ためらう話。
温暖な当地でも、朝夕は冷え込みはじめた。
今まで引き延ばしてきたが、いよいよ決断の時が近づいている。
そう、衣更えである。
Tシャツで過ごした日々に別れを告げ、ニットやフリースをひっぱりだすのだ。
さっさと済ませればいいようなものだが、ためらいがあるのは
私が衣更えをすると、気候が逆戻りする
という、強力なジンクスの存在ゆえである。
半袖シャツや短パンをしまい、夏掛けを天袋に詰め込み、サンダルを干してゲタバコの奥に入れた途端、太陽がギラギラと照りつけ、気温は急上昇し、ニュースが○年に1度の異常気象を報じる、そんなことが何度もあった。
冬から夏になる時も同じだ。
家も衣類もサッパリと、夏支度にした途端、梅雨寒どころではない冷たい日が続き、風鈴と蚊取り線香のある部屋で、半袖の二の腕に鳥肌を立てて過ごすナサケナサは、なんとも言いようがない。
これからひと月ばかり、ギッチリ予定が詰まっており、衣更えの作業ができるのは、今日しかない。
今日を逃したら、本当に冬になってしまうかもしれない。
暑さの戻った中、ダラダラ汗をかいて長袖で過ごすか。
コットン100パーセントで冬を迎えるか。
究極の選択が、私の眼前に横たわっている。
もし、明日からいきなり気温が急上昇したら、私が衣更えをした、と思っていただきたい。
関西在住の皆様には、あらかじめお詫び申し上げる。


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今まで引き延ばしてきたが、いよいよ決断の時が近づいている。
そう、衣更えである。
Tシャツで過ごした日々に別れを告げ、ニットやフリースをひっぱりだすのだ。
さっさと済ませればいいようなものだが、ためらいがあるのは
私が衣更えをすると、気候が逆戻りする
という、強力なジンクスの存在ゆえである。
半袖シャツや短パンをしまい、夏掛けを天袋に詰め込み、サンダルを干してゲタバコの奥に入れた途端、太陽がギラギラと照りつけ、気温は急上昇し、ニュースが○年に1度の異常気象を報じる、そんなことが何度もあった。
冬から夏になる時も同じだ。
家も衣類もサッパリと、夏支度にした途端、梅雨寒どころではない冷たい日が続き、風鈴と蚊取り線香のある部屋で、半袖の二の腕に鳥肌を立てて過ごすナサケナサは、なんとも言いようがない。
これからひと月ばかり、ギッチリ予定が詰まっており、衣更えの作業ができるのは、今日しかない。
今日を逃したら、本当に冬になってしまうかもしれない。
暑さの戻った中、ダラダラ汗をかいて長袖で過ごすか。
コットン100パーセントで冬を迎えるか。
究極の選択が、私の眼前に横たわっている。
もし、明日からいきなり気温が急上昇したら、私が衣更えをした、と思っていただきたい。
関西在住の皆様には、あらかじめお詫び申し上げる。


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かいたい話。
テレビを点ければ番組に集中できず、CMばかり見ている私だが、それが購買意欲に効果を及ぼしているか、というと疑問である。
例えば、今、私が家事の間にしきりに口ずさんでいるのはこの歌。
茶碗を洗いつつ、洗濯物を干しつつ、何かといえばこの歌を歌ってしまうのだが、だからといって、スマホを買いたい、という気持ちは寸毫もない。むしろ
♪あり~がと~ さよ~なら~ ケ~イタイ~♪
と歌うたび、ケイタイを大事にしたい!という気持ちさえ湧いてくる。
CMソングを覚えるほど見ても、商品名にツッコんだり、機能に疑問を抱いたり、要らんわぁ~、とつぶやいたり、ヨソゴトばかりに気を取られ、なかなかその商品が欲しい!とまで思えないのだ。
思えば母もCMソングをよく歌っていた。
それも、テレビ出現以前、太古の昔にラジオで聞いて覚えた歌である。
それは何の歌だ?と聞いてもはっきりしないので、おそらく母も購買意欲はそっちのけ、歌だけ歌うタイプなのであろう。
中には、私まで覚えて歌えるようになったものがある。
♪ 私のパパは年とったけど いつも元気で若々しいの
♪ 新聞読むにもメガネは要らず 肩こり疲れは知らないし
♪ どうしてパパは元気なの?
♪ 栄養与えて若さを保つ
♪ ミネラル ビタミン 肝臓エキス
♪ みんな入ってる ミネビタールさ
♪ だからパパは 元気なの
改めてこうして歌詞を書いてみると、なかなか魅力的な商品だ。
「新聞読むにもメガネは要らず 肩こり疲れは知らないし」というあたり、子供の頃にはなんだそんなこと、と思っていたが、50代の私には非常にアピールする。
久しぶりに歌ってみて、珍しく買いたい!と思ったが、とっくのとうに製造中止となっており、なけなしの購買意欲は、むなしく宙に消えていったのであった。

