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ぱらぱら話。

自転車のカギを持って玄関を出たら、頬にポツリ、と雨粒。

あらら、どうしようかな。見上げれば、空にはほんのひとかたまり雲があるだけで、あとは明るい薄青がひろがっている。

これなら大丈夫だろう、と自転車置き場に向かう。

ところが、わが愛機白鹿号に近寄るやいなや、パラパラパラ…と強い雨音が耳をついた。

ありゃ、けっこう降ってきたじゃん。

自転車はあきらめ、カサをさしてバスで行くことにした。

家に引き返してカギを置き、カサを持って玄関を出ると、さっきより空が明るくなっている。

なんだこれなら大丈夫じゃん、と、慌ててまた引き返し、カサとカギを持ち替えて小走りで自転車置き場に入ると、またパラパラパラ…と雨音が強まる。

ぬぬぬ…やはり雨か。

やむなくまた家に戻り、またしてもカギとカサを持ち替えた。

玄関を出るのも3度目だ。

カサをさして10歩歩いたところで、はやくも日が射してきたが、なんぼ気の長い私でも、1度に3回も引き返すのはイヤである。

あんのじょう、バスに乗っているうちにカンカン照りになった。

そのあと、一滴の雨も降らないのに、持ち歩くカサの邪魔なことといったら。

こういうことは、誰に文句を言えばいいのだろう。

あめがぱらぱら
(♪ぱらぱら落ちる 雨よ 雨よ ぱらぱらぱらと…♬)



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2017/07/31 11:42

はなびの話。

夕飯どきも過ぎたのに、妙に外が騒がしい。

ふだんならこの時間には聞こえないはずの、子供の声がする。しばらくして

どん! どんどん!

重い遠い音が聞こえた。

花火大会だ。

はなび

毎年隣県で行われるこの花火大会が、通路や階段からよく見えるのを、知ってる人は知っていて、団扇を手にしてけっこうな数、集まっていた。

こうしてたまたま見る以外、わざわざ花火を見に出かけたことはない。

そう思っていたのだが、ふと記憶をたどって、もう何十年も前の、あの日の花火を思い出した。

大学生のころ、付き合っていた彼氏は北陸出身。

夏休みに遊びに来ないかと誘われ、のこのことついていった実家には、当然ながらご両親がいた。

無口なお父さんとおとなしいお母さんには、歓迎されているのかいないのかサッパリわからないが、来てしまったものはしかたがない。東京に行った弟の部屋に泊めてもらうことになった。

彼氏の案内で近所を散策して、帰ると夕飯の時間だ。

つけ醤油の表面にさっと脂が広がるようなお刺身を、私はその時はじめて食べたのである。

美味しくてビックリしている私を、お父さんもお母さんも、ニコニコして見ていた。

お風呂をいただいてワンピースに着替え、扇風機に当たっていたら、お父さんが彼氏に言った。

今日 花火があるやろう 連れてやったらどうやぁ

そうやったのぅ 行くか?

すっかり地元のイントネーションに戻った彼氏が、のんびりと尋ねた。

お母さんのツッカケを借りて、2人でブラブラ海辺まで歩き、堤防に腰かけて待った。見物客らしい姿も見えるが、混雑とは程遠い。

いきなり、天を掛け替えたように一面の花火が広がる。

何も言えなくて、ただ変わっていく光の色を見ていた。

やがてかすかな火薬のにおいが、海風に運ばれて、暗い水面をすべってきた。

これが私の、唯一の花火大会の思い出である。



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むかしむかし | コメント(16) | トラックバック(0) | 2017/07/30 11:55

じりじり話。

私の寝室の窓の外には、団地の駐車場がある。

夜は外灯が点くので、窓明かりで常夜灯が要らないのはいいのだが、この時期の悩みはセミ

明るいので昼と勘違いしたセミどもが、夜中になってもジャージャーやかましく鳴くのだ。

しかし私は寝つきがいいので、しばらくするとうるせー!と思いつつも寝てしまう。

昨夜もそんな風に眠りに就いて、1時間、2時間、どれくらい眠ったろう。

ジリリリリリ………

警報の響きで飛び起きた。

なんだ?なにごとだ?

