ヒッコシ本。

冬物を取りに、ムスメが久々に帰ってきた。しゃべりながら食べるご飯も久しぶりだ。

アタシさ~ 引っ越そうかと思って~

ムスメは、大学で入ったアパートに、卒業した今もまだ住んでいる。

やっぱり 会社遠いしさ~

イイじゃん 越しな越しな!

私は引越しが好きである。自分はこの先もう引っ越すことは無いと思うが、人が引っ越すと聞くだけでワクワクする。

あ、じゃあ荷造り手伝ってやろうか?

ヤだ!

いつもフニャフニャしてるくせに、やけにきっぱり断るところを見ると、また散らかしてんな。

私はムスメの部屋に行ったことがない。散らかった部屋を見るのがイヤだからだ。(→げしゅく話。

絶対怒るもん~ アタシ、もう死ぬまで 二度とゼッタイ怒られたくないから~

そんなに?!

そこまで言うなら仕方ない。手伝いには行かないことにして、飲み食いしてバカ笑いして、その日は終わった。

翌朝、ムスメが

あ、これもう読んだからあげる~

通勤カバンから文庫本を取り出した。

ありがとうと受け取った本を、ムスメが出勤して行ってからよく見たら

ざんえ
(「残穢」 小野不由美 新潮文庫)

アンタね、アパート探してるときに、よく読めたねこんな本。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/11/21 11:30

エイゴノ本。

初めて1冊通して読んだ英語の本は、高校の授業の教材。

主人公は、田舎の村に住む、仲良い2人の少年。1人は農家の、1人は漁師の息子である。

貧しくとも平和な彼らの村を、ある日大きな災害が襲う。家族を失い、たった1人生き残った漁師の息子がたくましく育ち、やがて親友の妹と結婚して一家を構えるまでを描いた作品であった。

もともと子供向けらしく、文字数も少ない、薄い本だった。

英語の先生がこの本を選んだ理由は、おそらくこの作品の舞台が日本であったためだろう。

生徒たちが親近感を持って読めるのでは、という、かすかな期待があったのではないか。

しかし結論から言えば、その目論見は大外れであった。

まず、主人公の少年たちの名前。

農家の息子がキノ、漁師の息子がジヤだというのである。

最初の授業でこのヘンテコな名前が読み上げられたとき、

え… 日本人なんでしょ…?

生徒は当惑し、教室はザワザワした。

アメリカ人の作者が、何を思ってこの名前に決めたのかわからないが、ハリウッド映画で、眼鏡をかけ、前歯が2枚飛び出した「ジャップ」を見た時のような幻滅を感じた。

人というものは、いったん違和感を持つと、あとはアラ探しになるものである。

キノがミソスープを飲んでも、ジヤが道でおじいさんに挨拶しても、玄関で深々お辞儀をしても、ちょっとしたヘンな感じが、ずっとなくならない。

合間合間に、西洋人が東洋的だと思っているアレ

じゃ~ん!

というドラの音が聞こえるようで、話に入り込めないのだ。

なじみのある事柄も、英語で説明すると、知らないことを言われた気がするが、そんなことも作用したかと思う。

生意気盛りの生徒は、薄笑いでこの本を読み、和訳し、ノートに書いた。

「THE BIG WAVE」の作者は「大地」のパール バック。

従来取り上げられることの少ない作品だったが、東北の震災以来、改めて読まれているという。

時機を得て、良い翻訳で読んでいれば、印象が違っただろうと思うと、とても残念である。

つなみ
「つなみ THE BIG WAVE」
パール・S・バック (著), 黒井 健 (イラスト), 径書房刊




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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/11/05 11:32

ルンルン本。

大学生の頃、ハデな装丁の、面白そうな本がベストセラーとなった。

時代はバブルに浮かれ、華やかなギョーカイの噂が、田舎の学生にも届くころ。

フンワリした憧れもあってその本を手にとったものの、一読して驚いた。

ぜんぜん理解できない。

著者は都会人をうらやみ、美人をねたみ、自分の容姿にひがむ

しかし、ご自分だって、東京の大学を出て、今を時めくコピーライターとして都会で働き、流行の衣服を身につけて、カメラの前でポーズをとっている。

私から見れば、著者も十分「そっち側」の人である。

なぜうらやむ?いったい何が不満?この上何がしたい?

