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きかれた話。

久しぶりにムスメが帰ってきたので、みんなで昼を食べに出る。

いつもの店でいつものようにバカ話をしながら食べていると、隣の席に3歳くらいの子供を連れた夫婦が案内されてきた。

子供が騒いだらイヤだなと一瞬思ったが、幸いマナーのよさそうな一家なので、特に注意を払うことなく食事およびバカ話を続ける。

デザートを待つ間、ムスメのアブラ取り紙で、ムスコと私も鼻のアブラを取ってみた。3人で、とれたアブラじみを見せ合う。

うわ~!ヤバい、超とれた!

あたしなんか見てみ、50過ぎたらこんなもんよ。アブラもろくに出やしない

昔はテカってたのにねえ~。それよりアンタ、痩せてるくせに、意外にスゴイね!

フフフ…、高校生男子をなめるなよ…

バカの極地みたいな会話である。親子連れのマナーをうんぬんする資格などない。

ムスコの甘いもの好きをからかいながらデザートを食べていると、隣席から声をかけられた。

あの…お久しぶりです…アオキです…

はっ

見ると、5年くらい前、習い事でご一緒だった女性である。結婚され、ご主人の転勤で遠くに越されたので、まさかこんなところに、しかもご一家でいらっしゃるとは思わなかった。

しどろもどろに挨拶をして、デザートをやっつけ、シツレイシマスと先に席を立った。

それにしても、彼女はどの時点で私に気付いたのであろうか。

席に着いてすぐなら、アラ!となったはずだから、しばらく経ってからだろう。

… 隣の席、ゲラゲラ笑って、下品でウルサイわねえ … うちの子はしっかり躾けて、あんな風にならないようにしなきゃ … (にらみつける) … あら?あのお母さん、たしか…

うわああ!

特にアブラ取り紙のくだりが、彼女の耳に入っていないことを祈るのみである。

あぶらとりし
(もともとは金箔の副産物らしい)



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/04/20 10:06

べーじゅ話。

休日早朝、近くの駅前に、リュックをしょった中高年男女が集まる。

ハイキングに出かけるグループの集合場所になっているようだ。

若者のように騒ぐこともなく統制がとれていて、定刻にはキチッと出発される。

和気藹藹の雰囲気も楽しそうで、どこまで行くのかなあ、お弁当は古墳のところかしら、などと想像してみたりする。

私も歩くのはキライじゃないし、参加したってよさそうなものだが、できない理由がある。

ハイキングというと皆さんかぶってらっしゃるあの帽子

はいきんぐぼうし

ハイ、こういうやつです。

私はあれが全然似合わない。

あの帽子をかぶるくらいなら、家でくすぶってた方がマシだ、などと考えるのは、私がスポーツから本当に遠い人間だからだろう。

似合わないせいでひがみっぽくなってるのかもしれないが、あの手の帽子やジャンパーみたいなものって、もうちょっと何とかならないのか。

揃いも揃ってベージュや薄茶、せいぜい冒険してカーキ色かチャコールグレー。

自然に溶け込む以前に、メンバー同士で混じり合ってしまいそうだ。

今日もベージュの帽子が10個あまり、楽しげに集まり、やがて上下に動きながら、一方向に進んで行った。



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てれびじょん | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/04/19 10:21

かつての話。

今日は、学生時代の友達の、タナカ君をご紹介したい。

 
(タナカです)

冗談ではない。ヘタな似顔絵より「」の字のほうが、ずっとタナカ君に似ているのだ。

たなかです
  (どーもタナカです)

おお、タナカ君!タナカ君じゃないか、久しぶり!

自分で描いておいて思わず声に出るほど、似ている。

オジサンくさい銀縁メガネが似合うタナカ君は、マジメないい人なのだが独身である。

もう長いこと会ってないが、時々彼のことを思い出す。先日は、タクシーに乗って、前の車の後ろを見ていたら、タナカ君どうしてるかな~、とふと思った。

なぜなら彼は、いすゞジェミニのリアにも、そっくりだと言われていたからである。

人柄はとてもいいけれど、無生物にばっかり似ている人だ。

ジェミニのリアってどんな風だっけなーと検索してみたが、ピンとくる画像がない。フロントの写真はけっこうあるのに。

いすゞじぇみに
(どーもジェミニです)

そして、ジェミニのフロントは、タナカ君にはちっとも似ていないのであった。




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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/04/18 09:58

さいずの話。

というわけで、おばーちゃんとこにタケノコをもらいに行った。

タケノコをもらいに行ってタケノコだけで済まないのがおばーちゃんのオソロシイところ。

玄関にでっかい紙袋が置いてあり、

あ、あれも持って帰って

と軽く言われる。覗いてみると、例のごとく洋服だ。

着てみたらイマイチだったからね、アンタなら似合うかと思って

無分別に好きなものを買っては、合わないと私によこすのがおばーちゃんの趣味である。

オカーサン!試着しないで服買うのはやめてもらえませんか

と、思うけど、もう言わない。

広げてみると、小柄なおばーちゃんにはどう考えてもデカすぎるセーター。

ユッタリしてていいかなと思ったけど、袖が長くてさ~

袖の長さくらい、試着する必要もない、当ててみりゃわかるでしょ!