とるものもとりあえず火の元を確かめるが、さいわい異状なし。

どうやら音はうちではなく、外で鳴っているようだ。

おそるおそるベランダに出て、ぬるい空気をかいでみたが、焦げ臭くはない。駐車場に人影は無く、隣の棟の窓に明かりがつく様子もない。見た目は平穏そのものの夏の夜である。

ただただ警報だけが異常なやかましさで鳴り続ける。おかしいなと思いつつ身じろぎしたとき

バラバラバラ…

団扇を叩くような乾いた音がして、何かが足元から飛び立った。

ひあっ!

とっさに妙な悲鳴が出る。

警報音と思ったのは、ベランダの柵にとまったセミの鳴き声だった。

金属製の柵にセミの声が反響して、とんでもない音量になったのらしい。

あぶらぜみ

昼間のセミもやかましいが、木材で音を吸収されて、なおかつあの音量である。

それが、内部が空洞の金属パイプの上で鳴いたらどんなことになるか、ご想像願いたい。

静かになった部屋に戻って考えてみれば、お隣では警報音の他に

ひあっ!

なんて正体不明の声まで聞かされたのかと思うと、申し訳なくてドッと汗が出た。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/07/29 11:26

はいたつ話。

今日は自宅に仕事の書類が届く。

先方の都合で、昼の2時から4時までの時間指定になっている。1日のこんな真ん中に自宅待機させられたのでは、終日何もできないではないか。

しかたがないので外出はあきらめ、家事を片付けることにした。

予報ではにわか雨の可能性だが、野生のカンで降らないと判断し、洗濯機を2杯回した。

続いて先月漬けた梅をビンから出し、ザルに並べる。梅の土用干しである。

梅は塩漬けさえすれば食べられるのだから、干す手間がムダな気もするが、干さずに梅干しと称するのもおかしいので、毎年マジメに干している。

晩のオカズをまとめて作ったり、そこらを掃き拭きしたり、そのうち2時が過ぎ、3時が過ぎた。

だいたいこの時間帯指定というやつ、ギリギリに来ることが多い。午前中と指定すれば、だいたい11時58分過ぎになる。

だったら最初っから11時50分から12時の時間帯指定にしとけばいいものを、午前中などと大きなことを言うから、半日ムダになる。

どうせ4時ギリギリになるだろう、とは思っていたが、それにしても遅いので、玄関を出てみると、ポストに赤い紙がはさんである。

不在配達のお知らせ

ごふざいれんらくひょう
(↑このペロンと出てるところがムカつく)

なんだとお!

今の今まで、いっときたりとも不在にした覚えはないぞ!


配達時間は3時55分。例によってギリギリだ。

梅干しを取り込んでいたのか、水をジャージャー出していたのか。

それにしても、広くもない家で、宅配が来た気配すら気づかないなんてことがあるものだろうか。

気づかれないよう、気配を消してきたとしか思えない。

暑い中わざわざバイクに乗って来ておいて、そこらじゅう窓が開いた在宅丸わかりの家のドアベルを、1度鳴らして出ないからといって、尻に帆かけて逃げ帰るとはどういう料簡か。

今日という日は一体何だったのか、ヘタヘタと床にくずおれそうになった。



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/07/28 11:30

まじめな話。

私は、世界で一番マジメなのは主婦ではないか、と思っている。

週一で通う水泳のクラスでも、そのマジメさは発揮される。

コーチの注意をマジメに聞き、その指示通りに泳ごうと(結果はともかく)マジメに努力する。

ウォームアップの合間に、難しい顔で手を掻いては首をかしげている人に

バタフライのフォームですか?

