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つりーの話。

街はクリスマス

店頭に飾られたツリーに思わず近づくと、当然ながら人工物であって、近頃のツリーは本当によくできていると感心する。

子供の頃のツリーはこんなに立派じゃなかった。

物置にしまってあったボール箱から出てくるのは、緑のタワシみたいなお粗末なツリー。

それでも子供にとっては、待ちに待ったワクワクする瞬間だ。

母の指示のもと、すぼめてあるのを丁寧に伸ばし終わると、細かい針のような葉っぱがチラチラと落ちていた。

もっと嬉しいのは、飾りつけである。

モールのサンタ、銀紙の星、ロウソクやねじりキャンディー、金銀のティンセル。

一番のお気に入りは、小さな紙の家だった。

赤い三角屋根に、緑の煙突。現実に見たことのない、外国のお家。

雪の積もった窓は十字の窓枠を残して切り抜かれ、青いセロハンのガラス張りだ。

小さな家の、小さな窓の中に、小さい人の暮らしを見たくて、小指の先ほどの窓を熱心に覗いた。

中は空っぽだと、とっくのとうに知っているのに。

今日はクリスマスツリーの日。

130年前、横浜で日本初のクリスマスツリーが飾られたという。

もーるのさんた
(顔も怖いが、赤以外の色がいるのが解せなかった)



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/12/07 11:30

きんろう話。

今日は勤労感謝の日

私が子供の頃、というともう大昔だが、その頃は学校で

いつも皆さんのためにお仕事をしてくださるお父さんに感謝しましょう!

という趣旨で、父親あての作文を書かせる授業があった。

いろいろな事情の家庭があったろうに、ずいぶんと無神経な話だが、昔だから仕方がない。

優等生の私は先生が喜びそうな作文を書きつつ、どーもシックリしないな、と思っていた。

子供が普段目にしているのは、年がら年中、休みなくパタパタと働く母の姿である。

かたや父はといえば、休みで家にいる時は、やれあれをとれ、これをくれと母を指図するだけだ。

加えて父はサラリーマンであったから

うちのパパは電車の運転手だよ

わたしのおとうさんはパン屋さんよ

というように、勤労具合が目に見えない。

父の仕事は建機関係の商社の営業だった。

おとーさんのお仕事はなあに?

あそこ、あの、工事現場に大きい機械があるだろう?

あのキカイを作ってるの?

いや…作るのは別の人…

じゃあ、ウンテンしてるの?

いや…運転するのはまた別の人…

えー?あ、わかった、売ってるの?

いや…直接売るのはまた別の人…

口重な父からこれだけのことを聞いた後、私はすっかり父の仕事への興味を失ってしまった。

以後、父の勤労にたいして、とくに想いを致したことも、口に出して感謝を表したこともない。

歳末の近づく今、街で工事現場にさしかかると、どこかにちくりと痛みを感じるのは、おそらく気のせいではないだろう。

はたらくくるま2019



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/11/23 11:30

あとむの話。

生まれた時からテレビがあった。当然の報いとしてテレビっ子である。

大人になって多少は落ち着いたが、子供の頃は文字通り、テレビにかじりついていた。

テレビがついていれば、他のものは見えないし、音も聞こえない。

あの集中力の半分でも、今あればと思う。

ゴハンよの声も聞こえないほどテレビに熱中していると、ため息交じりの母によく言われた。

まったくアンタは 小っちゃい頃から…

続きは聞かなくても分かっている。

マンガばっかり見て キャーキャー喜んで…

母親って、なぜああも同じことを何度も何度も言うのだろうか。

あーとむちゃ、あーとむちゃって…

「あーとむちゃ」とはむろん、鉄腕アトムである。

テレビアニメ放映の開始と同時に、口も回らない頃からアトムを見ていた私。

言わばテレビとマンガの早期教育である。

ケロヨンの椅子に座らせたのも、テレビを点けたのも、ブツブツ言っている当の母であり、あとになって文句を言うのはおかしい。

テレビやマンガが子供の健全な発育を害するといった論調も、今は昔。

白黒のアトムを見て育ったことは、自慢にしてもいいんじゃないか、と思う。

今日は手塚治虫、生誕90年

てづかおさむせいたん90ねn
(→手塚治虫オフィシャルサイト



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/11/03 11:30

かそうの話。

ハロウィンのあの騒ぎを見ると、仮装には、やっぱり魅力があるのだなあ。

外国人観光客が、キモノで街を練り歩くのもそうだし、子供の七五三なんかもそうだ。

てんぴょういしょう
(「天平衣装を着て平城宮跡を歩きませんか?」)

私はその手の経験がなく、ああいう羽目の外し方は、はるか昔の花嫁衣裳くらいなものだろうか。

自分は仮装なんてしたことない、と思っていたが、記憶をたどれば1つだけあった。

ハロウィンなどユーミンの歌にしかなかった30年以上前のこと。

仮装パーティーやろうぜ、と、誰が言い出したのだったか。いかにもバブル前夜、浮かれた時代の大学生らしい。

着替えスペースのない会場には、ヘンテコな服装の若者が次々と集まる。

ダッフルコートの下から毛脛を出した男が上着を脱ぐと、原始人が現れた。

シーツを巻きつけ、観葉植物の蔓を頭に載せたギリシャの女神が、寒ーい!の声とともに、飛び込んでくる。

野球のユニフォームで来た男は、仮装じゃない、と、バニーガールに叱られていた。

そんな中、おとなしくお菓子をつまんでいた私に、赤の女王

ちょっとぢょん子!アンタそれで家から来たの?

ウン 電車乗って バス乗って来たよ

ハハハ… ほとんど犯罪だな!

私の衣装は、中学のセーラー服。スッピンで、髪を三つ編みにして、父のカバンを借りて、実家から来たのだ。

数年前に着ていた自分の制服を、もう1度着ただけのあれが、仮装といえるかどうか。

でも、吊革にぶら下がりながら、ちょっぴりワクワクしたことは覚えている。



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むかしむかし | コメント(11) | トラックバック(0) | 2018/10/31 11:30

はたびの話。

休みのあくる日。

けっきょく 昨日は何の日だったの?

えーっと… 体育の日?

ちかごろはマッタク… 体育の日は10月10日!それでいいじゃない! 

むかっ腹を立てるほどではないが、私もおばーちゃんに同感だ。

そういえば 昔は祝日に国旗出してたね

祝日じゃなくて旗日って言ってたしね

こっき

暗くなる前にはキチーッと取り込んで…

おとーさんはマジメだからねえ 

祝日の夜、座敷に国旗を広げて畳んでいた、父の姿は今も記憶にある。

今どき、あんなことをしている家庭はあるのだろうか。

私も貧しいながら一家を構える身であるが、国旗を備えようと思ったことはない。

そもそも国旗ってどこで買うの?

商店街のアヅマヤ覚えてる?

アヅマヤ?呉服屋じゃん

そうそうアヅマヤ あそこで売ってるの

へえー!

国旗は呉服屋。50歳にして初めて知る事実だ。

だからって買いに行こうとは思わないけど。



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/10/11 11:30
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