もたもた話。
午後の私鉄に乗る。
観光客が移動するには少し早い時間なのか、急行は意外に空いている。
ロングシートの端に座っていたら、次の駅で若い男が乗ってきた。
他の乗客もいる中、彼が目にとまったのは、カバン以外に紙袋を3つも提げていたからだ。
座席につく前にそれを網棚に上げるつもりらしく、私の隣の空席の前に立った。
さほど重そうでもない紙袋をのせるのに、やけに苦戦している。袋の口を下にしたものだから、案の定、中身がばらばらと足元に落ちた。
あたふたと拾い集めようとして、他の袋の中身をこぼしたりしている。
これはそうとう要領の悪い青年だ。
ようやく3つの紙袋を網棚に上げて腰かけたが、こんどはそれが気になるようで、上を向いてキョロキョロしている。
見れば彼が先ほど紙袋をのせたのは、座った席よりたっぷり2人分ズレた場所だった。
しばらくもじもじしたあと、結局席を立ち、他の人の膝にぶつかりながら、せっかく上げた紙袋を下ろし、自分の席の真上に移動した。
電車は既に3駅を通過している。
やっと席に着いた青年は、カバンのファスナーを開けたり閉めたり、さんざ探したあげく1冊の本を取り出した。
自分のカバンなのに、なんでどこにあるかわからないのだろう、と不思議に思う私をよそに、彼はまたファスナーを開け閉めしはじめ、かなりの時間をかけてペンを出した。
なんと蛍光ペンである。
キュポンとキャップを開けると、何かのテキストらしい本を開いて、やたらに線を引く。
あんなに引いては、逆にどこが重要かわかるまい、と心配になるほどの引きっぷりである。
ここまでにかなりの時間を使ってしまったため、いくらもページをめくらないうち、青年の降りる駅に着いた。
またぞろモタモタと、しかし奇跡的に一つの忘れ物もなく、彼が降りて行ったあと、持っていた本の題を思い出して、おかしくなる。

「経営学検定試験 マネジメント」
彼はまず、自分の持ち物のマネジメントから始めたほうが良いように思うが、どうだろうか。

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観光客が移動するには少し早い時間なのか、急行は意外に空いている。
ロングシートの端に座っていたら、次の駅で若い男が乗ってきた。
他の乗客もいる中、彼が目にとまったのは、カバン以外に紙袋を3つも提げていたからだ。
座席につく前にそれを網棚に上げるつもりらしく、私の隣の空席の前に立った。
さほど重そうでもない紙袋をのせるのに、やけに苦戦している。袋の口を下にしたものだから、案の定、中身がばらばらと足元に落ちた。
あたふたと拾い集めようとして、他の袋の中身をこぼしたりしている。
これはそうとう要領の悪い青年だ。
ようやく3つの紙袋を網棚に上げて腰かけたが、こんどはそれが気になるようで、上を向いてキョロキョロしている。
見れば彼が先ほど紙袋をのせたのは、座った席よりたっぷり2人分ズレた場所だった。
しばらくもじもじしたあと、結局席を立ち、他の人の膝にぶつかりながら、せっかく上げた紙袋を下ろし、自分の席の真上に移動した。
電車は既に3駅を通過している。
やっと席に着いた青年は、カバンのファスナーを開けたり閉めたり、さんざ探したあげく1冊の本を取り出した。
自分のカバンなのに、なんでどこにあるかわからないのだろう、と不思議に思う私をよそに、彼はまたファスナーを開け閉めしはじめ、かなりの時間をかけてペンを出した。
なんと蛍光ペンである。
キュポンとキャップを開けると、何かのテキストらしい本を開いて、やたらに線を引く。
あんなに引いては、逆にどこが重要かわかるまい、と心配になるほどの引きっぷりである。
ここまでにかなりの時間を使ってしまったため、いくらもページをめくらないうち、青年の降りる駅に着いた。
またぞろモタモタと、しかし奇跡的に一つの忘れ物もなく、彼が降りて行ったあと、持っていた本の題を思い出して、おかしくなる。