と聞いてみたら

うーん… 昨日見たんだけど… ナカナカね…

昨日?

そう… テレビ… 世界水泳

テレビで見た選手のフォームを参考に、自らのフォーム改善に挑んでいるらしい。

録画して何度も見たんだけど… 難しいもんね…

念のため申し添えるが、彼女は60代後半の奥様で、週に1度、この女性健康スイミングのクラスで泳ぐだけの人だ。

それが、テレビで見たセトダイヤ選手のように泳ごうと、ガンバッている。

彼女の表情は終始真剣で、照れ笑いもふざけた様子もない。

そんなマジメさが家庭を支え、地域社会を支え、ひいては日本を支えてきたのだと思うと、厳粛な気持ちになった。

せかいすいえい2017



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/07/27 11:30

もでるの話。

買い物ギライの私にとって、生協は生命線である。

週に1度ドサッと届くカタログをくまなく吟味する作業を「宿題」と呼んで重要視している。

生鮮食品のイメージが強い生協であるが、日用雑貨や衣料の品揃えも充実している。(→ しなもの話。

お洋服だけは、ダサくてババくさいものが多いが、購買層を考えたら、致し方ないだろう。

とはいえ私もそろそろいいトシなので、時々はチェックしたほうがいいかもしれない。

せいきょうのかたろぐ

こういう服を着れば、病院の待合室や公民館のコーラスグループにいるような、年相応に平和なおばさんになれるのだろうが、それにしてもダサい。

当分はいいや、とカタログを閉じかけたとき、紙面からこっちを見ているモデルと目が合った。

ゆうたママだ!

「○○ママ」という呼びかたは好きではないが、子供の名前しか覚えてないのでしかたがない。

幼稚園の時のママ友、ゆうたママは、黙って立っていてもパッと目につく八頭身美人。

それもそのはず、彼女はプロのモデルだったのだ。

若い頃はショーにも出ていたらしいが、その頃はもっぱらデパートのチラシやメーカーの商品写真がお仕事だった。

身につけているものもオシャレで、周りのほかのママとははっきり違って見え、プロの美人とはこういうものかと感心したものだ。

そんなゆうたママもアラフィフとなり、ついに生協のダサい服を着るようになったのか。

タダでもらっても着ない、5分袖デザインチュニック1980円でニッコリほほえむ彼女を眺めつつ、感無量である。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/07/26 11:25

どれすの話。

流行のファッションを見て、ステキだな、の前に、ナンダコリャ、と反応するのはババアの証拠だ。

最近のナンダコリャ、は、シャツの襟を着物の衣紋みたいに抜いて、首の後ろのグリグリを見せるヘンな着かたである。

そんな風に着ている子はだいたい、シャツの裾のほうもヘンな具合で、前だけウエストにはさんで、後ろの裾はゾロリと長くはみ出している。

サイズの合わないシャツが前方から大風に吹かれたような、あの着こなしは一体全体どこがどうステキなのか、誰か説明してほしい。

今日はまた、違うナンダコリャを発見した。

やけにばっさばっさスカートを翻していると思ったら、裾がおかしい。

いれぎゅらーへむすかーと

イレギュラーヘムというのか、後ろだけ長くなっているのだ。

しずしずと移動すればローブデコルテの裳裾に見えるかもしれないが、合わないハイヒールでガツガツ歩くものだから、全体の印象としては、しっぽをひきずったゴジラに似ている。

