まきまき話。
♪ぴん ぽーん♬
暑い中、タオルでハチマキをして片付けをしていたら、呼び鈴が鳴った。
あーハイハイ ただいま…
鳴らした人にはぜったい聞こえない返事をしながら玄関を出る。
どうせ何かの配達だと思って顔を出したら、上の階のご夫婦がお揃いなので、慌てた。
背の高いご主人を従え、小柄で丸顔の奥さんが、ニコニコと笑っている。
あ、どーも…
お忙しいところすみません… 実は急なんですが、引っ越すことになりまして…
え?そうなんですか?
ここに住んで10年になるが、すぐ上の階のご一家とは、顔を合わせれば会釈する程度。
子供の年も近かったのに、親しくならなかったのは、ひょっとしたら私のせいなのだ。
越してきてすぐ、引っ越しで疲労困憊で寝ていると、ドンドンと重い音が聞こえてきた。
夜中過ぎても音は続き、ヘトヘトなのに気になって眠れない。
思い余った私はネマキのままセーターをひっかけ、上の階の呼び鈴を押した。
あの… 何か音がして… 眠れないで困っているんですが…
すみません!すぐやめさせます!
やはりネマキ姿の奥さんが恐縮して引っ込み、部屋に戻ると音はやんでいた。
いきなりクレームを言ったため、顔を合わせても気まずく、積極的に話しかけにくくなった。
挨拶するときの言葉つき、お子さんに接する様子などから、よさそうな奥さんだなと思いつつ、日々に取り紛れて過ぎたのだ。
お引越し先は、どちらのほうに…
金沢なんです
わー、ステキですね!
こうして話してみるとやはりとても感じのいい人だ。なぜもっとお話ししておかなかったのか、惜しい気がする。
ツマラナイモノデスガ、の決まり文句と一緒に小さな包みをいただいて、玄関に引っ込んでから、タオルのハチマキをしたままなのに気がついた。
最初がネマキ、最後がハチマキ。
これじゃお友達になってもらえなくて当然だよね、と思うとおかしくて、一人で笑った。

(品物は台所用のスポンジでした)

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暑い中、タオルでハチマキをして片付けをしていたら、呼び鈴が鳴った。
あーハイハイ ただいま…
鳴らした人にはぜったい聞こえない返事をしながら玄関を出る。
どうせ何かの配達だと思って顔を出したら、上の階のご夫婦がお揃いなので、慌てた。
背の高いご主人を従え、小柄で丸顔の奥さんが、ニコニコと笑っている。
あ、どーも…
お忙しいところすみません… 実は急なんですが、引っ越すことになりまして…
え?そうなんですか?
ここに住んで10年になるが、すぐ上の階のご一家とは、顔を合わせれば会釈する程度。
子供の年も近かったのに、親しくならなかったのは、ひょっとしたら私のせいなのだ。
越してきてすぐ、引っ越しで疲労困憊で寝ていると、ドンドンと重い音が聞こえてきた。
夜中過ぎても音は続き、ヘトヘトなのに気になって眠れない。
思い余った私はネマキのままセーターをひっかけ、上の階の呼び鈴を押した。
あの… 何か音がして… 眠れないで困っているんですが…
すみません!すぐやめさせます!
やはりネマキ姿の奥さんが恐縮して引っ込み、部屋に戻ると音はやんでいた。
いきなりクレームを言ったため、顔を合わせても気まずく、積極的に話しかけにくくなった。
挨拶するときの言葉つき、お子さんに接する様子などから、よさそうな奥さんだなと思いつつ、日々に取り紛れて過ぎたのだ。
お引越し先は、どちらのほうに…
金沢なんです
わー、ステキですね!
こうして話してみるとやはりとても感じのいい人だ。なぜもっとお話ししておかなかったのか、惜しい気がする。
ツマラナイモノデスガ、の決まり文句と一緒に小さな包みをいただいて、玄関に引っ込んでから、タオルのハチマキをしたままなのに気がついた。
最初がネマキ、最後がハチマキ。
これじゃお友達になってもらえなくて当然だよね、と思うとおかしくて、一人で笑った。

(品物は台所用のスポンジでした)

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かんばん話。
時々降りる駅に、盆踊りのカンバンがかかっていた。
新興住宅地でも、ちゃんと地域の祭りがあるのはいいものだ。
今年は浴衣を着る予定もないなあ、と思いつつカンバンの前を過ぎ、改札を通る。
電車に乗り込んだが、さっき見たカンバンが、妙に頭に残った。
かわいい感じの絵柄で、踊る人がペンキで丁寧に描かれていた、ような気がする。
次に通ったらもうちょっとよく見てみよう、と決意した。
そしてようやく、また見るチャンスが訪れた。