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きんしの話。
本日土用丑。
土曜日なので、ご家族でウナギを召し上がる家も多かろうし、「土曜牛」と間違えるお子様も、全国に3千人くらいはいそうだ。
ケチでビンボーな私はもちろん、土用丑だからといってウナギは食べない。
それでも、土用でも丑でもない日に、安く手に入れば、食べることもある。
うちのウナギはいつも、細く切った玉子焼きを振りかけた錦糸丼。
実家の母が大昔、どこやらのウナギ屋で、ウナギの下に錦糸玉子を敷いたうな重を食べ、これはいい!とマネをするようになったらしい。
もちろん家の錦糸丼は、お店のよりはるかに玉子の比率が高い。
ドンブリ一杯のご飯が食べられるほどウナギがない時、玉子でカサ増しするわけだ。
薄く焼いた玉子を細く切って、錦の糸と呼ぶなんて、日本人ってシャレてるなあ、とも思う。
京都の某所に錦糸丼が名物の店がある。
ところがこの店の丼は、まず玉子が厚焼きで、そのうえ切らないまま、ウナギを隠すように、べたんと上にのっている。

心の狭い私は、こういうのにゆえなく反感を持つ悪い癖がある。
しかもこの錦糸丼、ウナギだけのうな丼と同じ値段なのだ。
原価を考えると、ムムム…だし、だいいち玉子でカサ増ししたうな丼なら、家で食べている。
昔から何度も前を通るが、そんなわけで入ったことのないまま何十年も経つ。
先日、街ブラの番組を見ていたら、セレブ風おばあさんタレントがこの店を紹介していた。
思ったことをなんでも口に出すおばあさんは、名物錦糸丼を前にまず
あら~ ウナギが無いわぁ~ ウナギはどこ~?
と騒いだ。店主が慇懃な京都弁でもったいつけて
玉子焼きの下にしのばせてございます
と答えると、箸でべろんと玉子をめくり
ウナギが少ないわネ~
さすがにどぎまぎした様子の店主が、それでも
昔は玉子が貴重品でございまして、お客様にお喜びいただくために…
果敢に京の伝統をアピールしたが、彼女は気にもとめず
ウナギが少ないわ ウナギ追加してちょうだい
と言い放った。店主はしかたなく丼を持って引っ込んでいく。
このおばあさんタレントは好きではないし、お店にも何の恨みもないのだが、ちょっとスカッとしたことは否定しない。

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土曜日なので、ご家族でウナギを召し上がる家も多かろうし、「土曜牛」と間違えるお子様も、全国に3千人くらいはいそうだ。
ケチでビンボーな私はもちろん、土用丑だからといってウナギは食べない。
それでも、土用でも丑でもない日に、安く手に入れば、食べることもある。
うちのウナギはいつも、細く切った玉子焼きを振りかけた錦糸丼。
実家の母が大昔、どこやらのウナギ屋で、ウナギの下に錦糸玉子を敷いたうな重を食べ、これはいい!とマネをするようになったらしい。
もちろん家の錦糸丼は、お店のよりはるかに玉子の比率が高い。
ドンブリ一杯のご飯が食べられるほどウナギがない時、玉子でカサ増しするわけだ。
薄く焼いた玉子を細く切って、錦の糸と呼ぶなんて、日本人ってシャレてるなあ、とも思う。
京都の某所に錦糸丼が名物の店がある。
ところがこの店の丼は、まず玉子が厚焼きで、そのうえ切らないまま、ウナギを隠すように、べたんと上にのっている。

心の狭い私は、こういうのにゆえなく反感を持つ悪い癖がある。
しかもこの錦糸丼、ウナギだけのうな丼と同じ値段なのだ。
原価を考えると、ムムム…だし、だいいち玉子でカサ増ししたうな丼なら、家で食べている。
昔から何度も前を通るが、そんなわけで入ったことのないまま何十年も経つ。
先日、街ブラの番組を見ていたら、セレブ風おばあさんタレントがこの店を紹介していた。
思ったことをなんでも口に出すおばあさんは、名物錦糸丼を前にまず
あら~ ウナギが無いわぁ~ ウナギはどこ~?
と騒いだ。店主が慇懃な京都弁でもったいつけて
玉子焼きの下にしのばせてございます
と答えると、箸でべろんと玉子をめくり
ウナギが少ないわネ~
さすがにどぎまぎした様子の店主が、それでも
昔は玉子が貴重品でございまして、お客様にお喜びいただくために…
果敢に京の伝統をアピールしたが、彼女は気にもとめず
ウナギが少ないわ ウナギ追加してちょうだい
と言い放った。店主はしかたなく丼を持って引っ込んでいく。
このおばあさんタレントは好きではないし、お店にも何の恨みもないのだが、ちょっとスカッとしたことは否定しない。

