FC2ブログ

にもつの話。

ランドセルの小学生が、絵の具のケースらしいものと、上履き袋を提げている。

ああ、終業式だ。夏休みだ。今日で学校が終わりなんだ。

長い休みの前はいろいろ持ち帰らなければいけないから、どうしても荷物が多くなる。

この子の荷物は少なめだから、きっと体操着なんかは昨日、予め持ち帰ったのだろう。クレバーなタイプである。

ここで、引きずるほどの大荷物を提げて、泣き泣き帰った思い出があればいいのだが、残念ながら私はそういう子供ではなかった。

まず1週間前には、机の中の不要なものは捨て、使わないものはランドセルに入れて持ち帰る。

習字道具や絵の具や色鉛筆は、休み前、最後の図工や書道の授業が済んだら、終業式を待つことなく、すかさず持って帰るのだ。

終業式の日には、ガラガラのランドセルに、通信簿と夏休みの友だけを入れて帰った。

多すぎてにっちもさっちもいかない子の荷物を、恩着せがましく持ってあげたりもする。

われながら子供らしさのない、にくたらしいガキである。大荷物でヨタヨタ帰る友だちを見ては、

バッカじゃないの?

と思っていた。

ところが、そんな私が育てたムスメとムスコは、そろってクレバーの反対であった。

終業式ともなれば、肩にかけられるものは全部かけ、持てないものはランドセルにしばりつけ、植木鉢を抱えて、ヨタヨタ帰ってくる。

持ちきれずに引きずるものだから、いつも手提げの底にはが開いていた。

タダイマー!

暑さに顔を真っ赤にして、ようよう家に着いた子供が、玄関に荷物を投げ出す。

そんな風に始まった夏休みも、今は遠いことになった。

なつやすみのとも



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ



むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/07/21 11:30

ながさの話。

スパゲティーの麺って何センチあるかご存知だろうか。

だいたい25センチというのが普通で、メーカーにより多少の長短がある。

その「多少」が大問題なのだ。

うちでは、スパゲティーの袋を開けた残りを、パスタポットというか、スパゲティージャーというか、なにしろ専用の容器に入れる。

すぱげてぃぽっと

友だちのプレゼントだし、台所に置いて見栄えがするので気に入っている。

ところが、このパスタポットあるいはスパゲティジャー、寸法にあまり余裕がない。

ちょっと長いものだとフタが閉まらないのである。

短い銘柄に決めて買ってくればよさそうなものだが、ケチなうえ買い物嫌いの私は、通りすがりの店で、最も安い商品を買う、というやり方なので、銘柄が定まらない。

新しいスパゲティーを開封するたび、入った、入らないと一喜一憂している。

ほんの2ミリかそこら長いために入らないこともあり、そんな時はスパゲティーの束を握り締めながら、プルプルと震えてしまう。真っ二つに折りそうになるのを、こらえるのが大変なのだ。

さらに困ったことには、ウドンやソバの乾麺というのは、スパゲティーより短い。

20センチ内外のウドンやソバは、このスパゲティージャーにピッタリなのである。

茹でた残りのウドンの袋を輪ゴムで止めながら、横目で見るスパゲティージャー。前回買ったのがまたぞろ長かったので、今は空っぽのはずである。

いっそここに入れてしまいたい!という気持ちが激しくこみ上げるが

SPAGHETTI

その文字がウドンを拒んでいるようで、いつも危うく思いとどまる。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ



もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/07/20 11:30

ぴったり話。

百円均一に買い物に行った。

ウロウロすると無駄に買うので、ふだんは立ち入らない。たまに行っても、周囲は見ないように、気をつけている。

今日も必要なものの売り場を目指してまっしぐら…のつもり…だったのだが…。

雑貨コーナーでふと目にとまったものがある。

ひゃっきんけーす

仕切りのある木製のケース。お好きな方は、アクセサリーなどを入れ、部屋を飾るのだろう。

百均の雑貨、すなわち家を散らかすものと信じて疑わない私がこれを手にとったのは

ここに入れたらピッタリなものを、私は持っている!

