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いらねの話。

ムスコの大学から郵便物が届いたので、何かやらかしたかとドキドキしながら開封すると、

アルバムのご案内

という文字が目に飛び込んできた。

アルバムう?

先月入学したばっかりなのに、もう卒業アルバムの案内とは、4年も積み立てないと買えないほど高いのだろうか、と思ってよく見たら

入学記念アルバムのご案内
にゅうがくきねんあるばむ

はア?!なんじゃソレ?

シンジラレナイ思いで分厚い色刷りのパンフレットをひっくり返すと

~ご子息、ご息女のご入学の なによりの記念となります 入学記念アルバム~

新たな道を歩み出した2017年春の記憶を凝縮したこの一冊はご家族の宝物となるでしょう


さらにシンジラレナイ文章がずらずらと続いている。

いやいやいや、まだ1か月かそこらしか通ってない大学の思い出、要らねーし。

内容は、大学の沿革やキャンパス風景、合格発表や入学式の模様、個人写真とクラス写真など。

そういえば、アパート探しに行った時、なぜか会場に写真屋がいて写真を撮られたが、あれがこれだったのか。

こんなとぼけたことをやっているのは、ムスコの大学だけだろうと思いきや、昨今どこの大学でも入学記念アルバムを作っているのだという。

確かに教育熱心な親御さんにとっては、子供の大学入試は一大事業である。よくやった、と褒められるような、目に見える成果が欲しくなるのかもしれない。

それにしても2万は高いと思うが、私はケチなのだろうか。

念のため、ご子息にLineでお伺いを立てたところ

いらね

と、にべもない返事であった。



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/05/21 11:30

りんすの話。

私は早風呂で、ちゃんと身体も髪も洗って、浴槽にゆっくり浸かったつもりでも、出るまで15分もかからない。

ムスメなど、入ったと思ったらいつまでたっても出てこないので、途中で声をかけてしまう。

あんなに長いこと、中で何をしているのか、である。

ゴシゴシ髪を洗い、ジャーと流しながら考えてみると、私もムスメの年頃には、ゆっくりお風呂に入っていた気がする。

いったい何をしていたのか、思い当たるのはリンスだ。

初めてわが家にリンスという文化が持ち込まれた時は感激した。

むかし、洗髪後の髪は、脂分が無くガシガシしていた。ところが、リンスをした髪は違う。

サラサラといい香りまでして、お姫様になったような気持になったものだ。

今はポンプでピュッと手のひらに出し、髪につけて流すだけだが、昔のリンスは違った。

まず、キャップで1回分を慎重に量る。

これを洗面器のお湯に溶かして髪にかけるのだが、1度で流してしまうのではない。かけたお湯はもう1つの洗面器で受け、再び頭にかけるのだ。

そうやって交互に2つの洗面器を使って、リンスを髪全体にゆきわたらせる。

あれはじつに優雅にして悠長な作業であった。

いつのまにか、あんなふうに薄めるリンスは姿を消し、ジカにつけるコンディショナーというものが登場する。

ガシガシ洗って、ピュッとつけて、流してオシマイの時代が来たのだ。

リンスの香りのするお湯を、行きつ戻りつさせていた、あの時間は、今思い出してもなかなかいいものだった。

キャップで量るリンスが買えるものならば、またやってみてもいい、と思う。

かおーふぇざーしゃんぷーあんどりんす
(いくら人気者でもシャンプーの広告にこの髪型はない)



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/05/20 11:30

しゃんぷー話。

春から遠くの大学に通うようになったムスコは、大型連休に帰省した。

帰省といっても、目当ては地元のツレと遊ぶことである。

家ではご飯を食べて寝て、遅く起きては出て行くを繰り返し、最終日には夏物をカバンに詰めて、アッサリ帰っていった。

帰った後の部屋を見たら、スマホか何かのコードを忘れているので、念のため連絡した。

…あ、それ… こっちにもう1本あるから…

あ、そ じゃ送らないでいいね

…ウン… あ、そうだ… シャンプー…

へ?シャンプー?

…うちのシャンプーってさ あれ、何?

