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しんぶん話。

ピンポーンと鳴って、インタフォンの画面に耳にエンピツをはさんだオッサンの姿が映ったので、丁寧に、しかしはっきりと返事する。

うちは新聞取りませんから!

なんだか誰かに叱られそうだが、うちは新聞を取っていない。

だいたい、毎日あんなにいっぱい紙の束が来ても困る。新聞屋は気軽に勧誘に来るが、何キロもある紙の始末を、毎月誰がすると思っているのか。

洗剤なんか要らないし、読んだ後にまた集めに来るなら取ってもいい、と言ったこともあるが、新聞屋のヤツ何の返事もせず、不愉快な薄ら笑いをしやがった。

そもそも、私は毎日毎日最新の情報なんか要らないのだ。

今のテレビは便利だから、番組表も天気予報もデータボタンでいつでも見られる。

実家に帰ると、おばーちゃんは新聞を取っているので、何日かぶりで何日分かの新聞を読む。

へえ~、そんなことがあったんだ、こないだ何だか騒いでいたのはこれかあ~

私にはそれくらいがちょうどいい。

最新のニュースに感心してても、あとになって全然違ってました、なんて時、新聞は誰かのせいにするだけで、絶対スンマセン間違いましたとは書かないのだから、感心するだけ損だ。

結果の出たことを確認するだけなので、要は古新聞でいいのである。

それに新聞紙は、適量なら、濡れた靴に詰めたり、大根を包んだり、使いみちもなくはない。

日付け遅れの新聞紙を、月に1回、5日分くらい配達してくれるってんなら、考えてもいいんだけどなあ。それなら50円くらいは払ってもいいと思っている。

            しんぶんし
                 (これじゃ多い)




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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2014/07/20 10:09

じびかの話。

風邪くらいなら家で寝て済ませるが、耳とか目とか、複雑にいりくんだ箇所は、素人判断しちゃいけない気がして、つい病院に行ってしまう。

ツジナカ先生は鳥のヒナみたいなオバアサンで、耳鼻科なのに目がギョロギョロしている。

耳に違和感があって 時々ズキッとして…

症状を述べると、スコープで丁寧に覗かれた。

横なので見えないけど、ギョロギョロ目が発光して、耳の奥をカッと照らしている、と思う。

先生は、心配になるくらい長いことギョロギョロ目を発光させてから、

鼓膜はきれいだけど赤くなってますネ~。かゆくなってかきましたかネ~。外耳炎ですネ~

わりに平和な結論を出した。お薬の説明も済んだので、腰を浮かそうとしたら、

お鼻のほうも見ときましょうネ~

有無を言わせず鼻の奥をのぞかれた。

耳と違って正対するので、ギョロギョロする視線が痛いほどだ。

ふぁ、はダ、はダダんともダいんです!

あなたはネ~アレルギーがあるから耳がかゆくなるのよネ~ 採血しときましょうかネ~

しばらく来ないので忘れてた。先生はアレルギー治療をさせようと虎視眈々なのだ。

採血?!イヤです私、気持ち悪くなるんです!

横になってれば大丈夫ですからネ~

体重なら私の半分くらいの鳥のヒナみたいなツジナカ先生、やけに強硬である。

肩を押す先生の手を振り切り、私は風呂上がりの子どもみたいに逃げた

困るんです、この後おでかけなんです!