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ルドルフ本。
交差点で信号待ちをしていたら、足元に何かある。
信号の柱に貼られた小さな紙の上半分に、フサフサした長毛種の猫の写真。
よくある迷い猫のハリガミだ。
ハリガミとしてはよくあるものだが、異色を放つのはその位置である。
地面から30センチほど、私のヒザより低いところに、そのハリガミは貼られていた。
うかうかと目通りのところだけ見て歩いていては、とうてい気づかない。
こんな低い位置に、一人でも多くに見てもらいたいはずのハリガミを貼るのはおかしい。
なぜだろうと首をひねりながら、交差点を渡っていて、ハタと気づいた。
あれは猫向けのハリガミじゃないのだろうか。
確かに猫の情報に一番詳しいのは猫だろう。通りかかった猫が
あ、この子、昨日公園で会ったわ!
と、気づくとか、あるいは、ハリガミされた猫自身が
おとーさんとおかーさん、ワタシのこと探してる… 帰らなきゃ!
と思うとか。
昨日同じところを通ったら、ハリガミの上に
見つかりました!ありがとうございました
と、はずむような字が書き足されていた。
字の読める猫は、私が思っていたより、たくさんいるようである。

(字の読める猫といえば→「ルドルフとイッパイアッテナ」)

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信号の柱に貼られた小さな紙の上半分に、フサフサした長毛種の猫の写真。
よくある迷い猫のハリガミだ。
ハリガミとしてはよくあるものだが、異色を放つのはその位置である。
地面から30センチほど、私のヒザより低いところに、そのハリガミは貼られていた。
うかうかと目通りのところだけ見て歩いていては、とうてい気づかない。
こんな低い位置に、一人でも多くに見てもらいたいはずのハリガミを貼るのはおかしい。
なぜだろうと首をひねりながら、交差点を渡っていて、ハタと気づいた。
あれは猫向けのハリガミじゃないのだろうか。
確かに猫の情報に一番詳しいのは猫だろう。通りかかった猫が
あ、この子、昨日公園で会ったわ!
と、気づくとか、あるいは、ハリガミされた猫自身が
おとーさんとおかーさん、ワタシのこと探してる… 帰らなきゃ!
と思うとか。
昨日同じところを通ったら、ハリガミの上に
見つかりました!ありがとうございました
と、はずむような字が書き足されていた。
字の読める猫は、私が思っていたより、たくさんいるようである。

(字の読める猫といえば→「ルドルフとイッパイアッテナ」)

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ソーラー本。
図書館に返却に行ったら、カウンターの横に特設コーナーができている。
雲の形のボール紙に青い字で書かれた
夏休みの自由研究コーナー
うちの子はもう大きいので忘れていたが、そんな季節なんだなあ。
いいトシしてこういうのが大好きなので、並んだ本を心楽しく眺めていると、中に懐かしい一冊があった。

(「ソーラークッカー 太陽でお料理」 パワー社)
ムスメが中学の時、この本を見て夏休みにソーラークッカーを作ったのだ。
内側に反射材を貼ったパラボラアンテナのようなもので、中に入れた食材が加熱される。
ご飯を炊いたり、卵を茹でたり、水の温度の上がり方を計測したり、いろいろ楽しんで、とてもいい研究になった。
ムスメのソーラークッカーはよくできていたので、処分するのも惜しくてとってあった。
その翌年、ムスコが小学校の自由研究に何をやろう、となった時、
そうだ!あれやれば?ソーラークッカー!
貧乏性の勝利である。
ソーラークッカーで焼いた目玉焼きを食べるムスコの写真を表紙にした、立派なレポートが出来上がった。
しかし話はそれで終わらない。
さらに数年後、ムスメも高校生になったある夏。
どうしよう!自由研究忘れてた!
何か騒いでいるなとは思ったが、高校生にもなった子の宿題なんて、親の管轄外である。
知らん顔のまま、新学期も始まり、しばらく経ったある日のこと。
学校から帰ったムスメが、笑ったような泣いたような、ナントモイエナイ表情で言った。
なんか、賞貰っちゃった… 自由研究…
へ?忘れてたって騒いでなかった?
うん… だからリサイクルして…
なんとムスメは中学のソーラークッカーのレポートの表紙だけをはがし、すげ替えて、そのまま高校に提出したというのだ。
はたしてこれは叱るべき案件なのか、それとも素直に受賞を喜ぶべきだったのか。
ムスメは何やらトロフィーを持ち帰ったが、見るたびに複雑である。