一見して気づくのは人物の年齢層である。
ご老人と子供しかいない。
提灯のともるヤグラの下で、浴衣姿のカレ・カノジョに胸をときめかす、青年男女はいないのか。
次に気がかりなのは、踊る子供たちの肩の関節。
手のひらがどっちを向いているのかもわからないが、右手をこの角度であげるのは相当つらい。
私も試しにやってみたが、うっかりすると脱臼しそうだ。
現に中央の老夫妻は
この振付はトシヨリには無理…
とばかり、列に加わりつつ踊りを放棄している。
最も気になるのは、人物の国籍構成である。
まぎれもなく浴衣を着た盆踊りでありながら、全体に漂うこの異国情緒は何だろう。
どこか遠い国の、日本人町の祭りのような気さえするのは、どことなくエキゾチックな人物の面立ちのせいであろう。

子供ながらグラマーな赤毛の彼女もさることながら、グレーの浴衣を着てノーブルな横顔を見せている彼の量感ある巻き毛などは、日本人のものと思えない。
さらに考察を続けたかったが、人通りの多い場所で長く立ち止まるのも気が引けて、やむなくその場を後にした。
次に通る時は、お盆も過ぎ、カンバンも片付けられているだろう。なんだか、お名残り惜しい。

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新興住宅地でも、ちゃんと地域の祭りがあるのはいいものだ。
今年は浴衣を着る予定もないなあ、と思いつつカンバンの前を過ぎ、改札を通る。
電車に乗り込んだが、さっき見たカンバンが、妙に頭に残った。
かわいい感じの絵柄で、踊る人がペンキで丁寧に描かれていた、ような気がする。
次に通ったらもうちょっとよく見てみよう、と決意した。
そしてようやく、また見るチャンスが訪れた。

一見して気づくのは人物の年齢層である。
ご老人と子供しかいない。
提灯のともるヤグラの下で、浴衣姿のカレ・カノジョに胸をときめかす、青年男女はいないのか。
次に気がかりなのは、踊る子供たちの肩の関節。
手のひらがどっちを向いているのかもわからないが、右手をこの角度であげるのは相当つらい。
私も試しにやってみたが、うっかりすると脱臼しそうだ。
現に中央の老夫妻は
この振付はトシヨリには無理…
とばかり、列に加わりつつ踊りを放棄している。
最も気になるのは、人物の国籍構成である。
まぎれもなく浴衣を着た盆踊りでありながら、全体に漂うこの異国情緒は何だろう。
どこか遠い国の、日本人町の祭りのような気さえするのは、どことなくエキゾチックな人物の面立ちのせいであろう。

子供ながらグラマーな赤毛の彼女もさることながら、グレーの浴衣を着てノーブルな横顔を見せている彼の量感ある巻き毛などは、日本人のものと思えない。
さらに考察を続けたかったが、人通りの多い場所で長く立ち止まるのも気が引けて、やむなくその場を後にした。
次に通る時は、お盆も過ぎ、カンバンも片付けられているだろう。なんだか、お名残り惜しい。

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まよまよ話。
今日は一人でランチ。
メニューを前に、カツ丼か鶏南蛮かで迷っていると、カラアゲ丼というものに目が止まる。
ご飯の上に鶏のカラアゲ、白髪ネギをこんもり盛ったさまは、とても魅惑的で美味しそうだ。
そう思うなら注文すればいいのだが、引っかかるものがあって思いとどまった。
引っかかるのは、カラアゲ丼のカラアゲに、縦横無尽にかけてあるマヨネーズ。
飲食店が頼みもしないマヨネーズを、片っ端からかけて出してくるようになったのは、一体いつごろからだろう。
かつて、生野菜以外にマヨネーズをかけるのは、おおっぴらにできないゲテモノ趣味であり
若い頃はオカズがなくて、マヨネーズをご飯にかけたこともあります
などと言うのは、貧乏時代のハズカシイ告白であった。
例外はお好み焼きとタコヤキであるが、昔はそれさえオプションで、オバサンに
マヨネーズかけます?
と聞かれ、幾許かの羞恥を感じつつハイ…と答えてはじめて、かけてもらえるものであった。
誤解しないでいただきたいのだが私はマヨネーズが好きである。
カラアゲもタコヤキも、マヨネーズをかけるとおいしいと思うが、だからといって、最初っからかかってくるのは、何か違う。
はしたない、などと思う。
シチュエーションは、できればもっとひそやかであってほしい。
例えば1人の昼ごはん。オカズは昨夜の残りのカラアゲの温め直しである。
お皿にのせていったん食べかけたが、ちょっと考えて周囲をうかがってから、こそっとマヨネーズをかける。
そんな秘密っぽい味わいこそ、カラアゲにかけるマヨネーズの美味しさではないか。
揚げたてアツアツのカラアゲに、いきなりドバっとマヨネーズ!じゃあ、ダメなのだ。
お好み焼きでもタコヤキでも、いきなり網目状にマヨネーズをかけられちゃう、という状況には、いまだに慣れない。

