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ひづけの話。

おばーちゃんが作りすぎた煮物をくれる、というので、ひさしぶりに実家に行く。

家の主がミニマリストの逆なので、あいかわらずゴチャゴチャしている。

散らかって見える原因の一つがカレンダー

年末にあちこちからタダでもらう、それを全部、おばーちゃんは壁にかけてしまう。

仏間に、ご不浄、冷蔵庫、電話の横…。リビングなど、あっち端とこっち端、2つある。

粗品のカレンダーなんか、いいのを選んであとは捨てちゃえばいいのに、と思うが、おばーちゃんはどんなシケたデザインでも、日付があると捨てられないのだ。

これじゃ片付くわきゃないわな、と思うが、口に出すとケンカになるので、言わない。帰りにかかりつけに寄りたいので、少し急いだ。

ヒカワ医院の前まで行くと、混雑する土曜日なのに、なぜか駐車場がガラガラである。

自動ドアの前に立つと、開かない

あれ?休み

特にハリガミも何もないのに、ガラス扉のむこうには、まったくひと気がない。

おっかしいなあ…

先生が急病かなにかだろうか?首をひねりながら、仕方なく家に帰った。

翌朝になってが解ける。

昨日って祝日だったんだ!

昭和の日に気付かないで、一日を過ごしてしまった。

1人暮らしで、学齢期の子が家にいないと、曜日の感覚もあやふやになる。

おばーちゃんが壁面をカレンダーで埋めているのも、理由のないことではないかもしれない。

そうは思ったが、おばーちゃんには秘密にすることにした。

彼女のことだ。言ったが最後、ダッサい粗品のカレンダーを、嬉々としてうちに持ってくるに違いない。くわばら、くわばら。

かれんだーのよてい
(ゴミ出しのため、曜日の感覚は絶対必要)



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/04/30 11:46

とらぶる話。

大手通販サイトでトラブルに巻き込まれた。

ここ2週間ばかり、その対処で気が重いこと甚だしい。

クレジットカードや銀行口座も使用停止とし、具体的な被害はないのだが、脅しみたいなメールが、とにかくいっぱい来る。見るのもイヤだが、重要な内容もあるのでチェックは必要で、本当に気が滅入る。

必要なものをけっこう買っていたので、買い物が利用できないのも不便だ。

先週末あたりから、この件がネットニュースにポツポツ取り上げられはじめ、ついにテレビでも報道された。

社会問題になりそうな、どえらい大ごとなのだが、なぜかちょっとホッとする自分がいる。

自分1人じゃなく、他にも困っている人がいる、という共感か。

あるいは、大ごとになれば、少なくとも放置されることはあるまい、という安堵か。

いずれにせよ、テレビのニュースになれば大丈夫、という、ヘンな安心感が襲ってくるのは、私が根っからのテレビっ子だからかもしれない。

もちろん、テレビのニュースになったからといって、問題が解決しないのは百も承知である。

今朝もまた、メールボックスはわけのわからないメールでいっぱいだが、中にこんなのが混じっていた。

ポイント10周年記念キャンペーン対象者として当選されたお客様へ

キャンペーンの当選獲得ポイントをお客様のアカウントに加算させていただきました。

引き続きショッピングをお楽しみください。


問題の通販サイトからである。

なんだこれ。ポイントをくれるって?

口止め料か?

ならけんないのにゅーす
( 以上、奈良からお伝えいたしました )


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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/04/29 11:34

ひゅっげの話。

今年はヒュッゲがクルよ!

と言う、外大出身のタキさんは、知人で一番の海外通。

彼女がそう言うからには、今年はヒュッゲがクルのだろう。

ヨーロッパではもう常識だし、今年は、デンマーク外交樹立150周年だからね!

※( →日本デンマーク外交関係樹立150周年記念HP

タキさんは自信満々だが、なにしろデンマークに関係する何か、としかわからない。聞くは一時の恥、と、尋ねてみた。

ねえねえ、ヒュッゲって何

うーん、例えば、キャンドルを灯した夕食とか、子供とソリに乗る、とか…

ソリ?!