何って普通のだけど

こっち帰ってきてさ こっちのシャンプー使ったらさ えらいサラサラなんだけど…

1人暮らしを始めた時に、ムスコは気づいた。

ずっとゴワゴワだと思っていた自分の髪が、気づけばサラサラになっていることに。

それが、今回の帰省の数日の間に、またゴワゴワになった。原因はシャンプーとしか思えない、と、ムスコは言うのである。

確かにうちのシャンプーは、売り場にある中で常に最も安いやつだ。

…まったく… コーヒーといい… 安物買いもいいかげんにしろよ…

そう言ってムスコは電話を切った。

ちくしょう、何のための節約だと思ってやがる。

軽くムカついたが、ムスコが使っているシャンプーの銘柄は、一応聞いておいた。

さらさら
(ここまでサラサラにならなくてもいい ショートだし)



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/05/19 11:30

しらがの話。

私は、実の母であるおばーちゃんと、あまり似ていない。

顔立ちや体つきなど、父方の親戚に共通点が多い。中でも父の妹の叔母さんとは、親子と間違われるほど似ていた。

しかし幸いなことに、に関してはおばーちゃんに似たらしい。

父方の親戚は白髪が出るのが早く、亡くなった父も40代から染めていたが、母のほうはハゲはいても白髪はない家系。

90で亡くなった祖母でさえも、まだ黒い髪を残していた。

そんな私も、40代後半ともなると、チラホラ白いものが出始めた。

染めるほどの本数ではないので、見つけるたびにつんつん抜いていたら、おばーちゃんにキツーく戒められた。

その時、おばーちゃん曰く

シラガも毛のうち

たしかに、白かろうが赤かろうが、生えてさえいりゃなんとかできるが、ないものは染めることもできない。

あれから数年、50を過ぎたら髪は本数が勝負かもしれない、と思う。

子供時代から今に至るまで、おばーちゃんからタメになることを教わった記憶はほとんどないが、この件に関しては非常に感謝している。

ゆうざん
(私の白髪は海原雄山タイプ → ゆうざん話。 




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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/05/18 11:30

はりがみ話。

乗りたい電車に遅れそうで、駅前の団地を突っ切って近道。

居住者以外の通行を禁じます

という看板の赤い色が、力なく色褪せている。

これ見て引き返す人っているのかしら、と思っていると、裏にハリガミがしてあった。

シロウトがカラープリンタで印刷したらしい、A4のハリガミだ。

ビニール袋に入れてあるのは、雨に濡れない用心らしいが、その甲斐もなく文字も絵も、ドロドロに流れている。

言わせてもらえばこれはビニール袋の使い方が悪いのだ。

ハリガミを袋に入れてから張る場合、このように上から入れてはいけない。

ぽすたー2

かなり注意して封をしても雨水が入りやすいし、少しでも入り込むと下に溜まった水を紙が吸い込んでしまう。

ぽすたー1

このように下から入れるのが正しい。

万が一雨が入っても下から流れ出るから、にじむのは雨が伝った箇所だけで済むからだ。

同じ労力とビニール袋を使っても、これだけのことで結果がぜんぜん違うのになー、と歯がゆく思いながら歩いていると、団地の中に同じポスターが何枚も何枚も貼ってある。

何枚あっても全部ドロドロなので、だんだん気の毒になってきた。

これだけハリガミをするということは、よほど事態は切迫しているのだろう。

家族でかわいがっていたペットが逃げたのかな、などと想像する。

協力してあげたいのはやまやまだけれども、とにかくどれもこれもドロドロで、いなくなったのが犬なのか猫なのか、はたまた鳥なのか、わからない。

せめて次にハリガミする時はこうしたほうがいいですよ、と教えてあげたいが、連絡先の電話番号もまた、ドロドロで読めないのであった。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/05/17 11:30