へんてこな言い訳をしながら。

この年になると鬼ごっこもしないし、誰かから走って逃げたのって久しぶりだったな~。

にげる



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2014/07/19 09:52

おそろし話。

今年は少し遅かったようだが、うちの近所でもセミが鳴き始めた。

あいつらが屋外にいる虫で本当によかった、と、つくづく思う。

もしセミが、もっと人家に入りたがる虫だったら、どえらい迷惑だろう。

セミの声は、広い屋外で聞くからまあ我慢できるのであって、あれが家の中で鳴いたらとんでもないボリュームである。

ゆでたてのうどん煮えた油の鍋に一気に放り込んだような、あの無神経な音が家の中で響き渡ることを、想像しただけで暑苦しい。

そうなったらきっと、子どもは遊びでセミを取るのをやめ、製薬会社は、セミコナーズとかセミ集めてポイとか、駆除する製品を続々と出すことだろう。

さらに、もしもセミが土の中じゃなく、カミキリムシのように木材に産卵して育つ虫だったら。

新築のおうちに楽しく住んでいたら、ハサミのないザリガニみたいなのが、家じゅうからもぞもぞわいてきて夜のうちに柱をのぼり、勝手に羽化してセミになるのだ。ある朝突然、我が家に響き渡る、頭が割れそうな鳴き声で、たたき起こされる住人のショックを想像すると、胸が苦しい。

これくらいでやめておけばいいのに、もう一つ怖いことを考えてしまった。

セミがもし、樹液ではなく血を吸う虫だったら…ぎゃー!!!



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もろもろ | コメント(20) | トラックバック(0) | 2014/07/18 09:37

めもった話。

暑いからこそ、家の中はスッキリ片付けたい。

まずは毎日使う台所から。

調理器具は収納に仕舞い、買い置きのペットボトルも食品庫に。つい出しっぱなしになる調味料のビンは、きれいに拭いて抽斗に入れた。

うーーーーん…。

ずいぶん片付けたはずなのに、イマイチ変わり映えしないのは何故?

見回して気づいたが、台所の壁や冷蔵庫の扉に、いろんなメモがペタペタ貼り付けてある。

学校の予定表はコルクボードに貼るので、壁や冷蔵庫のはそれ以外のメモだ。

たんい

これはムスコが小4の時に書いてくれた「大きい数の単位」である。

千、万、億、兆、京…くらいまではわかるけど、それ以上はわからない、と言ったら、図鑑から写してくれた。

漢字の下の数字は、零の数。たとえば零が40個あるのが載、ということである。

覚えるつもりで貼り付けてから、もうすぐ6年になるのに、全然ダメだ。

なまえ

これはピカソのフルネーム。自分で書いた。

パブロディエゴホセフランチェスコデパウラホアンネポムセーノマリアデロスレメディオスクリスピンクリスピニャーノデッラサンティシマトリニダッドルイスイピカソ~…なんて、スラスラ言えたら面白いかもと思ってメモしたけど、まだダメだな~。

べつめい

これは、「別名シリーズ」である。

牡蠣はミルク

アボカドはバター

大豆は

こういう言い方他にもっとないかなー、と思って、考え中なのだ。

とんぶりは畑のキャビア、というのは聞いたことがあるんだけど、この3つに比べてちょっと小物というか、4つ目に加えるにはまだまだ力不足という気がして、保留である。

この3枚、はがせばスッキリするんだろうが、まだ必要なので、仕方がない。

本日の片付けはこれまで!



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2014/07/17 10:34

めんだん話。

7月も中旬になり、学齢期のお子様のいる親御さんは、皆さんシブシブ学校に出頭されていることだろう。

三者懇談とか、親子面談とか、呼び名はいろいろだが、そういうものが行われる時期である。

ムスメが幼稚園に上がって以来15年以上、年に数回、途中からはムスコもだから、合計で80回くらいは、呼び出されちゃー行ってる勘定になる。

とりわけ思い出深いのは、ムスメが高3の2学期の時の面談だ。

お嬢さんは進路も決まっていますし、成績も問題ありません。ただ…

と切り出した先生がノートを取り出した。

記録がありますので読み上げさせていただきます。

               
               :

○月○日 理科準備室でカーディガン着用を発見、口頭で指摘したところ素直に脱いだ。

はぁ?