と、思ったけど、ぐっと飲み込む。

もう一枚、セーターの下に入っていたのはコート。

色はいいんだけど、丈が長くてさ~

だから、コート丈の長さなんぞ、当てるまでもない、かかってるのを見ればわかるだろう!

と、叫び出しそうなのをぐっと抑えた。

さて、今日はタケノコご飯と若竹煮である。

セーターはムスコに着せてみよう。コートはムスメに見せて、要らないといったら私が着なくちゃ。こういうのもヤリクリというのだろうか。

すきなこーと
(ホントはこういうコートが好き)



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/04/17 09:46

たけのこ話。

あ~、誰か、タケノコくれないかなあ~!

今日も変わり映えしない夕飯を作りながら、大声で言ってみた。

カウンターの向こうにムスコがいて、ブッと吹き出す。

なにそれ。食いたいんなら買えば

ダメなんだよう!タケノコイカナゴのくぎ煮は、人にもらうものなの!

主婦の皆さんのブログを拝見していても、タケノコをもらった、茹でた、というのは、この時期に人気の話題である。

私とて、いただく分には、決して拒むものではない。例年誰かしら

タケノコをいっぱい貰っちゃって、困ってるの~!2、3本助けてくださる?

と、お声がかかる。しかし、今年はナニユエか、どなたからもいただけないではないか。

タケノコが欲しいよ~!

心からなるおたけびを上げる私に

だからって、わめいたってしかたないだろ…

と、ムスコは冷たい。

だから若いやつはアサハカだというのだ。

言霊の力というのがわかっておらないのである。

切なる願いは、口に出して言うことによってこそ、空中にジワジワとにじみ出て、知らず知らず関係諸方面に伝わり、いつしか実現に向かうのだ。

しんねり黙っていては、貰えるモンも貰えないのである。

タケノコのない夕飯を食べて、ひっくり返っていると、電話が鳴った。

京都のムラカミさんからタケノコがいっぱい来たんだけど、あんたんち食べるでしょ?

おばーちゃんからだった。

見たかムスコよ、これこそ言霊の力である。

たけのこのさと
     (これは自分で買う)




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もろもろ | コメント(20) | トラックバック(0) | 2015/04/16 07:48

るぱんの話。

なんか、あんたデカいね!

久々に学ランを着たムスコを見て、思わず声に出た。春休みの間、家でクタクタしている時は気づかなかったけど、こいつめまた背が伸びている。

身体検査で、去年より8センチくらい伸びてた。体重は変わらんけど

実のムスコとはいえ、頭の上から言われて、一瞬ムカッとする。

高校生のムスコは棒人間と呼ばれる丸顔のヤセ男。

(どーも棒人間です。学校に遅刻しますので失礼します)


そういえばオカーサン、お願いがあるんですが…

なんだ金か?!と身構えたが、そうではなかった。

ズボンが短くて、チャリに乗ると足首が寒いんだよ。長くするのってできる?

あーはいはい、できるできる。

そういえば最近、ムスコを見てると何かに似てると思ってたんだ。あれだあれ。

ルパン三世!

るぱん

ルパンみたいでかっこいいじゃん。しばらくそのままで行けば?

そう提案したが、あえなく却下された。今、シブシブ替えズボンの上げを下ろしている。



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/04/15 09:06

かいすう話。

ポケットから、忘れてた小銭が出てくるとうれしいが、うれしくないものもある。

電車の回数券カードなんかその代表だ。

月に数回必ず往復する区間、定期を買うほどの頻度じゃないので、回数券を利用する。

わずかながら割引もあり、切符を買う手間も省けていいのだが、使用期限が3か月。忘れてると簡単に過ぎてしまう期間である。

コートやジャケットのポケットから期限切れの回数券が出てくると、本当にガックリする。

割引でコツコツ得をしてきたのが、一気にパーになるショックは大きい。

九仞の功を一簣に虧くなどと大時代な諺が浮かぶほどだ。

そんなカードの写真を載せたいところだが、それすらできない。持ち帰るのも忌々しく、見つけたその場で力を込めて捨ててしまうからだ。

そして、今この記事を書きながら、気づいてさらにショックなことが。

ポケットから出てきたカードを見るなり逆上し、確かめもせずに捨てていたが、もしかして、中には期限の残るものもあったのではないか。

だとすると、自ら損失を拡大している可能性もある。

ああ、なんだかメマイがしてきた。

かいすうけん
(私の夢の回数券)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/04/14 09:13

