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ひばごん話。

洗濯機のパイプが排水口から外れやすくなったので、ビニールテープで巻こうと考えた。

確か、かなり古いのが道具箱に入っていたはず。

薄暗い玄関でゴソゴソ探ってみると、赤とグレー、ふた巻き見つかった。

びにーるてーぷ

よしよし、これで買わずに済むぞ。

しかし、古いせいか、側面や切り口がベタベタして、そこにホコリがついて、きたならしい。

しげしげ眺めていたら、不意打ちで見たくないものを見てしまった。

テープの芯の内側に、結婚してた時の姓、つまり元亭主の姓が書いてある。

私の字だ。

そういえば、子供が学校で工作をするのに、テープを持たせたことがあったな。その時書いたんだろう。

そのあと離婚して、子供は転校して、私たち一家は私の実家の姓になった。

戸籍、免許証、いろんな持ち物。捨てられるものは捨て、書き換えるものは書き換えた、はずだった。

こんなところにまだあるとは、雪山でヒバゴンを見るくらい、ビックリだ。

ひばごん
 (もはや知る人も無いやもしれぬ)

排水パイプをグリングリン何重にも巻いても、ビニールテープはまだ残っている。

リビングの隅のゴミ箱を狙って投げたら、ポスッ!と、ナイスシュートの音がした。



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むかしむかし | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/02/18 08:52

ユウユウ本。

何だかくたびれたので、美容院に行こうと思った。

辛いことがいっぱいあった頃からの習慣で、私は人に頭をさわってもらうと、何となく元気になる。

それに、髪がサッパリとすると、失われた自尊心が少し戻ってくる気がするのだ。

シャンプーの後、髪をタオルで巻いて、席に案内される。

こちらで少々お待ちください

雑誌を手渡されて、指名の美容師さんを待つのもいつものことだ。

さっそく雑誌を…ん?

ゆうゆう 2015 3 

いつもは「クロワッサン」なのに、なんで?

50才からの人生を輝いて生きたい!すべての女性のための読み物たっぷりマガジン」を、私に?

いや、確かに50です、50ですけどね。

自分でも、もうババアだ、ババアだ、言ってますけどね。

100才までボケない暮らし、したいですけどね。

何故こんなに、ガックリくるのかしら。

ところが読んでみると、「ゆうゆう 3月号」は、私にとって興味深く、「クロワッサン」よりもピッタリくるのだ。

それがまた、さらにガックリなのである。



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ブックガイド | コメント(15) | トラックバック(0) | 2015/02/17 10:20

ぼうずの話。

おじーちゃんの三回忌

うちとイモート一家が実家に集まり、お寺さんに来ていただくだけのものだ。

30代の若いご住職は、お経の声も元気よく、子どもたちにもわかりやすいお話をしてくださる。

おばーちゃんはこのご住職が大好きで、自分からもあれこれ話しかけるのが常だ。

こちとら慣れない正座で、話が長くなると困るのだが、ご住職はのんびりと如才なく受け答えなさる。

…いいお庭ですねえ…もうすぐ梅が咲きますか

縁側によく日が当たって、近所の猫がよく来るんですよ

おお、かわいいでしょう

それが、とっても意地悪な人が飼ってる猫で、それを思うと猫まで憎らしくて…

むむむ!

もしかして、おばーちゃんアレ言っちゃうんじゃない?

心なしか緊張した空気が流れ、一瞬の間があったが、幸いそのまま猫の話は終わり、一同はお茶をズズッとすすった。

ご住職自ら運転なさる高級車の後ろ姿を門口で見送りながら、イモートが言った。

もー、おかーさん、さっきのアレ、ドキドキしたよ~!

そーそー、いくら猫の話でもさー、やっぱアレはダメじゃん!

ところが、おばーちゃんはポカンとしている。

アレって何?

え~!気づいて言わなかったんじゃないの?!

悪気はないとはいえ、危ないところであった。

おばーちゃん!あ~た以外は全員思ったよ!