ムスメの高校の制服はこんなの

せいふく

寒い時はこの冬服の上にカーディガンやコートを着ることが許されている。

夏は校章の刺繍の入った白いブラウスに紺のスカートをはく。

梅雨の肌寒い時、ムスメは夏服のブラウスの上に紺のコットンのカーディガンを着ていたが、それがどうやら校則違反らしい。冬に着るカーディガンを夏に着ちゃいけないとは、私は知らなかった。

先生はノートを読み上げ続ける。

               
               :


○月○日 3年2組前でカーディガンを着用を発見、口頭注意したら脱いだが、しばらく行き過ぎてから振り向くと再度羽織っていたので、追いかけて強めに注意。

先生の顔面に向けて吹き出しそうになったので、うつむいてやり過ごす。読み上げは続く。

               
               :


○月○日 渡り廊下越しにカーディガン着用を発見、窓から注意をしたが聞こえないふりをして行き過ぎようとしたので、走って追跡、強く注意。

               
               :


あまりにもおかしくて、先生と目が合わせられない。うつむいたまま、プルプルと小刻みに震えていたかもしれない。

先生はそれを見て何を勘違いしたのか、こう付け加えた。

まあ、何度も注意して反省してるようですし、私もこれから気をつけていきますので、お母さんもションボリなさらないでください。

面談が済んで廊下に出るなり、ムスメと私は顔を見合わせて爆笑した。教室の中の先生にも、絶対聞こえたと思う。

ところで先生!女子学生に注意するために、廊下を走るのはいいんですか?ムスメに聞いたところ、けっこう長距離の爆走だったらしいですけど。



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ごかぞく | コメント(18) | トラックバック(0) | 2014/07/16 09:33

ハナオカ本。

子どもの頃マンガを読んでいた。大人になったからと言ってやめる理由はないので、今でも読んでいる。

昔読んだマンガがまた読みたくなることもあるが、よくしたもので、そういう者のために懐かしいマンガが復刊される。

この本もその一つ。

はなおかちゃん

主人公は花岡ちゃんこと花岡数子さん。眼鏡の女子大生である。

70年代の「りぼん」は乙女チックラブコメの牙城で、陸奥A子、田渕由美子、太刀掛秀子の3先生を代表とする、カワイイ女の子の乙女チックな恋愛マンガで人気があった。

主人公は、巻き毛のロングヘアに麦わら帽子、ふわふわのブラウスとギャザースカート、コルク底のサンダル。木陰で彼のマフラーを編み、バスケットにチーズケーキを入れ、アップルティーを飲んでいる。

そんな中にあって花岡ちゃんは異質であった。

黒髪のおかっぱにメガネ、夏も冬もスキニーのジーンズ、好きなことはお勉強。

さらに驚いたことに彼女は喫煙者なのだ。

↑の表紙イラスト、膝に乗っけた左手に持っているのは、タバコなのである。

ヒロインが、物思いにふけりつつ、ぷかぷかケムを出している少女マンガ。今ならありえないだろう。

そんなマンガを、小学生の私は「りぼん」本誌から切り取り、表紙をかけて、マイ単行本を作っていた。

その、マイ単行本は上の表紙のりぼんマスコットコミックスが出たときに処分したと思う。

そのコミックスもとうに絶版で、シリーズ関連作を全部おさめた文庫になったのだ。

本誌 > コミックス > 文庫

つまり

B5判 > 新書判 > 文庫判

と、どんどん小さくなっている。

フキダシの中のセリフはまだいいが、ちょこちょこ書き込まれたフリーハンドの文字は非常に読みにくい。

われわれマンガ世代が、シニアと呼ばれるジジイ、ババアになった頃には、大活字マンガ本なんてのも、出るのかもしれない。



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ブックガイド | コメント(10) | トラックバック(0) | 2014/07/15 09:33

とつがわ話。

サスペンスは断然再放送派の私であるが、珍しく土曜日に土曜ワイド劇場を見た。

十津川警部物は、新作でも

あれ?これ前に見た?

という、オナジミ感が何とも言えない魅力。再放送なみに安心だ。

とつがわ

安心と信頼の2時間で、無事いつものように事件も解決した。

ところがそれからというもの、劇中タカハシヒデキが力強く断言した

よし、我々も明日札幌に飛んで、もう一度カシオペアに乗ってみよう!

