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しんこく話。

わが母であるおばーちゃんのことは、再々記事にもしており、仲良しに見えると思う。

もちろん好きは好きなんだけど、気が合うかっていうと全然そうではない。

もし学校で同じクラスになっても、絶対友達になれないと思う。

所帯崩しをして独身で子供を育てた私とは違い、おばーちゃんは、たいした社会経験もなく結婚し、ブツブツ言いながらも、おじーちゃんみたいな旧型の男と添い遂げた専業主婦。

そのせいか、要所要所で、誰かに頼って当然、と思っているフシがある。

おじーちゃんの生前は、お金関係のことは、おじーちゃんが全部やっていた。

そのおじーちゃんが亡くなって、葬儀のバタバタも終了したころ、何の気なしに

そういえば確定申告ってどうしたの?

おばーちゃんに聞くと、

知らな~い アタシ、できないもん

と、ケロッとしているではないか。

知らないって!おとーさん居ないんだから、やんなきゃしようがないでしょ!

私の剣幕に、おばーちゃんはビックリしている。

おじーちゃんの入院中の郵便物を全部入れておいた、という引き出しは、まさに混沌

だって、何していいか全然…

と、叱られた子供のような顔をしている。

後期高齢者が、なにカワイ子ぶってんだよ!と内心毒づきながら、書類を整理した。

それ以来おばーちゃんの確定申告は私の仕事になった。

かろうじて、大事らしい書類を引き出しにぶっこんでおいてくれるので、ナンジャコレ、とか、アレがない、とか言いつつ、書類の山と格闘する。

その私の「作品」を、あたかも自分でやったかのように、神妙に持参するのが、おばーちゃんの唯一の任務である。

はーヤレヤレ、 今年も終わったねえ…

税務署から帰って、ハレバレと笑うおばーちゃんに、郵送でいいんだけどね、とは、なかなか言いにくいのである。

いーたくん
(ネットでもできるんだけどね)



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/02/19 10:34

けしごむ話。

私は占いを信じない。

縁起を担ぐのもキライである。

結婚式は仏滅だったし、子供の名前も、字画とか一切見ないで決めた。

結婚には失敗したが、子供は二人とも健康に育っているので、一勝一敗だ。

さてそのムスコはただいま期末試験中である。

春からは高3ということもあり、いつになく神妙に準備している。

朝、眠そうな目のまま玄関を出ながら

消しゴム無いから買っといて…

勉強嫌いのムスコの、消しゴムが減る日が来るとは、まことに目出度い

近くの文具店が閉店してしまったので、百円均一に行ってみた。

げきおちくん1

迷うくらいたくさん並んだ中から、手ごろな一つを取ろうとしてふと手が止まる。

げきおちくん2

げ… 激落ち…。

気づけばそれより一回り小さい、別の商品を買っていた。

縁起は担がないと言っておきながらナンだが、万万が一ということがある。

なにしろムスコの受験は一勝一敗では困るのだ。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/02/18 10:15

ほうだい話。

学生時代はお金がなかったので、リバイバル映画の二本立て、三本立てをよく見た。

ヴィスコンティの「山猫」「若者のすべて」「家族の肖像」三本立てなんて、企画も無茶だが、よく見たものだ。若かったとしか言いようがない。

昔は、大学祭のイベントでも、映画は人気があり、オールナイトで何本も上映する深夜映画会など、毎年楽しみに行ったものだ。

だから自分は映画好き、とずっと思っていた。

それがだんだん、映画、特に洋画を、見たいと思うことが少なくなった。

最初にアラ?と思ったのは20年くらい前だろうか、こんな映画が封切られた。

だんしずうぃずうるぶず

邦題は「ダンス・ウィズ・ウルブズ」。ナンジャソレ?である。

特に「ウルブズ。なんだ?ぶずって?

原題を見るとDances with Wolvesだから、「うるぶず」でいいだろう、というのかもしれないが、じゃあ、なんで「Dances」はだんしずじゃないのか?

特に素敵な言葉でもないし、なじみのある表現でもない。

ナカグロ(「・」)まで使ってカタカナで表す意味が分からない。

この手のカタカナ表記は「サウンドオブミュージック」とか「タワーリングインフェルノ」とか、もっとずっと以前からあったけれど、いっとき非常に氾濫したと思う。

その時期は、私が映画を見る気がしなくなったのと、確実に重なっているようだ。

なぜだかはわからない。

そして私は、すっかり映画を見ない人になってしまった。



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/02/17 10:07

げんだい話。

ネズミの国に行ってきたお友達に、お土産をもらった。

アナと雪の女王のお菓子である。

映画の大ヒットは記憶に新しいが、原題がFrozenだと知って、ナルホドと思った。

「あなゆき」と略さないといけないような映画は、アメリカでは流行らないのだろう。

かわいい缶に入ったありふれたお菓子をかじりながら、昔見た映画を思い出した。

ふっかつのひ
(原作 →「復活の日」 小松左京著)

ショッピングモールにシネコンがある時代ではなく、映画館は都会のものだった。

田舎の中学生にとって、電車に乗って映画館に行くというのは一大事件だ。

あれだけ大掛かりなフィクションを大画面で見たのは初めてだし、特別なイベント感も手伝って、かなり感動し、フワフワ家まで帰った。

携えたるは、大枚をはたいたパンフレット

表紙には、英語の題が載っていた。中学生の語彙にはない、見慣れない単語である。

バイオテクノロジーの進化によって、人類が絶滅の危機に瀕するストーリーから察するに、きっと何か哲学的な言葉に違いない。

マジメな中学生の私は英和辞典を引いた。

virus vάɪ(ə)rəs  【名詞】 ウイルス

ウイルス?あの映画の題、ウイルス?

