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けんじん話。

暴行力士のニュースにウンザリしてテレビを消そうとした時、画面が切り替わった。

…有識者による政府主催の賢人会議は今日、広島市で2日間の日程を終えました…

核軍縮は難しい問題だ。2日やそこらの会議で片付くものではないが、続けていくしかないのかもしれない。

それにしても、と私の考えはまた横にそれる。

賢人会議、ってすごいネーミングじゃないか。阿呆や馬鹿は混じってないのだ。

そこで気になるのは参加者集めの段階である。

まず、賢人と思われる人に打診をする。

…モシモシ 賢人の方ですか?

え?違いますヨ~! 賢人なんてそんな、ハハハ…

謙遜で断られるのも困るし、かといって

ハイ、そうです 私が賢人です

と、あんまりキッパリ肯定されると、逆に不安になる。

たぶん賢人だろうとアタリをつけて話をしに行ったら、案外な見当はずれで、

うわっ、この人ぜんぜん賢人じゃない…しかも会議には出る気満々だし…

などと、想像するだにややこしい事態もありうる。

そんな大変な思いをして賢人を集めても、核開発は止まらない。

半島から飛んできたミサイルのニュースを、賢人の皆さんはどう見ているのだろうか。

ちくりんのしちけん
(長谷川等伯 「竹林七賢図屏風」 建仁寺両足院蔵)



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てれびじょん | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/11/30 11:30

かんだん話。

おかーさんおかーさん!今日寒い?

フトンの中から母に聞くのが、子供の頃の冬の朝の習慣だった。

知らん!自分で起きて考えなさい!

そんな返事も毎朝のこと。しかたなくネマキのまま窓を開け、手を突き出してヒラヒラする。

これ寒いの?寒くない?

騒いでいると、母はブツクサ言いながらやってきて、ぴしゃりと窓を閉めると

ほらコレ!あとコレ!

次々に着るものを出してくれた。

もう、この子は…忙しいのに…着るものくらい自分で決めなさい!

そう言われるのだが、わからないのだから仕方がない。

フリースとダウンでいい今と違って、昔は着るものも難しかったのだ。

セーターの下にブラウス、ズボンの下にタイツ、ジャンパーは着るか着ないか…

晴れか曇りか、風は強いか、いろんな変数から総合的にその日の服装を決めるなんて難しいこと、子供の単純な頭ではとても無理である。

とりわけカンの悪い私は、中学で制服を着るようになるまで、ながらく母の判断を仰いでいた。

そして月日は流れ

えーと、今日は…寒い?

50過ぎても、団地のベランダで朝日に当たりながら、似たようなことをしている私。

ただでさえ進歩がないのに加えて、微妙なオトシゴロ。(→としごろ話。

ジッとしていてもカーッと暑くなったり、そのくせ手や足は氷のように冷たかったり、ややこしさは増すばかりだ。

昔のようにホイホイと服を出してくれる人は、今の私にはいない。

しかたなくテレビを点け、天気予報を見ても、何を着るかまでは教えてもらえないのである。

おてんきおねえさん
(服装の参考にならないお天気お姉さん)



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/11/29 11:30

しっぷの話。

出かける前に、左右対称に2枚、シップを貼った

若く傲慢だった頃は、両親や祖父母が、何かというとシップをペタペタ貼るのを見ては

無意味なことを…

などと、内心せせら笑ったものだが、そんな私も気づけば同じようにシップを貼っている。

時の流れとは残酷なものだ。

とはいえ、衣服に隠れる場所だし、今はニオイの少ないシップがあるので、外目にはわからない。

は?シップって何ですか?

と言わんばかりの、すまし顔でご出勤である。

自分でもシップを貼ったことなど忘れて、半日。

休憩時間にご不浄に行き、その箇所に何げなく手をやると

無い…

2枚貼ったはずのシップの、左側の1枚が無い。

驚いてまず足元を見、次に着ていた衣類の内側を探し、便器の中にも目をこらしたが、無い。

相当の時間をかけてあちこち探っても、どこにも見つからず、個室を出たときには順番待ちの人が列になっていた。

その後の仕事に身の入らなかったことといったら。

裾から何か出ているんじゃないか、人目が気になり、ソワソワする。

定時が過ぎるのを待ちに待って、尻に帆かけてうちに帰った。

すぐにお風呂を入れて、脱いだものを仔細に検分したが、今もって左のシップは見つからぬまま。

いずれ思わぬところから飛び出してきそうで、先行き不透明感がぬぐえない日々である。

ひとりでぺったんこ
(1人でシップが貼れるグッズ 別名「夫要らず」)



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/11/28 11:47

かんしゃの話。

ボロくなったババシャツを3枚捨てたので、補充のため、衣料量販店に行く。

駐車場の様子がヘンだとは思ったのだが、店内に踏み込んで尋常じゃない混み方に驚く。

単に混んでいるだけではない。皆、何やら殺気立っている。

そして、誰もが商品でカゴをいっぱいにしている。

にっくきブラックフライデー(→ がすてん話。)は終わったはずなのに、この騒ぎ。

石油ショックの再来か?