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例えば、今、私が家事の間にしきりに口ずさんでいるのはこの歌。
茶碗を洗いつつ、洗濯物を干しつつ、何かといえばこの歌を歌ってしまうのだが、だからといって、スマホを買いたい、という気持ちは寸毫もない。むしろ
♪あり~がと~ さよ~なら~ ケ~イタイ~♪
と歌うたび、ケイタイを大事にしたい!という気持ちさえ湧いてくる。
CMソングを覚えるほど見ても、商品名にツッコんだり、機能に疑問を抱いたり、要らんわぁ~、とつぶやいたり、ヨソゴトばかりに気を取られ、なかなかその商品が欲しい!とまで思えないのだ。
思えば母もCMソングをよく歌っていた。
それも、テレビ出現以前、太古の昔にラジオで聞いて覚えた歌である。
それは何の歌だ?と聞いてもはっきりしないので、おそらく母も購買意欲はそっちのけ、歌だけ歌うタイプなのであろう。
中には、私まで覚えて歌えるようになったものがある。
♪ 私のパパは年とったけど いつも元気で若々しいの
♪ 新聞読むにもメガネは要らず 肩こり疲れは知らないし
♪ どうしてパパは元気なの?
♪ 栄養与えて若さを保つ
♪ ミネラル ビタミン 肝臓エキス
♪ みんな入ってる ミネビタールさ
♪ だからパパは 元気なの
改めてこうして歌詞を書いてみると、なかなか魅力的な商品だ。
「新聞読むにもメガネは要らず 肩こり疲れは知らないし」というあたり、子供の頃にはなんだそんなこと、と思っていたが、50代の私には非常にアピールする。
久しぶりに歌ってみて、珍しく買いたい!と思ったが、とっくのとうに製造中止となっており、なけなしの購買意欲は、むなしく宙に消えていったのであった。

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しーえむ話。
私はテレビっ子だ。
離乳食を食べながら鉄腕アトムを見て以来だから、筋金入りである。
それならさぞかし最新のドラマや娯楽番組に詳しいだろうと思われるが、そうでもない。
実のところ、テレビを点けていても、ヨソゴトをしていたり、上の空だったり、番組そのものはちゃんと見ていないことが多いのだ。
じゃあ何を見てるかといえば、CMである。
だいたい、番組とCMを比べたら、1秒あたりにつぎ込まれた熱意や予算がぜんぜん違う。
スポンサーから下げ渡された予算内で、30分なり1時間なりを埋めていかなければならない番組と。
15秒や30秒で、最大の経済効果を得るため、情報がギュッと凝縮されたCMと。
映像の密度が違うのは当然のことである。
美人女優だって、ドラマに出ている時より、CMでどアップになっている時のほうが、目はキラキラ、肌も輝いて、ずっと美しい。
だいたいが短気な人間なので、番組がタラタラしてくるとテキメンに退屈してしまう。
しかし、短い時間で強く訴えてくるCMには、つい目を引き付けられる。
こうしてパソコンに向かっている間もテレビは点けっぱなしだが、何の番組をやってるかは分からない。
それより、ヨネクラリョウコが尋常ならぬ目ヂカラでこちらを見つめながら

効きます!きゅーぴーこーわごーるどあるふぁーぷらす!
と言っているのを、つい凝視してしまうのである。
それにしても、キューピーコーワゴールドアルファープラス、って、商品名としては長すぎないか、とか。
以前、フレッツ光ネクストはやぶさ、ってあったけど、「-」が5つもある分、あれより長いな、とか。
さまざまに考えを巡らせていると、内容薄い番組はただただ目の前を流れ、またCMの時間になってしまうのであった。

