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まんねり話。

テレビを点けていたら、料理コーナーがはじまった。

有名シェフが鍋料理を紹介している。

いつものしゃぶしゃぶを イタリアン風味に 目先を変えていただきます…

ちょっと待てよ。

いつものしゃぶしゃぶ?

しゃぶしゃぶって、そんなにいつも食べるもんか?

最後にしゃぶしゃぶを食べたのはもう何年前だろう?ひょっとしたら10年どころじゃないかもしれない。

私なら、目先を変えてくれなくても、スタンダードタイプのしゃぶしゃぶで十分だ。

続いてのシェフは、鮭の味噌鍋を北欧風にアレンジしてみせる。

マンネリになりがちな鍋料理を新鮮に…

いやいや、鍋物でマンネリになったことないですけど?

私の感覚では、鍋物はゴチソウだ。

今日は鍋よ!

と家族に声をかければ

やったー! ママ、明日はホームランだね!

というくらい、盛り上がるメニューだ、と思っていた。

それに飽きたりマンネリになったりする、とはどういうことなのだろう。

それとも私以外の人は、そんなにひんぱんに、スキヤキや水炊きや寄せ鍋を食べているのだろうか?

世の中、いつの間にそんなにゼータクになったのか。

鍋物は、鍋物であるというだけで、非日常のゴチソウなんじゃないのだろうか。

まえまえから、うちはビンボーだという自覚はあったのだが、地味にショックである。

ねこなべ

(こういう目先の変え方はいい→「写真集『ねこ鍋』」



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てれびじょん | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/01/21 10:58

うはうは話。

お友だちの発表会を見に、お城のある古い町に出かけた。

地方の箱モノでありがちなことだが、そのホールは、町はずれの田畑の中に、忽然と建っていた。

周囲に建物らしい建物が無いので、アレがソレだとすぐわかるが、見つけてからが長い。

あぜ道に毛が生えた程度の、かろうじて舗装された道路を、とぼとぼ歩く。

道の両側は刈り入れの終わった田んぼばかりの、単調な景色。

田んぼと同じ四角い区画に水を溜めた、ため池にさしかかったので、なんとなく覗き込むと、小さいモノが私の影に驚いて、ぴちぴちと跳ねた。

金魚。

そう、ここは金魚の町なのだ。

よく見れば、ため池の周囲にはノラネコ対策の針金も張られている。

和金というのだろうか、ただ赤くて、誰もが考えるサカナの形をしたやつが、うじゃうじゃいる。

こんな野天で飼われていることからも、単価の安い、おそらくは金魚すくい用の金魚だろう。

安物でも、泳ぐ魚を見るのは楽しいものだ。開始まではまだ間があるし、通る人もない。路傍にしゃがみ込んで、じっと水面を眺めた。

どれくらいそうしていたのか、ふと気配を感じて目を上げると、そこに白いヤツがいた。

シラサギである。

長い脚を水につけてゆるゆる歩く姿は優雅そのものだが、ヤツの目的は優雅とは程遠かった。

目にもとまらぬ速さで菜箸のようなクチバシを繰り出し、何かをつまみだす。

コイツ、金魚を!

その速度たるや金魚すくいの比ではない。金魚どもはなすすべもなく、次から次へと食われていく。

我に返ってガバと立ち上がると、ヤツはこっちをチラリと見てから、おもむろにわっさわっさ羽ばたき、悠々と飛んで行った。

それまで私は、鳥類というものは、比較的表情乏しいものであると思っていたが、あの時のシラサギの

ワハハハ… 大漁だぜえ!

というウハウハ顔で、まったく認識を改めた。

それにしても、金魚なんてマズいだろうと思うが、鳥の味覚はわからない。

しらさぎ
(こうして見ると目がコワいね)




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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/20 10:30

きんぎょの話。

週1で通っている水泳教室では、3か月ごとにクラス替えがある。

上達した人が上のクラスに上がるのはもちろんだが、もうシンドイからという理由で自主的に格下げをする人がいるのも、高齢者の多い教室ならでは、であろう。

今日は、前回のクラス替えで入ってきた人が1人、来ていなかった。

あれ?あの人お休み?