1つのカゴには入りきらず、両手に山盛りのカゴを提げたオバサンと、その連れ合いの死んだ目をしたオジサン。何枚ものダウンコートを抱えた若夫婦の子供は、熱気でグンナリしている。

個人的にはお知り合いになりたくない人たちをかき分け、下着のパックだけつかんで、長蛇の列の最後尾につく。

やっと精算が済み、軽い袋を持って店を出ようとしたところで、掲示に気付いた。

特別な5日間 誕生感謝祭

なるほど~!

年に2度も来ない店に、なぜ、よりによって特別な5日間に来てしまうのだろう。

やはり新聞を取るべきだろうか。取ってればチラシが入るから、混みそうな時が分かる。

ゆにくろのちらし

しかしセールを避けるためにチラシを見張る、というのは、本来の用途から見ておかしい。

人いきれに蒸されて、ヒートテックどころではない暑さだった。


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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/11/27 11:30

さばかん話。

ムスメはメール時代から筆不精で、家族LINEでもこちらから、しかも疑問形で質問を投げかけない限り、返信すら来ない。

その点ムスコはわりにマメである。

ある日、ペロン♪と着信音がしたので、夕飯の手を止めてスマホを見た。

さばみそていしょく

今日の晩飯

どうやらムスコは料理男子というやつらしい。

うちにいる時は汁かけ飯ばっかり食べていたくせに、1人暮らしを始めてからというもの、マメマメしくご飯支度をしているようだ。

それ自体は非常にけっこうなことだし、見れば出来栄えのほうもなかなかよろしい。

サバ味噌?美味しそうね

返信しておいて食卓に戻る。今日の私の夕飯は

さばみずに

缶詰を開けてポン酢をかけたコレ。

同じサバでも親子でえらい違いだ。

ビール飲み飲みサバ缶をつつきながら、これじゃあイカンなあ、といちおう反省する。

しかし、身体に良いと聞いたサバ缶を、私はすでに箱買いしてしまっているのである。

せめて半分サバ味噌の缶詰にすればよかった、と思うが、これは反省といえるだろうか。



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2017/11/26 11:39

とげとげ話。

ではまた来月、と再訪を約しつつ、また来月かあ、と思う。

この会社はどうも好きになれない。

取引条件はごく普通だし、怖い人がいるわけでもない。

失敗してクレームをもらったこともないのに、来るといつも、歓迎されてない気がする。

ここの事務所は暗くてうすら寒い。それなのに、いつ行っても、冷たいお茶が出る。

文字通りの冷遇だが、私だけに意地悪しているという風でもない。

悪い人はいないが、素敵な人もいない。そんな会社なんだとしか言いようがないのだ。

表に出れば、社名の看板こそ出ているものの、工事中みたいな社屋は、打ち捨てられた風情。

駐車場を囲んだ塀に目をやると

とげとげ

なんでこんなことになるんだろう?

鉄筋が飛び出しているのは、ワザとなのか、それとも中途でやめたのか。

振り返ると、事務所の窓越しに、こちらを見る社員さんの、どんよりした視線が

アンタはここから出て行けていいねえ オレはずっとここだよ

そう言っているようだ。

門を出ながら、ここんちの社員じゃなくって良かった、ワルイけどそう思ってしまう。

すっかり冷えてしまった。温かい、コーヒーが飲みたい。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/11/25 11:30

がすてん話。

買い物ギライの私が、今日は珍しく大型ショッピングセンターにやってきた。

年に1度のガス展なのだ。

がすてん
 大阪ガス ガスてん2017 

配布されたチラシや封筒を持参すると、抽選に参加でき、粗品がいただける。

この手の粗品もらいには、もはや動かされないが、このガス展に関しては、粗品が全て食品という魅力がある。

もれなく醤油がもらえる他、抽選の賞品も、近江牛、コシヒカリ、比内地鶏、シチューのもと。末等でも乾麺のウドンなのだ。

どれをもらっても困らないし嬉しい、こういう抽選は珍しい。

そういうわけで、重い腰を上げたわけである。

ところが、建物に入るなり、何やら様子がおかしい。平日の開店直後にもかかわらず、異常な人出なのだ。

抽選会場は、いつもにも増して、押すな押すなの大行列。

日頃ひたすら人混みを避けて暮らしている私は、行列や混雑にことのほか弱い。

もう帰っちゃおっかなー…

つい弱気になるが、見れば80代も半ばを過ぎようという小柄なおばあさんが、雄々しく並ぶ姿に励まされ、長い列の末尾に加わった。

長いといってもラーメン屋の列とは違い、進むのは早いが、それでも首尾よく末等のウドンを手にするまでに、かなりくたびれた。

それにしても、なぜこんなに混むのか。おばーちゃんに電話してグチると

あれじゃないの、ホラ、ブラックマンデー

え?また株が暴落したの?

