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かいたい話。

昨日はスナフキンのおかげで、タオルを買うのを思いとどまった(→ かいたい話。 )が、本当はすごーく買いたかったのである。

上等なタオルって、とってもいいものだ。

しかし、いかんせん、うちには未使用のタオルが多すぎる。

古い順に取替えてはいるものの、そんなに目に見えていたむモノじゃないから、いつも入れ替え時期に悩む。(→ たおるの話。 )

たとえば、今朝洗った髪を拭いた青い花柄のタオル。

昔の同僚のお身内が亡くなった時の、香典返しだった気がする。

だとすると10年以上前にいただいたものだ。

10年前のタオル、といっても、使い始めたのは去年。なにしろ在庫が多いので、デビューまで時間がかかるのである。

そういえば、娘が下宿する時、とっときのバスタオルを出してやった。

クマの刺しゅう入り、厚手で色もキレイで、なかなか上等な品物だった。

あれも確かもらい物のはず…うーんと考えてハタと思い当った。

確かムスメが生まれたとき、セットでいただいた中の一枚である。

たおるつめあわせ

ハタチのムスメが生まれたお祝いが、今まで新品であったのだから、驚いたことだ。

たぶん、今ある在庫で私の一生分がまかなえるだろう。スナフキンに止められるまでもなく、タオルなんか買ってちゃいけないのであった。

でも買いたかったなあ…きれいな色の、シマシマのタオル。




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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/08/21 10:08

かわない話。

久しぶりにイオンに行ってみたら、知らない店がいっぱい出来ている。

中に一軒、異色を放っていたのが

タオル美術館」。

たおるびじゅつかん
(→ (株)タオル美術館 )

美術館?タオルの?と思ったら、ついフラフラと店内に入ってしまった。

要するにタオルの専門店なんだけど、高級品で有名な今治タオルのブランドで、地元今治には本当にタオルの美術館があるらしい。

どのタオルも色はキレイだし、思わず手を触れたくなる上質な風合いが素晴らしい。

迷っていたら、赤いハンドタオルに刺繍された、リトルミイがささやいた。

りとるみい

サッサと買っちゃいなさいよ… タオル一枚ぽっち…

そうだ。なにも家一軒買おうってんじゃない。たった一枚のタオル、千円やそこらの買い物じゃないか。

ひときわステキに見えたストライプのタオルを手にレジに向かいかけたとき、グリーンのタオルの絵柄のスナフキンが言った。

すなふきん

ちょっと待って!そのタオルは、君にとって本当に必要なものかい?

必要…?タオルが必要?

そういえばうちには、引き出物や内祝いでいただいた新しいタオルが、まだ衣装ケースいっぱいにあるのだった。

我に返った私は、ストライプのタオルを丁寧にもとのところに戻し、カラフルな店内をもう一度、ぐるりと見回してから、外に出た。

ありがとうスナフキン。私、大事なことを思い出したよ!

人生の旅路に、余計な荷物はいらないものね。

だけど、タオルの絵柄としては、あなたは失敗かも。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/08/20 10:01

たんでむ話。

今日はバイクの日、らしい。

8・1・9でバ・イ・ク。

安易だ。

しかし最近はあんまりバイクを見ない気がする。

ムスメやムスコの友達を見てても、バイクに乗る子はほとんどいない。

たまに大型バイクを見かけても、乗っているのは中高年ライダーである。

昔の男の子は、免許を取れる年齢になるのを待ちかねるようにしてバイクを手に入れたものだ。

そして、昔の女の子は、自分が乗らなくっても、何となくバイクに詳しくなった。

私は大学時代、女子寮にいたが、部屋にいてドドドド…と聞き覚えのある重低音が聞こえると、急いで外に出たものだ。

ペンペペンペンペン…という甲高い音は202のカズちゃんの彼氏で、ウウーンと唸るような重い振動音は女子大のヒロコ先輩の彼氏で…と、他の子の彼氏のバイクの排気音まで、覚えてて分かるようになる。