そう思ったからだ。タテヨコ9つに仕切られたこの寸法に、たしかに見覚えがあるんである。

ところが、肝心の、そのピッタリなものが何なんだか、思い出せない。

本来、迷ったら買わないというのが私のモットーだが、今日はなぜだか買わずに帰ると後悔する、と思えてならない。しばらく逡巡したが、エイッと購入した。

わずか108円の品物、時給を考えたら、10分迷うよりは買ったほうが安い。

それでも、無駄な買い物ではなかったか、と、クヨクヨするのが人間の小さいところである。

クヨクヨしながら食品売り場を抜けた時、ある食品を目にして

💡!思い出した!

そうとわかったらグズグズしてはいられない。残りの買い物もそこそこに、小走りに家に帰る。

震える手でケースを開け、その品物を入れる。直感は正しかった。

ひょうちゃん

横浜土産のシウマイに添えられた陶器の醤油さしが、あつらえたようにピッタリだ。

このケースは「ひょうちゃんケース」と名付けて売った方が絶対いい。アレを捨てずにいる人は、私以外にもけっこういるはずだ。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ



もろもろ | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/07/19 11:30

どうしの話。

通勤快速はほどほどの混み具合。座れそうで座れずに、吊革にぶら下がる。

弱冷房の車両は空調がほどよくて、ホッと一息つく。

前の座席には、私よりちょっと若いくらいの中年女性が熟睡中

しげしげ見ても気の毒なので窓の外に目をやって、移りゆく景色を眺めていると

ふがッ!

周囲に聞こえるくらい大きく鼻が鳴って、女性が姿勢を変えた。

キチンとしたスーツのスカートは裾も裂けんばかりに股が開き、仰向いてぽっかり口を開けている。ゆるんでいるはずの顔に、とれない眉間のシワ。

朝から疲れてるなあ。わかる、わかるよ。

夏のせいなのか、更年期がはじまってるのか、暑くて眠れないんだよね。

横になれば仕事のこと、家族のこと、いろんな悩みが押し寄せて、寝返りばかりうって、時間だけが過ぎて。

ウトウトしたと思ったら、目覚ましがジリジリ…。また、1日がはじまってしまう。

家族の手前暗い顔もできないから、元気にオハヨー!なんて言ったけど、クタクタのまま家を出てきたんでしょう。

仕事もパッとしないし、家庭もパッとしないし、泣くほど悪いこともないけど、笑うほどいいことも、ないよね。

私もそうだったから、よくわかるけど、でもさ、やっぱり、そんなに疲れちゃいけない。

若い子がガンバッて、ヘトヘトになって、ノビているのは、ほほえましいし、応援したくなる。

でも、40、50の女の疲れた姿は見苦しい。同情よりむしろ、周囲の困惑を招く。

愁眉を寄せて美しいのは、若いからなのだ。

オバサンになったら、笑っていようよ。つらいこともあるけど、ゴキゲンでいようよ。

ターミナル駅が近づいて、彼女もハッと目を覚ました。ヒザを揃えて、姿勢を正して、頬をこすって、見違えるようなビジネスウーマンの顔で降りていった。

名も知らぬ同志の背中を、ポンと叩きたい気持で見送って、私の1日も始まる。

じゃくれいしゃ
(「弱冷車」が一般的な表記かどうか知らない)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ



もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/07/18 11:30

うみのひ話。

今日は海の日

あおいうみ

今じゃ玄関を出るのも億劫な私であるが、若い時には人並みに浜辺の熱い砂を踏み、夏の日差しを浴びて、海水に身体をひたしたものだ。

それは大学に入った年の夏のこと。グループで海に行く計画が持ち上がった。

クラスの男女比は5対1。女の子が少なかったため、サエない私にもお声がかかったのである。

約束の集合場所に行くと、10人ほどの男子に混じって、女の子は3人。

私の他には、女子校出身のユカちゃんと、小柄でおとなしいミホコさんがいた。

あれ?ノンちゃんは?