どんな人にも、なにかしら共感の種はあるものだが、この人には何ひとつ共感できなかった。

本が売れたことで著者は有名になり、多くを手にしたが、なおそれに飽き足らない。

仕事では名声を。お金を手にしたら美貌を、そして次は結婚、それも理想の相手と。

ウラヤマシイ、ネタマシイ、モットホシイ…そんな塊を身内にくべては燃やし、羨望と嫉妬の黒煙を上げる機関車のように進む。

うらやむことが苦手な私は、少し年上の彼女の姿を、遠くから見て、あっけにとられるのみ。

いまだになんだか怖くて、どうしても好きになれない人である。

るんるんをかっておうちにかえろう
「ルンルンを買っておうちに帰ろう」林真理子 主婦の友社



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ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/10/10 11:30

ギンイロ本。

その朝、洗面所で目にしたものを、私は信じられなかった。

亜里沙が来た…。

彼女の名は本条亜里沙、またの名を飛鷹アリサ。

脱出不可能の洞窟に投げ込まれた、いたいけな13歳の少女は、一筋の日光も差さぬ地底で、知性と気力、体力を磨き、ついに4年後、再び地上の土を踏む。

自らを陥れ、愛する両親を死なせた3人のクラスメイトに、死の制裁を与えるために。

蘇った美貌の亜里沙の、復讐がはじまる…。

この少女巌窟王の冒険に、小学生の私がどれほどドキドキしたことか。

ぎんいろのかみのありさ
(「銀色の髪の亜里沙」 和田慎二)

17歳の少女が、相手が死ぬほど復讐するのもスゴイが、それ以前に13歳の少女たちが同級生を陥れる、というのもキョーレツだ。

昭和の少女漫画にリアリティーは必要ないのである。

ひときわ私の心を惹きつけたのは、4年間の過酷な地底生活で、亜里沙の髪が銀色に変わる、というエピソードだった。

復讐を終え、豪華客船で日本を離れたはずの、その亜里沙が、なぜ今になって…。

…というくらいのショック。

ヘアブラシに銀色の髪がいっぽん、くっついている。

生えている時はそう気にならないのに、抜け毛が白髪だとどうしてこう、ガックリ来るのだろう。

いや、きっと亜里沙が来て、うちのブラシで髪を梳いていったのだ。さすが神出鬼没のヒロインである。

そう思うことにしよう。



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ブックガイド | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/09/23 11:30

カイキャク本。

私は身体がかたい

子供の頃からずっとだから、昨日今日の話ではない。

トシもトシだから、健康番組を熱心に見ているが、体操やストレッチの話題は多い。肩甲骨を広げろだの、筋膜をはがせだの、なんだか物騒だが、要は身体を柔らかくせよということだ。

とにかく身体がかたいのは悪、かたい身体は万病のもと、であるようだ。

テレビで見たあとしばらくは、あっちを曲げたりこっちを伸ばしたり、紹介されたとおりにやってみるが、なぜか定着しない。

自慢じゃないが私はマジメで、水泳にしろ、ラジオ講座にしろ、やったほうがいいことはちゃんとやる人間である。

それなのにストレッチだけが続かないのはどういうわけか。

いろいろと考えてみたが、けっきょく理由は一つ。

イヤだから。

水がキライだから泳げないのと同じように。

ピーマンがキライだから食べられないのと同じように。

私は曲げたり伸ばしたりするのがキライなのだ。

ふだん腕を曲げたりヒザを伸ばしたりするのは、もちろんイヤではない(当たり前だ)。

不自然な方向に伸ばしたり、生活に不必要な角度まで曲げたりするのが、イヤなのである。

新たな弱点が1つ見つかったわけだが、克服すべき弱点があるのは、いくつになってもいいものだ。

もしこの先、自分がダメなやつに思えた時は、ストレッチをやればいい。

ずっとかたかった身体が柔らかくなったら、失った自尊心を、きっと取り戻せる気がする。

いつか必要になる日まで、かたい身体は取っておこうと思う。

かいきゃくぼん
(「どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法」長っげえな!)



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ブックガイド | コメント(11) | トラックバック(0) | 2017/09/08 11:30
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