確かに、新型ウイルスが流出する話なんだけど、なんだろう、このガッカリ感…。

ラストシーン、杖をついて地平線の向こうから現れるクサカリマサオも、これじゃガッカリだ。



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2016/02/16 11:55

ふたりの話。

週末ムスメが帰っていたので、たまにはいいか、と、夕飯は家族で外食

ショッピングモールの中のとんかつ屋に行く。

生ビールを飲みつつカキフライを待っていると、ムスメがスマホをいじりだした。

こら!おかーさんのオゴリでお食事中に、ヨソゴトは許さんぞ!

いや… 帰りに映画見ようかと思って レイトショー…

このモールには、シネコンが併設されている。

ひとり鉄腕ダッシュみたいで、面白いらしいよ

えー、ビール飲んじゃったし、きっと寝ちゃうからヤダ…

それまで黙っていたムスコが、ふいに口をはさむ。

その映画だったら、オレ見たいかも…

おまたせいたしました~

ムスコのカツ丼とムスメのミックスフライ定食が運ばれてきた。

カキフライがまだ来ない私は面白くない。

じゃあ二人で見てきなよ アタシ帰るわ

ふてくされ気味の私をよそに、二人はスマホの画面をはさんで、上映時間を確認している。

食事を終え、上階のシネコンに向かうムスメとムスコとは、右と左に分かれた。

一度は背を向けてから、ふと思い出して

あ、帰りの交通費…

と、声をかけたが、何か話しながら歩き出した二人は、もう気づかない。

背の高い、後ろ姿。

嬉しいのか、寂しいのか、よくわからない感情が訪れて、伸ばしかけた腕を引っ込める。

コートのボタンを上まで留め、マフラーを巻きなおして、ひとり雑踏を後にした。

おでっせい
(原題「The Martian」をなぜ変更したのか、理解に苦しむ)



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2016/02/15 10:25

ちょこの話。

どなたももういいかげん飽き飽きかと思うが、バレンタインデー

彼氏とか亭主とかが居た時期もあったが、私は釣った魚にエサをやらない主義である。

会社勤めの頃、総務のセンパイが義理チョコの集金に来たので仕方なく払っていたが、それを除けば誰かにチョコをやったことなどない。

したがって、デパートのチョコの大売り出しの雑踏に混じったこともないし、十円玉大で千円もするようなチョコを買ったこともない。

ところが、何たることか、50も過ぎた去年、ふと金色の箱に入ったチョコレートを買ってしまったのである。

自分で食べるためではないし、ムスコにやるつもりもない。

ちっちゃな紙袋に入った、もっとちっちゃな箱を持って、私はバスに乗った。

着いたところは、勝手知ったる実家である。

こんにちは~!

と言いながら、玄関を上がり、奥の座敷のふすまを開けると、そこには仏壇がある。

線香を点け、お鈴を鳴らして、持ってきたチョコを置いた。

金色の小箱は、まるでそこに置くためにあるように、しっくりとおさまった。

生きてるうちに、父にチョコをやったことはない。

昔ニンゲンの父は、娘にチョコを渡されたりしたら、きっと不機嫌になったことだろう。

だけど仏壇に納まった父は、チョコを供えるのに、一番ふさわしい存在に思える。

今年もこれから供えにいく、というとムスコが言った。

バレンタイン仏壇… それって、宗教的に大丈夫なワケ?

いいんじゃない?だよ

おばーちゃんも、仏壇のお下がり、楽しみにしてるしね。

おじーちゃんが亡くなって、4度目の春は、もうすぐ。

ばれんたいんさん
(この後痛いことになりそうな聖バレンタイン)



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/02/14 12:02

くりーむ話。

さて、今日もオヤツ。

買ってきたポテトチップスを出して、ドッコラショと腰を下ろす。

袋を開けかけた手が、ふと止まる。

… なんか、

こーんくりーむ1

かすかな違和感。

ほんのわずか、見てはならないものを見た気がするのはなぜだろう。

わかった、文字だ。

こーんくりーむ2

おそらくクリーミーな風味を表したつもりであろう、この形状。

しかし、他の、想像したくないものを想像してしまうのは、私の汚れた心ゆえであろうか。

試みに、たまたま帰宅しているムスメに見せてみた。

うわっ!なにコレ!コレは… (絶句)

やっぱダメだよねえ、コレ…

ダメだよ~! 特に「」の字がダメだわ~!