(デフォルトでマヨマヨな現代風タコヤキ)

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メニューを前に、カツ丼か鶏南蛮かで迷っていると、カラアゲ丼というものに目が止まる。
ご飯の上に鶏のカラアゲ、白髪ネギをこんもり盛ったさまは、とても魅惑的で美味しそうだ。
そう思うなら注文すればいいのだが、引っかかるものがあって思いとどまった。
引っかかるのは、カラアゲ丼のカラアゲに、縦横無尽にかけてあるマヨネーズ。
飲食店が頼みもしないマヨネーズを、片っ端からかけて出してくるようになったのは、一体いつごろからだろう。
かつて、生野菜以外にマヨネーズをかけるのは、おおっぴらにできないゲテモノ趣味であり
若い頃はオカズがなくて、マヨネーズをご飯にかけたこともあります
などと言うのは、貧乏時代のハズカシイ告白であった。
例外はお好み焼きとタコヤキであるが、昔はそれさえオプションで、オバサンに
マヨネーズかけます?
と聞かれ、幾許かの羞恥を感じつつハイ…と答えてはじめて、かけてもらえるものであった。
誤解しないでいただきたいのだが私はマヨネーズが好きである。
カラアゲもタコヤキも、マヨネーズをかけるとおいしいと思うが、だからといって、最初っからかかってくるのは、何か違う。
はしたない、などと思う。
シチュエーションは、できればもっとひそやかであってほしい。
例えば1人の昼ごはん。オカズは昨夜の残りのカラアゲの温め直しである。
お皿にのせていったん食べかけたが、ちょっと考えて周囲をうかがってから、こそっとマヨネーズをかける。
そんな秘密っぽい味わいこそ、カラアゲにかけるマヨネーズの美味しさではないか。
揚げたてアツアツのカラアゲに、いきなりドバっとマヨネーズ!じゃあ、ダメなのだ。
お好み焼きでもタコヤキでも、いきなり網目状にマヨネーズをかけられちゃう、という状況には、いまだに慣れない。

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みなさん話。
うちの近所はニュース用語で言うところの閑静な住宅地(笑)。
遊歩道も整備されていて、朝夕は犬の散歩をさせる人が多い。
おおかたはマナーのいい飼い主と信じるが、そうでない人もいるのが世の習いで、路傍に警告のハリガミが出ている。

役所が出すハリガミの表記は事務的だが、個人が貼るものはそうとは限らない。
私有財産を守る切実さと同時に、ご近所さんである飼い主への配慮も働く。
強く訴えたいが、高圧的にならないように、という難しさがあるのだ。
そこをクリアするために編み出されたのが、犬を相手にする方法である。
♥ ワンちゃんへ ♥
お花が泣いています
おトイレはよそでしてね♥
かわいい犬のイラストを添えた乙女チックなもの。
うちの前で用を足すなコンニャロ!と言いたいところ、ワンちゃん、お花、というクッションでごまかしている。
お犬様各位
用足しの後始末は
お付きの者にお命じください
筆文字で高札風に書かれているもの。
面白いでしょ?と得意げな顔まで想像できるが、こりゃ凝り過ぎだ。
昨日また、新しいハリガミを見た。
~ 犬の皆さんへ ~
地域の美化にご協力ください
イラストもなく、白地にあっさり手書きだけのシンプルなハリガミだが、新しいと思うのは
犬の皆さん
という表現である。
一見すると、例の犬を相手にするパターンか、と思われる。
しかし、地域の美化なんて抽象的な概念、犬に分かるだろうか。
もしかしたら、この書き手は
犬の皆さん
の一句をもって「犬およびそれを連れている人間」を表しているのではないか。
そう考えると、役所のハリガミよりもっとヒンヤリ冷たいものを感じて、少しコワくなった。