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離乳食を食べながら鉄腕アトムを見て以来だから、筋金入りである。
それならさぞかし最新のドラマや娯楽番組に詳しいだろうと思われるが、そうでもない。
実のところ、テレビを点けていても、ヨソゴトをしていたり、上の空だったり、番組そのものはちゃんと見ていないことが多いのだ。
じゃあ何を見てるかといえば、CMである。
だいたい、番組とCMを比べたら、1秒あたりにつぎ込まれた熱意や予算がぜんぜん違う。
スポンサーから下げ渡された予算内で、30分なり1時間なりを埋めていかなければならない番組と。
15秒や30秒で、最大の経済効果を得るため、情報がギュッと凝縮されたCMと。
映像の密度が違うのは当然のことである。
美人女優だって、ドラマに出ている時より、CMでどアップになっている時のほうが、目はキラキラ、肌も輝いて、ずっと美しい。
だいたいが短気な人間なので、番組がタラタラしてくるとテキメンに退屈してしまう。
しかし、短い時間で強く訴えてくるCMには、つい目を引き付けられる。
こうしてパソコンに向かっている間もテレビは点けっぱなしだが、何の番組をやってるかは分からない。
それより、ヨネクラリョウコが尋常ならぬ目ヂカラでこちらを見つめながら

効きます!きゅーぴーこーわごーるどあるふぁーぷらす!
と言っているのを、つい凝視してしまうのである。
それにしても、キューピーコーワゴールドアルファープラス、って、商品名としては長すぎないか、とか。
以前、フレッツ光ネクストはやぶさ、ってあったけど、「-」が5つもある分、あれより長いな、とか。
さまざまに考えを巡らせていると、内容薄い番組はただただ目の前を流れ、またCMの時間になってしまうのであった。

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ほぼほぼ話。
このごろ、「ほぼ」でいいところを、「ほぼほぼ」と二度言う人が多い。
ヒジョ~に気持ちが悪い。

(「ヒッジョーに キビシーー!」)
とはいえ、新しい言い方にいちいち異を唱えるのも大人げないから、敢えて二度言うについてはきっと何か意味があるはずだ、と考えた。
私の理解では、「ほぼ」は「おおかた、だいたい」ということで、目標まであと少し、という感じを表す。
例えば、「ほぼ」が、目標達成度80パーセントと仮定すると
ほぼ○○ = ○○×0.8
という風に表せる。
そうすると「ほぼほぼ」は
ほぼほぼ○○ = ○○×0.8×0.8 = ○○×0.64
となる。
ところが、その使われ方を注意深く観察してみたところ、どうも「ほぼほぼ」は、「ほぼ」よりもむしろ目標に近づいているようなのである。
これは仮説を修正せねばならない。
ほぼ○○ = ○○×0.8
これは動かせないとして、2つ目の「ほぼ」をどう考えるか。
掛け算ではだめだが、だからといって足し算すると、もとの○○を越えてしまう。
1つ目の「ほぼ」で8割を達成して、未達で残った2割、これに「ほぼ」が作用する、と考えたらどうだろう。
ほぼほぼ○○ = (○○×0.8) + {○○×(1-0.8)×0.8} = ○○×0.96
おお、近づいた。
すると「ほぼほぼほぼ」は
ほぼほぼほぼ○○ = (○○×0.96) + {○○×(1-0.96)×0.8}= ○○×0.992
さらに「ほぼほぼほぼほぼ」は
ほぼほぼほぼほぼ○○ = (○○×0.992) + {○○×(1-0.992)×0.8} = ○○×0.9984
おお、どんどん目標値に近づいていく。
「ほぼほぼほぼほぼほぼ」は…、いや、いくらなんでもそこまでヒマではない。
納得できた気もするが、だからといって今後、私が「ほぼほぼ」を使うことは、ほぼほぼ無いであろう。

