だいあな話。

てりたびがやってないぃぃ!

朝食を食べ終えてテレビを点けたムスメが、リビングで騒いでいる。

ムスメの言う、てりたび、は「テレタビーズ」

てりたびーず

Over the hills and far away , Teletubbies come out to play…

のナレーションではじまり、ムスメが毎朝楽しく見ている幼児番組が、映らないというのである。

何の不具合かとリモコンを取り上げてチャンネルを変えてみたが、4つしかないイギリスのテレビ局のどれもが、同じ画面になっている。

薄暗いトンネルの入り口の映像。

…Princess Diana dies in Paris…

へ?今なんつった?

ボリュームを上げてテレビの前に座り、BBCのアナウンサーの声に耳をすます。

Diana, Princess of Wales, has died after a car crash in Paris…

なんですと?

ただでさえ乏しいヒアリング能力、おまけに隣ではムスメがずうっと

ママ てりたびは? ねーママ てりたびはいつはじまるの?

と連呼しているので、なかなか聞き取れない。

プリンセスダイと親しまれたその人が、恋人と過ごしていたパリで交通事故に遭い、亡くなった、と分かるまで、しばらくかかった。

離婚して以来、一挙手一投足に衆目が集まり、何をしても、どこに行っても、タブロイド紙の一面を飾ってきた彼女。

突然の死は、それまで以上のショックを、国民に与えた。

ロンドンで人と会う約束があって、通りかかったケンジントン宮殿は、しおれたの、新しいの、見たこともない大量の花の波に打ち寄せられ、下半分が見えないほどだった。

いろいろな意味で人騒がせだった彼女を、キレイだなあ、と思ったことはあっても、好きになったことはなかった。

美人でお金持ちで、貴族で、皆に注目されて、このうえ何が不満なんだ、と思ったこともある。

しかし、亡くなった後、堰を切ったように流れだした情報に触れて、少し気持ちが変わった。

あらゆるものを手にしても、一番欲しいものだけが、どうしても手に入らなかった人。

別れた夫は、笑顔が馬のような愛人を妻とし、棺の上の花輪に「おかあさん」とカードを添えた少年は、てっぺんハゲの2児の父となった。

そして美しい人は美しいまま、20年が経つ。

mummy.jpg



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/08/31 11:30

びじねす話。

夏休みも残すところ2日。

図書館に本を返しに行ったら、お母さんにおこられながら本を選んでいる小学生がいた。

そんな分厚いの 今日中に読めないじゃないの! 薄いのにしなさいって言ってるでしょ!

ははーん、読書感想文だな。

かだいとしょ

これから新規に本を読んで書くんじゃ、子供もお母さんも大変だ。

今にも泣きだしそうに憂鬱な子供の顔を見て、

そんなもん私がいっくらでも書いてやるのに… ハッ!

しまった!今年も忘れてた!

忘れていた、といっても、もうオトナだから宿題ではない。ビジネスチャンスである。

私は昔っから、読書感想文が大得意だ。(→ かんそう話。

50を過ぎた今は、だれも私に宿題を出してくれないため、その技能は埋もれたまま。

せっかくの能力を発揮しないのはもったいない、とケチな私はいつも思うのだが、かといってタダで使うのはイヤだ。

夏休みの宿題で困っている親子の足元を見て、読書感想文を書いてやろう。

宿題を請け負う会社は既にあるようだが、最速!即日サービスなら、高額料金が取れるかもしれない。

毎年そう思うのだが、夏が終わり冬が過ぎ、次の夏休みにはすっかり忘れてしまう。

今年もどこかで子供がメソメソし、私はビジネスチャンスを逸し、そして、夏休みが終わる。



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もろもろ | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/08/30 11:30

ばらばら話。

しばらく会ってない友達と、電話で話す。

えー、じゃあ、ムスコ君も家にいないの?

ウン 大学遠いし、通うのは無理…

家族バラバラだね 心配じゃないの?

そう言う彼女は、成人したお嬢さん2人を自宅から職場と大学に通わせている。大学を決める時も、就職の時も、家から通える、というのが条件だったという。

こういうことは個人の考え方なので、お互い指図がましいことは言わないが、2人の子供をてんでバラバラに外に出して平気でいるなんて、気が知れない、と、彼女は思っているに違いない。

まあ心配っちゃ心配だけど、いつまでも後をついて回るわけにもいかないしね

でもほら地震とか、最近だとミサイルだとか…

あーねー…

あいまいに言葉を濁して、話題を変えた。

一緒にいてミサイルから逃れられるとは思えないが、遠くにいる子供のところに、大災害があったら、という危惧は常にある。

離れ離れでは、助けることも、話すこともできないと思うと、ギュッと胸が苦しくなる。

でも、逆に、私の家のほうに、何か起こったとしたら。

ああ、あの子らが うちにいなくて良かった

私はきっとそう思う。

一緒だと3人全員に災難が及ぶけれど、離れてさえいれば、1人でも助かるかもしれない。

もう死ぬ、という瞬間でも、子供は大丈夫だ、と思えたならば、そこに希望はある。

こんな考えはたぶん少数派で、家族は共にあるべきと信じる彼女には、理解の外だろう。

だから、そんなことは言わないで、電話を切った。

みさいるらっか
(一応読んでみたが何をすればいいのかわからない)



