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おかゆい話。

昨日の記事にいただいたコメントを読んでいて考えたのだが、美容院のシャンプーの時

カユイところはございませんか?

と聞かれた場合、どこまで大丈夫なのだろうか?

頭皮が対象であることは言うまでもない。迷うのはシャンプー領域から外れる場合である。

背中が…と言って、断られてしまったオチャメなおじさまもいらっしゃるようだが、さすがにそこまで遠く離れる勇気はなかなか出ない。

美容院ではシャンプーの時、顔面をガーゼなどでふわりと覆われることが多い。

びよういんのしゃんぷー2
(自分では見えないがおそらくこのような状況)

このふわりが曲者で、微妙なタッチで顔面に触れるため、最初はそうでもなくても、だんだんとムズムズしてくる。

ムズムズの箇所は、ガーゼの端が触れている頬だったり、鼻のてっぺんだったり、色々である。

ケープをかけられて手が動かせない時に、タイミングよく

カユイところはございませんか?

と聞かれると、つい

右の小鼻が…

などと答えてしまいそうになり、イカンイカンと思いなおしてから

イイエ…

と言うのである。

しかし、考えてみると、顔面のガーゼはシャンプーをつつがなく行うためにのせるのだから、ガーゼで覆われた部分も、広義のシャンプー領域に含めて差し支えないのではないだろうか。

シャンプーの途中で、オデコやなんかをポリポリと掻いてもらえたら、さぞかし爽快だろうと思うのだが、なかなか実行には移せない。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/07/21 09:54

むかっと話。

いつもの美容院。

今日のシャンプー担当は、初めて見るカワイイ女の子。ムスメとあまり違わない年頃だ。

ちょっぴり緊張の面持ちでシャンプー台に案内された。

ベテランさんとは違い、確かめるようにきちんと手順を踏んで、髪を濡らし、シャンプーをつけ、泡立てる。

痛くないよう、かといって弱すぎないよう、指先にも気を使っている。マジメな子だなあ。

カユイところはございませんか?

カワイイ声で丁寧に聞かれたのに、イイエと答えて、リンスを流して終わり。

さっぱりした髪をタオルで拭いてもらいながら、考えた。

なのに、なんで軽くムカッとするんだろう?

ご存知の通り、日本式美容院のシャンプーは、椅子が後ろに倒れて、顔を天井に向けて行う。

びよういんのしゃんぷー

そのため、後頭部を洗う時には、美容師さんが客の頭を持ち上げる必要がある。

このお嬢さんは、持ち上げた頭を下ろすのが、微妙に速いのだ。

フンッと持ち上げ、ごしごしと後ろ頭を洗い、ピュッと下ろす。

エイッと持ち上げ、シャワーで流し、ピュッと下ろす。

他はとても丁寧なのに、一瞬のピュッとの部分で、非常に雑に扱われた感じがする。

私は頭がデカいので、他の人より重いからか?などと、よけいな想像もする。

その後はいつものベテランさんにカットとセットをお願いして、本日は終了。

支払いを済ませたら、シャンプーのお嬢さんが、ドアを押さえて、アリガトウゴザイマシタとお辞儀をしている。

シャンプー上手だったね ちょっとムカっとするけど

まさかそうは言えないので、ガンバッテネと声をかけて、店を出た。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2015/07/20 09:25

おわらい話。

ケタケタケタ…

ワライカワセミの声で目が覚めた。

いや、そんなはずはない。ここはオーストラリアではなく、日本である。

寝ぼけ眼でベランダに出ると、どこかから女性のけたたましい笑い声が聞こえた。

ヒー ケタケタケタ…  ヒー ケタケタケタ…

どうやらテレビを見ているようである。

せっかくの休日だが、目が覚めてしまったので起きる。

久しぶりの晴れなので、洗濯機を2杯回して、干しているとムスコがのそのそ起きてきた。

もごもごとパンを食べているムスコに向かって、ワライカワセミ騒動をグチる。

テレビもさ、あんな朝早くに、大笑いするような番組はやめてほしいわよね!

と言うと、

深夜の録画じゃねえの?