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ヒジョ~に気持ちが悪い。

(「ヒッジョーに キビシーー!」)
とはいえ、新しい言い方にいちいち異を唱えるのも大人げないから、敢えて二度言うについてはきっと何か意味があるはずだ、と考えた。
私の理解では、「ほぼ」は「おおかた、だいたい」ということで、目標まであと少し、という感じを表す。
例えば、「ほぼ」が、目標達成度80パーセントと仮定すると
ほぼ○○ = ○○×0.8
という風に表せる。
そうすると「ほぼほぼ」は
ほぼほぼ○○ = ○○×0.8×0.8 = ○○×0.64
となる。
ところが、その使われ方を注意深く観察してみたところ、どうも「ほぼほぼ」は、「ほぼ」よりもむしろ目標に近づいているようなのである。
これは仮説を修正せねばならない。
ほぼ○○ = ○○×0.8
これは動かせないとして、2つ目の「ほぼ」をどう考えるか。
掛け算ではだめだが、だからといって足し算すると、もとの○○を越えてしまう。
1つ目の「ほぼ」で8割を達成して、未達で残った2割、これに「ほぼ」が作用する、と考えたらどうだろう。
ほぼほぼ○○ = (○○×0.8) + {○○×(1-0.8)×0.8} = ○○×0.96
おお、近づいた。
すると「ほぼほぼほぼ」は
ほぼほぼほぼ○○ = (○○×0.96) + {○○×(1-0.96)×0.8}= ○○×0.992
さらに「ほぼほぼほぼほぼ」は
ほぼほぼほぼほぼ○○ = (○○×0.992) + {○○×(1-0.992)×0.8} = ○○×0.9984
おお、どんどん目標値に近づいていく。
「ほぼほぼほぼほぼほぼ」は…、いや、いくらなんでもそこまでヒマではない。
納得できた気もするが、だからといって今後、私が「ほぼほぼ」を使うことは、ほぼほぼ無いであろう。

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ようかい話。
まいど~!
ポストを覗いてから、家の外を回って、御用聞きのように、実家の勝手口から入る。
あ、これ 郵便来てたよ~
ありがと
わが母おばーちゃんは一人暮らし。まだまだ元気でピンシャンしてるけど、用事がなくてもなるべく顔を見に行くようにはしている。
ポストから取って食卓に載せた郵便物に、何げなく目をやった。
なにコレ、まだおじーちゃん宛になってるじゃん…
いいのいいの!フジモトさんにも聞いてね…
フジモトさんとは、おばーちゃんのママ友で、未亡人の先輩である。
誰でも彼でも知らせないほうがいいんだって…
フジモトさん曰く、おばあさんの単身所帯であることを広く知られるのは、百害あって一利なし。
高齢者が狙われる、物騒なご時世である。
特に親しくない人を相手にするときは、名義だけでもご主人を表に立てたほうがいい、と。
そういうわけで、出入りの業者さんの請求書などが、亡くなったおじーちゃん宛になっているのを、そのままにしてるのだそうだ。
銀行やなんかは届け出なきゃどうしようもないけどね それ以外は置いてあるのよ
なるほどねえ。未亡人の防犯の知恵かあ…。
私も早晩一人暮らしになるから、いろいろ教わっとかないとなあ。
感心していると、おばーちゃんはちょっと得意そうに、おじーちゃん宛の郵便を開けた。中身を見て
あ、妖怪…
へ?
妖怪から手紙?死んだジイサン宛に?
ギョッとした私におばーちゃんは笑いながら
違う違う…
ブツは新聞屋さんからの、展覧会のタダ切符だった。

( →大妖怪展 ~土偶から妖怪ウォッチまで~ あべのハルカス美術館 )
あー、ビックリした!地獄の招待状かと思ったよ!

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ポストを覗いてから、家の外を回って、御用聞きのように、実家の勝手口から入る。
あ、これ 郵便来てたよ~
ありがと
わが母おばーちゃんは一人暮らし。まだまだ元気でピンシャンしてるけど、用事がなくてもなるべく顔を見に行くようにはしている。
ポストから取って食卓に載せた郵便物に、何げなく目をやった。
なにコレ、まだおじーちゃん宛になってるじゃん…
いいのいいの!フジモトさんにも聞いてね…
フジモトさんとは、おばーちゃんのママ友で、未亡人の先輩である。
誰でも彼でも知らせないほうがいいんだって…
フジモトさん曰く、おばあさんの単身所帯であることを広く知られるのは、百害あって一利なし。
高齢者が狙われる、物騒なご時世である。
特に親しくない人を相手にするときは、名義だけでもご主人を表に立てたほうがいい、と。
そういうわけで、出入りの業者さんの請求書などが、亡くなったおじーちゃん宛になっているのを、そのままにしてるのだそうだ。
銀行やなんかは届け出なきゃどうしようもないけどね それ以外は置いてあるのよ
なるほどねえ。未亡人の防犯の知恵かあ…。
私も早晩一人暮らしになるから、いろいろ教わっとかないとなあ。
感心していると、おばーちゃんはちょっと得意そうに、おじーちゃん宛の郵便を開けた。中身を見て
あ、妖怪…
へ?
妖怪から手紙?死んだジイサン宛に?
ギョッとした私におばーちゃんは笑いながら
違う違う…
ブツは新聞屋さんからの、展覧会のタダ切符だった。