説明が難しいんだよねー…

スローライフとかそういうこと?

まあまあ…そんな感じかな…

最初の断言っぷりに比べ、ここにきてミョーに言葉を濁すタキさんである。

気になったので調べてみたら、デンマーク人のライフスタイルの理想を表す言葉らしい。世界で一番幸せとも言われるデンマーク人の、幸福の秘訣として注目されているようだ。

ただ、その定義が難しい。

それは暖炉の火であり、手編みの靴下であり、暑い日の木陰であり、友達とレコードを聞くことだという。

テレビを消して本を読みながらコーヒーを飲み、罪悪感なく甘いシナモンロールを食べることでもあるという。

なんとなくいい感じは伝わるが、わかるような、わからないような話だ。

そもそもHYGGEというこの言葉を、ヒュッゲと発音するのが正しいのだかどうだかもわからない。

こんな曖昧模糊とした概念が、せっかちで近道好きの日本人にアピールするであろうか。

タキさんには悪いが、私は疑いを持っている。

hygge.png
(イギリス人も発音に迷うらしい)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/04/28 11:22

チビネコ本。

私はずいぶんオクテで、ボンヤリした子供であった。

子供の頃の記憶といえば、窓の外を見てボーッとしていたことばかり。

ボンヤリしているからといって、何かを考えるでもない。表現するとすれば

ふきだし…

こんな感じである。

言われたことは素直にやるが、生きる意欲に乏しく、本やマンガの世界に埋もれて、フワフワしている子供だった。

その日も雑誌をめくっていた私は、あるマンガに強く惹きつけられた。

わたのくにほし
(「綿の国星」 花とゆめコミックス)

主人公は仔猫。猫の絵ではなく、耳のついた小さな女の子の姿で描かれている。

今は珍しくもない猫耳の女の子のイラストは、当時は目新しかったが、そんなことより私を驚かせたのは、この仔猫が、じつによくヒトリゴトをいうことである。

コマの中に浮かぶ雲の吹き出しに書き込まれたセリフの、何倍も多い内心の声。

私はそれまで、言葉というのは、他人に向けて発するものだと思っていた。

しかし、幼稚園児ほどに見える仔猫は、心の中にたくさんの言葉を持っている。

誰にも言わない気持ちも、言葉に変えて胸にしまっている。

誰にも届かない言葉もあっていい、そう知った時を境に、私の世界は変わったのだ。

霞に包まれ、遠くで霧笛が鳴っていた心象の世界が、にわかに色とりどりに、饒舌に、周囲の事象を語り始めた。

この季節になると思い出すのは、このマンガの最後の言葉。

おばけのような桜が
おわったとおもうと
遅咲きの八重桜

すみれや 
れんぎょう 
花厨王

黄色い山ぶき
雪柳
なんとすごい
なんとすごい
季節でしょう


緑に萌える木々、名も知らぬ花にまといつくチョウを見て、私はつぶやく。

なんとすごい
なんとすごい
季節でしょう


聞く人は無いが、それでいい。幸せな、季節がはじまる。



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ブックガイド | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/04/27 11:06

てれびの話。

ムスコが家を出てもうすぐ1か月。1人暮らしにもだいぶと慣れた。

コメが減らないな、とか、トイレットペーパーの減りはあんまり変わらないな、とか、いろいろと発見はあるが、生活に大きな変化はない。

起きてまずテレビを点けるのは以前からの習慣である。

朝のワイドショーなど似たり寄ったりなので、点けた時にたまたまやっているのを、最後まで見ることが多かった。

ところがここのところ、毎朝同じ番組を見ている。気に入った、というほどではないのだが、気づけばチャンネルを合わせてしまう。

なかの中継のコーナーが、ちょっと見たくなるのだ。

担当の新人アナウンサーが、ピヨピヨと擬音をつけたいほどのヒヨッコで、言い間違ったり、慌てたりする様子が楽しい。

若者の未熟さを大目に見たり、カワイイと感じたりするのは、こちらがババアになったからだと思うと、ちょっと複雑ではある。

今日も番組を見ていて気づいたが、この新人、うちのムスコと同じ名前である。

もしかして、そのせいで親しみを感じたりしてるのか私?