テニスサークル所属のクラスのマドンナ、ノンちゃんがいない。

なんか、おうちのほうの用事だって…

マドンナの不在は、そこはかとない落胆で男子たちを包み、地味な女子たちを落ち着かなくした。

ともあれ参加者全員が集まり、特急電車で海のある街へ。

海の家に荷物をおろして、さっそく着替えだ。

ユカちゃんがバッグから取り出した水着に、私は度肝を抜かれた。

雑誌でしか見たことのない大胆なビキニである。

むむむ…やりおったな!

フレアスカートに白いブラウス、日傘をさした清楚なユカちゃんがこんな水着とは、まったく予想外である。

内心うろたえつつミホコさんを見ると、スクール水着と大差ない紺の水着を手にしているので、ひとまずホッとした。

更衣室のドアをあけて、さっきまで洋服を着て(当たり前だ)顔を合わしていた同士が、水着で合流する一瞬の気まずさ。

無言でどよめく男子たちの注目は、もちろんユカちゃんのビキニだ。

ところが次第に、その視線が、ミホコさんに移っていく。

小柄で無口なミホコさん、その見事なプロポーションといったら。

むむむ…やりおったな!

シンプルな紺の水着に包まれて、きゅっとくびれたウエストと、豊かなバストがまぶしい。

実は水泳選手だったミホコさんは、海に入るや、スルスルスルと沖に出て、目を凝らさなければ見えないになってしまった。

浅瀬のぬるい水をぼちゃぼちゃしながら、ぼんやりと、オンナはコワい、と思った。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/07/17 11:30

もろっこ話。

タスケテ~

と、おばーちゃんからまたSOS。例によって野菜のおすそ分けだ。(→ さらだの話。

駅前でずっしり重い袋を受け取り、ついでに冷たいものでも、ということになった。

冷房の効いた店、グラスを前にホッと一息。袋を覗くと、見慣れないものが入っている。

これ何?どーやって食べるの?

知らなーい 

えー、もらった時に聞いときなよ!おかーさんも困るでしょう

困らないよ 全部アンタにあげるから…

ナニソレ!

アタシ、サヤ豆ってキライなのよね

好きで食べる野菜は半分とるが、キライなのは全部私によこしているらしい。

こういう人なのであった。

ナゾの野菜の正体は、家に帰って調べたらすぐにわかった。

もろっこいんげん

分かった!モロッコインゲンです

LINEで報告すると、しばらくして返信。

へー、そう どんな味かな サヤインゲンみたいにギシギシして青臭いのかな

どうやらおばーちゃんは、サヤインゲンもキライらしい。

サヤインゲンのように美味しいらしいです

えー、おいしい?青臭くてギシギシしてるのに?

しつこい!アタシは好きなんだよ!とつぶやきつつ

おかーさんに食べろとは言わないので安心してください

なんとか冷静に返信すると

おいしくないけど栄養はあるのかな

ついにムキーッ!と頭に来た。

あります! 私が栄養を一人占めにしますので あしからず

と返事したら、さすがに雰囲気の悪さに気付いたらしい。

もらってくれてありがとう

殊勝な言葉に気をとりなおしかけたら、間髪入れず

ぺこり

スタンプが来たので、また軽くムカッとした。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/07/16 11:54

つりばし話。

有名な大吊橋に行った。

たにせのつりはし
(→ 十津川村観光協会 谷瀬の吊り橋

好んで行ったわけじゃなく、ツアーに入っていたのだ。

なにしろ私は高所恐怖症である。

高いところを避ければいいだけなので、とくに困らないし、このトシで克服する必要もないから、吊橋に来たからって、がんばって渡ったりしない。

他のツアー客が戻るまで、橋のたもとで写真を撮りつつ待っていると、家族連れがやってきた。

お母さんと、小学生くらいの子供が2人。

子供たちがわーい!とばかり橋に向かうのを、お母さんはスマホで撮っている。

ママー!来ないの?