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めだまの話。
よそを回ってから事務所に顔を出すと、なんだか雰囲気がよろしくない。
受験生のお嬢さんがいて、ピリピリしているコタニさんと、近頃ご主人との折り合いが悪いらしいエグチさんの2人が、とくにツンケンしている。
ケンカこそしてないけど、皆がお互い目を見ないように、最低限の会話で済ませている。
こんな日はやることだけやって早々に退散しよう、と思いながらスリッパに履き替えたら、クツシタのつま先が破れて、足の親指が出ている。
よりによって、先週ペディキュアをしたものだから、黒いクツシタから飛び出た親指がモノスゴク目立つ。
うーん、こりゃ厄日かなあ。
事務室に入ったら、誰か荷造りをしたのか、ガムテープと、黒いマジックペンが出ていた。
飛び出した親指を黒く塗ったら、目立たなくなるかな?と思ったが、いくらなんでも実行はしない。
だが、しまっておくつもりでマジックペンを手にとった時、ふと魔がさした。
フタを取って、ちょちょいと書いて。
ねーねー、エグチさん…
なに?!
振り返った表情にはやっぱりケンがあるが、私が
目玉おやじ、見たい?
と言うと、
ハア?目玉おやじ?
と、毒気を抜かれた顔になった。

スリッパを脱いで、つま先を見せる。
へ… ぶっ、ぶははは…!
さっきまで怖い顔をしていたエグチさんが、いきなり吹き出したので、みんなナニゴトカ、と、わらわら集まってきた。
え?何?目玉おやじ?見せて見せて…
何コレ、描いたの?バカねえ…
赤いペディキュアをした親指の爪の真ん中に、黒い丸を書いてみたのだ。
イライラした事務所の雰囲気が、バカ笑いでやわらいだ。
さて、今日の仕事はこれでいいかな。
目玉おやじをなるったけクツシタの中に引っ込めてクツを履き、家に帰った。

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受験生のお嬢さんがいて、ピリピリしているコタニさんと、近頃ご主人との折り合いが悪いらしいエグチさんの2人が、とくにツンケンしている。
ケンカこそしてないけど、皆がお互い目を見ないように、最低限の会話で済ませている。
こんな日はやることだけやって早々に退散しよう、と思いながらスリッパに履き替えたら、クツシタのつま先が破れて、足の親指が出ている。
よりによって、先週ペディキュアをしたものだから、黒いクツシタから飛び出た親指がモノスゴク目立つ。
うーん、こりゃ厄日かなあ。
事務室に入ったら、誰か荷造りをしたのか、ガムテープと、黒いマジックペンが出ていた。
飛び出した親指を黒く塗ったら、目立たなくなるかな?と思ったが、いくらなんでも実行はしない。
だが、しまっておくつもりでマジックペンを手にとった時、ふと魔がさした。
フタを取って、ちょちょいと書いて。
ねーねー、エグチさん…
なに?!
振り返った表情にはやっぱりケンがあるが、私が
目玉おやじ、見たい?
と言うと、
ハア?目玉おやじ?
と、毒気を抜かれた顔になった。

スリッパを脱いで、つま先を見せる。
へ… ぶっ、ぶははは…!
さっきまで怖い顔をしていたエグチさんが、いきなり吹き出したので、みんなナニゴトカ、と、わらわら集まってきた。
え?何?目玉おやじ?見せて見せて…
何コレ、描いたの?バカねえ…
赤いペディキュアをした親指の爪の真ん中に、黒い丸を書いてみたのだ。
イライラした事務所の雰囲気が、バカ笑いでやわらいだ。
さて、今日の仕事はこれでいいかな。
目玉おやじをなるったけクツシタの中に引っ込めてクツを履き、家に帰った。