自分が乗ってもないのに、バイクの好みができてくるのも面白い。

彼氏がオフロードに乗ってる子は、オフロードバイクがカッコいいと思うようになるし、ホンダ命の彼氏がいる子は、ホンダのバイクが好きになる。

アスファルトが溶けだしそうな道路を、タンデムで海まで走った夏の日もあった。

平和な顔でそこらを歩いている50代のおばさんにも、そんな過去はあったのだ。

たんでむ
(タンデムに乗るにも技術は必要)



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むかしむかし | コメント(22) | トラックバック(0) | 2015/08/19 10:28

もろこし話。

朝の番組で、トウモロコシの特集をやっていた。

ゆでとうもろこし

トウモロコシをテーマに2時間の番組をやってしまうというのも、考えてみるとすごいことだ。

いろんな料理法があるが、私は茹でてそのままかじるのが一番好きだ。

ただ、皮が歯にはさまるのが、子供の頃からの小さな悩みであった。

その悩みを一気に解消してくれたのがユーコさんである。

ユーコさんは、モト亭主の親戚で、夏休みに義父義母のもとに帰省している時に会った。

義父は畑をやっていて、もぎたてのトウモロコシがオヤツに出る。

まだ小さかった子供たちがむしゃぶりつく様子をニコニコ見ながら、ユーコさんはちょっと変わった食べ方をしていた。

まず、横一列分の粒を軽くかじって食べる。

たべかた1

次に、かじってできた谷間に向かって、隣の列を倒す。

たべかた2

すると、トウモロコシの粒が、いとも簡単にポロポロと取れてくるのである。

残りがちな根っこの部分までしっかり食べられて、歯にはさまることもない。しかも残ったシンが、洗ったようにキレイである。

大げさな道具も刃物も使わずにできるこの方法に、我々は大いに感銘を受け、それ以来ずっと、トウモロコシというとこの食べ方だ。

離婚して、義家との関係も切れたので、ユーコさんとはもう会えない。

でも、ユーコさんの食べ方だけは、我が家にしっかり残っている。

面白いものだな、と思う。



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むかしむかし | コメント(18) | トラックバック(0) | 2015/08/18 10:44

ひるめし話。

ああ~ 夏も終わりだな~

ムスコがため息をつきながら、チャーハンを作っている。

ゆく夏を惜しむ、なんてシャレた心情があるじゃなし、休みが半分終わったのを嘆いているだけのことだ。

オレも料理くらいできたほうがいいし、ヒルは自分でやるわ

と宣言したのは夏休みが始まった時。以後、宣言通りに昼ご飯作りをしているのは、褒めてやってもいい。

それにしても…

先に食べかけていた私の向かいで、出来上がったチャーハンを食べながら、ムスコが言った。

うすうす感づいてたけど、ひどいヒルメシだね

去年までは、休みの日は2人前の焼きそばだのソーメンだの作っていたが、今年はムスコの分を作らなくていいので、私はふだん誰もいないときと同じような昼ご飯を食べている。

今日は干からびた冷やご飯に煮物の残りをぶっかけてチンしたのに、半熟の目玉焼きをのせたものだ。

え、そう?タイ料理みたいじゃない?

がぱおらいす
 (写真はイメージです)

