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ふっとび話。

そこを通るのは、週に1度あるかないか。

駅を降り目的地の少し手前、到着を気にして時計をチラリと見るころ、その場所にさしかかる。

1日も終わりに近い夕刻、くたびれていても

よし、やるぞ!

こころなしか早足になり、胸を張る。

まだまだぶっとばすぜ!

ここを通るたび、そんな気分になるのだ。

明るい電気に照らされているのは、最近できたらしいスポーツジム

たしかに元気を出す場所ではあるんだけど、ただ通りかかるだけで入会の予定もない私が、元気になるのはおかしい。

あまり深く考えていなかったが、昨日の帰り道、改めて看板を見た。

…F…ふっ飛ばせ!
 
ふぃっとべーす24

とんだ読み違いである。

思わずアハハと声を出して笑ったら、化粧の濃い若い子が、驚いて振り返った。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/01/27 11:30

ぎょうれつ話。

んー、もう!

振込に出かけたサカイさんが、昼休み終了ギリギリに戻ったと思ったら、何やらご立腹である。

2つ前のオジイサンがトロくさくってさー…

ATMコーナーが混んでいたらしい。

たしかに時間のない時に前の人がモタモタしていると、気がせくものだが、私もトシをとって気が長くなってきたせいか、彼女ほど腹は立たない。

むしろ、おじいさんと呼ばれる年になって、ちゃんと自分でATMに並ぶなんて、えらいじゃんか、と思ってしまった。

亡くなった父などは、1度失敗して以来、窓口しか行かなくなってしまった。

窓口嬢に、ATMのお手数料がお得です、と言われても、通帳とハンコで押し通したはずだ。

昼休み関係ないトシヨリは 空いてる時にやってほしいわよね!

未だ怒り冷めやらぬ様子の彼女を見ながら、しかし私はぜんぜん別のことを考えていた。

お正月休みにお嬢さんとテーマパークに出かけた、というサカイさんに、つい

わー、混んでたでしょう!寒いし、行列が大変…

と言うと、

もー、ぢょん子さんは気が短いわねエ 

彼女はフフンと笑ったのだった。

ゆーえすじぇー
(ATMで2時間待ちとかありえないし)



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/01/24 11:30

しかられ話。

合唱団に入って最初の1年は、楽譜を追うだけで精一杯で、周囲の声を聞く余裕もなかった。

ハーモニーを作るどころではない。

雑魚の魚混じりもいいところで、よくぞ周囲が堪えてくださったものだ、と冷や汗が出る。

それでも懲りずに毎週練習に参加してきたのは、やっぱり楽しかったからである。

スイスイ歌えるのが楽しいのではない。

指導の先生や、ベテランの先輩から、デキないと容赦なく指摘され、やっつけられる。

もちろん優しく、言葉にもじゅうぶん気を使っていただいているが、デキない自分が情けなくて、毎回凹む。

しかし考えてみれば、人間50も過ぎたら、少々ダメでも、そうそう人は叱ってくれない。

日々家族に指図して家庭を運営しているベテラン主婦なんて、ある意味王様みたいなものだ。

デキない子供が母に叱られても、デキない母は誰にも叱られない。

長年そんな立場に甘んじていた私が、いきなりペーペーの初心者になり、遠慮なく叱られる。

それが新鮮で楽しいのだ。

さあ、新しいシーズンがはじまる。

初めての曲で、いっぱい失敗して、いっぱい叱られよう。

こーらす
(叱られて喜んでないで反省してほしいわよね)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/01/19 11:30

そのひの話。

サワダさんとは自治会役員をやって知り合った。

息子さんが私と同い年ということで打ち解けて、知人以上友人未満の関係が続いている。

団地の掃除やゴミ出しで、出会うと長めの立ち話をするけれど、もう1人息子さんがあることを、最近まで知らなかった。

いま40代の次男君は、自宅から神戸の大学に通っていた。

試験前にはクラスメイトのボロ下宿に集まり、コタツに足を突っ込んで試験勉強をする。

勉強に疲れたら、コタツの四辺でそれぞれに眠ってしまう。だらしなくも楽しい、学生時代だ。

そしてその朝。

突き上げるような揺れに飛び起きて、そこで何を見たのか。

次の日も暮れてから、汚れた顔で自宅にたどり着いた次男君は、心配して迎えた家族にも、何1つ話さなかった。

小さなコタツで、さっきまで向かい合っていた友だちを、一瞬に失くした次男君は、もう大学には行けなかった。

数年後に家も出て、連絡すら取れないらしい。

死者6,434名 負傷者43,792名 行方不明者3名。

次男君も、サワダさんも、この数には入らないが、痛みをこらえてきた人に変わりはない。

黙っていても、私たちの周りには、たくさんの次男君が居るのだろう。

あの日から、25年。

1がつ17にち2020



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/01/17 11:30

どんどん話。

あ、そーだ 自治会のトンド焼、今年からなくなったから

いつもの生存確認の電話の最後に、おばーちゃんが思いついたように言った。

ええーっ!なんでエ?困るぅー!

わかんない 消防の関係かなア…

とんどやき

トンドはお正月のお飾りなどをお焚き上げする、小正月の行事。

実家付近では、小学校のグランドを借りて行われていた。

神社の境内で行われる伝統的なものとは違い、たき火に毛が生えた程度の催しだが、わが家周辺ではそれすら無いため、あてにしていたのだ。

思えば実家周辺も高齢化が進み、大きな火を焚くような行事は負担なのかもしれない。

仕方がない、他の方法を考えなければ。

持ち込みをお引き受けくださる神社を調べ、仕事帰りに持参することにした。

紙袋に入れたしめ飾りを提げて出勤すると、目ざとい同僚がオヤ、と気づいて

神社に持ってこうと思って トンドが無くなっちゃったから

そう説明すると

へえ~ ドント焼 無くなったんですかァ

懐かしいわねえ ドンド焼… 木の枝にお餅刺して 焼いたりしたわ

お汁粉のお振る舞いがあったなあ…

次々と話に加わる人が増える。

トンド、ドント、ドンド…微妙に発音が違うのだが、いちいち聞きとがめたりしない。

それぞれが、炎を見上げた幼い日を思い出し、煙たい目をぱしぱしさせた。

和やかな雰囲気は、まだ少し残るお正月気分だ。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/01/16 11:30
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