(古式ゆかしい方法だが犬には通用しない)

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遊歩道も整備されていて、朝夕は犬の散歩をさせる人が多い。
おおかたはマナーのいい飼い主と信じるが、そうでない人もいるのが世の習いで、路傍に警告のハリガミが出ている。

役所が出すハリガミの表記は事務的だが、個人が貼るものはそうとは限らない。
私有財産を守る切実さと同時に、ご近所さんである飼い主への配慮も働く。
強く訴えたいが、高圧的にならないように、という難しさがあるのだ。
そこをクリアするために編み出されたのが、犬を相手にする方法である。
♥ ワンちゃんへ ♥
お花が泣いています
おトイレはよそでしてね♥
かわいい犬のイラストを添えた乙女チックなもの。
うちの前で用を足すなコンニャロ!と言いたいところ、ワンちゃん、お花、というクッションでごまかしている。
お犬様各位
用足しの後始末は
お付きの者にお命じください
筆文字で高札風に書かれているもの。
面白いでしょ?と得意げな顔まで想像できるが、こりゃ凝り過ぎだ。
昨日また、新しいハリガミを見た。
~ 犬の皆さんへ ~
地域の美化にご協力ください
イラストもなく、白地にあっさり手書きだけのシンプルなハリガミだが、新しいと思うのは
犬の皆さん
という表現である。
一見すると、例の犬を相手にするパターンか、と思われる。
しかし、地域の美化なんて抽象的な概念、犬に分かるだろうか。
もしかしたら、この書き手は
犬の皆さん
の一句をもって「犬およびそれを連れている人間」を表しているのではないか。
そう考えると、役所のハリガミよりもっとヒンヤリ冷たいものを感じて、少しコワくなった。

(古式ゆかしい方法だが犬には通用しない)

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せらせら話。
♪ ~ わたしが~ ちい~さい~とき~ ママに~ き~き~ました~ … ♪
台所で母が歌っている。
もー!おかーさん!静かにしてよ!
テレビ聞こえないよ!
私とイモートは、居間で「ザ・ベストテン」を見ているのだ。
♪ ~ ケ~セラ~セラ~ なるように~ なるわ~ さきのこと~など~ わから~ない~ ♬
娘どもの抗議など意に介することなく、絶好調の母は歌うお母さんで、煮炊きの時、掃除の時、いつも歌っている。
やがて夕飯の後始末が終わり、前掛けで手を拭きながら、母もテレビの前に座った。
テレビの画面では、ヨコハマギンバエが暴れている。
こんなの見てると心配だわ…
なにが?
あんたたちもそのうち お母さんになるでしょ
そりゃまあ、できればね…
その時お勝手で歌う歌がないんじゃないかって…
はあ?
♪ ~ かぁなしいぜぇ~ あおい い な づ ま~ ♬

画面は袖のないジージャンを着た、コンドウマサヒコに変わっている。
♪ かぁなしいぜぇ~…♬ なんて 洗い物しながら歌えないでしょ
ハハハ… それ心配する?
歌わなくったっていいじゃん!
娘どもは母の取り越し苦労を笑い飛ばした。
月日は流れ、私もイモートもあの時の母より年を取った。
遺伝か刷り込みか、えらいもので今や私も立派な歌うお母さんである。
ボカロも歌うが、演歌も歌う。
「ブルージーンズメモリー」は歌わないが、今日のようなお天気の日、母譲りの「ケセラセラ」は、洗濯物干しにちょうどいい。

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台所で母が歌っている。
もー!おかーさん!静かにしてよ!
テレビ聞こえないよ!
私とイモートは、居間で「ザ・ベストテン」を見ているのだ。
♪ ~ ケ~セラ~セラ~ なるように~ なるわ~ さきのこと~など~ わから~ない~ ♬
娘どもの抗議など意に介することなく、絶好調の母は歌うお母さんで、煮炊きの時、掃除の時、いつも歌っている。
やがて夕飯の後始末が終わり、前掛けで手を拭きながら、母もテレビの前に座った。
テレビの画面では、ヨコハマギンバエが暴れている。
こんなの見てると心配だわ…
なにが?
あんたたちもそのうち お母さんになるでしょ
そりゃまあ、できればね…
その時お勝手で歌う歌がないんじゃないかって…
はあ?
♪ ~ かぁなしいぜぇ~ あおい い な づ ま~ ♬