ボーズ憎けりゃケサまで憎いって言い出すんじゃないか、って。

ともかく三回忌の法要は無事終わり、いろんな意味でホッとしたわが一族である。

となりのねこ
     「ワシもホッとしたワ」



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/02/16 10:25

かくんの話。

うちはうち よそはよそ

を第一条とする我が家の家訓(→ うちそと話。)に、新しい一条が加わった。

夕飯のカレーを作っていた時のこと。

ジャガイモを入れないシンプルなチキンカレーだが、もう一つ何か入れたいな、と思った。

ナスかパプリカが欲しいが、雪のちらつく天気で、買い物に出るのも気が進まない。

冷蔵庫にあるもので何とかしよう。

キノコか何かないかとごそごそ探っていたら、あった。

ナメコが。

週末みそ汁に使うつもりが、忘れていたものだ。

今までカレーに入れたことはないが、特にクセのないものだし、鍋いっぱいのカレーに1パック入れたところで、大勢に影響はあるまいと軽く考え、仕上げに投入した。

さて夕飯。

初めてのナメコ入りカレーは、味には全く問題なかった。

問題はネバリである。

みそ汁や大根おろしに、ナメコ特有のヌルヌルが加わると、独特のとろみになって美味しいものだ。

しかし、カレーにはそもそもとろみがある。

そこにナメコを加えることで、とろみがネバリに変わっていた。

ネバるカレーの気持ち悪さといったら、これは空前にして絶後である。

さらに、片栗粉で後付したとろみとは違い、ナメコは本体にとろみ成分を持っている。

つまり、食べ進むうちにどんどんトロントロンになっていくのである。

こんなに地味にまずいものを作ったのは久しぶりであった。

というわけで、新しい家訓はこれ。

かくん2



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/02/15 10:16

くちこみ話。

おばーちゃんが、小学校の同級会で一泊旅行に行くらしい。

キノクニ温泉は何度も行ったことあるけど、聞いたこともない旅館なのよ~。大丈夫かしら…

おばーちゃんは意外に神経質で、寝具や部屋が気に入らないと眠れなかったりする。

口コミ検索してみればいいじゃない。タブレットの使い方、こないだ教えたでしょう

そう、おばーちゃんはタブレットを持っているのだ。(→ ぶろぐの話。

そう言って電話を切ったが、2時間ほどしてまたかかってきた。

どうしよう、もう行くのやめようか…

何よ、どうしたの?旅館の口コミが悪かったの?

うん…それが…出るらしいのよ

へ?

…幽霊…

ハア?

どこをどう見たのか、旅館の名前で検索したら、昔の幽霊話がヒットしたらしい。

おかーさん、それは口コミじゃないよ!噂話

あわてて実家に行き、旅館の口コミサイトをお気に入り登録してきた。

くちこみ




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ごかぞく | コメント(2) | トラックバック(0) | 2015/02/14 08:47

はくさい話。

歩道のアセビの低い植え込みに、色の違うところがあった。

植え込みや生け垣には、たまにそういうところがある。

ずうっとツツジが植わっている一角に、サザンカが混ざってたりするが、花どきでなくても、葉っぱの色が違うのでわかるものだ。

それにしても、なんだか違和感があるので、近寄ってみたら、確かにアセビではない。

ツツジでも、サツキでも、サザンカでもない。

白菜だ。

はくさい

立派な白菜が、植え込みの空いたところに立っている。

生えているわけではない。その証拠に、透明のフィルムで包まれ、紫色のテープがグリンと巻きつけてある。

それにしても、なぜだろうか。これだけデカい白菜、落として気づかないわけがない。

ここは駅から200メートルくらい離れた団地の外周で、ゆるい上り坂の途中だ。

大きな買物袋を重そうに提げた年配のご婦人を思い浮かべた。

醤油が切れたので、買い物に出て、つい安かった大根と白菜を買ってしまったのかもしれない。

坂道をのぼるうちに、息は切れるし、我が家はまだまだ遠いのに、荷物は手がちぎれそうなほど重い。

植え込みに一度下ろしたら、もう持ち上げられなくなって、一番大きい白菜を、残していくことにした。

誰か優しい人に拾ってもらうんだよ…

んなバカな!

私の暴走する想像力をもってしても、ここら辺が限界だ。



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/02/13 09:12

すきっぷ話。

夕方駅を降りたら、ちょうど同じ制服を着た学生たちがぞろぞろとやってくるところだった。

近くの高校の下校時間帯らしい。

商店街を進むにつれ、駅に向かう高校生と次々とすれ違うが、やがてアーケードの外れまで来ると、次第にまばらになった。

アーケードを出て少し離れたところに、パン屋兼駄菓子屋みたいな店がある。どうやらこの高校の学生御用達のようだ。

前にさしかかった時、中から一人、ぴょんと飛び出してきた。

オオイズミヨウに似た、ヒョロヒョロで天然パーマの男の子だ。ヒョットコみたいにとがらした口からチュッパチャプスの棒が飛び出している。

オオイズミ君は駅方面に直角に方向転換すると、すったかすったかスキップで行ってしまった。

制服のブレザーの下からワイシャツの裾がはみ出して、ピロンピロンと上下に揺れている。

スキップしてる人って久しぶりに見たかもなあ。

男の子ってバカなほうがカワイイものだな、と思った。いや、オオイズミ君がホントにバカかどうか、わかんないけど。

チュッパチャップス
(くわえたまま転ぶとノドを突くから危ないぞ!)



