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きるもの話。

梅雨入りしたんだかしないんだか、夏になったんだかどうなんだか、毎年この時期は着るものに迷う。

見切りをつけてさっさと夏物にしてしまうと、鳥肌が立つほど寒くなったりする。

ただでさえ着るものがないのだ。

着るものがない。

きるもの
(舞踏会に着ていくドレスがないのです)

タンスには、引き出しの開閉に困るほど、ぎっちぎちに服が詰まっている。

にもかかわらず、着るものがない。

服はあっても、着るものがない。

ないから買いたいのだが、買えばまた服が増えるのである。

動物のように、年がら年中生まれつきの毛皮で過ごせたら、どんなに心穏やかであろう。

人間の体毛がここまで退化してしまったことを、恨めしく思うばかりだ。



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/05/31 09:55

つかれた話。

今日は疲れた。暑かった。

やっとこさ家にたどり着き、ポストの中のダイレクトメールを取って、這うように玄関を入る。

靴を脱ごうとモゾモゾしていたら、玄関マットの上に百円玉が落ちている。

何度言っても財布を使わず、お金をジカにポケットに入れる、ムスコの仕業に違いない。

いただいてしまうことに決めて、拾い上げた。

汗をした顔をザブザブと洗いたくて、髪を留めようと、ポケットからヘアピンを出す。

洗面所に行って、蛇口をひねろうとしたら、捨てたはずのダイレクトメールをギュッと手に握っていた。

あれ?と思って、廊下を戻ったら、くずカゴ百円玉が捨ててある。

あれあれ??と、ハンドバッグを探ったら、財布の中にヘアピンが入っていた。

自分がどういう順番で何をしたのか、ぜんぜん思い出せない。

疲れがさらにドッと来て、なんだかもう、何もかもがイヤになった。

いれちがい
 (図解してみても、そうなった理由は分からない)

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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/30 09:27

へんかん話。

こんちは~と入っていくと、玄関に紙袋がある。

おばーちゃんは、捨てられない衣類をくれてやろうとコシタンタンで、私が来るとわかると、まとめて玄関に出している。(→ さいずの話。

お茶を飲みながらおしゃべりして、暗くなる前に帰ろうと腰を上げたら、

あ、その紙袋持って帰って!

と言われる。やっぱり服か、と思っていると

ゲタ、下駄が入ってるから…

へ?ゲタ?なんで?

紙袋には新品の桐下駄。

あの子に聞いたら、履いてみたいって言うから、出しといたからね

おじーちゃんの生前、買ってあったが履かなかったものらしい。何の気なしにムスコに聞いたら、履くと言ったそうだ。

持ち帰って、帰宅したムスコに

アンタの下駄、玄関にあるよ

と言うと、

???

一向に解せない顔である。事情を話すと

オレ言ってねーし。おばーちゃんと下駄の話、したこともねーし

うーん、これはどういうことか。

推測だが、ムスコはおばーちゃん家にいる時は、ゲームをやっていることが多い。おばーちゃんはその後姿に向かって

おじーちゃんの下駄、履いてみる?

などと尋ねたのだろう。ゲームに集中しているムスコは、ウンとかウーとか、生返事をしたに決まってる。それを聞いて

おじーちゃんの下駄を履いてみたい!

