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くーぽん話。

私は基本、割引に惹かれない人間である。

1円2円の安さにつられ、チラシを見て右往左往するなんて時間と労力の無駄、と考えてきた。

割高でも、必要なものだけを買う自分を誇りに思うし、また常にそうありたいと思っている。

ところがその私が

くーぽん1

このクーポンを手に、迷っている。

サイフの整理をしていて、レシートとつながっているのを見つけたのだ。

150円はなかなかの金額だが

どーせ5千円くらい買わなきゃダメなんでしょ

負け惜しみ的に券面を注視すると

お支払金額が1000円(税込)以上…

せんえん!しかもゼイコミ!

にわかには信じがたい文字が、くっきりと印刷されているではないか。

昨日生協が来たばかりだし、花粉は飛んでるし、今日は家で仕事しようと思っていた。

それなのに

くーぽん2

クーポンの有効期限は今日までなのだ。

買って買えないことは無いし… 天気はいいし…

うっかりするとフラフラ出かけそうになるが

待て!要らないものは買わないんじゃないのか!

150円と、人間としての誇りが、いま私の中で激しく争っている。

安い誇りだな!
(↑カミナリのたくみ君ふうにお読みください)



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もろもろ | コメント(5) | トラックバック(0) | 2023/03/29 11:30

こどもの話。

いつも伺うブログ(→とっしーのつれづれ)で、懐かしい電車のレポートを拝見した。

阪堺電車(はんかいでんしゃ)は、大阪の南部を走る路面電車。

チンチン電車と呼ばれ、明治以来、100年以上親しまれてきた市民の足である。

ずいぶん昔、今ごろの季節のこと。

誰とどこへ向かっていたか、サッパリ思い出せないが、その日私は阪堺電車のシートの上にいた。

春休みのお出かけらしい家族連れで、車内はほどほどに混んで

…××@@%%%…!

座席に膝立ちになって窓の外を見ながら、5、6才の男の子が何か言っている。

電車が好きなのだろう、ウキウキと肩を揺らして楽しそうだ。

2人も産んどいてナンだが、私は子供が苦手だ。若かったその時はなおさら

チッ うるっせえな…

しかめっ面をしたい気持だった。

…××@@%%%…!

それにしても、この子は何を連呼しているのだろう。柄にもなく興味が湧いて、耳を澄ますと

…んかいのっても…電車

ん?

なんかいのってもはんかい電車

ああ!

何回乗っても阪堺電車!

ときどきお母さんの方を振り返る顔には、嬉しくてたまらない表情がいっぱいに浮かんでいる。

男の子って バカでかわいいなァ

はじめてそんなことを、思った気がする。

その数年後に、自分が子供を持つなんて、思いも及ばなかったころ。

あの日も、今日のような花曇りだった。

はんかいでんしゃ



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むかしむかし | コメント(3) | トラックバック(0) | 2023/03/28 11:30

てんどん話。

昨日の夕飯は天丼だった。

とても美味しかったのだが、反面釈然としない。

そもそも、その店に入ったのは、きわめて日本人的な欲求に駆られたからであった。

生のお魚が食べたい…

近所の回転寿司が閉店して(→なくなる話。)以来、手軽に生魚を食べる機会が激減した。

ここは和食だから、お刺身の定食があったはず、と、店頭の食品サンプルも見ないで飛び込んだ。

店名や店構えは変わらないが、しばらく来ない間に、客席の配置が変わっている。

少々まごつきつつも着席、タブレット注文になっているのも、イマドキらしい。

さてメニューを…アレ?

なんだか、様子がおかしい。

こんなドンブリばっかだっけ?

見慣れないお料理ばかりで、以前よく食べたメニューが載っていないうえ

生ものが無い…

首を巡らし、入口付近を確認すると、たしかに店名は同じであるものの、その上に

天ぷら和食処

小さめの6文字が追加されていた。

私に断りもなく、いや断る必要もないんだけど、天ぷら屋になっていたのである。

しかたなく、いちばん大きく載っていた名物天丼をとる。

タネは好きなものばかりだったし、揚げたての天ぷらはとても美味しかったのだが、今に至ってもなんだか釈然としないのである。

しろくてんどん
(メニュー写真ほどそびえたってはないが、アナゴは美味であった)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2023/03/27 11:30

さがした話。

観光地でも、都心でもない郊外の駅は、混雑とは無縁の、ノンビリ暖かい空気が漂っている。

雰囲気につられ、ボンヤリと急行列車を逃して

ま、いっか…

ホームの待合室に入った。

次の急行は20分後だけど、急ぐ旅じゃない。バッグを膝にのせて、ベンチに腰をかけた。

先客は60代くらいの女性ふたり、お友だち同士らしく、並んでちんまり座っている。

和やかにおしゃべりの途中、ひとりが何か説明しようとしたのか、ふと手を広げたとき

…かつーん!

小さいけど硬い音がした。

アラ!あなた何か飛ばしたわよ!

ホントね… あ、これかしら…

手首のブレスレットを押さえている。はめこんであった飾りがとれたらしい。

ふたりしてきょろきょろと足元を見るから、私もつられて座席の下に目をやる。

…ア!

光るものを見つけたので、手のひらにのせて

これは…違いますか?

中腰で寄ってきた女性に示すと

あー、ちがうわ ゴメンナサイ…なんていうか パールみたいな…

左手を差し出して、それが嵌まっていたらしい、小さい丸い穴を見せた。

なるほど~

すみませんね 騒がしくして…

少し離れたところで、お友だちも謝ってくれる。

けっこう飛んだわよね

丸いから 転がったかも…

このへんで 落ちた音がしたような…

行きがかり上、私もバッグを座席に置いて、本格的に捜索に参加した。

…ヒュー…ゴゴン…ゴゴン…

やっと来た急行電車が、われわれ3人を乗せないまま、ホームを出て行く。

待合室のガラス窓越しに、日差しが暖かい。

そんな昼下がり。

まちあいしつ



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2023/03/26 11:30

ヨメナイ本。

私は絶版の文庫本を買い集める癖がある(→ケサレタ本。)。

買った本はもちろん、読む。

若いころから、読むのは速いほうだ。時間をかけて味わいたい本では、1日に読む頁数を決めたり

ゆっくり… ゆっくり…

読み終わるのが惜しくて、自分に言い聞かせたり。

やっと手に入れた絶版文庫、じっくり読みたいのはたしかだが、それにしてもはかどらない

読んでいると眠くなり

…バタリ

手から本を取り落して

ハッ!

はじめて気づく体たらくである。

絶版になるような作品は、やはりつまらないのか。

ふるいぶんこぼん

いや違う、字が小さいのだ。

くわえて古い本は紙が黄ばんでいるので、字と紙の色の差が曖昧で、より読みにくくなる。

新しい本と比べてみれば、その差は明らか…

あたらしいぶんこぼん

アレ?思ったほど明らかじゃないな。写真が暗いせいかな。

そういえばこのごろ、新刊書を読んでも、昔ほど速く読み進めない気がする。

これってもしかして本のせいじゃなくて、老眼…いや老化?



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ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2023/03/25 11:30
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