急に恥ずかしくなってチャンネルを変えたら、ベテランキャスターがこっちを見て笑っていた。

ならけんないのにゅーす
(以上、奈良からお伝えいたしました)



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/04/26 11:37

ばばしゃつ話。

私はオバサンなので、ババシャツを愛用している。

商品名としては、レディースインナー、とでもいうのだろう。

Tシャツ1枚で過ごす真夏以外は、ほぼ通年、何かしらのババシャツを着用に及ぶ。

近頃めっきり暖かくなったので、コットンセーターの下に、半袖のババシャツを着て出かけた。

楽しい1日を過ごした帰りの電車。暗い窓に我が身を映して、ギョッとした。

セーターの襟あきから、ババシャツが盛大に見えているではないか。

慌てて上着を羽織り、襟元をかき合わせるが、顔が赤くなっているのが分かる。

その昔、セーラー服の襟元からババシャツがはみ出ていることをババチョロと呼び、女学生にとってこの上ない恥辱であった。

今は50になり、図々しくなったからまだいいが、昔なら明日から学校に行けないところである。

襟元を気にしながら帰宅し、その日一緒にいた人に

今日ババシャツ出てたよ~! 注意してよ~!

と、メールしたら

あれババシャツだったの?レースが華麗だから ワザとかと思った!

返信が来て、よけい凹んだ。

ばばしゃつ
(このようなタイプは今や少数派である)



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/04/25 12:01

ミカンノ本。

名前を呼ばれて振り向いたら、暖かな黄色の、まあるいものを渡された。

はい!おすそ分け…

わあ キレイ… なんていうミカンですか?

うーん… なんだっけ… 家に帰って段ボール見ればわかるんだけど…

今はいろんな品種がありますもんね

そーなの 何だっけな…確か、なんだか女の子の名前みたいな…

え?女の子?

ナンノコッチャと思ったところでお昼休みが終わったので、話はそこで中断。

家に帰って文明の利器で調べて、ナルホドと腑に落ちた。

はるみ
はるみちゃん

せとか
せとかちゃん

きよみ
きよみちゃん

じつにたくさんの女の子がいる。

ミカンというとコタツで食べるものと思っていたが、冬に出るのは温州ミカンなど一部の品種で、おおかたのミカンの旬は春先なのだという。

そういえば、

「これは レモンのにおいですか?」

で、はじまる、あのお話にも、モンシロチョウやタンポポが出てきた。

しろいぼうし
(「車のいろは空のいろ 白いぼうし」 ポプラ社)

どこか遠くから来た、この子の名前は何かしら。そう思いながら、ミカンをてのひらにのせた。



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ブックガイド | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/04/24 11:13

たけのこ話。

おばーちゃんとケンカして、ただいま冷戦中。

ここのところ電話もかけず、実家にも行かないでいる。

母親だから付き合ってるけど、だいたいこの人とは性格が合わないのだ。

赤の他人として出会っていたら、絶対友達になれないと思う。

おばーちゃんはひどく女性的で、万事察してほしい、めんどくさいタイプ。

私はどっちでもいいわよ… 

などと言いながら、内心思うようにならないと不満を溜めていき、ドンドン機嫌が悪くなる。

気に入らないならちゃんと言え、言えないなら後で不足を言うな、という私と、合うわけがないのである。

遠くに住んで、盆と正月だけ帰省してた時も、後半は必ず大ゲンカになって

二度と来るもんか!こんなうち!