というセリフが頭に残って消えない。

よし、我々も明日札幌に飛んで、もう一度カシオペアに乗ってみよう!

うらやましすぎる。

業務でいきなり札幌。

業務で寝台特急カシオペア。しかも2回も。

警察の強権をもってしても、そもそもカシオペアって前の日に思いついてホイホイ乗れるものなのか?だけど、これだけきっぱり言うということは、十津川警部には、オレは乗れるという自信があるんだろう。

うらやましすぎる。

私は旅行や観光は特に好きではないし、鉄道ファンでもない。

でも、乗り物に乗ってちょっと窮屈な目に遭ったり、揺れる車内で駅弁を食べたりするのが、とにかく好きなのだ。

何なら目的地で降りなくてもいい。そのまま折り返してきてもいいから、電車に乗りたいのだ。

よし、我々も明日札幌に飛んで、もう一度カシオペアに乗ってみよう!

もしも生まれ変われるならば十津川警部になって、こんなセリフをきっぱり言ってみたいものだ。



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てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2014/07/14 09:23

そしなの話。

豪快さんに見えて実は小心で堅実な私は、地元の銀行にチマチマ貯金しているので、お誕生日には粗品がいただける。

今年の粗品はこれだった。

そしな

チューブ入りの食品や化粧品などを、残さず絞り出せる便利グッズらしい。

豪快さんに見えて実は貧乏性な私は、いつも歯磨き粉の最後でいじましく努力しているので、これはエコバッグなんかよりも嬉しい。

しかし、「使い方」など読んでいるうちに、だんだん気が滅入ってきた。

くるくるハンドルを回すだけで、最後の一滴まで絞り出すことができます!

なんて書いてあるんだけど、くれたのが銀行なだけに

有り金残らず絞り出してうちに貯金してね!

と言われているようでもあり、また、人生の後半にさしかかった者としては

残り少ない生命を絞り出すように生きて行ってね!

と言われている気もして、何やら複雑である。

……いや、いかんいかん。物事をひねくれて捉えるのは精神の硬化だ。オバハンだからこそ素直に、もらったものにはケチをつけず喜ぼう。

チューブは絞って無駄なく使い、余った小銭をチマチマ貯めて、また貯金しに行こう。

貯まったお金はぜひとも、豪快に使いたい……けど、豪快な使いみちって何?と思ってしまう、どこまでも小心で堅実な私。




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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2014/07/13 08:54

れいぞう話。

それは、暑くなりそうな木曜の朝のことだった。

子どもの弁当に入れる冷凍コロッケを出そうと冷凍庫を開けたら、ひたひたひた…が垂れてきた。

あれ? ……… ぎゃー!! 溶けてる! 

手を入れてみると、冷蔵室など、すでに常温である。

前の晩、湯上りにアイスを食べたときは普通に動いていた冷蔵庫が、完全に停止していた。

運悪く、前日の水曜は生協の配達日。冷蔵庫は在庫でぎゅうぎゅうだ。肉なんか合計で5キロ近くある。それが全て常温の冷蔵庫の中で溶けている

そして、外は真夏の暑さ。

さあ、あなたならどうする

《スティーブンス家の場合》
レイゾウコ

「僕が買った冷蔵庫の、いったい何が気に入らないってんです?」
「オヤ、下等生物ときたら、そんなこともわかんないのかい?コイツはもう寿命だネ」
「ダーリン、ママの言う通りよ。ステーキが溶けちゃってるわ」


サマンサなら鼻をピコピコさせるだけでOKだが、私には一刻の猶予もない。

私はとんでもない勢いで自転車をこぎ、釣り好きのご主人がいるお宅まで爆走した。まだ寝ぼけ眼の奥さんから、ひったくるように特大のクーラーボックスを借り、そのままコンビニに向かうと、ありったけのダイヤ氷を買った。