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雲の形のボール紙に青い字で書かれた
夏休みの自由研究コーナー
うちの子はもう大きいので忘れていたが、そんな季節なんだなあ。
いいトシしてこういうのが大好きなので、並んだ本を心楽しく眺めていると、中に懐かしい一冊があった。

(「ソーラークッカー 太陽でお料理」 パワー社)
ムスメが中学の時、この本を見て夏休みにソーラークッカーを作ったのだ。
内側に反射材を貼ったパラボラアンテナのようなもので、中に入れた食材が加熱される。
ご飯を炊いたり、卵を茹でたり、水の温度の上がり方を計測したり、いろいろ楽しんで、とてもいい研究になった。
ムスメのソーラークッカーはよくできていたので、処分するのも惜しくてとってあった。
その翌年、ムスコが小学校の自由研究に何をやろう、となった時、
そうだ!あれやれば?ソーラークッカー!
貧乏性の勝利である。
ソーラークッカーで焼いた目玉焼きを食べるムスコの写真を表紙にした、立派なレポートが出来上がった。
しかし話はそれで終わらない。
さらに数年後、ムスメも高校生になったある夏。
どうしよう!自由研究忘れてた!
何か騒いでいるなとは思ったが、高校生にもなった子の宿題なんて、親の管轄外である。
知らん顔のまま、新学期も始まり、しばらく経ったある日のこと。
学校から帰ったムスメが、笑ったような泣いたような、ナントモイエナイ表情で言った。
なんか、賞貰っちゃった… 自由研究…
へ?忘れてたって騒いでなかった?
うん… だからリサイクルして…
なんとムスメは中学のソーラークッカーのレポートの表紙だけをはがし、すげ替えて、そのまま高校に提出したというのだ。
はたしてこれは叱るべき案件なのか、それとも素直に受賞を喜ぶべきだったのか。
ムスメは何やらトロフィーを持ち帰ったが、見るたびに複雑である。

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なきごえ話。
… じわー じわー じわー じわー …
直径2メートルの天ぷら鍋に、いっぱいの揚げ油がはぜる。
そんな暑苦しいイメージとともに目が覚めた。
セミの声である。
うちの周りは木が多いので、朝も早よからセミの鳴き声が降るようだ。
セミの声ってどうしてこうも暑苦しいのだろうか。
暑い時に聞くからそう感じるのか。もし、セミが冬の風物詩だったとしたら、
… じわー じわー じわー じわー …
という声を聞いて
ブルブル…、今日は寒くなりそうだなあ…
と感じたりするのだろうか。
とてもそうは思えない。
どう鳴こうとセミの勝手と言われればその通りなのだが、同じ鳴くならもっとさわやかに、涼しげに鳴けばいいのに。
例えば清流のせせらぎのような。
あるいは風に揺れる明珍の風鈴のような。
それともグラスを満たした氷水のような。
なぜ、そういう声で鳴かない!ドン!(テーブルを叩く音)
などと声を大にして言ったところで、セミどもに通じるはずもなく。
今日も、ことのほか暑い一日がはじまる。

(明珍火箸の風鈴は姫路の特産品)

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直径2メートルの天ぷら鍋に、いっぱいの揚げ油がはぜる。
そんな暑苦しいイメージとともに目が覚めた。
セミの声である。
うちの周りは木が多いので、朝も早よからセミの鳴き声が降るようだ。
セミの声ってどうしてこうも暑苦しいのだろうか。
暑い時に聞くからそう感じるのか。もし、セミが冬の風物詩だったとしたら、
… じわー じわー じわー じわー …
という声を聞いて
ブルブル…、今日は寒くなりそうだなあ…
と感じたりするのだろうか。
とてもそうは思えない。
どう鳴こうとセミの勝手と言われればその通りなのだが、同じ鳴くならもっとさわやかに、涼しげに鳴けばいいのに。
例えば清流のせせらぎのような。
あるいは風に揺れる明珍の風鈴のような。
それともグラスを満たした氷水のような。
なぜ、そういう声で鳴かない!ドン!(テーブルを叩く音)
などと声を大にして言ったところで、セミどもに通じるはずもなく。
今日も、ことのほか暑い一日がはじまる。

