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こしらず話。

珍しく、ショッピングモールで買い物。

休日の買い物客の間を縫って、目的の店に向かう途中、ヘンなものが目の端に入った。

おやのこころこしらず1

親の心 子知らず?

わざわざ筆で書いて、貼り出す意味が分からない。

例えば「早起きは三文の徳」なら、朝一セールのお知らせかもしれない。

たとえば「後悔先に立たず」なら、すぐ売り切れる数量限定商品の惹句かもしれない。

しかし、「親の心子知らず」に、販売促進の意味はないだろう。

いったいどういうわけか、首をひねりつつ、ついそのまま通過した。

目的の店に着いても、さっきのハリガミが気になって仕方ない。遠回りになるが、確かめてから帰ることにした。

何の店かも覚えておらず、少し探したら、そこは呉服店だった。年配の女性店員に尋ねたら、

これですか…オホホ…お嫁入り支度のお着物がございますでしょ…

なーるほど。

結婚するとき、親から着物を持たせてもらう、ということは、私くらいの年齢だと、まだけっこうあった。花嫁の母の心尽くしである。

ところが娘のほうは、着物なんか着慣れないものだから、着ないままにカビや虫食いで台無しにしてしまう。

それを称して「親の心子知らず」。

この呉服店では、そういう着物の染み抜きや、仕立て直しなどを請け負っているのである。

何でも聞いてみるものだ。疑問氷解、スッキリした。

疑問といえば、もうずいぶん前に見つけた、こんな店。

ふりま

フリマ?この店、フリマ?

薄暗くひと気のない店内の様子に怖気づいて、かろうじて写真だけ撮って、帰ってきてしまった。

次に通った時にはもう、シャッターがピシャリと下りていた。

まさに「後悔先に立たず」である。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/10/21 11:44

はしおき話。

帰宅ラッシュの車内で、彼女たちはちょっとばかりうるさかった。

…メッチャムカつく!

あるある!ムカつくよねマジ…

キラキラ濃い化粧、ヒラヒラした服装の女の子2人。何かにしきりにムカついている。

…そんでダンナがさ…

えっ、結婚してんの?人妻には見えないけど…。

そうそう!うちのダンナも…

ええっ!アナタも人妻?

どう見ても20代前半、化粧こそ濃いが、ムスメくらいの年頃の2人が、既婚者だとは驚きだ。

2人は互いの「ダンナ」の文句を言い合っている。

したらポケットにキャバクラの名刺入ってて…

キャー、サイテー!ムカつく!

マジムカついてさ 名刺のオンナの名前のとこギューッて爪で折ってさ

捨てちゃえ!てか燃やしちゃえ!

捨てかけたけど 思いついてさ 夕飯の時、ダンナの箸置いてやった!

マジ?!ハハハ…ダッセエ箸置

2人はキャラキャラ笑いながら、次の駅で降りていったので、キャバクラ名刺の箸置に、ムカつくダンナがどう反応したのか、わからなかった。

家にあんなキラキラ、ヒラヒラした若い奥さんがいても、キャバクラに行くのかあ。

男って、バカだなあ。

はしぶくろのはしおき
(箸袋をチマチマ箸置きにするタイプとは気が合わない)



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ごきんじょ | コメント(11) | トラックバック(0) | 2017/10/20 11:30

しゅっせ話。

ご出世おめでとう!

すごいご出世ね!上でもガンバッて!

盛大な拍手と祝辞に包まれているのは、他でもないこの私。

晴れがましい場に不似合いなことに、拍手する側される側、全員半裸でビショ濡れである。

ここは女性水泳教室。

参加者は初心者から上級者まで、泳力別にコース分けされており、半年に1度の昇級試験に、私は合格してしまったのだ。

そうして上級に上がることを、この教室ではなぜか「ご出世」と言い習わしている。

そんなわけで、めでたくご出世の上級コース。

似たり寄ったりの仲間と、タラタラ楽しく泳いでいた今までと違い、新しいコースではついていくのがやっとだ。

得意の無駄口をきく間もなく、クールダウンの頃には息も絶え絶え。

雑魚の魚交じりという諺があるが、まさにそれである。

めでたいどころではない、クタクタのヨロヨロで更衣室にたどり着くと、声をかけられた。

お疲れ様~ がんばってるわネ~

前のコースで一緒だったオカさんは、スラリと背が高く泳ぎも上手い。彼女も昇級試験を受けたが、なぜか不合格だった。

オカシイですよね 私が合格なんて… オカさんのほうがタイムもフォームもいいのに…

そりゃアナタ、マジメに受けるからよ~ ワタシ、合格しないようにしてるもん!