れしーと話。

薄手のスプリングコートを出してきた。

本当に寒い日には着られず、かといって、しばらくマゴマゴしていると要らなくなってしまう、困ったコートだ。

晴れているけど少し肌寒い、そんな日に着ておかないと、またタンスの肥やしになってしまう。

外に出ると意外に強い風が吹いてきたので、コートのポケットに手を入れて歩き出すと、モシャモシャと触れるものがあった。

信号待ちで立ち止まって取り出してみると、しわくちゃになったレシートだ。

れしーと1

前に着た時サンクスで何か買ったものと見える。

いい年をしてレシートを入れっぱなしにするとは、ポケットにプリントを入れたまま洗濯に出すムスコに、偉そうに言えない。

駅のホームのゴミ箱に捨てようと思ってポケットに戻し、歩きながらふと思った。

確か、近所のサンクスって、ずいぶん前につぶれたんじゃなかったっけか?

電車を待つ間に、もう一度レシートを取り出して、しげしげと眺める。

れしーと2

2013年4月12日。ぴったり2年前の日付ではないか。

驚いてさらにポケットを探ると、印字されたおつりの金額、401円が、そのまま出てきた。

主婦として、大人の女性として、これはいかがなものか。今、非常に反省している。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/04/13 09:19

ちじせん話。

今日は、県知事と県議会議員の選挙

選挙カーがやかましかったり、駅前に候補者が立ったり、国政選挙よりにぎやかな気がする。

ちょっと前のこと、私は混雑するターミナル駅を降りて、焦っていた。約束に遅れそうなのだ。

小走りで横断歩道を渡り、ポストのある曲がり角を最短距離で曲がった。

ドシン!

曲がりっぱなの変な場所に、誰かがボーッと立っていて、私はその人に突き当たってしまった。

口ではスミマセンと言いつつも、なんでこんなとこに立ってやがんだコノヤロ的な雰囲気が伝わったのだろうか。

40代くらいのサラリーマン風の男は、けっこうな勢いで当たった私に怒りもせず、ぺこりとお辞儀をした。

背広じゃ駅伝にも出られまいに、なぜか幅広のタスキをかけている。

急いでいた私は、あいまいな感じでそのまま彼を後ろにして、約束の場所に駆けて行った。

なんとか時間に間に合ってから、落ち着いてさっきの状況を考えてみた。

私が突き当たったあの地味な男は、県知事候補だったのではないか。

だとすると、あれは街頭演説だったのだろうか。

それにしては、あまりにも周囲は静かすぎ、候補者は地味すぎた。オーラのかけらもなかった。先を急いでいた私のほうが、よっぽど気迫と勢いがあったと思う。

あんな具合でいったい、選挙戦を勝ち抜いて、県の代表になれるものなのだろうか。

答えは、今夜出る。

タスキ
(特価一万円~ だってさ)



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/04/12 08:46

はりがみ話。

ハリガミを見るのが好きだ。

既製のポスターや、看板屋さんの作ったものではなく、手書きのハリガミ。

少々間違ってても、書いた人がすぐそこにいる感じがいい。

春の北陸旅行記の締めくくりとして、ステキなハリガミを紹介しよう。

海辺の売店の、海苔のワゴンである。

のりのり

この作者の非凡さは、「のり」というたった二字を、あえて「の」「り」と分けて書いたところにある。

まず一気に「の」8枚、「り」8枚を作成したあと、ワゴンの側面に貼り付けていくうちに、作者はゲシュタルト崩壊的な何かに襲われたものと思われる。

のりのりのりの…りのりの…?のりって何

「の」の次が「り」でなければならないという意味さえ見失った混乱が、全体に漂う不安感になって表れている。

単に商品名を示すだけにとどまらない、問題作といえよう。

次は、観光地の食堂店内に掲げられた全長2メートル近い大作。

いかやき

正確に言えばハリガミではなく、これは掛け軸だ。

しかし、

当店はイカ焼きの味と品質に自信を持っており、強くお勧めします!

という意思が、力強い毛筆の筆致を通してひしひしと伝わってくる点で、これは非常に有効なハリガミであるといってよいのではなかろうか。

年に一度の書初めの題材に、お父さんお母さんの経営する食堂のイチ押し商品を選んだ、けなげなリサちゃんの親孝行精神にも胸を打たれる名作である。




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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/04/11 09:13
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