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びーるの話。
ビールの美味しい季節。外食をしてもつい
海鮮天丼と、かつ玉定食と… 中ジョッキ
となってしまうことが多い。自分ひとり嗜好品をとるのがはばかられて
アンタは?何かいらない?
と聞くと、甘味好きのムスコは
じゃあ… 抹茶白玉パフェ…
などと言うので、よけいモノイリである。
まあ、好きなものを飲んで食べて、メデタシメデタシなのだが、最近ちょっと面倒がある。
生ビールになりま~す
と持ってきたジョッキが、ムスコの前に置かれる。
こちら抹茶白玉パフェになりま~す
は、私の前に来る。
店員が立ち去った後、ズイと相手に押しやるだけのことだが、私がビールを、ムスコがパフェをいただいている時、同じ人がまたテーブルに来ると、ちょっと気まずい。
ムスメが大学に行って以来、ムスコと二人の外食は増えたが、今までそんなことはなかった。
背丈こそ追い越されたものの、ムスコは、初対面の人に「ボク」と呼ばれる童顔なのだ。
毎日見ている私には、それこそ幼稚園の時から変わらない顔に見える。
しかし、ビールが置かれるということは、ムスコの顔も変わってきているのかもしれない。
ビールでムスコの成長を知るとはなあ、とシミジミしつつ、中ジョッキ、おかわり。

(パフェのお代わりは無理)

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海鮮天丼と、かつ玉定食と… 中ジョッキ
となってしまうことが多い。自分ひとり嗜好品をとるのがはばかられて
アンタは?何かいらない?
と聞くと、甘味好きのムスコは
じゃあ… 抹茶白玉パフェ…
などと言うので、よけいモノイリである。
まあ、好きなものを飲んで食べて、メデタシメデタシなのだが、最近ちょっと面倒がある。
生ビールになりま~す
と持ってきたジョッキが、ムスコの前に置かれる。
こちら抹茶白玉パフェになりま~す
は、私の前に来る。
店員が立ち去った後、ズイと相手に押しやるだけのことだが、私がビールを、ムスコがパフェをいただいている時、同じ人がまたテーブルに来ると、ちょっと気まずい。
ムスメが大学に行って以来、ムスコと二人の外食は増えたが、今までそんなことはなかった。
背丈こそ追い越されたものの、ムスコは、初対面の人に「ボク」と呼ばれる童顔なのだ。
毎日見ている私には、それこそ幼稚園の時から変わらない顔に見える。
しかし、ビールが置かれるということは、ムスコの顔も変わってきているのかもしれない。
ビールでムスコの成長を知るとはなあ、とシミジミしつつ、中ジョッキ、おかわり。

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たんぱん話。
いま私は、珍しく怒っている。
いつから日本はこんな国になってしまったのか。礼儀は、恥は、どこへ行ったのか。
その日私は始発駅から急行に乗っていた。
昼食のすぐ後、冷房も快適で、ついウトウトとする。
途中のターミナル駅で一気に乗客が増え、空いていた隣の席にも誰か腰かけた気配がした。
もたれかからないよう気をつけながら、うたたねを続けていると、不意に妙な感触を覚えた。
ふくらはぎに、何かが触っている。
サワサワ、ホワホワとかすかな気配ではあるが、確かに何かが触れている。
しかたなく開けた目に、シンジラレナイモノが飛び込んできた。
隣席の男の膝下が熊の毛皮に覆われているのである。
ギョッとして見直すと、それはなんとスネ毛ではないか。
男はハットなどかぶって上半身こそシャレているが、下は短パンなのだ。
私はゾッとして飛び上がった。
あらためて見回すと、外国人観光客でも子供でもないのに短パンの男が、他に何人もいる。
一体全体いつからエエ年のオッサンが、短パンで電車に乗っていいことになったのか。
海水浴場行きの電車ならともかく、この路線は、住宅地から都心に向かうのだ。
いくら暑いとはいえ、近所のコンビニに行くんではない。
若い女の子の小鹿のような脚ならともかく、街中でオッサンがモシャモシャのスネを出して歩くなんて世も末だ。
電車に乗るならツルツルに剃れ!とまでは言わない(言いたいけど)。
2センチ以上のスネ毛はポマードで撫でつけてから出て来い!と、私は言いたい。