と変換したのは、おそらくおばーちゃんの希望的脳内作業であろう。

ま、これからの季節、若い男が素足に下駄を履いてるのも、悪いものじゃない。

げた



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/05/29 09:50

ひがさの話。

おばーちゃんちに、日傘を置いてきた。

昼行って、帰りは暗くなっていたので、つい忘れたのだ。

いかに美容に無頓着な私とはいえ、今日もカンカン照り。しかたなく自転車用の帽子をかぶって外に出た。

日傘を持つつもりでいたせいか、なんとなく手持ち無沙汰だ。

空いた手を持て余していたら、15年前の初夏を思い出した。

あの日私は、本当に久しぶりに、日傘をさしたのだった。

ムスメが生まれて、私は日傘を使わなくなった。

赤ん坊を持つ母親は、日傘を持つことができない。両手は子供を抱っこしたり、ベビーカーを押すのに、常にふさがっているからだ。

子供がベビーカーを降りて歩くようになると、今度はしっかりと手をつながなければならない。

面白いものを見つけて、いきなり駆け出したムスコを、追っかけてつかまえることもある。

そんな時、悠長に片手に日傘を持ってはいられないのである。

しかし、子供は育つ。

その年の春、ムスコは幼稚園に入園した。

小さな小さなお弁当を作り、園まで送り届けた帰り、日差しの強さにふと、日傘を思い出した。

取り出して開いてみると、少しくすんで、なんだか眩しそうに日光を受けている。

用事はないけれど、開いた日傘を手に、そのまま玄関を出て、駅に向かって歩いた。

誰とも手をつながずに歩くのは、本当に久しぶりのような気がした。

それなのに、いつの間にか子供の速さでトロトロ歩いていることに気付いて、おかしくなる。

お勤めしていた独身の頃のように、胸をはってさっさと足を出してみた。心なしか、頬に当たる風が涼しい。

さあ、これからは、こうやって自分の速さで、一人で歩くんだ

強くそう思ったことを、今も覚えている。

ひがさをさす
Claude Monet (1840-1926)



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むかしむかし | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/28 09:34

じまくの話。

今のテレビは、映画以外も画面に字幕を出すことができる。

私は大きな音が苦手で、テレビの音声もかなり絞っているので、代わりに字幕を出しておくことが多い。

耳で聞くとごちゃごちゃした内容も、字で見ると一瞥でわかるのがいいのだ。

ドラマを見ていると、字幕に出るのはセリフだけではない。

たとえばガチャーン!という音とともに、(ガラスの割れる音)という字が映る。

(電話の鳴る音) (踏切の警報音) (パトカーのサイレン) なんていうのもある。

でも、ピアノを弾いている手元がアップになる場面に

(♫~)

という字幕が出るのは、ちょっと余計だ。

それから、サスペンスドラマの犯行シーンで、犯人がナイフで被害者を襲った時、画面下に

(刺す音)

と出るのは、あれは本当に要らないと思う。


じまく



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/05/27 10:49

じゃーじ話。

体育館の駐車場に停まったバスの中から、スポーツバッグを持った女子高生が降りてきた。

何かの試合らしいが、驚いたのは、彼女らのジャージである。

藤色というか、薄紫というか、訪問着みたいな色。

パステルトーンの集団がフワフワと移動すると、藤色の霞がたなびくような不思議な雰囲気になった。

いつも思うのだが、学生にお揃いのジャージを着せる意味って何なんだろう。

うちの子たちも、新入学ごとに、それぞれの学校指定のジャージを買わされてきた。

それも、ザリガニみたいな赤茶色とか、ポリバケツのごときスカイブルーとか、イマドキよくぞこんな色があったな、と思うような、ダッサイやつ。

他にいくらでもいい色があるだろうに、なぜよりによってそれを選ぶ?と、疑問でならない。

もしかして、学校と結託して、業者のデッドストックを買わせてるんじゃないのか。

みんな引き出しを探せば、ジャージの一枚や二枚、買わなくても持っているだろう。

体育で着るものなんて、めいめいありあわせで準備すればいいのに、なんでわざわざダッサイお揃いのジャージを買わなければいけないのか、わからない。

たまたま電話してきたイモートと、中学のいもジャー(うちの中学はサツマイモの皮色の芋ジャージ)の話になった。

なんであんなの子供に着せるんだろ…イヤガラセとしか思えないよね

ワタシ、考えた。あれはね、逃亡を防ぐためだよ。あそこの生徒、ってすぐわかるでしょ

なるほど~、確かに、マラソンの時とか、脱走したくなるもんね。

要するに、あれはシマシマの囚人服なんだ。

いもじゃー



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/26 08:59

ちゃりの話。

夕方、自転車で出かけた。

高校の近くを通りかかると、外周を男子学生が走っている。部活のトレーニングのようだ。

ぶかつでらんにんぐ

前方から私が近づくのに気付いて、キャプテンらしい先頭の学生が後ろを振り向き

おい、チャリだ、チャリ来たぞ

と声をかける。

学生たちはそれに応じてすぐに道脇によけ、私の通り道を作ってくれた。

みんな迷惑顔でもなく、イヤな感じは一切ない。なかなか礼儀正しいと言っていい。

にもかかわらず、一瞬軽くムッとしてしまったのは、チャリと呼ばれたからだろう。

しかし、あの場を振り返ってみて、キャプテンはなんと言えばよかったのか。

自転車に乗った人が前から来たから、よけましょう

では長すぎて間に合わない。かといって

オバチャンが来たぞ

では、避ける必然性がわからない。

やはりあの場では

チャリ来たぞ

が正解なのだろう。

そんなことを考えているうちに、図書館についた。



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ごきんじょ | コメント(24) | トラックバック(0) | 2015/05/25 09:10