画面は袖のないジージャンを着た、コンドウマサヒコに変わっている。
♪ かぁなしいぜぇ~…♬ なんて 洗い物しながら歌えないでしょ
ハハハ… それ心配する?
歌わなくったっていいじゃん!
娘どもは母の取り越し苦労を笑い飛ばした。
月日は流れ、私もイモートもあの時の母より年を取った。
遺伝か刷り込みか、えらいもので今や私も立派な歌うお母さんである。
ボカロも歌うが、演歌も歌う。
「ブルージーンズメモリー」は歌わないが、今日のようなお天気の日、母譲りの「ケセラセラ」は、洗濯物干しにちょうどいい。

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きせきの話。
このごろ食欲がない。
なんだか食べる気がしないし、食べてもおいしくない。
暑さには強いほうだと思っていたのに、トシのせいだろうか。
ガックリしかけたが、待てよ、夏痩せというものがある。
夏に痩せる。スバラシイ響きだ。ウキウキと、しばらく見ずに済ましていた体重計に乗る。
デジタルの 数値を見れば こはいかに。(五・七・五)
痩せるどころか、微増ではないか。
ただでさえ汗をかく季節に、どういうことなのか。検証のため、昼食を思い起こす。
食欲のない時はのど越しの良いものがよかろうと、具だくさんのソーメン。
パッとしなかったので、ちょっとご飯をついで、泉州名産・水茄子の漬物を出した。
胃がもたれる気がしてヨーグルトを食べたら、あと口が悪かったので、アイスも食べた。
… うーむ、なんたること。
冷静に見れば、食べる量は減るどころか、むしろ増えている。
私の場合、食欲と食べる量は関係ないのかもしれない。
おまけに夜は夜で、当然のようにビールを飲む。
その飲む量たるや、昼間にかいた汗の量を何倍も上回るであろう。
これでは痩せるどころか、むしろ微増で済んでいるのが奇跡である。
思わぬところで奇跡を起こしてしまったが、これっぽっちも感激はないのであった。

(水泳もやっております 夏は水が気持ちいいです)

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なんだか食べる気がしないし、食べてもおいしくない。
暑さには強いほうだと思っていたのに、トシのせいだろうか。
ガックリしかけたが、待てよ、夏痩せというものがある。
夏に痩せる。スバラシイ響きだ。ウキウキと、しばらく見ずに済ましていた体重計に乗る。
デジタルの 数値を見れば こはいかに。(五・七・五)
痩せるどころか、微増ではないか。
ただでさえ汗をかく季節に、どういうことなのか。検証のため、昼食を思い起こす。
食欲のない時はのど越しの良いものがよかろうと、具だくさんのソーメン。
パッとしなかったので、ちょっとご飯をついで、泉州名産・水茄子の漬物を出した。
胃がもたれる気がしてヨーグルトを食べたら、あと口が悪かったので、アイスも食べた。
… うーむ、なんたること。
冷静に見れば、食べる量は減るどころか、むしろ増えている。
私の場合、食欲と食べる量は関係ないのかもしれない。
おまけに夜は夜で、当然のようにビールを飲む。
その飲む量たるや、昼間にかいた汗の量を何倍も上回るであろう。
これでは痩せるどころか、むしろ微増で済んでいるのが奇跡である。
思わぬところで奇跡を起こしてしまったが、これっぽっちも感激はないのであった。

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だっぴの話。
靴がボロい、とムスコが言うので、やむをえずショッピングセンターに行った。
ムスコも私も買い物がキライなので、滞在時間はなるたけ短くしたい。
広いフロアを斜めにつっきって靴売り場に行くと、わき目もふらずスニーカーのコーナーへ。
どうすんの?
なんでもいい…
じゃ今のと同じにする?
ウン…
サイズは?1つ大きくする?
アア…
ものの20秒で、買い物は終了。履いてるのとまったく同じ靴を購入することとなる。
箱を持ってレジまで行くと、カウンター横に緑のカンバン。

靴の下取り承ります 履き古した靴とお引き換えに5%オフ!
5%オフと聞いては黙っていられない。
あの、これ、履いて来た靴でもいいですか?
ああ、大丈夫ですよ じゃあこちら値札取らせていただきますね
そう言った店員さんだが、それじゃ、とムスコが脱いだ靴を見て、わずかにピクッとした。
たった今値札を取って渡した靴が、一瞬で古くなって戻ってきたら、誰だって驚く。
ともかくも、首尾よく5%引いてもらい、スタコラサッサと家に帰る。
新しい靴を履いたムスコは、心なしかこざっぱりして見えるが、これは親の欲目だろう。
カウンターに乗っていた古靴を思い出し、ありゃ脱皮だな、と思った。

