き缶はつぶすべきだ、と強く思っている。

曰く、過ちて改むるに憚ること勿れ

しかし、そう思って回収ボックスを見ると、つぶしていない缶ばかりが目につく。

まったく、どいつもこいつも!

以前の自分を忘れたかのように、義憤に駆られる私である。

曰く、君子豹変す



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/11/16 11:30
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