ええ~っ!

今のコースが居心地良いので、ウッカリ昇級しないよう、試験ではヘタクソに泳ぐんだそうだ。

そんなんありッスか?!

ご出世のはずが、毎週ヘトヘトでゲンナリの私である。

あざらし
(しかし筆者近影は相変わらずこんな感じ)



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もろもろ | コメント(18) | トラックバック(0) | 2017/10/19 11:28

しゃざいの話。

久しぶりの晴天に、バタバタと溜まった洗濯をすませ、一息ついてテレビを点けたら、背広のオジサンが並んで頭を下げていた。

謝罪会見である。

また誰かが何か、知られちゃマズいことをしたらしい。

ふだんはふんぞり返って、他人にアゴの裏しか見せないオジサンが、深々と頭を下げ、薄くなった脳天を見せている姿は見苦しい。

このオジサンたちがホントのところ、これっぽっちも悪いと思っていないことは、テレビを見ている人、全員が分かってることだろう。

…悪いのはオレだけじゃない…

…会社のためだから しかたないじゃないか…

…ずっとバレなかったのに なんでオレが社長の時に…


口先で何と言おうと、言い訳や不満の空気が、オジサンたちを包んでいるのが分かるからだ。

仕事や生活上のトラブルで謝られることもあるが、ホントは別に申し訳ないとか思ってないよー的空気というのは、対面でも、電話口でも、思いのほか伝わってくる。

たまたま窓口に出ているから、その場の責任者だから、頭を下げないと引っ込んでくれないから、謝罪しているだけの、業務上の謝罪なのである。

たまにはホントに申し訳ながっている人を見てみたいもんだ、などと思っていたら、意外なところで遭遇した。

買い物途中に立ち寄った銀行のATMコーナー。通帳を入れたら、機械音のあと、画面に

ただいま記帳できるお取引はございません

しゃざい

表示の下で男女行員が謝罪している。眉をひそめ、肩をすぼめ、沈痛な表情で

記帳したいのはやまやまですが、ご期待に沿えず、本当に申し訳ありません

という風情。

いいよいいよ、取引がないのは私の責任だし、そんなに謝ってもらわなくても…

ポンポンと肩でも叩いてやりたくなる。

謝罪会見のオジサンたちは、この画面を見て練習したほうがいいと思う。



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/10/18 11:32

かべがみ話。

朝夕が冷え込み始めた。

トシもトシなので、冷えは禁物である。少し早いが、暖房便座をONにした。

居心地がよくなると、心なしか滞在時間が伸びて、ふだん見ないものをしげしげと見たりする。

うちのご不浄の壁紙は、細かいつる草模様。

かべがみ

ぼーっと見てると、ふとした拍子に、葉や蔓の形がに見えてくる。

幼い子供の顔、しかめ面のオジサン、愁いを含んだ女性。「ひょっこりひょうたん島」のダンディが見えたこともある。

前に見た顔がまた見えると

アラ、お久しぶり!

声には出さないが(出したらアブナイ人だ)、なんとなく嬉しい。

かといって、不思議なことに、見ようと思って探しても見つからないのだ。

シルシをしておこうかと思ったが、ご不浄の壁に赤い丸がついていたら、お客様が驚くだろう、と思いとどまった。

今、もう1度見たいなあと思っているのは、マチスのデッサンによく似た美人の顔である。

henri matisse
(こんな女性です)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/10/17 11:30

しーえむ話。

女優のサワグチヤスコさんとは、共通の知人を介する仲である。

…と言うと、親しいみたいで気分がいいが、昔の同僚が、サワグチ嬢と中学の時塾で一緒だった、というだけの話である。(→ 「さわぐち話。」

物は言いようだ。

そんなこともあって、彼女が出演するドラマは、楽しみにして見る。

かそうけんのおんな17

サワグチ嬢演ずる榊マリコは、次から次へと起こる難題にも動揺することなく、美しい顔をそのままに、淡々と対処する。

その演技を大根という人もいるやも知れぬが、そこがいいのである。

スペシャルらしく、事件がかなりな大ごとになり、相棒の刑事が事故で意識不明になったところで画面がCMに切り替わる。

♪ ごじゅうのめ~ぐ~み~ ♪

50のめぐみ

いや、これはイカン!これはダメでしょう!