にひきの話。

午後の空いたバス。

私の前には、小さい女の子を連れた若いお母さん。

もうひとつ前の一人掛けの席に、お兄ちゃんらしい3歳くらいの男の子がいる。

今どき珍しく、サッパリ坊主のマルコメくんだ。

まるこめくん

交差点の信号待ちで、窓の外を眺めていたと思うと、イキナリ振り向き

見て!ママ!しろばいが2ひき

何か珍しい動物?と、つられて窓の外を見たら、路傍に警察の白バイが2台停まっている。

この子にとって白バイは、大型バイクにまたがった警察官などではなく、白くて速く走る生き物、なのかもしれない。

動物図鑑に「ぞう」や「きりん」と並んで「しろばい」が描かれているところを想像し、おかしくてたまらなかった。

おとなしそうなお母さんは周りを気にして声を低め

違うでしょ 2台でしょ…

と、正そうとする。

訂正なんかしなくていいよ、お母さん。子供はどうせそのうち、自分で気づいて、そんなかわいい間違いは、聞きたくてもしなくなる。

どんどん成長して、親より賢くなって、「しろばい2ひき」の時代には戻れない。

2匹と数えられたとも知らず、取り締まりに当たる白バイを残し、バスがまた発車する。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/05/16 11:27

たすけた話。

おばーちゃんから早朝に電話。

た、た、タスケテ~!

驚いて実家に行くと、腕をまくり、濡れ手のまま出てきて

泥だらけじゃ悪いから 一応洗っといた…

と、すでに疲れている。

台所に行くと、シンクがあふれるほど大量のホウレンソウが山盛りになっていた。

もー、イノウエさんにも困ったもんだね…

そうなのよ…いないうちに置いてくんだから 断りようもないし…

ご近所のイノウエさん、時々畑のお野菜を下さるのだが、その量が尋常でない

今朝もゴミ出しから帰ってくると、玄関ポーチに段ボールが置かれ、中にホウレンソウが詰まっていたのだという。

前はうちとシノダさんとウエキさん、3軒でもらってたんだけどね…

シノダさんは亡くなられ、ウエキさんがお子さんとご同居のため越して行かれて、3軒分のお野菜が、おばーちゃんに集中するのである。 

あの人、畑は上手だけど友達が少ないのよ…

くれるほうももらうほうもオバアサンなのだから、植える量からちょっと考えりゃーいいのにと思うが、畑というのはそう簡単には行かないらしい。

おでん鍋を出して大量のお湯を沸かし、何度かに分けてホウレンソウを茹でる。

あまりの量にお風呂で茹でたら、と提案したが、アクがつくからイヤ、と却下された。

さしものホウレンソウも熱には勝てない。クタッとなったところを絞って、ありたけのタッパーに詰め、冷凍庫と冷蔵庫に分けて仕舞う。

ヤレヤレと腰を下ろすと、おばーちゃんはお疲れ様、とお茶を出してくれた。

帰りのバスの車中、イモートにLineで

今、おかーさんとこの帰り

と報告すると

母の日だもんね 喜んでた?

と返信があった。プレゼントを渡すどころか、ホウレンソウを大量にもらってきてしまったので、シマッタ、と思いつつ

喜んでた、と思う

と返事をした。

ははのひけーき



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ごかぞく | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/05/15 11:30

とりかご話。

カナイさんから久しぶりに電話がかかってきた。

ねえねえ、今欲しいものってある?

なに?くれるの?

ちがうのよ~ 母の日よ、ハハノヒ!

カナイさんにはお嬢さんが2人いて、毎年母の日にはプレゼントをくれる。

去年は日傘でしょ おととしはウォーキングのクツ…

ちゃんと希望を聞いて、ほしいものを買ってくれるのは嬉しいのだが、

そう毎年、うまいこと欲しいものって ないのよねえ…

あまり高価なものは言えない、かといって安いものでもプレゼントした感じがしない。

死蔵するのは申し訳ないから、喜んで使っているところは見て欲しいけど、あまり実用的なものでは味気ない。

せっかくなら娘たちにも、華やかな売り場で、ウキウキと買い物の楽しみを味わってほしい、と、カナイさんは言うのである。

前にムスメにビールとカラアゲもらって嬉しかったけど… (→ 「ははのひ話。」

ええ~っ!飲めば終わりじゃない!

めんどくさいなあ。

何かステキで、欲しいものかあ。

あ、トリカゴが欲しい!