(ここんとこもうずーっとコレばっか)

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ムスコも私も買い物がキライなので、滞在時間はなるたけ短くしたい。
広いフロアを斜めにつっきって靴売り場に行くと、わき目もふらずスニーカーのコーナーへ。
どうすんの?
なんでもいい…
じゃ今のと同じにする?
ウン…
サイズは?1つ大きくする?
アア…
ものの20秒で、買い物は終了。履いてるのとまったく同じ靴を購入することとなる。
箱を持ってレジまで行くと、カウンター横に緑のカンバン。

靴の下取り承ります 履き古した靴とお引き換えに5%オフ!
5%オフと聞いては黙っていられない。
あの、これ、履いて来た靴でもいいですか?
ああ、大丈夫ですよ じゃあこちら値札取らせていただきますね
そう言った店員さんだが、それじゃ、とムスコが脱いだ靴を見て、わずかにピクッとした。
たった今値札を取って渡した靴が、一瞬で古くなって戻ってきたら、誰だって驚く。
ともかくも、首尾よく5%引いてもらい、スタコラサッサと家に帰る。
新しい靴を履いたムスコは、心なしかこざっぱりして見えるが、これは親の欲目だろう。
カウンターに乗っていた古靴を思い出し、ありゃ脱皮だな、と思った。

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わっとの話。
うちのご不浄は暗い。
もともとは、60ワットの電球がついていたのだが、切れた時の間に合わせに、以前に百円均一で間違って買った、小さい電球をつけた。
小さいのでかなり暗いが、それなりに用は足せる。
考えてみれば、ご不浄では読書も、精密な作業もしないのだから、隅々まで照らす必要などないのであった。
新しい60ワットを買ってきて、すぐ付け替えるつもりだったが、まあ、切れるまではこれでいっか、という気がしてきた。
このさい間違って買った電球を使い切ろうという、貧乏性ならではの考えであるが、
暗っ!なにコレ?
ちょっと怖いよ…メイちゃん来たら泣くんじゃない?
と、ムスメとムスコには不評である。
先日、その小さい電球が、意外に長持ちしたあげく、ついに切れたのである。
さっそく60ワットを買ってきてつけた。狭い空間を、まばゆい光が満たす。
これで元通り、めでたしめでたし、と手をはたき、スイッチを切ってご不浄を出た。
しばらくして、台所でもぞもぞしていたら
おわっ!
おかしな声がした。行ってみると、じゃーと流れる音がしてドアが開き、ムスコが出てきて
明るっ!なにアレ?
なぜか不満げである。続いて、私も入ってみた。
壁や床が白々とし、蛇口や取っ手がやけに光って、落ち着かない。
それに、こんな明るいところで下着を下げて用を足すなんて、恥ずかしい気がする。
恐ろしいことに、われわれ一家はあの暗いご不浄に慣れてしまったのだ。
数日間明るさに耐えたが、ついに今日、百円均一で、例の小さい電球を買ってしまった。
切れてもいない60ワットを外し、小さいのにつけかえる。
薄暗い灯の下でパッケージを見たら、7ワットと書いてあった。

(「陰翳礼賛」 中公文庫)

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もともとは、60ワットの電球がついていたのだが、切れた時の間に合わせに、以前に百円均一で間違って買った、小さい電球をつけた。
小さいのでかなり暗いが、それなりに用は足せる。
考えてみれば、ご不浄では読書も、精密な作業もしないのだから、隅々まで照らす必要などないのであった。
新しい60ワットを買ってきて、すぐ付け替えるつもりだったが、まあ、切れるまではこれでいっか、という気がしてきた。
このさい間違って買った電球を使い切ろうという、貧乏性ならではの考えであるが、
暗っ!なにコレ?
ちょっと怖いよ…メイちゃん来たら泣くんじゃない?
と、ムスメとムスコには不評である。
先日、その小さい電球が、意外に長持ちしたあげく、ついに切れたのである。
さっそく60ワットを買ってきてつけた。狭い空間を、まばゆい光が満たす。
これで元通り、めでたしめでたし、と手をはたき、スイッチを切ってご不浄を出た。
しばらくして、台所でもぞもぞしていたら
おわっ!
おかしな声がした。行ってみると、じゃーと流れる音がしてドアが開き、ムスコが出てきて
明るっ!なにアレ?
なぜか不満げである。続いて、私も入ってみた。
壁や床が白々とし、蛇口や取っ手がやけに光って、落ち着かない。
それに、こんな明るいところで下着を下げて用を足すなんて、恥ずかしい気がする。
恐ろしいことに、われわれ一家はあの暗いご不浄に慣れてしまったのだ。
数日間明るさに耐えたが、ついに今日、百円均一で、例の小さい電球を買ってしまった。
切れてもいない60ワットを外し、小さいのにつけかえる。
薄暗い灯の下でパッケージを見たら、7ワットと書いてあった。