と冷静な反応が戻ってきた。

なるほど、と思ったが、納得できない感じは残る。

私も録画することはあるが、夜の番組を朝見る気にはなれない。夜に面白いことを、明るい時間に見ても、楽しめない気がするからだ。

ワライカワセミの彼女には、どうしても今朝見たい、今しか時間がない、という切迫した事情があったのだろうか。

そこまでして笑いたかったのだろうか。

彼女の笑い声はどこかヒステリックで、決して健康的じゃなかった。

笑っているのに、なんだか苦しそうだった。

少し気の毒になって、彼女が3連休、ゆっくり休めるといいな、と思った。

わらいかわせみ
 (現地ではクッカバラと言うらしい)



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/07/19 11:01

ふぁくす話。

家電製品って、意識や意思があるんじゃないか。

日々使う中で親しみがわいて、擬人化してしまうのかもしれないが、それだけで説明がつかないこともある。

ずっと洗濯機の調子がよくないので、機械の前で

うーん、コイツもそろそろ買い替えかな~

と独り言を言ったら、いきなり

スンマセンでした、心入れ替えて、ガンバります

とばかりに調子よく動き始め、以来何の問題もなく使えるようになった。

メーカーがこっそり、顔色うかがい機能を搭載しているのではないか、と疑いたくなる。

昨日は、ファクス兼固定電話がヘンになった。

ムスメのボロ下宿が台風で飛ばされていないか心配になり、受話器を上げたら、短縮ダイヤルの宛先などが表示される液晶画面がおかしい。

英字や数字、マークなどが脈絡なく表示され、全く読み取れないのだ。

液晶画面の修理なんてきっと高くつくだろう。通話機能には問題ないが、

買い替えかな…

と、ついつぶやいて受話器を置き、あきらめて寝た。

それにしても、あの脈絡のない液晶表示は面白かった。ハングルやギリシャ語の表記のように、まるで分らない言葉を見ている混乱と楽しさがある。

そうだ、今日はそれでブログの記事を書こう、と思って受話器を上げたら、液晶画面には

バンゴウ?

と、いつもと変わらぬ表示が現れた。

チクショー、コイツも悔い改めてやがる!

ガッカリして、ムスメに電話した。さいわい、ムスメの下宿は無事だった。

へんてこなひょうじ
  (こんな感じだったのに…)




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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/07/18 10:48

けいほう話。

朝食の食器を洗い終えてリビングに戻ったら、ムスコがテレビを拝んでいる。

頼む!あと5分

高校入試の日以来、見せたことのない真剣な表情だ。

台風の影響で、当地にも昨夜より大雨警報が出ており、登校は見合わせになっていたが、警報が10時半まで解除されなければ、今日はお休みとなる。

そして、ただいま、10時25分。

祇園祭の山鉾巡行が気になって、テレビを京都ローカルに変えたら

大事なところなんだから、変えるなよ!

と、怒っている。

しかし私は、責任上、一応確認をしておかなければならない。

昨日、宵山にケチをつけるような記事を書いたら、人出が例年の3分の1以下に減ってしまった(16日午後11時現在、9万5千人(昨年は34万人)…京都府警調べ)らしいのだ。

抗議の声を聞き流し、雨避けのビニールをかけた山や鉾が、無事トロトロ引っ張られる映像を見てから、ニュースに戻してやった。

しばらくして

いやったー!

歓声が聞こえたので、見るとこぶしを握り締めてガッツポーズをしているムスコ。

こうして、なし崩しにムスコの夏休みが始まった。



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/07/17 11:15

よいやま話。

はるか大昔、私は京都の大学に通っていた。

試験期間だというのに、レポートも書かずに部室でダラダラしていたら、イワタ先輩が言う。

ああ、今日宵山やなあ…

祇園祭の宵山のことである。

アレ?見に行くんですか?

意外な気持ちが声に出た。

イワタ先輩は工学部でバイク乗り。

林道を攻めていたら、道がなくなったので、バイクを分解して背負って越えた、という伝説の持ち主である。

彼の行く先と言えばツーリングで、常に出る地名は、周山街道であり途中越えであり、祭りを楽しむような人じゃないのだ。

ちゃうちゃう、単なる注意喚起

確かに、センパイの口調は

台風が直撃するなあ…

と言うのと似ていた。

華麗な山鉾巡行が有名で、観光客を集めるお祭りだが、住民にはどえらい災難でもある。

複雑な交通規制が布かれた道路は混雑を極め、どこに行っても、人、人、人…喫茶店ではフツーのアイスコーヒーに2割増しのお祭り価格。

ウッカリ出かけた貧乏学生は身体からフトコロまで疲弊してホウホウのテイで帰る羽目になる。

つまり、センパイの発言は

オレらは家にいた方がよさそうやなあ…

という意味なのだった。

さて、今日7月16日は宵山。

私は家にいることにしますが、皆さまはぜひお出かけくださいませ。

ぎおんまつり




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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/07/16 09:46