以前にも、こういう怪獣のような女を見たことがある。

それはムスメが通っていた高校でのこと。

入学したばかりのムスメの、参観だか懇談だかに出かけたところ、昇降口に尾を引きずった怪獣に似たフォルムの上級生が数頭、いや数人、屯していた。

ムスメの真新しい制服と比べて、同じ制服が3年経つとこうもダラシナクなるものか。

とりわけおかしいのはスカートで、後ろ裾がドロリと長く垂れている。

たまたま揚げが下りているのかしらと思ったが、それにしては群の全員が同じようになっているのが不審であった。

家に戻って、今日見たものを話題にすると

あー、アレ… ドレスっていうんだって

スカート自体を加工しているわけではなく、前をまくって後ろが長くなるように穿くのだという。

生徒指導でも言われるよ 「ドレス禁止」って… 

プププ…なんだそりゃ。

念のため、みっともないからマネをしないように、とムスメにクギを刺すと

若い子はやんないよう、あんなの!アレは3年の流行り…

流行の命は短い。わずか2年の差で、ドレスはもうダサいファッションになっているのだった。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/07/25 11:30

ヒメギミ本。

暑さのせいか珍しく寝つけなくて、書架から福永武彦訳の「今昔物語」を手にした。

千話をこえる原典の本朝の部より、作家が撰んだ百話あまりの現代語訳である。

適当に開いたところから読み始めて、ふと、あの話が載ってないな、と思う。

六の宮の姫君。

そういえば、五位の入道、あの話も無いな、と思った。

2つはいずれも芥川龍之介によって翻案されている。福永はそれを意識して省いたのかと思ったが、これらよりよほど有名な「鼻」「芋粥」の2つは、ちゃんと撰ばれているから、たんに好みではなかったということだろう。

六の宮と五位を同時に思い起こしたのには理由がある。

ろくのみやのひめぎみ
(「六の宮の姫君」北村薫 創元推理文庫)

この本のせいだ。

日常の謎を解き明かす、女子大生の「私」と落語家「円紫師匠」の人気シリーズの中の1冊。

彼らがここで解く謎は、芥川の「六の宮の姫君」はいかに書かれたか、そのことである。初めて読んだ時、こんなこともミステリ(それも、面白いミステリ)になるのか、と驚いた。

無粋な種明かしは避けるが、一読退屈しそうな文学史の問題を楽しく読ませるのは、登場人物の魅力的な造形だ。

中でもヒロインがいい。

知的でありながら、他者への優しさと共感に富み、落語のユーモアや随筆のウイットを愛し、少年のようにきゃしゃで清楚で、恋には奥手な女子大生。

首都圏の私立大学の文学部(おそらく早稲田の一文)所属という設定だが、こんな女子大生、およそ実在すると思えない。

「六の宮の姫君」は今昔物語のエピソードであり、また芥川の小説であり、同時にこの作品でもあるわけだが、読者はそのイメージをヒロイン「私」に重ねずにいられないだろう。

なよなよとたよりない中世の姫君と、自立を目指す現代の女子大生は、もちろん異なる。

しかし言葉のイメージというものは面白いもので、主人公のイラストレーションに題字が添えてあると、まるでこの女の子こそが姫君であるかのようなのだ。

それは決してミスリードではなく、ヒロインはこの作者にとって、いつまでも御簾のかなたにいてほしい姫君なのだ、と思う。

今日7月24日は、河童忌である。

あくたがわりゅうのすけ
(あくたがわ りゅうのすけ 1892.3.1 - 1927.7.24)



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ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/07/24 11:30

びばりー話。

今日はスイミング。

暑い中自転車こいでプールまで。水に入るのが待ち遠しいのは私だけではない。

ウー!気持ちいい~!

爽やかさのまるでない、温泉に浸かるようなうなり声が、プールのあちこちで上がる。

さっきまでうだっていたオバサンたちが、別人のように生き生きと泳ぎだすさまは、まさに水を得た魚の例えにふさわしい。

元気が出るにつれオシャベリが増えるのもまた、オバサンの常である。

アラ?今日は彼女は?

カノジョ?誰?

ほら先月から来てる若い人… 

あーあー、若いったって60は過ぎてるでしょ!

そんな人いたっけ?

いるわよ ほら、ビバリーの…

あー、ビバリーの…

そう、ビバリーの!

