FC2ブログ

でいいの話。

日曜日のお昼。

もうもうと湯気の上がる鍋の前で、菜箸を持った母が怒っている。

でいい、とは何よ でいいとは!

冷蔵庫から麦茶を出しながら、ナンノコッチャと思っていると

ソウメンでいいって ちっともラクチンじゃないのに!

母の顔は汗で赤くほてっている。

ははーん…

鍋の中のお湯は、お昼のソウメンを茹でるため。ソウメンでいい、は父の言いぐさだろう。

そうめん

夏の定番、冷やしソウメンだが、べつだんありがたくないメニューだ。

ソウメンの調理は大量のお湯を沸かす。食べるのは涼しくても、作る者は暑いったらない。

そんなことにはつゆも思い至らない父は、さも鷹揚なふうで

おい、ヒルはソウメンいいぞ

とかなんとか言ったのだろう。たった1文字が癇に障ることも、生活の中ではよくある。

昔の田舎の家の、土間の台所である。いくら怒っても、茶の間の父には聞こえない。

お勝手で怒ってないで 言えばいいのに

子供ながらにいつも思ったが、母はけっしてそうはしなかった。

ソウメンは流れ、時は流れる。

お台所でぶつぶつ言い続けた母は、金婚式目前まで添い遂げた父を見送り、「言えばいいのに」と思っていた私は、結婚生活をしくじった。

きょうは乾麺デー。七夕に、ソウメンを天の川にみたてて食べる風習があったことから。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

スポンサーサイト
ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/07 11:30

そうかい話。

おばーちゃんはここんとこ、毎日お出かけ。

今日はね、◎◎食品 明日は○○ホテルで…

そう、株主総会である。

かぶぬしそうかい

亡くなったおじーちゃんは、わずかだが株式投資をしていた。

東京ほどではないが、関西にも本社を置く会社があり、株主総会が行われる。

存命のころはおじーちゃんが総会に出ていたが、健康を損ねてからは、議決権行使のハガキを出すだけで、出席はしていなかった。

あれは何年前のことだったか。

おじーちゃんが遺した株の、総会招集通知を手に

いっぺん行ってみようかな こういうの…

おばーちゃんが、珍しくそんなことを言うので、

イイじゃん、行きな行きな!

けしかけたのは私である。

金婚式を迎えずにおじーちゃんを亡くし、消極的になっていたおばーちゃん、新しいことを始めるのはきっといいことだ、と思ったのだ。

はじめての株主総会は、老舗の製薬会社。

商家に育ったおばーちゃんは、創業者にもなじみがあったらしく、新製品のお土産などもらって、ゴキゲンで帰ってきた。

以来、今日はどこ、明日はそこと、株主総会に出るのがこの時期の年中行事となった。

上場会社の経営方針や最先端の新技術をうかがい知れる総会は、おばーちゃんの社会見学なのだ。

◎◎食品の3代目はすっごいイケメンよ!

世知辛い昨今、お土産が出ないことも増えてきたが、ゴシップ的な興味も満たされ、交通費は十分にモトを取れているようだ。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/06/29 11:30

いもうと話。

この夏休みに、母の傘寿のお祝いをしようという話が出た。

とはいえ、ムスメムスコはそれぞれに忙しく、姪っ子は高校受験。

母とイモートと私、3人で上等の食事をする程度になりそうだが、イモートは遠方に住んでいるので、打合せは必要だ。

先日来、グルメサイトを見ては、どの店にするか、イモートとやりとりをしている。

やりとりといっても、もっぱらイモートが

ねーねーこの店どう?

と送ってきた詳細を見て、私が感想を言う、という感じで、なかなか決まらない。

それというのも、イモートが選んでくる店は

予約必須!シェフの隠れ家イタリアン

だの

モダンインテリアの中で和食をいただく

だの

フレンチとの融合を楽しむフュージョン中華

だの、どれもこれもシックリ来ないのだ。いいかげん、ダメ出しばかりも嫌になってきた。

この店なんかどう?

というイモートの問いに、

こういうの、おかーさん好きかなあ?

と、質問返しをしてみたら、しばらく間があって

それ、忘れてた!

と言うではないか。

女3人で高級なランチ♡にウキウキしたイモートは、母の傘寿を祝う、という本来の目的を忘れ、自分が行ってみたい店ばかり探していたのだ。

だからといって、けっして母を粗末に思うのではない。

ただ、機会をとらえてちゃっかり自分の希望につなげる、昔からの妹気質なのだ。

50過ぎても性格は変わらないな、と、なんだかおかしくて、かわいく思えた。

そんなイモートは、娘のメイちゃんには、ウッカリママと呼ばれている。

ふれんちとゆうごう
(融合すると、とかく全体量が減りがち)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/24 11:30

わにわに話。

男のアカンボでハトヤのCM状態だという同僚の話(→ たいりょう話。)を聞いた。

そういえばムスコはどうだったろうか。

ムスメが生まれて4年後、久しぶりのアカンボは、またしてもズッシリ重かった。

どうも遺伝的にアカンボがデカくなる体質らしく、私自身も小柄な母を苦しめるデカいアカンボであったので、不平は言えない。

生まれた瞬間から広辞苑より重かったムスコは、米袋並みになるにもそう時間はかからなかった。

しかし、重いだけならムスメだって同じである。

2人の違いは、簡単に言えば協力的か否か、であった。

ムスメは、抱き上げられるとすなおに身を任せ、しんなりと体重を預けてきた。

あ、抱っこですね 分かりました じゃあそういうことで…

と、ちゃんと反応するムスメに対し、ムスコには抱っこされようという気持ちがまったく無い。

抱き上げても棒状に突っ張ったまま

じゃあそういうことで

という了解が生じないのだ。

おまけに、抱かれた状態で、自分の動きたいように動く。

同僚のお孫さんのようにビチビチ暴れこそしないものの、ヘンな風に体重を移動されて、もろともに転びそうになったこともある。

その、全身突っ張った感じと、予期せぬ動きから

この子 ワニみたい…

と、よく思ったものだ。

ワニに触ったこともないのに、なぜそう思うのだろう。

昔、素手でワニを捕まえるぜ!みたいなドキュメンタリー番組を、たしかに見た気がするのだが、検索しても見つからない。

crocodile dundee
(代わりに、久しぶりのこんな人を掲載します)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/18 11:30

きんうん話。

触る草木を端から枯らす、園芸オンチの私と違って、おばーちゃんは植物を育てるのが得意だ。

自慢の花は、家族LINEで見せてくれる。

あじさい

今朝は、雨に濡れたアジサイの花。続くコメントには

玄関先にアジサイを咲かせると 金運を招くそうです!

とある。すぐさまイモートが

そうなの?!鉢植え、玄関に移動しよう!

と反応した。彼女はおばーちゃん似で、マンションのベランダで花やハーブを育てているのだ。

アジサイに限らず、何にも植える気の無い私は、ふーん、と思っただけで返事をしなかった。

すると、しばらくして

生け花でもいいらしいですよ!

おばーちゃんから続報。明らかに私向けである。

めんどくさいなあ。

じゃあ私は、お金持ちになった2人からお小遣いをもらうことにします

よろしくのすたんぷ

老母相手に大人げなかったか、と反省していると、おばーちゃんからはすばやく

おどろきのすたんぷ

スタンプが返ってきた。

こういう時、口だけでも調子よく乗っておく、ということができないのも、私のダメなところだ。

園芸以外にもニガテはあるなあと思いしらされた、休日の朝であった。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2019/06/08 11:18
 | HOME | Next »