どこが…タイの人に殴られるぞ

確かに、私の昼ご飯はめちゃくちゃである。今日のなんかまだマシな方だ。

しかし、何を食べるかという選択肢は、私にはほぼ無い。

一家を経営する主婦の方なら皆さんお分かりと思うが、食品というのは、誰かがいつか食べなければ、刻々と古くなり、品質は悪化の一途をたどる。

私の昼ご飯は、それを食い止める唯一の手段なのである。

冷蔵庫には、昨日のキャベツの味噌汁と、賞味期限切れのタマゴ、ハンパに残った厚揚の煮物。

午後にはまた生協がくる。

今日のヒルも既に決定である。



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2015/08/17 09:28

おくりび話。

お盆の送り日なので、実家へ行く。

イモート一家は一足早く家に帰り、子供たちも予定があるので、今日はおばーちゃんと私だけ。

午後もまだ早いので、ひとまずテレビを点けたら、甲子園の高校野球が映った。

こうこうきゅうじ

今は野球選手も男前ねえ… 昔は、野球でもやらなきゃしょうがないような、ブサイクな子がいたけど…

おばーちゃんが、シラッとひどいことを言う。

そんなこと言って、おとーさんも野球やってたんでしょ

おとーさんの高校は甲子園出れるほど強くなかったもん

強いほどブサイクになると言わんばかりである。

おとーさんが野球なんて信じられないな スポーティーなとこ全然なかったし…

50年一緒にいて、あの人が走るの1回しか見たことないからね

だんだん日が陰ってきたので、オガラを持って玄関を出た。

ホントは男の子とキャッチボールとかしたかったんだろうね

突然グローブ買ってきたことあったじゃない

あったあった、一応赤いやつね

おとーさんが誘っても、あんたたち二人とも、嫌がってさ~

だって、私らヘタクソなのにさ… でも、ちょっとかわいそうだったかな…

新聞紙をひねって、オガラに火をつける。ペキペキと軽い音がして、薄い煙が立った。

でも… いつだったかな… 「女の子でよかったなあ!」って、言ってたことあったよ

うっそ!いつ?

うーん… もう、大人になってからよ… あれ、何の時だったかなあ…

送り火の煙は夕風に吹かれて、すぐに見えなくなってしまう。

薄藍の宵の空を見上げていたら、どこからかツクツクボウシの声が聞こえてきた。



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/08/16 10:24

うらがね話。

お盆なので、故人の話をもう一つ。

私の母方の祖父は、戦後の復興期、商売を盛り上げた我が家の中興の祖である。

同時に、家族にとってはなかなか難儀なジイサンであった。(→ 「うなぎの話。」

目端が利いて商売はうまいが、道楽もしたし、お金も使った。

舶来品を扱う商売柄か、ずいぶんシャレたジイサンだったようだ。

店のウインドウには、二輪馬車のイラストに添えて、こんな文句が書かれていたという。

にりんばしゃ

御者よ 心して鞭を当てよ 美しき影が乱れる

今でいうキャッチコピーである。

ジイサンの娘であるおばーちゃんは、今も時々、歌うように唱えてみせる。

もちろん戦後の混乱期の商売人であるから、シャレてるだけでは乗り切れない。

もう時効だからご勘弁願いたいが、所得のゴマカシなんぞもそれなりにやっていたらしい。

裏金を入れておく口座があって、その名義が

角下 兼太
 ↓
かくした かねた
 ↓
隠した金だ


自分の思いつきに一人悦に入る、ジイサンの顔が目に浮かぶようだ。

タコ坊主みたいな禿げ頭のくせに、80過ぎても、笑うとえくぼが浮かぶ人だった。

架空名義で口座が作れた、のんきな時代のことである。



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/08/15 09:52

あるばむ話。

お墓参りの後、メイちゃんと写真を撮りっこしていたら、おばーちゃんが言う。

今は写真もカンタンよね~ 小さい子でも撮れるもん 昔のカメラじゃ難しくて…

確かに、パッと向ければ撮れる今のカメラと違って、昔は露出だの、絞りだの、難しかった。

カメラそのものも、漬物石のように重かった。

だから我が家で写真を撮るのはおじーちゃんの仕事だった。

私とイモートを並ばせると、カメラのあっちこっちを回したりひねったり調節して、おもむろにカシャリと1枚。

運動会、旅行、誕生日、お正月、あんなめんどくさいカメラで、よく撮ってくれたと思う。

おじーちゃんのかめら
 (重くてめんどくさいカメラ)

しかも、ミョーなところでマメなおじーちゃんは、アルバム整理も完璧だった。

まず、アルバムが、家のと、私のと、イモートのと、3冊に分かれている。

お嫁に行く時持たしてやろうという親心だ。

私のアルバムには、私の写真。イモートのには、イモートの写真。

私とイモート、二人が写った写真は、わざわざ焼き増してそれぞれに貼ってある。

きちんと添えられた、日付と場所のラベルは、特徴のあるおじーちゃんの字だ。

生まれてから中学生まで、15年分のアルバムは、二人ぶんで30冊。

プリント一つとっても、DPEの時代、大変な手間と労力だ。

それをなによ、あんたたち!全部うちに置きっぱなしで!