え、誰?

ホラ、60くらいの、声の大きい…

あ、金魚と泳いだ人?

そうそう!金魚と泳いだ人!

これだけ聞くとなんだかわからない。

その人が、前回更衣室で、昔金魚の養殖池に落っこちた話をした、それだけのことなのである。

そういえばオカさんもいないわね…

カニじゃないの?

ああ、カニね… 季節だもんね

こんな意味不明なやりとりで、クラス全員が納得するのにも、やはり理由がある。

オカさんは食道楽で、四季折々美味しいものを食べに出かける。お休みの翌週、グルメ旅行の話題になることが、過去に何度かあったのだ。

プールでのお付き合いって一種独特なものだ。

ハダカの付き合いをしてるのに、名前はうろ覚えだったり。

親しくモノを言っていながら、どこに住んでいるのか、何をしてる人なのか、知らないままだったり。

だから、限られたやりとりの中で、たまたま口に出たエピソードだけが、その人の属性になる。

オカさんも美味しいものばかり食べているわけじゃないし、金魚の人にいたっては、大昔、たった1度、養殖池で足を滑らせただけのことだ。

それなのに、あの人はカニ、この人は金魚と、ぱっぱと振り分けられてしまうのがおもしろい。

何年も、毎週毎週会っていても、辞めてしまえばもうその先、ぜんぜん会わなくなる。

なんだかハカナイ、だからこそ楽しい、そんな間柄なのだ。

やまとこおりやまのまんほーる
(県内に、金魚がいっぱいいる街があるのよ)



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/01/19 10:47

よかった話。

ポストを開けたら、DMに混じって、白地に赤の目立つ1枚。

年賀ハガキである。

松もとれてずいぶんになるのに、今ごろナニゴトかと裏を返せば、それはセンセイからのお返事だった。

センセイは、小学校の5年を担任してくださった恩師だ。

校庭から低い山なみの見える田舎の小学校を卒業し、中学、高校と進んでからも、年賀状をお出しすれば必ずお返事を下さった。

リタイアされてからは、こちらのお年賀を待たず、元旦にお葉書を下さるようになり、恐縮したものだ。

昔の先生は、みなさん字がお上手だった。

とりわけ達筆のセンセイが、美しく書いてくださる宛名は、自分の名前を書く時のお手本になった。

そんなセンセイの年賀状が、パソコンの印刷になったとき、もしや、と思わずご自宅に電話をしてしまった。

もしもし…

モシモシ!ぢょん子ちゃん?

教卓から聞こえたままの、ハリのあるセンセイの声が、送話口から聞こえて、ホッとする。

老人大学でパソコン習っているのよ!キレイにできたでしょう!

ご自慢だけでなく

あなたはパソコン出来るの?ちゃんと時代についていかないとダメよ

懐かしい声で、久しぶりに叱られてしまった。やっぱり、先生はいつまでも先生だ。

そんなセンセイだが、ここ数年はめっきりお元気をなくされている。

無理もない。私が教わったころ、ちょうど今の私くらいのお年だったはずだから、もう軽く90歳を超えてらっしゃるのだ。

ご負担を考え、こちらからのお年賀には、お返事はご無用に、と添書きをしている。

そこに今年、数年ぶりのお返事がいただけたのだ。

筆圧こそ弱々しいが、大きくハガキの面を使った、いつものセンセイの字。

なんでもバカスカ捨ててしまう私だが、この1枚は永久保存版である。

2017のねんがはがき


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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/01/18 11:26