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ないてい話。
ムスメの足の小指は骨が一個少ない、らしい(→ こゆびの話。)
面白く思ったので、さっそくわが母、ムスメにとってはおばーちゃん、にご注進する。
これこれこうでね、という報告を、ふんふんと聞いていたおばーちゃんであるが、だしぬけに
それはそうとして、あの子就職はどうなってるのよ?
と切り返してきた。
さあ… なんも言わないからちゃんとしてんじゃないの?
と答えると
たまの電話で足の骨の話?アンタ、ちょっとシッカリしなさいよ!
と、私が叱られてしまった。
ムスメの就活に際し、私がしたことは、スーツを買うお金をやっただけである。

(しかし、どんなのを買ったかは知らない)
どこかコネがあるわけでもなく、アドバイスしようにも、バブル期の超売り手市場の就職活動しか知らないハハオヤの経験談なんて、ムスメにしてみりゃただの自慢話だ。
してやれることなんて、何もないではないか。
そんなある日、またしても夜中近くに、ムスメから電話がかかってきた。
あのサ~ 入学式に履いたクツって 家にあったっけ~?
ちょっと待って、ゲタバコ見てくる …… あったよ?
そっか~ じゃあ明日、取りにいくワ~
なに?就活に要るの?
いや~ ナイテイ…
へ?
内定式があるから~
聞けばムスメは8月中に内定をもらっており、この度本社で内定式というのがあるらしい。
小指の骨の電話の時には、すでに会社が決まっていたわけだ。
まず言うべきはそっちだろう!とあらためて思ったが、聞かなかった私にも非がある。
クツを取りに帰ったら、内定祝いにヤキニクをおごってやる、と約束して、電話を切った。
ムスメを高校出して、大学出して、残るはムスコのみ。これで母親の任務も半分終わりである。
はー、ヤレヤレ…と思わず肩をもんでいて、どこの会社か聞かなかったことに気がつく。
おばーちゃんに報告したら、また叱られそうだ。

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面白く思ったので、さっそくわが母、ムスメにとってはおばーちゃん、にご注進する。
これこれこうでね、という報告を、ふんふんと聞いていたおばーちゃんであるが、だしぬけに
それはそうとして、あの子就職はどうなってるのよ?
と切り返してきた。
さあ… なんも言わないからちゃんとしてんじゃないの?
と答えると
たまの電話で足の骨の話?アンタ、ちょっとシッカリしなさいよ!
と、私が叱られてしまった。
ムスメの就活に際し、私がしたことは、スーツを買うお金をやっただけである。

(しかし、どんなのを買ったかは知らない)
どこかコネがあるわけでもなく、アドバイスしようにも、バブル期の超売り手市場の就職活動しか知らないハハオヤの経験談なんて、ムスメにしてみりゃただの自慢話だ。
してやれることなんて、何もないではないか。
そんなある日、またしても夜中近くに、ムスメから電話がかかってきた。
あのサ~ 入学式に履いたクツって 家にあったっけ~?
ちょっと待って、ゲタバコ見てくる …… あったよ?
そっか~ じゃあ明日、取りにいくワ~
なに?就活に要るの?
いや~ ナイテイ…
へ?
内定式があるから~
聞けばムスメは8月中に内定をもらっており、この度本社で内定式というのがあるらしい。
小指の骨の電話の時には、すでに会社が決まっていたわけだ。
まず言うべきはそっちだろう!とあらためて思ったが、聞かなかった私にも非がある。
クツを取りに帰ったら、内定祝いにヤキニクをおごってやる、と約束して、電話を切った。
ムスメを高校出して、大学出して、残るはムスコのみ。これで母親の任務も半分終わりである。
はー、ヤレヤレ…と思わず肩をもんでいて、どこの会社か聞かなかったことに気がつく。
おばーちゃんに報告したら、また叱られそうだ。

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あひーじょ話。
女性向けのネット掲示板を見ていたら、お料理の悩みで
アヒージョがうまく作れません!
とある。
え?何?あひいじょ?