そうなのだ。

家を出ても、狭い新居じゃ置き場がなくて、私もイモートも、ずっと実家に置きっぱ。

おじーちゃんの親心は、ほぼムダである。

まーまー、いいじゃないの おかげでこうしてみんなで見れるんだし…

イモートがとりなしたが、お盆で戻ったおじーちゃんが、隣で憮然としている気がした。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2015/08/14 08:50

おまいり話。

お盆なので、実家に帰省しているイモート一家ともども、墓参に行く。

私も実家に寄ってから、みんなで行くことにした。

コンニチハーと入っていくと、おばーちゃんもイモートたちも、支度を整えて待っていた。

じゃあ行こうかと腰を上げると、おばーちゃんは仏壇のある部屋をちょっと覗いて

行ってきまぁす

と、小さく言った。出かける前にお仏壇に声をかけるのは、おばーちゃんの習慣だ。

いつものことに、今日はなぜかちょっとだけ

ン?

と思ったが、出がけのあわただしい時なのでそのままになった。

小高い丘陵地にある霊園まではタクシーで行く。

おぼんのれいえん

ここは見晴らしがよくて、観光地の展望台が好きなおじーちゃんには居心地がいいだろう。

水を汲んだ手桶を持ってお墓の前に着くと、おばーちゃんが言った。

コンニチハ 来ました

アレ?

おばーちゃん、さっき家を出るとき、お仏壇にイッテキマス言ってたよね。

そんで今、お墓にコンニチハ言ってる。

どっちも中身は同じおじーちゃんだよ。

あの世の地図がどうなってるのか、ちょっと知りたい気もしたけど、野暮はよそう。

線香の煙の中、目をつぶっているおばーちゃんにならって、イモートも私も手を合わせる。

おじーちゃんが亡くなって、3度目のお盆がきた。



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2015/08/13 09:27

びくびく話。

昨日の検査はMRIだった。

撮った画像はすぐさまCDに入れ、帰りに受付で渡される。それを持ってあらためてかかりつけ医に行くわけだけど、結果を自分の手で持っているっていうのは、なんだか怖い。

そうは見えないとよく言われるけど、私は怖がりだ。

痛いのとか血が出るのとか病気とか、ものすごく怖いし、反応が大げさだと思う。

先日は朝起きたら下唇がビリビリしたので、脳梗塞じゃないかとビクビクして、ネットで調べたチェックテストを何回もやってしまった。

のうこうそくちぇっくりすと

(ちなみに、このビリビリは、枕に強く顔を押し当てて熟睡したためで、正座で足がしびれるのと同じ。すぐ治った)

CDをカバンにしまって、帰り支度をしていたら、待合室にいたオジサンが、看護師さんを呼び止めている。

問診の時、言い忘れてたんですけど…

はい、なんでしょう?

そういえば前に事故で検査した時、腫瘍があるって言われてて…

は?!

ムチウチで写真を取ったら、何か写ってるって…

あの、それはその後治療は…

いや、今まで忘れてたんで…

看護師さんは驚いているが、横で聞いてしまった私も驚いた。

世の中にはこんな無頓着な人もいるのだ。

私だったら、腫瘍のシの字を聞いただけで、頭がいっぱいになり、他のことを忘れるだろう。

胸がはりさけそうにドキドキしたが、かといって私にできることは何もない。

なんとなく、カバンに入れたCDを取り出し、ハンカチで丁寧に包んでから、もう一度しまって、クリニックを出た。

さいわい、私の検査の結果は異常ナシだったけれど、見ず知らずのあのオジサンのことは、今でも心配だ。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2015/08/12 10:41
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