やもりの話。

網戸を開けようとしたら、何かがピロピロピロ…と逃げた。

ヤモリだ。

この時期増える小虫を食べるため、ベランダで張っていたらしい。

しかし、このヤモリ、人家周辺に出没する生物のなかで、格段にヘボい

まず、人目から隠れるのがヘタクソで、人の気配に鈍感である。

そのくせピロピロした動きが独特で、必要以上に目につく。

しかも、無駄にピロピロしているために、スピードが遅い

そのうえ、弱っちくてコロッと死ぬ。

全体的な危機感のなさといったら、野生動物としてどうなのと思う。

私は虫はキライだが、トカゲとかヤモリとかカエルとか、四足のものはそんなにイヤではない。

虫を食べるなら歓迎してもいいくらいに思っている。

それなのに勝手にサッシに挟まってたり、日よけのスキマでミイラ化しているのを見つけると、ため息が出る。

この点ゴで始まる黒い虫とは好対照だ。

巧みに隠れ、無駄なくスピーディーに動き、なかなか死なない奴めらは、人家に寄生するための究極の進化形といえる。

しかし、ゴで始まる黒い虫に対する、私を含めた人類の深い憎悪を考えあわせれば、その戦略が最善とは言い切れない。

ヤモリは、マヌケな姿をさらすことによって、人に親しまれ、大目に見られているわけだ。

そんなピロピロした生き方も、案外間違いではないのかもしれない、とも思う。

やもり
(矢野顕子・森山良子のユニット名でもある)



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/07/15 09:30

しりたい話。

ショッピングセンターのトイレの個室に入ると、少なくなったペーパーを、ホルダーから取り外して、ポンと置いてあることがある。

すくないぺーぱー

あれは、誰が、何のために置いているのだろうか。

使い切った芯を取り出すならわかる。

そうじゃなくて、巻きが少なく、細くなってはいるが、まだ何メートルか残っているのが、取り出され、かといって持ち去られるわけでもなく、そこに置かれている。

お掃除の方が、ペーパー交換の都合上、早めに取り換えたのかな、などと推測しているが、実際の理由はそんなところだろう。

しかし本当に知りたいのはそこではない。

利用者として、我々は、あの細巻きペーパーをいかにすべきか

ホルダーの新品より先に、細巻きのほうを使いきったほうがいいのか。

しかし、個室内にムキダシで置かれ、どんな手で触ったかしれない細巻きをほぐして使うのは、抵抗がある人も多いだろう。

やはり、あくまでホルダーにセットされたほうを使うべきなのか。

まさか、ご自由にお持ち帰りくださいというわけではないと思う。

細巻きを見るたび考えあぐねて、結論は出ていない。




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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/07/14 09:09

よいしょ話。

けっこうヨイショ言いますねえ!

と、同僚のコタニさんに言われた。

え?そーお?

と笑って答えつつ、内心は穏やかではない。

ふとした立ち居振る舞いで、無意識にヨイショを連発しているとすれば、それは老化だ。

ショックである。

ところが、しばらく気をつけてみたところ、興味深い事実が判明した。

椅子から立ち上がる、重いものを持つ、といった、一般にヨイショと言いそうな局面では、私はヨイショと言わない。

よいしょ
  (ヨイショと言いそうな局面)

そのかわり、ファイルを出す時や、郵便物を選別してる時などに、すごーく小さい声

…ョイショ…イショ…

と言っているのである。

そうそう、小さーい声なの。それでちょっと気になるんですよね

と、コタニさんも言う。ごめん、コタニさん、狭い事務所だもんね。

昨日は、暑いのに火を使うのはヤダなあ、と思いながら台所に入ったら、敷居を越す時

…ョイショ…

と言ってしまった。どうやら私はイヤだけどやらなきゃいけないと思うと、

…ョイショ…

と言ってしまうようだ。

手元の辞書の「よいしょ」の項にはこうある。

重いものを持ちあげるなど、力を入れる時のかけ声

私のヨイショは、この「など」の部分に含まれるわけだ。なるほどなあ。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/07/13 08:55

そとおり話。

彼女を見たのは、遅い朝の電車の中。

ドアのわきの空間に場所を占め、ぼうっと外を見ている。

顔立ちやスタイルが飛びぬけてすぐれているわけではない。服装も普段着らしくカジュアルだ。

それなのに目が止まったのは、彼女が美しかったから。

化粧気のない頬にキラキラ光る桃の産毛。

瞳は水をたたえたように潤い、白目の部分が青く見える。

レモン色のシャツの袖から伸びた腕はなめらかで、ひじまでもピカピカしている。

今この時、自分が美しいということに気づきもせず、生まれてきたばかりの清潔さと無頓着さで、彼女はそこにいた。

まるで今朝咲いた花のように。

はすのはな

大昔、その美しさが、着物を通して光り輝いたので、衣通姫(そとおりひめ)と呼ばれた人がいたという。

身なりや化粧では作れない、そういう美しさって、一生のうち、ごく短い若い時のものだ。

それは1年続くかもしれないし、たった1日かもしれない。

でも、どんなつまらない女にだって、きっと衣通姫の日はある。

その日を遠く過ぎて、今ならわかる気がする。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/07/12 09:34
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