( Gambas al ajillo )
世の中に、アヒージョとやらいう料理があるのは、私だってボンヤリ知っている。
知ってはいるけど、あれってフツーの人が、家で作ったりするものなの?
ああいう流行りもんは、お店で食べるものだと思っていた。
しかも「うまく作れません!」ということは、一度ならず試行錯誤しているということだ。
驚いたことである。
私は流行りもん全般に懐疑的で、こと食べるものに関してまったく冒険心がない。
家では、あたりまえのオカズ、子供の頃から知ってる料理だけで十分だ。
その時期の食材を、普通の料理法で順番に作るだけで、1年くらいすぐに経つではないか。
つぎつぎ目先を変えねばならぬほど、人生は長くない。
それにしても、掲示板に相談したくなるほど、アヒージョというのは難しい料理なのであろうか。
作る気はさらさらないが、好奇心が湧いて、調べてみたところ
1、大量のオリーブオイルを鍋に温めて唐辛子とニンニクを入れる
2、好みの具を入れてグツグツしたら塩コショウする
なあんだ、そんなもんか。
手間としてはお茶漬並みだし、味もだいたい想像がつく。
掲示板の女は、一体全体何をどうやってマズくしているのか、逆に興味がわいてきた。
作ってみっか?アヒージョ。

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アヒージョがうまく作れません!
とある。
え?何?あひいじょ?

( Gambas al ajillo )
世の中に、アヒージョとやらいう料理があるのは、私だってボンヤリ知っている。
知ってはいるけど、あれってフツーの人が、家で作ったりするものなの?
ああいう流行りもんは、お店で食べるものだと思っていた。
しかも「うまく作れません!」ということは、一度ならず試行錯誤しているということだ。
驚いたことである。
私は流行りもん全般に懐疑的で、こと食べるものに関してまったく冒険心がない。
家では、あたりまえのオカズ、子供の頃から知ってる料理だけで十分だ。
その時期の食材を、普通の料理法で順番に作るだけで、1年くらいすぐに経つではないか。
つぎつぎ目先を変えねばならぬほど、人生は長くない。
それにしても、掲示板に相談したくなるほど、アヒージョというのは難しい料理なのであろうか。
作る気はさらさらないが、好奇心が湧いて、調べてみたところ
1、大量のオリーブオイルを鍋に温めて唐辛子とニンニクを入れる
2、好みの具を入れてグツグツしたら塩コショウする
なあんだ、そんなもんか。
手間としてはお茶漬並みだし、味もだいたい想像がつく。
掲示板の女は、一体全体何をどうやってマズくしているのか、逆に興味がわいてきた。
作ってみっか?アヒージョ。

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もくせい話。
スタッフみんなで事務所のドアを出たら、風がかすかな匂いをのせてきた。
この眠たくなるような、粉っぽく甘いにおいは、キンモクセイだ。

あ、キンモクセイ!
いち早く1人が声に出すと、遅れた人は
今朝 家を出る時にも匂ってたわ…
私は昨日 図書館の横で…
公園のは先週…
どういう心理なんだろう。今の今まで、キンモクセイのことなんかひとっことも言わずにいたのに、いったん話題になると、自分が先、とばかりに、くちぐちに言いだす。
前に気付いていた人のほうが、なぜかちょっと得意げにしているのも、かわいらしい。
女性ばかり何人かでこの匂いをかぐと、いつもこんな感じになる気がする。
どこにキンモクセイの木があるか、などと少し話して話が途切れ、ふと、みんなが黙った。
それぞれに、この匂いから、むかしを思い出しているのだ。
でも、なにも言わない。大人の女だから。
しばらく黙って歩いたあと
あー、今日夕飯、何にしようかなあ!
最初にキンモクセイ!と言った人が、みんなを夢から覚ますように、元気に言った。
うち昨日おでんだったよ
えー、もう?早くない?
それぞれに心に思いはあるけれど、口には出さず、献立の話などしながら、駅まで。
季節は秋、である。

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この眠たくなるような、粉っぽく甘いにおいは、キンモクセイだ。

あ、キンモクセイ!
いち早く1人が声に出すと、遅れた人は
今朝 家を出る時にも匂ってたわ…
私は昨日 図書館の横で…
公園のは先週…
どういう心理なんだろう。今の今まで、キンモクセイのことなんかひとっことも言わずにいたのに、いったん話題になると、自分が先、とばかりに、くちぐちに言いだす。
前に気付いていた人のほうが、なぜかちょっと得意げにしているのも、かわいらしい。
女性ばかり何人かでこの匂いをかぐと、いつもこんな感じになる気がする。
どこにキンモクセイの木があるか、などと少し話して話が途切れ、ふと、みんなが黙った。
それぞれに、この匂いから、むかしを思い出しているのだ。
でも、なにも言わない。大人の女だから。
しばらく黙って歩いたあと
あー、今日夕飯、何にしようかなあ!
最初にキンモクセイ!と言った人が、みんなを夢から覚ますように、元気に言った。
うち昨日おでんだったよ
えー、もう?早くない?
それぞれに心に思いはあるけれど、口には出さず、献立の話などしながら、駅まで。
季節は秋、である。