無理!ママ、怖いから…

どうやらこのお母さんは私と同類のようである。

そういえば、ずいぶん前にここに来た時、私も子供だけ渡らせたなあ。

なぜ怖いかといえば、落っこちるんじゃないか、と思うからであり、落っこちるかもしれないのに子供を行かせて平気なのは、考えてみればヘンな話だ。

ムスコはちょっと怖がりだが、ムスメは小さい時からぜんぜん怖がらない子である。

手をつないだ2人は、振り向いてこっちに手をふったと思ったら、どんどん行ってしまった。

もう手が届かない、大きな谷に渡された細い橋の上。

小さい背中が、もっと小さくなる。

お腹の底がギュッとなるような、奇妙な感覚に襲われた。それは、落っこちる心配とはまた別の、予感のようなもの。

いつか2人とも、こうして遠くに行ってしまうんだな。

悲しみでも寂しさでもなく、確信に近い予感だった。

同じことを、この人も感じるのかな。分からないけれど、いまやお節介おばさんになった私は

3人で撮りましょうか?

気づけば、お母さんに声をかけていた。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/07/15 11:30

あいさつ話。

あぶらぜみ

当地でも、ついにセミが鳴きだした。

暑い中ジャワジャワやられると、フライパンで炒られているみたいだ。

外に出るのも気が進まないが、ゴミは出さねばならぬ。帽子をかぶり、ゴミ袋を提げて、シブシブ玄関を出た。

まだ7時前だというのに、なんて強い日差し。眩しくて、帽子の陰で思わず顔をしかめる。

しかめ面のままゴミを出し、しかめ面のまま丁寧にゴミネットをかけ、しかめ面のまま引き返す。

これからゴミを出す、どこかのゴシュジンが、前からやってきた。

まるまっちい手にキチンとしばったゴミ袋を持ってはいるが、いかにも手につかない感じ。きっと奥さんがまとめたのを、言われるままに持たされたのだろう。

依然としてしかめ面のまま、それでも近づいてきたゴシュジンに軽く会釈すると

イッテキマス

驚いて顔を上げた時は、すれ違ったゴシュジンはもう、プーさんみたいな後ろ姿。

久しぶりだな、イッテキマスと言われるの。気づけばしかめた眉間がのびていた。

セミどもは、あいかわらずジャワジャワ鳴いている。

1人暮らしも、4か月めだ。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/07/14 11:30

にんじん話。

高校時代の友だちとひさびさに集まる。

アレ?ちょっと痩せた

太ると鬼の首でも獲ったように指摘するヤツがいるが、痩せた時に気づいて言ってくれるのが、いい友だちである。

しばらくダイエット論議に花が咲く。

アタシも痩せなきゃいけないんだけど、このトシになるとなかなかネ…

若い頃みたいに、ムチャもできないしネ…

昔はホラ、ダイエットも目標があったじゃない

あー、そうそう!カレシができたから…とか

海に行って水着を着るから…とかね!

目標かあ… 1キロ痩せたら1万円くれる、ってどう?

ハハハ…誰がくれるのよ!

うーん…

ハハハ…なんで国が?

無益な話が、さらに無益な方向に流れる。

確定申告するワケね「本年度の体重減少はいくらいくら…」

税務署で疑われて「ホントですか?ちょっとそこの体重計に…」

キャー、ヤダ!

待ってよ?同じ確定申告ならさ、増えたぶん税金がかかることにすれば?

効き目あるかもね 「3キロ増えてますから 追徴課税30万円です!」

キャー、もっとヤダ!

ダイエットで盛り上がったランチコースは、まもなくデザートである。

はなさきににんじん
(私は鼻先に人参方式が効かないタイプ)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/07/13 11:50

かしらな話。

夏のせいかしら

靴下もスリッパも、はく気がしなくて裸足で暮らしている。

夏のせいかしら

食欲がないので、朝は茹で玉子1個で済ませた。

夏のせいかしら

やる気がでなくて掃除をサボった。

夏のせいかしら

いきなり足の裏に激痛が走った。

夏のせいかしら

見ればが出ている。

夏のせいかしら

裸足なのも、玉子の殻が落ちたままなのも、それを踏んでしまったのも。

みんな夏のせいかしら

違うかもしれないが、そういうことにしておこう。

なつのせいかしら
(画像はイメージではなく、筆者近影でもありません)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談 ブログランキングへ




もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/07/12 11:30
« Prev | HOME | Next »