さむさの話。

朝起きたら、ムスメがこしらえたらしい、ヘンテコなユキダルマの写メが届いていた。

ムスメの住む街では、ここよりたくさんの雪が降ったらしい。

今日は寒波も緩むとの予報を真に受けて、つい軽装でベランダに出た。

たちまち冷たい風にすくみ上り、襟元を押さえて慌てて部屋に戻る。

寒波が去ったとはいえまだ1月なのだ。

カレンダーを見て、ああ今日だった、こんなに寒い時だったんだな、と思う。

道が壊れ、橋が壊れ、街が壊れたのも、寒い冬の朝だった。

眠っている家族のため、部屋を暖めるために点けた火が家を焼き、着の身着のままで飛び出した人たちは外気の冷たさに震えた。

いつまたあの日と同じように揺れ出すかわからない島の上に、私たちは住んでいる。

これから先、何年たっても、1月17日が来るたびに、私は窓を開け、外の寒さを確かめるだろう。

あの日の寒さを知らないムスメが大人になり、この春、社会に出て行く。

ゆきだるま



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/17 10:22

センター本。

日本全国を襲った記録的大寒波の中、どうにか無事センター試験が終了したムスコ。

世のご家庭では、ピリピリしたこの時期の受験生を腫れ物のように扱うのだろうが、わが家にはそういうデリカシーや配慮は無い。

帰宅したムスコを捕まえて聞く。

そんでどーなのよ、デキのほうは!

…んー… 普通

聞くだけムダだった。この男はいつもいつもいつも

…普通…

しか言わないのだ。

自己採点は、高校に行って、いっせいにやるというので、結果はお預けである。

夕飯の支度をする間、何やらゴソゴソやっていると思ったら、キッタナイ部屋を片付けているらしい。

2次試験に向けて、心機一転、キレイな部屋でがんばろう、ということか。さっそく感心感心。

しばらくしてドサッという音がしたので見てみたら、古紙の置き場が本やノートでいっぱいになっていた。

一番上にはこんな本。

9わりとれるちり
(直前30日で9割とれるセンター地理)

捨てんの早えな!

しかも、直前30日という、驚きの寿命の短さ

まあ、税込1,296円を30で割って、1日43.2円と考えたら、そう高くないのかもしれない。

本当に9割取れてれば、の話であるが。



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/16 11:23

ぐにぐに話。

センター試験2日目。

予報通り、温暖な当地でも今年初めての雪が積もり、足元を気にしながら、ムスコは出かけていった。

さあ、これで今日は、待つだけだ。

私がせっせと働こうが、逆にダラダラなまけていようが、ムスコの試験の出来に影響するわけではないのだが、どうも落ち着かない。

仕事にも身が入らないし、かといってノンビリ昼寝をする気にもなれない。お出かけするのも気が引ける。

けっきょく一日中、家でソワソワ立ったり座ったりして過ごす。

過去のムスメとムスコ、何度かの受験でも、毎回バカみたいに立ったり座ったりしていた。

ところが今年は少し様子が違う。

ほっぺの内側に口内炎ができているのである。

口内炎になるとつい、痛いところを舌で触る。

私ももういいトシで、いいかげん自制心も備わったつもりでいるが、こと口内炎となると話は別で、触ると治らない、と分かっていても、どうしても舌をやって、グニグニと触ってしまう。

そんなわけで、今日はソワソワする合間に、口内炎も触らないといけない。

立って、座って、グニグニ

立って、座って、グニグニ


何にもしてないのに、なんだか忙しい

立って、座って、グニグニ

立って、座って、グニグニ


早く帰って来い、ムスコ!

早く終われ、センター試験!

こうないえんぱっち
(私のような人向けの、貼るクスリ)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/15 11:08

せんたー話。

今日はセンター試験初日。

当地では雪こそなかったものの、この冬一番の寒波の中を出て行く、ムスコを見送る。

ちょうど4年前、ムスメもこうして出かけたはずなのだが、私にはその記憶がない。

ちゃんと弁当など作って持たせ、ガンバレと送り出したはずが、とにかく何にも覚えていないのである。

ちょうどそのころ、父の病状がいよいよとなり、母と妹と私は3人交代で病院に詰めきりだった。

付き添ったってできることは何にもないのだが、ずっとウトウトしている父のベッドの横に座り、たまに目を覚ましたら話し相手になり、面会時間が終われば洗濯物を持って帰る。