」とか「」とか、ねえ…

身内とはいえ、一応の賛同者を得ることができた。

それにしても、デザインができて発売まで、何人もの目をくぐったはずなのに、誰一人なんとも思わなかったのだろうか。

それとも私とムスメの感覚が特殊なのか。

再度、「コーンクリーム」の字をじっと見てみると、の字の2画め、トウモロコシに似せた部分が気になりはじめた。

ここのフォルムが、実は全体の印象に微妙に効いている気がするが、どうだろうか。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2016/02/13 10:54

いっちょ話。

うちの卓上カレンダーは企業の粗品なので、要らんことも書いてある。

でまえいっちょうのひ
 
出前一丁といえば、発売40年以上のロングセラーだが、そうか、今日誕生日なのか。

大学の時、香港からの留学生が、お店で見つけて

チョッチンヤッティン!香港にもある!

と、喜んでいたことなど、思い出す。

今日、出前一丁の誕生日だって~

と、朝ごはんを食べているムスコに言うと

そっか~ じゃあ今日、女子が出前一丁くれるかもな~

そーだねー ドンブリ持ってったほうがいいかもね~

テキトーに返事して、学校に送り出した。

そっか、今年はバレンタインが日曜だ。

もらえるとしたら今日しかないんだな。

ムスコも一応、そういうことを考えたりしてるわけだ。

プププと笑いかけながらテレビを点けたら、画面ではモコミチがチョコを作っていた。

でまえいっちょう
(これはオリーブオイルではなく、ごまラー油)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/02/12 10:16

おやすみ話。

いつもの時間に時計が鳴った。

もっと若い頃は、少しでも寝ていたくて、目覚ましの音が恨めしかったものだが、50になったあたりから、あまり苦にならなくなった。

あーあ、もう仕方ねーな、という感じで起きる。

まだ暖房も効かない寒い中、手早く着替えて台所へ。

タイマーで炊けたご飯をほぐして、お湯を沸かし、おかずを作り、コーヒーを淹れる。

いつもの手順で、ほとんど何も考えずに身体が動いた。

あとは弁当箱に詰めるだけ、というところで、ムスコを起こす。

ほら、6時半!起きなさい!

布団の中でむにゃむにゃと不明瞭な声がする。

… きょう … 祝日 … 休み …

は?!

机の上のカレンダーを見ると

11
建国記念の日

ありゃ、赤い字だ。

暦どおりの仕事をしていないので、私は祝日をよく忘れる。

かろうじて曜日を忘れずにいられるのは、ゴミ収集日のおかげである。

もし毎日ゴミが出せるようになったら、たぶん曜日も分からなくなるだろうと思う。

そうそう、今日は燃えるゴミ。

ゴミを出して戻っても、ムスコが起きてくる気配はない。

何となくパソコンを開けたが、 Googleのトップページは、通常のままだった。

いいお天気だし、なにしろ祝日だし、作ったお弁当を持って、どこかに行こうかな。

2がつ11にち
(去年は、ズデニェク・ブリアン生誕 110 周年だったらしい)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/02/11 10:33

たるとの話。

今日は友だちとランチ。

自分だけおいしいものを食べたツミホロボシのため、ムスコにお土産を買おう。

乗り換え駅のホームに、ムスコの好物のエッグタルトの売店があるのを思い出した。

えっぐたると
( →アンドリューのエッグタルト )

宝くじ売り場ほどのブースには先客がいた。ぽっちゃりしたお母さん風の中年女性だ。

ショーウインドの後ろには、バイトらしい若い女の子が一人きり。

こわれやすいタルトを箱詰めする間、女性客はショーウインドーを所在なく見ていたが、何かに気付いたらしく声をあげた。

ちょっと待って、チョコの賞味期限って一日なの?

はい、生クリームを使っておりますので、お日持ち短くなります

そんなの困るわ! 明日持って行こうと思ってたのに…

プレーンか抹茶とお入れ替えしますか?

仕方ないわね…

女性は露骨に不機嫌となり、イライラしはじめた。

丁寧に詰め替えを始めた女の子の手元を、眉間にしわを寄せてにらんでいる。

ちょっと!サッサとしてちょうだい!

はい 申し訳ありません…

女の子も一所懸命だが、温泉マンジュウじゃないのだから、そんなに早くはできない。

女性客の厳しい視線を感じて緊張するのか、よけいにもたついている。

イライラした女性は、投げつけるように代金を支払い

もう!快速に乗り遅れたじゃないの!

と、捨て台詞を残し、紙袋をひっつかんで、去って行った。

アリガトウゴザイマシタの声が、空中に取り残される。

小さなブースの中でたった一人、理不尽な怒りに付き合わされた女の子が気の毒になって、ついひとこと言った。

一人でいると、怖いこともあるでしょ いろんな人がいるわよね…

曇っていた女の子の表情が、花が咲くように明るくなる。

よかった、笑ってくれた。

どんなにおいしいお菓子でも、悲しそうな人には詰めてほしくない。

甘いお菓子は、かわいく笑っている人から、ウキウキ楽しい気分で買いたいのだ。

焼きたてなので、こわれないようにご注意くださいね!

にっこり笑って袋を手渡してくれた女の子は、とてもかわいかった。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2016/02/10 11:03
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