榊マリコは紫外線によるシミだの乾燥だの、そんなものを気にしてはいけない。

どうしてもというなら、自分で試験管で混ぜた謎の液体を塗ってほしい!

テレビ局というのはコマーシャルを断ることはできないのだろうか。

榊マリコ研究員の顔に50種類のうるおい成分がくっついているのかと思うと、その後のドラマに身が入らなかった。



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てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/10/16 11:30

ふぇあの話。

老舗デパートの催事場は、オシャレでお金持ちそうなマダムでごったがえしている。

そう、恒例の英国フェアだ。

えいこくふぇあ2017

おばーちゃんが楽しみにしているこの催し、衝動買い抑止係として、私も毎年随行する。(→「かわれた話。」

しかし、おばーちゃんの買い物欲の前に、抑止係の任務は失敗に終わるのが常である。

前回は、タタミ2畳はある巨大なスコットランドのストールを、その前は、メマイするほど複雑な編み込みセーターを、混雑に紛れ、一瞬目を離したすきに、買われてしまった。

さらに恐ろしいことに、そのいずれも、おばーちゃんが身につけているところを見ないのである。

おそらく、魔窟状態の実家の収納のどこかに、新品のまましまい込まれているのであろう。

おばーちゃんの老後の財政を考えても、かような散財は避けねばならぬ。

混んだフロアに所在無げに立つ私の、内心は決意に満ちているのである。

フィッシュ&チップスや焼きたてスコーンのブースを通り過ぎ、タータンチェックにひっかかり、ヴィクトリアンジュエリーのショーケースを覗く。その背後に影のように控え

カワイイ! よく似たの持ってるよね…

ステキ! でも おかーさんには重いかな…


さりげなく口をはさんで、買い気を削ぐ。われながら頑張ったと思うが、ふと気が緩んだ。

あ!あれ見て!

指さす先に、フラフラ従ってしまう。

ホラ!アンタんちのカップと同じ柄よ!

イギリスに住んでいる時、古道具市で買ったカップは、80年ほど前の品物だった。

そのカップと同じ模様の、楕円形の大皿

気づくとおばーちゃんはお店の人と話している。

カワイイわよねえ このお花の模様…

そうですねえ コレクターもいらっしゃるんですよ もうこれも残り1枚で…

最後の1つ、というのは、おばーちゃんにとっての魔法の言葉である。

電光石火、おばーちゃんのサイフが取り出され、口をはさむ間もなく売買が成立した。

あー、またやられた…。

ガックリしながら、プチプチで包まれていく、デカい皿を見つめた。カウンターを離れながら

ハイこれ

厳重に包装されたお皿の入った、2枚重ねの百貨店の紙袋を、おばーちゃんは私によこした。

へ?

あげる カップとお揃いで カワイイでしょ

自分のじゃないの?!

いやー、欲しいと思ったけど ウチにあってもさ… アンタんちにあるほうが…

自分のじゃなくても、欲しいものを買えたおばーちゃんは満足そうだ。

買って3秒、これは新記録である。



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/10/15 11:34

しりあい話。

ユッコさんは、前に住んでたところのママ友。

趣味でヴァイオリンなんか弾いてる、ハイソで近寄りにくい人かと思ったら、意外にヌケたところのある面白い人で、仲良くなった。

ママ友なんてのは去る者日日に疎しで、引っ越せば付き合いが切れるものだが、ユッコさんは今も連絡を取り合う数少ない中の1人である。

そんな彼女が病気をしたというので、お見舞いがてら会いに行くことにした。

せっかく新幹線に乗ったのだから、他の友だちにも会って行きたい。午後からの面会時間の前に、ウエダさんの店に寄ることにした。

ウエダさん(旧姓)は独身時代の同僚で、今はご主人と実家を継がれている。そのお店が、偶然住んでいた町の近くなのだ。

すっかり和服が身についた堂々たる女将ぶりでお茶を出してくださり、懐かしいお話に花が咲く。

アナタもこの辺に住んでたのよね 隣の駅だっけ?

そうそう… 川っぺりの団地…

その団地にユッコさんも私も住んでいたのだ。

ああ!あそこなら知り合いが… 

へえー、そうなの?ハツミミ!

ご主人がドコソコにお勤めでね…

ん?