それだけのことなのに、帰りにはぐったり芯から疲れてしまう。

重病人の横にいると、エネルギーを吸い取られるような気がする。

逆に病人にしてみれば、健康な人間のエネルギーを得て、いくらかでも寿命が延びるのではないか、そんなささやかな望みを支えに、せっせと通った。

ムスメには申し訳ないが、試験の心配をしてやれる余裕が、その時の私にはぜんぜんなかったのだ。

そんなふうに母親にほったらかしにされても、ムスメはいつの間にか出願を済ませ、コツコツと勉強をし、当日を迎えたのだと思う。

さいわい試験の結果はよろしく、第一志望の大学の合格圏内に入った、と父に報告すると

そうか… あの子も女子大生か…

と、痩せた頬をゆるませ、目をつぶったまま微笑んだ。

初孫だったムスメを、不器用に、でもとてもかわいがった父。

その瞼の裏には、大学生になったムスメの姿が浮かんでいたのかもしれない。

本当はまだ、厳しいキビシイ2次試験をクリアしなければならないのだけれど、父の間違いを訂正する気持ちにはなれなかった。

その冬の、ことのほか寒いある日、桜の下に立つムスメを見ることなく、父は亡くなった。

あれからもう4年も経つのだ。

おとーさん、今度はムスコが受験だよ。

つまんない間違いをしないように、試験中にお腹が痛くならないように、ちゃんと目標の点数がとれるように、どうか守ってやってください

つよい風に髪を押さえながら、どこか見えない雲の上にいる父に、心で祈った。





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ごかぞく | コメント(24) | トラックバック(0) | 2017/01/14 09:49

がっさん話。

ムスコの誕生日が近いので、欲しいものが無いか聞いてみる。

貧しいハハオヤであるが、大ゴチソウではなくとも本人の食べたいものを作り(→かれーの話。)、希望のプレゼントを渡したい。

…欲しいもん? …センター試験の点数…

そういえばムスコは受験生なのであった。

…うーん… 思いつかんな… 来年と合算でいいよ

そもそもあまり物欲のないうえ、正月お年玉をもらうので、よけいに欲しいものが無くなるらしい。

以前にもこういうことはあった。

欲しいものが高額である場合、予算を来年度に繰り越し、2年分のプレゼントに充てるのである。

中学でエレキギターを買ってやった時などもその方法であった。

じゃあそうするか、と一件落着しかけた時である。

あれ?そういえば、去年もそうじゃなかった?

…そうだっけ?

そうだよ!買った記憶がないもん! 

…そういやオレ、高1ん時もなんももらってないかも…

えっ?じゃあ3年分

…となるとちょっと話が変わってくるな… 前言撤回…

ムスコがニヤリと不敵な表情で笑った。

3年分を合算するとなると、けっこうな金額だ。

急転直下事態が展開し、一体全体何を買わされるのか、ビクビクしている私である。

2015おたんじょうび



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/01/13 10:59

くつばこ話。

お昼休み、同僚のミヨシさんに相談された。

ぢょん子さん、干支の置物ってどうされてます?

エトのオキモノ?ウチ置いてないけど…

え?フツー玄関にないですか?

自分の常識が通用しないと知り、ちょっと落胆したミヨシさん。

いや、その置物なんですけどね、お正月に、サルからトリに取り替えたんですよ…

ハハハ…トリにトリかえたんだ…

そこはいいんですよ!話進まないなあもう!

要するに、ミヨシさんが聞きたいのは、トリにトリかえられたサルをどこにしまうか、という問題なのであった。

クツバコかなあとも思ったんですけど、クツと縁起物を一緒にするのってちょっと…

いいんじゃない?使ってないんでしょ?

いえ!使ってます!

え?でもクツが入ってたら、サル入んないよね?

え??入りますよ??

どうも微妙に話が合わない。

クツバコというと、私はこのような

くつばこ

靴が入っている紙箱を想像するのだが、ミヨシさんのクツバコは、玄関に置いて、靴を収納する家具のことであるらしい。

ええーっ?それゲタバコじゃない!

ゲタバコですかあ? でも私、ゲタなんて持ってないし…

アタシだって持ってないよ!アレはクツを入れてもゲタバコなの!

議論は平行線をたどり、昼休みは終わってしまった。

トリかえたサルのしまい場所は、決まらないままである。

せんとうのげたばこ


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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/01/12 10:53
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