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/08/29 11:30

ごかぞく話。

去年から空室になっていた上の階(→ まきまき話。)で、工事していると思ったら、新しい方が入るようだ。

日曜の夕方に、ご挨拶にいらしたのは、私と同年輩のほっそりした女性と、上品な年配の女性。

ツマラナイモノデスガ…

の紋切り型から、少しだけお話した。

9月から、私と、母と…

お2人ですか、気楽でよろしいですね

いえ、あとオトウトが… 2人ともドクシンで… おハズカシイ…

いかにも恥ずかし気に身を縮める彼女に、あわてて

あ、お、男の方がいらっしゃると ご安心ですわよね!

なんとか取り繕う。

部屋に戻って、ご挨拶の品から熨斗紙を剥ぎながら、いい感じの家族でよかったな、と思った。

お母さんと姉と弟の3人家族、というと、うちと同じ家族構成である。

娘さんが私と同年輩ということは、わが家の30年後はあんな感じかもしれない。

80の私と、50のムスメと、45のムスコかあ…

うーん、なんというか、上の階のご家族にはワルイけど、ちょっとアレだなあ。

ムスメよ、ムスコよ、うちに戻ってくるなよ!

暮れはじめた空に向かい、とりあえず強く念じたが、届いたかどうかは、わからない。

ごかぞく



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ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/08/28 11:30

どりんく話。

根をつめる仕事があったので、肩が凝った

私の肩こりは目の疲れから来るので、揉んだり叩いたりするより、内服のほうが治りが早い。

ぴっぷないふくえき

この銘柄は手に入りやすく、体質に合うのかよく効く。

子供の頃、風邪をひいた時に飲まされた水薬のように、甘いだけで美味しいものではないが、ドリンク剤ってこんなもんかな、と思って飲んでいる。

駅ナカの薬局で購入し、外装フィルムをはがそうとして、その文字に気がついた。

ぴっぷないふくえき2

ブルーベリー風味で飲みやすい

こんなこと、前から書いてあったかなあ?

あれがブルーベリー風味?それとも、味が変わって美味しくなったのかしら。

ネジブタをプシッと開けて、ぐびぐびと一気に飲む。

うげー、マズい!

記憶の通りの人工的な味だ。

いや、ブルーベリーをかすかに期待したぶん、甘ったるいドリンクは、よりマズかった。

フィルムの文字を読む前は、気にせずに飲んでいたのに、変に飲みやすさを強調されると、こんなもんだろう、と納得していたマズさが、逆に気になりだす。

商品の価値を下げる働きしかしない宣伝文句は、早いとこやめたほうがいい。少なくともインクの節約にはなるだろう。

ただ味はともかく、効き目のほうは申し分なかった。念のため申し添える。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/08/27 11:41

おわりの話。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

立秋を過ぎてもまだまだ暑さの続くこのごろだが、ふとした拍子に夏の終わりを感じる。

高校野球が終わった、とか。

夕方、ヒグラシが鳴きだした、とか。

24時間テレビがはじまる、とか。

古の歌人の繊細さには及びもつかないとしても、それぞれのキッカケがあるものだ。

初めて会ったのは、暑い盛りの7月のこと。

公園の茂みの中に、なぜかヤツはいた。

かえる2017.7

ひとかかえはありそうな信楽焼のカエル。

来客をかえるため、また家人が無事帰るよう、玄関に置く縁起物が、なぜこんな過疎気味の住宅地の公園にいるのか。

住民が持てあまして放置したようだが、夏の陽光の下、まっすぐな黒い目は不思議に明るかった。

ヘンなものを見た、という印象は強かったものの、ヤツのことはすっかり忘れ、しばらくして同じ住宅地にまた行く機会があった。

道なりに公園を回っていると

かえる2017.8

ヤツはまだいた。

穂の出た雑草の茂みに隠れ、影を薄くしたカエルは、傾き始めた陽射しのせいだろうか、ひと月前に見た時よりも、何やら寂しげに見える。

私の今年の夏の終わりは、カエルから、かあ。

面白いような、残念なような気持ちである。

しかし、その微妙な気持ちも、ついやってしまったネット検索で、あのカエルが3万8千円もすると知って、ふっとんでしまった。

いや、だからって、拾いに行ったりはしないけど。



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/08/26 11:27

いいわけ話。

関東では、肌寒い雨続きの天気から、一転猛暑が戻ってきたとか。

テレビを点けたら、気象予報士が、このところの気候不順について説明していた。

大雨が降り続いたことも、いきなり暑くなったことにも、それぞれにちゃあんと理由があるらしいが、聞く気のない私は

何かしらイイワケってあるものだなあ…

などと、ぼんやり思っている。

いや、言い訳、じゃないな。

言い訳 … ①自分の言動を正当化するために事情を説明すること。弁解

いちおう②筋道をたてて物事を説明すること。解説。という意味もあるようだが、①の意味で用いられることがほとんどだろう。

天気は気象予報士が決めるわけじゃないのに、なぜかずいぶんと言い訳がましいのだ。

ここからは完全に想像だが、気象予報士という職業はおそらく

どうなってんだ、この暑さ!