ビバリビバリと、まさかこの人ではあるまいな。

まえだびばり
(確かに60過ぎてるわりにはお若いが)

ビバリーって何ですか、と尋ねたら、ケラケラと笑われた。

ビバリーヒルズよ!あの、駅の近くの…

ビバリーヒルズといってもこんなのではない。

びばりーひるず

2年ほど前、当市の某所に開発された住宅地である。(→ ひるずの話。

海なし県にあるまじきネーミングに、ひそかに売れ行きを危ぶんでいたが、世の中そんなことは気にしない人のほうが多いらしい。着々と入居者が増え、街として賑わいを増している。

住人はヒルズ族となるのかと思っていたら、意外にも「ビバリー」のほうが定着したようだ。

住み心地はどんな具合なのかな。来週60過ぎの若い人が来たら、聞いてみよう。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/07/23 12:09

ふせいだ話。

展覧会に行きましょ 切符をもらったから

おばーちゃんにそう誘われ、ギクリとする。

会場はデパートの最上階。そして、デパートというのは、お買い物をするところである。

最上階までエレベーターで上がり、そのナントカ展を鑑賞したあと、エスカレーターで1階ずつ下りながら、ウインドウショッピングしようというのが、おばーちゃんのプランだろう。

この人と50年以上親子でいて、いまだに理解できないのが、楽しみとして買い物をする、という趣味である。

買い物ギライの私にとって、用もないのにデパートをぶらつくのは苦痛でしかない。断れば、フットワークの軽い彼女は、アラそう、と1人で出かけるだろうとは思う。

しかし、実家の魔窟状態を思い浮かべると、これ以上不要不急の買い物をさせてはならない。

今日は私は、身を挺しておばーちゃんの買い物を防ぐ所存である。

ナントカ展の会場では、さっそく分厚い図録を買おうとするので、重いでしょうと押しとどめ、気に入った作品のハガキを買って済ませた。

1階下りて、家庭用品売場。

ドイツ製の高級タオルをうっとり眺めたと思ったら、イタリア製の食器の前で店員と話している。こんな高級品を売りつけられたらエライことだ。背後霊のように控えて、目を光らせた。

つぎに寝具売場で言いだしたことには

ほら、こないだ首を寝違えたって言ってたじゃない?マクラが合ってないんじゃないの

彼女の恐ろしいところは、自分だけでなく、人が買うのも楽しみだという点である。

いやいや、安い頭に、こんな高いマクラは要りませんと固辞すると、不満そうな顔である。

マズい!ここらで何か買ってガス抜きしないと、買い物欲が爆発する!

あ!水着!おかーさん、水着を買い替えたいから、付き合って!

今のがビロビロになってきたので、水着は買おうと思っていたのだ。スポーツ店のバーゲンで買うつもりだったので、デパートではお高くなるが、この際やむを得ない。

何かを買いたい、と言うほど、母を喜ばせることはない。おばーちゃんは嬉々として下りエスカレーターに乗り、ついてきた。

スポーツ用品売場のいい点は、おばーちゃんの買うものが無いところだ。安心して試着室に入る。

3着をかわるがわる試着して1つ選び、試着室の扉を開けると、なんたることか、おばーちゃんが店員と、話し込んでいるではないか。

ねえ見て見て!姿勢がよくなる椅子だって!腰痛にもいいんだって!

すっかりその気だが、見るからにジャマそうな形状のシロモノである。

すぐにもお買上げの勢いなので、

置けるかな?はみ出すと困るから 寸法測ってまた来ようね!

なんとかパンフレットだけを受け取って、レジで水着の支払いを済ませる。

ご予算よりだいぶ高くついてタメイキが出るが、おばーちゃんの買い物はなんとか防いだ。これもまた、家族の必要経費である。

すたいるあすりーと
(母が買いかけた健康座椅子 14,900円 赤いのが気に入ったらしい)



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/07/22 11:31
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