大丈夫そうな食品を氷詰めのクーラーボックスに移し、ダメそうなのはごみ袋に片づけてしまうと、バンダナで鉢巻をして台所に立った。

とにかく何が何でも、解凍された生肉を、腐る前に調理しないといけないのだ。

鶏もも肉は、とりあえず唐揚げに。

豚バラ肉の塊は煮豚にした。卵が大丈夫そうなので、1ケース全部茹でて一緒に煮た。

合いびき肉はハンバーグにしたかったが、ベタベタこねている時間はない。超高速で刻んだ玉ねぎと炒め、トマトの缶詰を入れて、ミートソースにした。

ガスコンロが3つとも塞がってしまったので、カレー用に買った鶏の手羽元は、オーブントースターで焦げる寸前まで焼いてから、レンジで煮たてて胡麻を入れた甘辛いタレで和えた。名古屋名物手羽先風・手羽元である。

一度にあんなに大量の肉を料理したのは生まれて初めてだった。出来上がった料理をタッパーに詰め、クーラーボックスに入れて、ふと気づくと家族はまだ、エアコンの効いた部屋ですやすやと眠っている。

一人汗だくで、クーラーボックスに肘をのせ、肩で息をしていたら、電話が鳴った。

あのう、今日はお休みですか?ご連絡がないので…

子どもの先生からだった。頭に血がのぼった私は、子どもを起こして幼稚園に行かせるのも忘れていたのである。


                    《この話の教訓》

            冷蔵庫 壊れる前に 買い換えよう(特に夏場)



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むかしむかし | コメント(22) | トラックバック(0) | 2014/07/12 09:20

あきべや話。

他人のの話というのはだいたい退屈だ。

本人は、不思議な体験を共有するつもりで話してくれるんだろうが、シロートの拙い話術のせいもあり、面白いと思ったことがない。

しかし、おばーちゃんこと私の母に限っては、夢の話はなかなかエキサイティングである。

彼女がハデな夢を見る話は、前に書いたが( → ささいな話。)、昨日電話で、また夢の話をしてくれた。

               :
               :

掃除をしていたら、開けたことがないドアがあったの。

開けたらそこに、全然使ってない部屋があってね。

気づかなくてもったいなかったわ、ここに何を入れようかしら、と思ってたら目が覚めたのよ


               :
               :

既にモノだらけの家に住むおばーちゃんに、まだモノを増やしたい心理が潜在しているのか、と私はゾッとしたのだが、怖いのはそれだけではない。

おばーちゃんはシラッとこんなことを言うのである。

引っ越す前の家にも、使ってない部屋があったのよ。

え?あの、ちっこい平屋に?そんなアホな!

と、私が仰天すると、

あら、夢の話よ。前の家でも、使ってない部屋がある夢を見てた、ってこと。

               :
               :

よくよく聞くと、この夢を見たのは一度や二度じゃなく、いわばおばーちゃんの定番の夢らしい。

この話を、面白いね、ワハハ…で済ませられない気持ちになるのには、理由がある。

その、前のちっこい平屋から、今の家に引っ越す時。

見積以上に多めの家財を、引越し屋さんにスミマセンスミマセン言いながら、やっとのことで積み込みが終了し、ギチギチに詰まったトラックの横で、首のタオルで汗を拭いていると、おばーちゃんがアッと言った。

ヤネウラ!屋根裏を忘れてた…

そう、モノのあまりの多さに、ちっこい平屋がパンク状態になり、数年前に作られた、屋根裏収納庫

そこには、当分使わないものがギッチリ詰め込まれて、そのまま何年も忘れられていたのである。

家族、作業員さん、その場の全員が凍りついたあと、どのように気を取り直し、どうやって屋根裏の荷物を積んだのか、もう記憶がない。

近い将来、今の家を片付ける時に、荷物のギッチリ詰まった知らない部屋があったらどうしようと思うと、私は悪夢にうなされそうである。


        ひみつのどあ



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2014/07/11 09:19
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