(こういう人もいるが夏は見ない)

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いつから日本はこんな国になってしまったのか。礼儀は、恥は、どこへ行ったのか。
その日私は始発駅から急行に乗っていた。
昼食のすぐ後、冷房も快適で、ついウトウトとする。
途中のターミナル駅で一気に乗客が増え、空いていた隣の席にも誰か腰かけた気配がした。
もたれかからないよう気をつけながら、うたたねを続けていると、不意に妙な感触を覚えた。
ふくらはぎに、何かが触っている。
サワサワ、ホワホワとかすかな気配ではあるが、確かに何かが触れている。
しかたなく開けた目に、シンジラレナイモノが飛び込んできた。
隣席の男の膝下が熊の毛皮に覆われているのである。
ギョッとして見直すと、それはなんとスネ毛ではないか。
男はハットなどかぶって上半身こそシャレているが、下は短パンなのだ。
私はゾッとして飛び上がった。
あらためて見回すと、外国人観光客でも子供でもないのに短パンの男が、他に何人もいる。
一体全体いつからエエ年のオッサンが、短パンで電車に乗っていいことになったのか。
海水浴場行きの電車ならともかく、この路線は、住宅地から都心に向かうのだ。
いくら暑いとはいえ、近所のコンビニに行くんではない。
若い女の子の小鹿のような脚ならともかく、街中でオッサンがモシャモシャのスネを出して歩くなんて世も末だ。
電車に乗るならツルツルに剃れ!とまでは言わない(言いたいけど)。
2センチ以上のスネ毛はポマードで撫でつけてから出て来い!と、私は言いたい。

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オヤカタ本。
ダンシャリの次はオヤカタらしい。
親方、ではない。お屋形、でもない。
親の家を片づける、略して、オヤカタ。
断捨離で自分ちが片づくと、次は親の家が気になりだすということか。
好奇心から気軽に読もうと、図書館で借りてきた。

(「親の家を片づける」)
読んでみるとこれがなかなか、冗談ではない。
田舎の大きな家で一人暮らししていた親が亡くなって、都会住まいの子供が残された時。
長い年月、吟味も処分もされず、ただ積み重なった大量のモノ、モノ、モノ…。親の死と同時にそれらが全て、子供の肩にのっかってくるのである。
まったく他人ごとじゃないな、うちのこともちょっと考えなきゃ、などと思いつつ、お盆の準備に実家へ行った。
仏間がいつの間にか「ちょっと置いただけ」の紙袋や箱で埋まっているので、ブーブー言いながら片づける。
なんとかお寺さんに座っていただける場所を作って茶の間に戻ると、母が険しい表情で
アンタ、うちをどーにかする気?
へ?
視線の先に、来た時にぶん投げた私のバッグ。開いた口から図書館で借りたオヤカタが見えている。
あ、それ… イヤイヤイヤ… 違う違う…
老母をなだめるのにしばらくかかった。
その顛末をグチっていたら
ハハハ… わかるわかる… うちはAmazonの箱をダンナが勝手に開けてさ~…
と、60代のクリタさん。
私が買った本見てヘソ曲げて、もう大変だったのよ~!
へー、クリタさん、田舎に実家あるんですか?
違うのよ うちはオヤカタじゃなくて「夫が亡くなったら読む本」てやつ…
うーん、それはご主人、かなりお気の毒かも。

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親方、ではない。お屋形、でもない。
親の家を片づける、略して、オヤカタ。
断捨離で自分ちが片づくと、次は親の家が気になりだすということか。
好奇心から気軽に読もうと、図書館で借りてきた。