ユッコちゃんっていうんだけど…

ええーっ!

聞けば2人は、市民オーケストラでずうっと一緒にやっているのだという。

しみんおーけすとら

そういわれてみれば、彼女もなんだか楽器の人だったが、今の今までそんなことはこれっぽっちも念頭になかった。

私これから、そのユッコさんのお見舞いに行くんですよ!

そう言うと、ウエダさん(旧姓)も驚いている。

ユッコさんと知り合って15年。ウエダさん(旧姓)と知り合って30年。その2人が私のあずかり知らぬところで仲良くなっていたとは。

世間は狭いわねえ、と言いあってから病院に行ったら、顔を合わせるなり

ちょっとアナタ!ミキさんと知り合いなんだって?

どうやら早速メールが入ったらしい。ユッコさんの顔は血色もよく、この偶然がおかしくてたまらない、という表情を浮かべていて、ホッとした。

退院して、オケの練習を再開したら、2人はきっとウワサするんだろうな。私の昔の失敗話なんかで、プププと笑われちゃうかな。

次は3人で会おうね、と約束して、カーディガンを着て見送ってくれたユッコさんに手をふった。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/10/14 12:12

ぎゅうぎゅう話。

1人暮らしになって半年、いろんなことに慣れてきたが、あんがい慣れないのが買い物の習慣。

食べ物を買う量を1人分に減らさなきゃいけないのに、つい多めになる。

生協をやっているせいか冷凍の食材が多く、冷凍庫は常にギュウギュウである。

さて、今日は涼しいので、久しぶりにシチューでも煮ようか。

冷凍庫から肉を、冷蔵庫から野菜を出すと、いっぱいだった庫内が空いた。ヤレヤレ。

切った材料をコトコトと煮ていると、部屋中に温かい湯気の香りがたってきた。

ああ、秋になったんだなあ…

鍋のかかった火を見ていると、心がなごむ。

そして夕食の時間。1人で向かう食卓にも慣れた。

お昼から仕掛けたシチューは、トロトロに煮えた肉と野菜がおいしい。満足してスプーンを置く。

ところがその後が問題だ。

たっぷりできたシチューも食べる口は1つ。鍋の喫水線は少しも下がっていない。

朝昼晩、3食食べても、あと3日ぶんはありそうだ。

そんなに長く同じものを食べるのはイヤなので、半分以上を保存容器に移し、冷凍する。

さっきお肉を出したスペースが、シチューの容器でまたギュウギュウだ。

なにやってんだ私。

閉まらない冷凍庫をムリヤリ閉めて、夜の台所で1人笑う。

びーふしちゅー
(ビーフだからギュウギュウというオチではない)



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/10/13 11:30

しゅふの話。

私の職業って何なのかなー、と時々思う。

うちの職場は雇用形態が特殊で、お金はもらってるけど給料じゃない。

くわえて頼まれ仕事がチョコチョコあり、なんだかんだ、できることを選り好みせずにやって、ようやく口を糊している状態だ。

ムスコが入学の時、提出書類を書いていて、家族欄の記入に詰まり

…えーっと… かーさんは…何?

と、聞かれたことなども記憶に新しい。

何だろーと考えたが、職業欄に収まるように書ける、適切な職業名が浮かばない。

いちばんしっくりくるのはフリーターだが、世帯主、しかも50のオバハンがフリーターってどうなの?とは思う。

けっきょく、あの書類には何て書いたんだったか。

結婚している時なら、主婦って書いとけ!と言えるけど、独身の私はそうもいかないのだ。

しゅふ 【主婦】 一家の中で家庭生活のきりもりを中心となって行なっている女性。 (三省堂「大辞林」)

この定義からすると、結婚してなくても、収入があっても、主婦でいいようだが、じゃあそれが自分の職業なのかっていうと、ぜんぜんピンと来ない。

ふとテレビで流れるニュースに耳がとまる。

…ウソの投資話で、知人から金銭をだまし取った疑いで、60歳の主婦が逮捕されました…

こういうのに騙される人って、いなくならないものだなあ。欲に目がくらむのは、人間の本性なのだろうか。

…は、約90人から現金9億円を受け取ったとみられ、警察は余罪を追求しています…

え?9億円?

90人から9億円だまし取って、主婦?

主婦の定義はよくわからない。

60さいしゅふ
(9億円集めても「無職の女」)



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2017/10/12 11:30
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