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べんとう話。
ぱん!ぱん!
スターターピストルの音が聞こえる。
足を進めるにつれ、人のざわめきと、スピーカーを通した音楽が近づいてきた。
運動会だ。

フェンスの金網に指をかけて、子供たちの演技と、とりまく父兄の人垣を見ていたら、不意打ちのようにどこかがズキン、と痛んだ。
こんな痛みとはとっくにご縁が切れた、と思っていたので、自分でも驚く。
子供がまだ小学生の頃、夫婦関係が悪くなり、夫は家を出て行った。
別居がはじまって、離婚するのか、しないのか、あやふやな時期に、子供の運動会があった。
見に来るか、と事務的に問い合わせたところ、来る、という。
迷ったけれど、去年と同じように、親子4人分の弁当を作った。
来るとは言ってもお客様だ。早起き、場所取り、子供の準備、全部自分ひとりでやらねばならない。
早朝から、目の回るような思いをして、確保したシートの上に座っていたら、夫がフラフラとやってきた。
寝ぼけた顔で、見たことないシャツを着ている。
こちらの存在は認めたが、シートには座らず腕組みをして立ち、競技を見ていた。
お昼時、子供たちはクラスを離れて、それぞれの親のもとに戻されてくる。
巣を目指すヒナのように、いっさんに駆けてきたムスメとムスコは、久しぶりに会う父親を、眩しそうに見た。
気まずい雰囲気のなか、それでも見た目は普通の親子のように、お弁当の時間。
夫は案外こだわりなく弁当に手を出し、パクパク食べながら、子供たちにあれこれ話しかけている。
私が作ったカラアゲ、私が作ったオニギリ、私が作ったポテトサラダ。
不意になぜか
この男、バカじゃないの?
という思いがきざした。
人に愛想を尽かす瞬間、というものがあったとすれば、それはあの時だった。
金網から指を離し、喧騒の続くグランドに背を向ける。
朝からの雲は切れて日が射しはじめ、絶好の運動会日和だ。
さっきの痛みは、もう消えていた。

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スターターピストルの音が聞こえる。
足を進めるにつれ、人のざわめきと、スピーカーを通した音楽が近づいてきた。
運動会だ。

フェンスの金網に指をかけて、子供たちの演技と、とりまく父兄の人垣を見ていたら、不意打ちのようにどこかがズキン、と痛んだ。
こんな痛みとはとっくにご縁が切れた、と思っていたので、自分でも驚く。
子供がまだ小学生の頃、夫婦関係が悪くなり、夫は家を出て行った。
別居がはじまって、離婚するのか、しないのか、あやふやな時期に、子供の運動会があった。
見に来るか、と事務的に問い合わせたところ、来る、という。
迷ったけれど、去年と同じように、親子4人分の弁当を作った。
来るとは言ってもお客様だ。早起き、場所取り、子供の準備、全部自分ひとりでやらねばならない。
早朝から、目の回るような思いをして、確保したシートの上に座っていたら、夫がフラフラとやってきた。
寝ぼけた顔で、見たことないシャツを着ている。
こちらの存在は認めたが、シートには座らず腕組みをして立ち、競技を見ていた。
お昼時、子供たちはクラスを離れて、それぞれの親のもとに戻されてくる。
巣を目指すヒナのように、いっさんに駆けてきたムスメとムスコは、久しぶりに会う父親を、眩しそうに見た。
気まずい雰囲気のなか、それでも見た目は普通の親子のように、お弁当の時間。
夫は案外こだわりなく弁当に手を出し、パクパク食べながら、子供たちにあれこれ話しかけている。
私が作ったカラアゲ、私が作ったオニギリ、私が作ったポテトサラダ。
不意になぜか
この男、バカじゃないの?
という思いがきざした。
人に愛想を尽かす瞬間、というものがあったとすれば、それはあの時だった。
金網から指を離し、喧騒の続くグランドに背を向ける。
朝からの雲は切れて日が射しはじめ、絶好の運動会日和だ。
さっきの痛みは、もう消えていた。

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