(「親の家を片づける」)
読んでみるとこれがなかなか、冗談ではない。
田舎の大きな家で一人暮らししていた親が亡くなって、都会住まいの子供が残された時。
長い年月、吟味も処分もされず、ただ積み重なった大量のモノ、モノ、モノ…。親の死と同時にそれらが全て、子供の肩にのっかってくるのである。
まったく他人ごとじゃないな、うちのこともちょっと考えなきゃ、などと思いつつ、お盆の準備に実家へ行った。
仏間がいつの間にか「ちょっと置いただけ」の紙袋や箱で埋まっているので、ブーブー言いながら片づける。
なんとかお寺さんに座っていただける場所を作って茶の間に戻ると、母が険しい表情で
アンタ、うちをどーにかする気?
へ?
視線の先に、来た時にぶん投げた私のバッグ。開いた口から図書館で借りたオヤカタが見えている。
あ、それ… イヤイヤイヤ… 違う違う…
老母をなだめるのにしばらくかかった。
その顛末をグチっていたら
ハハハ… わかるわかる… うちはAmazonの箱をダンナが勝手に開けてさ~…
と、60代のクリタさん。
私が買った本見てヘソ曲げて、もう大変だったのよ~!
へー、クリタさん、田舎に実家あるんですか?
違うのよ うちはオヤカタじゃなくて「夫が亡くなったら読む本」てやつ…
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ぴんぽん話。
家事をしている時は、テレビがつけっぱなしになっていることが多い。
というよりは、座ってテレビを見ていると、あれをしなきゃ、これをせねば、とムラムラと雑念が湧き、つい立ってしまう、というのが正確なところだ。
リビングでテレビをつけたまま、狭い家をネズミみたいにアチコチしていると、
♪ ぴんぽ~ん ♪
玄関の呼び鈴が鳴る。
あー ハイハイ…
と、相手には聞こえない返事をしながらドアを開けると、誰もいない。
また、テレビにだまされた。
ドアホンのスピーカーはリビングの壁にあり、他の部屋からはちょっと聞こえにくい。
テレビドラマや、ワイドショーの再現映像の、誰かが家に訪ねてくる場面で、呼び鈴が鳴ると、その音と区別がつかないのだ。
おまけにうちの呼び鈴は、ピンポーン、といえばこれ!というような、典型的なドアホンの音。
今日だけのことではなく、けっこうな頻度で、テレビにだまされる。
何が情けないって、
あー ハイハイ…
というあの返事である。
玄関を開ける前に返事したって、誰にも聞こえない。それは分かっているのに
♪ ぴんぽ~ん ♪
と鳴るとつい
あー ハイハイ…
と言ってしまうのである。
まことに、オバサンくさい。
それでも開けたドアの向こうに宅配や集金の人がいるならまだいい。
♪ ぴんぽ~ん ♪
あー ハイハイ…
と、空中に放った言葉は、そこに誰もいなければ、完全なヒトリゴトになってしまう。
肉体や容姿の衰えより、もっとずしん、と老いの予兆のようなものを感じて、けっこう凹む瞬間である。

(こっちのピンポンの音なら間違えない)

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というよりは、座ってテレビを見ていると、あれをしなきゃ、これをせねば、とムラムラと雑念が湧き、つい立ってしまう、というのが正確なところだ。
リビングでテレビをつけたまま、狭い家をネズミみたいにアチコチしていると、
♪ ぴんぽ~ん ♪
玄関の呼び鈴が鳴る。
あー ハイハイ…
と、相手には聞こえない返事をしながらドアを開けると、誰もいない。
また、テレビにだまされた。
ドアホンのスピーカーはリビングの壁にあり、他の部屋からはちょっと聞こえにくい。
テレビドラマや、ワイドショーの再現映像の、誰かが家に訪ねてくる場面で、呼び鈴が鳴ると、その音と区別がつかないのだ。
おまけにうちの呼び鈴は、ピンポーン、といえばこれ!というような、典型的なドアホンの音。
今日だけのことではなく、けっこうな頻度で、テレビにだまされる。
何が情けないって、
あー ハイハイ…
というあの返事である。
玄関を開ける前に返事したって、誰にも聞こえない。それは分かっているのに
♪ ぴんぽ~ん ♪
と鳴るとつい
あー ハイハイ…
と言ってしまうのである。
まことに、オバサンくさい。
それでも開けたドアの向こうに宅配や集金の人がいるならまだいい。
♪ ぴんぽ~ん ♪
あー ハイハイ…
と、空中に放った言葉は、そこに誰もいなければ、完全なヒトリゴトになってしまう。
肉体や容姿の衰えより、もっとずしん、と老いの予兆のようなものを感じて、けっこう凹む瞬間である。