へ?

昔のマンガでさ、お嬢様の部屋にある、白いトリカゴ!姫川亜弓の部屋にもあったじゃない!

しろいとりかご

あーあー、あったあった! 窓辺に吊るしてあるのよね!

姫川亜弓、舞台で忙しいのに鳥のフンの掃除とか いつやってんだろうと思ってたよ

ハハハ… ばあやがやってんじゃないの? 

しばらく「ガラスの仮面」あるあるで盛り上がったあと、カナイさんはふと我に返り

あー、おかしかった… でも相談する人を間違ったみたい…

そう言って電話を切った。

ひめかわあゆみ
(「なんですって…!」)


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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/05/14 11:45

しゃちょう話。

何かイイモノないかしら、と食品庫を探っていたら、ペットボトルの水があった。

旅行帰りの電車で飲むつもりが、ビールを飲んでしまったので、飲まずに持ち帰ったものだ。

けっこう日にちが経っているから、そろそろ飲んでしまわないといけないだろう。

明るいところに持ってきて、たまげた。

しゃちょうのみず

知らないオバハンがこっちを見ている、と思ったら、泊まったホテルの社長らしい。

そういえばこの水はホテルでもらったものだ。

美しくもない(失礼)社長の顔を、わざわざ刷り込まなくてもよかろうに、と思うが、お役所と違って、企業はムダなことはしない。何らかの効果があるはずだ。

このホテルは格安が売り物のビジネスホテルであるが、安いところにはとかくオバハンが集まる。

オバハンのハシクレである私も、安いからそこにしたのである。

オバハンは、部屋の掃除やなんかにうるさいくせに、酒は飲まず、怪しい有料ビデオも見ない。歯ブラシやシャンプーは洗いざらい持ち帰る。ホテルにとってオイシイ客ではないだろう。

オバハンは、他のオバハンには厳しいものだ。社長の身なりを点検し

アラ、高そうな帽子… さてはガバガバ儲けてるわネ…

などと邪推して

あんなオバハンに儲けさせるのは気に食わない 

と、次回の利用を思いとどまる。

オバハンの社長が出てくることによって、他のオバハンを防ぐ、つまりオバハン除け効果を期待しているのではなかろうか。

それはさておき、この水をどうするか。

社長エキスが溶け込んでいるようで、そのまま飲むのはなにがなしはばかられたので、炊飯器に入れてご飯を炊いた。

アヤシイものは加熱せよという、生活の知恵である。



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/05/13 11:45

つばめの話。

巣作りのツバメが、晴天の軒先で騒いでいる。

完成間近な巣の口にとまって中を検分し、ぢいぢいと注文をつけているのは雌鳥だろうか。

その周りを、妻のご機嫌を取るように右往左往するのが、雄かもしれない。

ツバメの思い出は懐かしい。

あれは社会科見学の帰りか何かだったろうか。3年生の私は、学校までの道を歩いていた。

曇りはじめた空を気にした引率の先生が、少し急ぐように促した。

小さな町の商店街の道幅いっぱい、機織りの杼のようにせわしなく、ツバメが行き交う。巣作りも終わり、盛んに餌を集める時期だったのだろう。

ヒザのあたりを低くかすめていったツバメを指して、先生がおっしゃった。

ツバメが低く飛ぶとね お天気が悪くなるというよ

黄色い帽子の一同がポカンとしていると、先生は続けて

雨が近づいて空気が湿ると 虫は羽が重くて高く飛べないんですね

カンのいい数人がうなずく。

ツバメは虫を捕るでしょう だから…

なるほど!と、こんどは私にもわかった。

ツバメは餌を探す。虫は湿気で地面近く飛ぶ。だからそれを追うツバメも低く飛ぶ。

そこに原因から結果に続く、とても美しい考えの道筋が見えた。

雲間からさす陽が、すっと一筋光る道に見えるような、そんな気持ちだった。

あの一事を教わっただけで、小学校に6年通った値打ちはあった。

ツバメの巣がある家に住む人は、皆いい人に見える。今年ももうすぐ、夏がやってくる。

つばめさん



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/05/12 11:30
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