とか

最近の大雨、おかしいんじゃないのか!

などと、天気側の立場で、矢面に立たされることが多いんではないか。

それでついつい、自分でも天気の味方みたいな気持ちになり、ヘンな天気、迷惑な気候条件になったときには、説明というより弁解、言い訳になってしまうのかもしれない。

そう考えると、画面の中でくどくど説明を続ける気象予報士が気の毒で

いいよいいよ、アンタのせいじゃないよ

などと、声のひとつもかけてやりたいような気持ちになった。

あめりかのきしょうよほうし
(アメリカの気象予報士、ハリケーンの言い訳を思案中)



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/08/25 11:30

なれない話。

1人住まいになって、気をつけているのは戸締り

げんかんのかぎ

留守番の家族がいない今、私が出かければ、家はすぐさま無人になる。

外出の時はもちろんだが、最近は集合ポストに郵便物を取りに行くにも、朝のゴミ出しでも、玄関のカギをかける。

当たり前のようだが、インドア派の子供が家にゴロゴロしていた時には、必要なかった。

このごろはだいぶ慣れて、玄関を出る時、いつでも自然にカギを探すようになった。

今朝もきちんとカギをしめてゴミ出し。

暑い時のゴミ出しは、家がほんの少し涼しくなるようで、気分がいい。スッキリ手ぶらで戻って、玄関のドアノブを

ガチン!

ヒジに来る、予想外の衝撃。

ほんの数分前に、自分でカギをしたのを忘れて、どえらい勢いでドアを引いてしまった。

実はこれがはじめてではなく、もう何度も同じことをしている。

カギをかけるのには慣れたが、かかっているのに慣れるには、まだ時間がかかるようだ。

ジンジンするヒジをなでながら、おかしくて1人、ちょっと笑った。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/08/24 11:30

からのす話。

淡青色の朝の空を、小さな黒いハサミが、小気味よく切り分けていく。

ツバメだ。

軒でジュクジュク言っていた仔ツバメもとうに巣立ち、用済みの巣は空っぽの口を開けている。

日本を離れる秋までは、親も子も、どこか茂みの中に宿って夜を過ごすのだろう。

せっかく安全な巣を作ったのだから、全員は無理でも、親だけでもそこで寝ればいいのにと思うが、それは人間の考えで、ツバメにとって巣は子供を育てるためだけの場所らしい。

考えてみれば、野生動物はみなそうだ。人間は、家を建てると愛の巣とか呼んで喜んでいるが、巣は家ではないのである。

子供が巣立った後、同じ場所に同じように住み続けているのなんて、人間だけだ。

ツバメに不動産は無く、実家も無い

空を飛ぶ鳥のかろやかさは、古い巣を顧みない潔さ、かもしれない。

つばめさん



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ごかぞく | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/08/23 11:30

まぐろの話。

確かこの辺なのよ おっかしいなあ…

当地は夜の早い土地柄で、盛り場といっても大した規模ではない。心当たりの店もすぐ見つかるはず、と高をくくって、よく確かめもせずに来てしまった。

仕事で地元にやって来た友人と、急遽夕飯を一緒にすることになり

近大マグロはどう?並ばずに食べられる店を知ってるけど

近大マグロ!アタシ、食べたことない!

友人は一も二もなく賛成して、ついてきた。

近大マグロといえば、少し前に評判になり、今でもそのお店は行列ができるブランド魚である。(→ 近畿大学水産研究所

それが、どういうわけかこの海なし県のフツーの居酒屋で、年がら年中フツーに食べられるのだ。

特に大きく宣伝していたわけでもない。

ある時たまたま、通りすがりにその店に入ったら、メニューに近大マグロがあったのである。

シンジラレナイ思いで、注文を取りに来た女の子に

コレ…この近大マグロって…あの近大マグロ

意味不明な質問をしたところ、ニコニコと

ハイ~、あの近大マグロですよぉ~!

と、軽く返された。

ホンマかいなと思いつつ、注文してみた近大マグロは、やっぱり美味しかった。

以来このあたりで飲む機会のあるたび、私は近大マグロを食べてきたのである。

それなのに、今日はどういうわけか、その店が無い。

しかたなく別の店に入り、とりあえず生ビールを注文した。

ホントにあったの?そんな店… なんかの勘違いじゃない?

あったよぉ!何度も食べたもん!

だいたい奈良でマグロなんて 変だと思ったのよネ きっとよ アンタの夢!

そうかなあ…

きっとそうよ!近大マグロ食べたさに 夢に見たんだワ!

強くそう言われると、だんだん自信がなくなってくる。

美味しかったけどなあ近大マグロ。何度も食べたけどなあ近大マグロ。

味のついた夢を何度も見るなんてこと、あるのだろうか。

まるで迷路に入り込んだような、夏の夜であった。

まぐろだいがく
(「マグ大」とか言って、すみませんでした)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/08/22 11:30
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