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ふぁくすの話。
朝の6時に電話。
一族皆健康であるとはいえ、高齢者もいる。ドキッとして飛び起き、受話器を取った。
… ♪んぴーー … ぼーー♪ …
なんだ、ファクスだ。
しかしこの時間にファクスなんて尋常じゃない。受話器を置き、吐き出される紙を見守る。
… んんんんん …んじ じ じ じ じじじじじじ …
ペロン、と床に落ちた受信紙を拾ってみると、表題は
観光ガイド申込メール
ナンノコッチャ?発信者情報はなく、添え状もない。
氏名、住所、日時と人数などが順に打ち出され、「希望コース」として
東大寺をメインに1時間でおすすめコースを案内してほしい
とある。
どうやら観光ガイドの会社のHPのメールフォームのようだが、いくつか手書きの丸印と、人名らしき書き込みがある。
以上から推測した経緯はこうだ。
1・ガイドしてほしい人が会社のHPから申し込み
2・会社は受付して内容をチェック、派遣するガイドを決めた
3・決まったガイドに概要を知らせるため、メールフォームのプリントアウトをファクス
4・ところが番号を間違え、うちにファクスが届いた
さて、うちとしては、これをどうするか。
早朝にファクスが入るだけあって、日にちは迫っている。
私はだいたい親切でお節介なほうで、過去に間違いファクスが入った時は、添え状を見て発信者に電話をかけ、間違って来てますよ、と教えてあげた。
しかし今回は発信者受信者ともに不明。
わかるのは、ガイドを申し込んだ人の、住所氏名電話番号等、詳細な情報だ。
しかし、そこに電話をして、1から4の経緯を説明するのはいかにも面倒くさいし、個人情報の問題がある気もする。
一番の問題は、この申込者が中国人観光客だということである。
メールフォームの備考欄には
中国語を話せる方希望
とある。
東大寺周辺なら、私がガイドしてあげてもいいのだが、中国語はちょっと無理である。

(東大寺HPはこちら → 華厳宗大本山 東大寺)

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一族皆健康であるとはいえ、高齢者もいる。ドキッとして飛び起き、受話器を取った。
… ♪んぴーー … ぼーー♪ …
なんだ、ファクスだ。
しかしこの時間にファクスなんて尋常じゃない。受話器を置き、吐き出される紙を見守る。
… んんんんん …んじ じ じ じ じじじじじじ …
ペロン、と床に落ちた受信紙を拾ってみると、表題は
観光ガイド申込メール
ナンノコッチャ?発信者情報はなく、添え状もない。
氏名、住所、日時と人数などが順に打ち出され、「希望コース」として
東大寺をメインに1時間でおすすめコースを案内してほしい
とある。
どうやら観光ガイドの会社のHPのメールフォームのようだが、いくつか手書きの丸印と、人名らしき書き込みがある。
以上から推測した経緯はこうだ。
1・ガイドしてほしい人が会社のHPから申し込み
2・会社は受付して内容をチェック、派遣するガイドを決めた
3・決まったガイドに概要を知らせるため、メールフォームのプリントアウトをファクス
4・ところが番号を間違え、うちにファクスが届いた
さて、うちとしては、これをどうするか。
早朝にファクスが入るだけあって、日にちは迫っている。
私はだいたい親切でお節介なほうで、過去に間違いファクスが入った時は、添え状を見て発信者に電話をかけ、間違って来てますよ、と教えてあげた。
しかし今回は発信者受信者ともに不明。
わかるのは、ガイドを申し込んだ人の、住所氏名電話番号等、詳細な情報だ。
しかし、そこに電話をして、1から4の経緯を説明するのはいかにも面倒くさいし、個人情報の問題がある気もする。
一番の問題は、この申込者が中国人観光客だということである。
メールフォームの備考欄には
中国語を話せる方希望
とある。
東大寺周辺なら、私がガイドしてあげてもいいのだが、中国語はちょっと無理である。

(東大寺HPはこちら → 華厳宗大本山 東大寺)