りゅっく話。

ムスコの通学用リュックが破けてきたので、新しいのを買わねばならない。

ムスコの持つカバンなど、何でもよさそうなものだが、本人からひとつ注文がある。

スポーツしてないんだから、スポーツブランドはやめてくれ

つまり、アディダスだのプーマだの、よく見るマークのついたような、ナイロン素材のはダメだってこと。

キャンプも登山も行かないから、アウトドア用のもイヤなんだそうだ。

ちっともオシャレじゃないくせに、変なところでめんどくさいヤツ!

何日か探したあげく、女性向けの雑貨店で、キャンバス地の黒いリュックを見つけた。革のタグがついているだけの、シンプルなものだ。

買って帰ってムスコに見せたら、これでいい、というのでヤレヤレである。

そんなことも忘れかけていたある日。

駅のエスカレーターに乗っていたら、前の女子高生の背中にふと目が止まった。

フタが赤と白のシマシマで、本体はヒヨコのような黄色の、とてもかわいいリュック。

しかし、何かが引っかかる。

しげしげと眺めてハッと気づいた。ムスコのと同じところに、同じ革のタグがついている。

よく見ると、配色が違うだけで、形も同じ。色違いなのだ。

その日以来、注意して女子高生の背中を見ていると、

ピンクのフタにキャメルのリュック

黄色のフタに紺のリュック

ジーンズ地のフタに青と白のシマシマのリュック

など、まったく同じ形の商品で、実に様々な色違いがあることがわかった。

どうやら、女子高生にそこそこ人気のあるメーカーらしい。

私としては別段痛くもかゆくもないのだが、ムスコに教えてやるべきか否か、迷っている。

りゅっくいろいろ
(豊富なカラーバリエーションからお選びください)




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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/05/24 08:10

へのへの話。

ハマムラ

昨日のハマムラで思い出したが、昔はよくこんなのを描いて遊んだものだ。
snap_okkanabikkuring_201555222957.jpg

ところでもへじ君のコメカミにある点点は何なんだろう?

への字に結んだ口と、この点点のせいで、いつも怒っているように見えるもへじ君が、子供のころはちょっと不満であった。

怒ってない顔で、できたら女の子が描けないものだろうかと考え、私は試行錯誤した。

ではご紹介しましょう。

へめへめひめ

へめへめししこちゃんです。カワイイでしょ。



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むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/05/23 08:40

はまむら話。

最近は中華食材や調味料も簡単に手に入り、自宅で作れるようになったが、昔は中華はもっぱら外で食べるものだったように思う。

家族で大阪に出て、デパートをぶらつき、心斎橋の「広東料理ハマムラ」でチャーハンや酢豚を食べて帰るのは、子供時分の楽しい行事だった。

特に思い出すのは黄色い皮が独特の春巻で、あれに似たものは他で食べたことがない。

この店は看板が面白かった。

ハマムラ

メニューに描かれたオジサンの顔を「ハ~マ~ム~ラ~」などと唱えながらなぞったのも懐かしい思い出だ。

私も大きくなり、関西を離れているうちに、心斎橋の店はなくなってしまった。

もうあの春巻が食べられないのかと残念に思っていたら、

ハマムラなら京都にあるよ!

と教えてくれる人があった。さっそく調べてみると、京都に三店舗あるようだ。

嬉しくなったが、よくよく見ると「京風中華」と標榜されている。

「京風」などと称して水臭い薄味料理を出されるのは、私の最も憎むところである。

しかもロゴマークを見るとこんな風になっているではないか。

hamamura.png

オジサンの人相が全然違う!

上野の西郷さんの銅像の除幕式に呼ばれた西郷夫人は、像を一目見て

あん人は、こげん人じゃなか!

と嘆いたそうだが、私も言いたい。

ハマムラのオジサンは、こげん人じゃなか



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/05/22 10:01
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