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ごきんじょ | コメント(2) | トラックバック(0) | 2015/02/12 08:17

だいしゃ話。

女優のイシダユリコが、テレビのインタビューで

40代女性の必需品は台車

と言っていた。
台車

重いものも自分で持とう

とも。きれいなだけの人かと思っていたら、なかなかいいこと言う。

40代に限らず、独身女性に台車は必須アイテムである。故紙を回収場所に持っていくにも、粗大ごみを出すにも、台車のあるなしで労力は大きく違う。

重たい荷物を前に、どうしよう~とクネクネしていたって、白馬の王子様が現れて

おお、美しい姫よ、わたしが運んでさしあげましょう!

…てなことはあり得ないのだから、さっさと自分で台車に乗っけて運ぶのが一番だ。

イシダ嬢についでに勧めるとすれば、あと電動ドライバーと、4段以上の脚立

これさえあれば、亭主要らず。女所帯でもほとんど困ることはない。

私はこの3つを三種の神器と呼んでいる。



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てれびじょん | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/02/11 09:44

てんぷら話。

テレビで天ぷらをカラッと揚げるコツを紹介している。

てんぷら
    (ナスとイカが好き)

例のごとくフーンと思って見ているが、実践する気はさらさらない。

何しろ私は揚げ物を一切やらないのだ。

とんかつも、唐揚げも、コロッケも、家じゃ揚げない(よそでも揚げないが)。そう言うとよく

子どもに何食べさせてんの?!

と驚かれるが、ご心配なく。焼く、炒める、煮る、で、できる料理はいっぱいある。

揚げ物をしなくなったのはムスメが生まれてから。もともとは安全面を考えて、子供が小さくてややこしい間だけの、期間限定のはずだった。

それが子供が幼稚園に上がり学校に行き、それでも再開しないまま今日まで来た。

母は普通に揚げ物をしていた。

天ぷら、クリームコロッケ、スコッチエッグ、どれも思い出すだけで嬉しくなるくらい、おいしかった。

でも、準備を終えてやれやれと席に着いた母は、私たちがバクバク食べるのを見るだけ

お母さんは?

私はいいわ…

自分はせいぜい一つつまむだけ。

もともと油ものが苦手な母は、揚げる間にもう胸がいっぱいになってしまうのだという。

山盛りの唐揚げの嬉しさは変わらないんだけど、いつも少しだけ寂しい気持ちになった。

私は母ほどデリケートではなく、わんわん油煙に囲まれたって、バカスカとんかつを食べるくらいの自信はあるんだけど、何となく揚げ物はしないでいる。

たまの外食で、家族並んで、よその人が揚げてくれる天ぷらを待つのは楽しい。うちはそれでいいかな、と思う。



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/02/10 10:16

ぱっちの話。

昔の子供の冬装束を思い出してみた。

まず下着はパンツと靴下の上に、長袖シャツ、ズボン下。ブラウスをズボンの中にインして、セーターを着る。

家にいてもこれで、外に出るときはさらにオーバー、手袋、マフラーと毛糸の帽子。もうコロンコロンのぬいぐるみ状態である。

50代前後の人のアルバムを見れば、子供時代のコロンコロン写真が必ずあるはずだ。

最近はセーターも着なくなったが、ズボンの下に何か穿くということもなくなったように思う。

かっこつけてズボン下なんて書いてしまったが、普段はそうは言わない。

パッチである。

カッコ悪いと思われがちなラクダの上下だが、贈答にも使われる高級品で、一家の主だけが着ることができる。

サザエさんの波平さんが着物の下に着ているように、古き良きお父さんのイメージ。

子どものパッチは毛糸で、お母さんが編み機で編んだ。ジャージャーと往復する機械編みの音も懐かしい思い出だ。

本体は思い出の底に沈んでしまったが、今もってお世話になっているパッチが一つある。

それは必死のパッチ、という言葉である。

状況が非常に切迫して、なりふり構わず必死になっている状態を表す関西弁

どや、もうかってるか?

あきまへん!もう、必死のパッチですわ!

のように、自嘲的に用いる。

オッサンが使うことが多いと思うが、最近とみにオッサン化が進んでいる私も愛用している。

語源には諸説あるが、ここはやはり、着物の裾をからげて駆けだす波平さんを想像したい。

危機的な状況の時、必死のパッチの波平さんを想像するだけで、ほんの少し気持ちに余裕が出るのである。

あわおどり
   (これは違う)



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2015/02/09 10:07
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