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かりんと話。
お、ボーヤ、かわいいなあ!
声をかけられたのは信号待ちの交差点。
私は2歳のムスコを乗せたベビーカーを押して、区役所に向かう途中だった。
今でこそヒョロヒョロと背ばかり伸びてパッとしないムスコだが、小さい頃はぷっくり丸顔で、とてもかわいかった。
子供らしい子供の顔なので、年配の方にウケるのだ。
その日声をかけてきたのも70代くらいのオジサン。セッタなど穿いて、職人風である。
1つ食うか?
オジサンは手にした袋をいきなりバリバリと開け、中身を指でつまんで、ムスコに差し出した。
真っ黒でゴツゴツの、カリントである。
ムスコはまだカリントを食べたことがなかったので、目を丸くしている。
あまりの展開の速さに、それまでまごまごしていた私は、やっとのことで口をはさんだ。
この子、カリントはじめてなんです!
だいたい、道端で通りすがりの人に、いきなりもらったカリントを、子供にやっていいものか。
しかも、知らないオジサンがジカに指でつまんだカリントである。
母親として決断を迫られる時。
目の前の、悪意のカケラもなさそうなオジサンを、むげに断るのもはばかられ、つい口走った。
私がお相伴すれば、食べると思います
お、そうか!
オジサンは最初につまみ出したカリントを、そのまま私にくれた。
もはや後戻りはならぬ。ボリボリとかじる私を、ムスコはじっと見ている。
オジサンはその様子をしばらく見て、やおらガサゴソと袋に手を突っ込み、2つ目のカリントをつまみ出した。
じゃあこれ、ボーヤのぶん
こんどはムスコは手を出してカリントを受け取り、グーに握って先端を口に入れた。
黒糖の甘味が気に入ったのか、にへらーと笑う。
そうか、うまいか!良かったなボーヤ!
1度赤になった信号が、2度目の青に変わって、オジサンはさっさと行ってしまった。
その後ろ姿を見ながら、私もベビーカーを押して横断歩道を渡る。ムスコはカリントで手と顔をベタベタにしてゴキゲンである。
教育的で衛生的なお母さんなら、絶対しないことをしてしまった。
しかし、もし今あの状況になっても、私はたぶん、また同じようにすると思う。

(今私が一番おいしいと思うカリント→ 日本橋錦豊琳 きんぴらごぼう )

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声をかけられたのは信号待ちの交差点。
私は2歳のムスコを乗せたベビーカーを押して、区役所に向かう途中だった。
今でこそヒョロヒョロと背ばかり伸びてパッとしないムスコだが、小さい頃はぷっくり丸顔で、とてもかわいかった。
子供らしい子供の顔なので、年配の方にウケるのだ。
その日声をかけてきたのも70代くらいのオジサン。セッタなど穿いて、職人風である。
1つ食うか?
オジサンは手にした袋をいきなりバリバリと開け、中身を指でつまんで、ムスコに差し出した。
真っ黒でゴツゴツの、カリントである。
ムスコはまだカリントを食べたことがなかったので、目を丸くしている。
あまりの展開の速さに、それまでまごまごしていた私は、やっとのことで口をはさんだ。
この子、カリントはじめてなんです!
だいたい、道端で通りすがりの人に、いきなりもらったカリントを、子供にやっていいものか。
しかも、知らないオジサンがジカに指でつまんだカリントである。
母親として決断を迫られる時。
目の前の、悪意のカケラもなさそうなオジサンを、むげに断るのもはばかられ、つい口走った。
私がお相伴すれば、食べると思います
お、そうか!
オジサンは最初につまみ出したカリントを、そのまま私にくれた。
もはや後戻りはならぬ。ボリボリとかじる私を、ムスコはじっと見ている。
オジサンはその様子をしばらく見て、やおらガサゴソと袋に手を突っ込み、2つ目のカリントをつまみ出した。
じゃあこれ、ボーヤのぶん
こんどはムスコは手を出してカリントを受け取り、グーに握って先端を口に入れた。
黒糖の甘味が気に入ったのか、にへらーと笑う。
そうか、うまいか!良かったなボーヤ!
1度赤になった信号が、2度目の青に変わって、オジサンはさっさと行ってしまった。
その後ろ姿を見ながら、私もベビーカーを押して横断歩道を渡る。ムスコはカリントで手と顔をベタベタにしてゴキゲンである。
教育的で衛生的なお母さんなら、絶対しないことをしてしまった。
しかし、もし今あの状況になっても、私はたぶん、また同じようにすると思う。

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