と、捨てゼリフをして帰るようなことが、よくあった。

私も齢50を越して、若い頃よりは穏やかになったものの、性格は変えられない。

とはいえ、独居の後期高齢者である母のこと、気がかりでないわけはない。フトンの中でふと、おかーさんどうしてっかな、と思ったりする。

没交渉のまま数日が過ぎた朝。

♪ぴんぽーん♪

宅配便だ。

お兄さんの抱えた段ボールの、ガムテープでぐるぐる巻きにした、ヘタクソな荷造りを見て、すぐ誰からかわかった。

考えなくても押せる電話番号をぴぽぱぽと押し、

…モシモシ おかーさん? タケノコ来たよ… ウン… ウン… アリガトウ…

こうして、めんどくさい人との、めんどくさい付き合いが、また始まる。

たけのこ



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ごかぞく | コメント(22) | トラックバック(0) | 2017/04/23 11:42

さんどの話。

子供の歓声にふりかえると、幼稚園の柵のむこうに、八重桜が咲いていた。

やえざくら

ぽってり重い花の房が、緑のリボンでひとつひとつ、枝の先に結び付けたように咲いている。

なんてかわいいんだろう。

思わず胸をつかれて、立ち止まる。

若い頃は、パッと咲いてパッと散る、染井吉野の潔さのほうが、美しく、好ましく見えて、八重桜なんて、と思っていたが、今は違う。

染井吉野が自分の都合でぶわーっと咲いて、あとは知らん、とばかりに葉桜になってから、

遅くなりまして…

と、丸いかわいい顔を出す、かわいらしさ、いじらしさが、なんともいえない。

八重桜を軽視していた昔をふりかえって、申し訳なく、ゴメンネとお詫びしたい。

話は変わるが、私の好物の一つに玉子サンドがある。

まだファーストフードが普及しない子供の頃、母に連れられて外出して昼ごはん、という時、よく喫茶店でサンドウィッチを食べた。

今のように様々な選択肢がある時代ではない。ハムキューリと玉子のミックスサンド一択、というお店が多かった。

喫茶店の玉子サンドには2種類ある。

茹で玉子をマヨネーズで和えてはさんだのと、玉子焼きをはさんだの、である。

私はマヨネーズのほうが断然好みで、玉子焼きのがテーブルに来ると

今日はハズレ

などと思っていた。

ところが先日、お付き合いで久しぶりに喫茶店の玉子サンドを食べたら、これが美味しかった。

フワフワのあったかい玉子焼きが、パンに塗ったバターを溶かしながらほぐれる。ケチャップの甘さも好ましい。

長年ハズレとか思っていてホントにすみません、と、詫びたい気持ちだ。

しかし八重桜も玉子サンドも、どこに向かって謝ればいいのか、わからないのである。



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/04/22 11:26

にげきる話。

きらめき

期替りで少し間があいて、久しぶりのスイミング。

半月以上泳いでないわ~

泳ぎ方忘れたかも~ 浮くかしらワタシ~ 

お決まりのやりとりをしつつの着替え。準備体操中も会わない間の情報交換をして、ようやく水に入った。

なんだかんだ言って、水に浸かればスイスイ。さすがの先輩たちである。

今さ~ もう花粉症で大変なのよ~ 

ワタシも~ でも泳ぐとちょっとマシよね いろいろ洗い流されるからかしら

何が洗い流されているのだろうかと、ついプールの水を見る。

私はまだ花粉症、ないのよね…

そうおっしゃるのは未亡人オカさんである。

アラ~ いいわね~ ウラヤマシイ!

あ、でも、うちの母 70歳前にイキナリ発症したわよ

そうそう、アレはなんかの限界を越えたらイキナリなるのよ 私もそうだったわ

それまで花粉症なんて気のせいだとか言ってたくせに もー大騒ぎよ

限界って いつ頃来るのかしら…

オカさんは少し不安そうである。

まあ、人それぞれ抵抗力とか…体質もあるだろうし…ならないかもしれないしね…

そうそう 限界が来る前に寿命が来るかもしれないし…

物騒な意見にヒヤヒヤしていると、オカさんはパッと明るい表情になり

そうね、そうよね、私、ガンバッて逃げ切るわ!

話はそこで終わったのだが、オカさんが、具体的にはどうやって花粉症から逃げ切るつもりなのか、そのことで頭がいっぱいで、バタフライの泳ぎに身が入らなかった。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/04/21 11:27
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