(こっちのピンポンの音なら間違えない)

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ミツケタ本。
まだヤモリについて考えている私である。
特に好きだという自覚はないが、ヤモリについて考える時、トカゲやイモリの時とは明らかに違う、一種の感情が湧きおこるのを感じる。
その淵源を尋ぬるに、子供の頃読んだ童話が、ゆらゆらと記憶の中に立ち上ってきた。
題名や詳細はわからないが、それはヤモリの家族の話であった。
古家の屋根裏で暮らすヤモリの一家を、ある日不運が襲う。
雨漏りの修理だか何だかで打ち込まれた釘が、油断していた父親を突き刺したのである。
不幸中の幸いというべきか、彼は死を免れ、ただ釘に貫かれて身動きならない境遇となった。
一家は動けない父親にせっせと食べ物を運んで養う。
そんな話だった。
油断していて釘で打たれる、という、悲惨かつ間抜けな状況は、いかにもヤモリらしい。
それにしても、いかにヤモリとはいえ、胴中を釘で貫かれるなんて救いのない状況を、よく童話になぞしたものだ。
「ヤモリ 釘」で検索してみると、もともとは民話らしい。
屋根の修理に上がった大工が腐った板をのけてみると、ヤモリが釘に刺さっており、周囲に他のヤモリがいた、という、人間側からの簡単な話になっている。
しかし、私が読んだものでは、ヤモリが会話し、泣いたり笑ったりしていた。
釘に刺さったままの父親が、子供に向かって、おどけてコマのように回って見せる、というような描写もあった。
民話そのものではなく、そこから採話した童話なのだろうか。
「ヤモリ」と入れるとずらずら出てくる図鑑の類をよけながら、図書館のサイトで延々と検索し、「泣いた赤おに」の作者の全集から、それらしい話を見つけた。
さっそく読めばいいのだが、ここまでやって、なんとなく足踏みしている。
自分の記憶が正しいのか、それとも都合よく歪んでいるのか。
それを確かめるのは、いつも少し怖い。

(「五ひきのやもり」が収録されているのは→「浜田廣介童話集」 ハルキ文庫)

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特に好きだという自覚はないが、ヤモリについて考える時、トカゲやイモリの時とは明らかに違う、一種の感情が湧きおこるのを感じる。
その淵源を尋ぬるに、子供の頃読んだ童話が、ゆらゆらと記憶の中に立ち上ってきた。
題名や詳細はわからないが、それはヤモリの家族の話であった。
古家の屋根裏で暮らすヤモリの一家を、ある日不運が襲う。
雨漏りの修理だか何だかで打ち込まれた釘が、油断していた父親を突き刺したのである。
不幸中の幸いというべきか、彼は死を免れ、ただ釘に貫かれて身動きならない境遇となった。
一家は動けない父親にせっせと食べ物を運んで養う。
そんな話だった。
油断していて釘で打たれる、という、悲惨かつ間抜けな状況は、いかにもヤモリらしい。
それにしても、いかにヤモリとはいえ、胴中を釘で貫かれるなんて救いのない状況を、よく童話になぞしたものだ。
「ヤモリ 釘」で検索してみると、もともとは民話らしい。
屋根の修理に上がった大工が腐った板をのけてみると、ヤモリが釘に刺さっており、周囲に他のヤモリがいた、という、人間側からの簡単な話になっている。
しかし、私が読んだものでは、ヤモリが会話し、泣いたり笑ったりしていた。
釘に刺さったままの父親が、子供に向かって、おどけてコマのように回って見せる、というような描写もあった。
民話そのものではなく、そこから採話した童話なのだろうか。
「ヤモリ」と入れるとずらずら出てくる図鑑の類をよけながら、図書館のサイトで延々と検索し、「泣いた赤おに」の作者の全集から、それらしい話を見つけた。
さっそく読めばいいのだが、ここまでやって、なんとなく足踏みしている。
自分の記憶が正しいのか、それとも都合よく歪んでいるのか。
それを確かめるのは、いつも少し怖い。

(「五ひきのやもり」が収録されているのは→「浜田廣介童話集」 ハルキ文庫)

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