テレビでもやってたよというので見回せば

ぶらっくふらいでー

ブラックフライデーって何だよ!

プレミアムフライデーじゃないのか今日!

またしても、誰かが思いついた何かだ。

おまけにブラックとかプレミアムとかの連想か、ついビールまで買ってしまい、今日は1円も使わないつもりできたのに、エラい出費である。

忌々しいことこの上ない、ナントカフライデーなのであった。



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/11/24 11:30

ぷりんの話。

アッ!また忘れた!

自転車を漕ぎだすなり、思わず出た大きなヒトリゴトに、すれ違った人が振り向く。

何を忘れたって、タイヤの空気である。

走れないほどではないが、ペダルが重い。道の凸凹が、よりハッキリ、おしりに伝わる。

昨日も一昨日も、空気入れなきゃ、と思ったのだ。

毎日帰り道はヘトヘト。家に着いたらくたびれて、いまさら空気入れをひっぱりだしてくる元気なんか、残っちゃいない。

かといって、朝はギリギリで、空気を入れてからゆるゆる参りましょう、というような、優雅な気分にはなかなかならない。

重たいペダルを踏みながら、私ってダメだなあ、などと反省する。

そういえば、同じように忘れていることがあと1つか2つ、ある気がする。

何だっけ、と頭をひねったが、思い出せないから忘れていることを、思い出そうったって思い出せるわけがない。

自己嫌悪に包まれながら、いつものプールに着いた。

タメイキをつきつつ水着に着替え、プールサイドへ出れば、はつらつとしたコーチのかけ声で、準備運動がはじまる。

いっち、に、さん、しい…

身体を曲げたら、つま先が見えた。

アッ!足の爪!

そう、昨日、お風呂で、足の爪が伸びて来たな、と思ったのである。

裸足で過ごす夏場なら、手の爪を切ったついでに足も切ってしまう。

ところが、寒くなって靴下を穿くと、脱ぐのがめんどくさい。つい足は後回しになる。

爪、空気、爪、空気、爪…

今度こそ忘れないように、泳ぎながら頭の中で繰り返した。

1時間ほど泳いで、今日のレッスンは終わり。

外に出れば、まだ乾かない髪に風が冷たい。下り坂を漕がずに、惰力で家まで帰る。

自転車を停めて玄関を入ったら、冷蔵庫のプリンを思い出した。

泳いで冷えた身体にプリンの甘さがしみていく。疲れを忘れるほど、美味しい。

確か何かあった気がするが、もう思い出せないのであった。

だいぶつぷりん
(奈良の名物 まほろば大仏プリン)



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2017/11/23 11:30

ふうふの話。

両親は、特に仲の良い夫婦ではなかった。

家のことには無関心で、昔風の男であった父と。

楽しいことやキレイなものが好きで、ずっと女学生気分の抜けない母と。

けっして相性がよろしいとは言えなかったと思う。

口の重い父から、母への不満を聞くことはなかったが、母はよく父のことを愚痴った。

まったく 何が面白くて生きてるんだろう!

いくら言っても○○してくれない!


○○の部分は、その時によっていろいろだった。

50年近い結婚生活の中でも、何度か危機はあったようだ。

詳しい事情は子供だから分からなかったが、父が金銭的に大きな失敗をした時のことは、うっすら覚えている。

両親が夜更けまで何か話し合っている。フスマの隙間から細い光の筋と、ぼそぼそと話し声。

時折、感情が激した母の声が

…貴方はいっつもそうして……私は…

言葉が聞き取れるほど高くなると、父がシッとなだめ、寝ている私と妹の様子をうかがう。

私はあわてて目をつぶり、くうくう寝息を立てている妹にならった。

朝起きてみれば、いつもの父と母なのだが、2人の間にはよそよそしい空気が流れている。

そんなことが何日続いただろう。母は日に日に疲れて、ついにある日の晩。

お母さん… ご飯作れない… これ食べて寝てね

私と妹の前に、牛乳と菓子パン、大好きな神戸屋のマイケーキが置かれた。

夢の中で、泣き声を聞いた気がした翌日、

ねえ お母さんがおばあちゃんところに行くって言ったら ついてくる?

え、いつ?どれくらいで帰る?

もうずっと…たぶん、このおうちには帰らない…

何と返事をしたのだろう。イヤだ、と言ったのか、言えなかったのか。

私と母の間をオロオロと行ったり来たりする、小さい妹の姿だけを覚えている。

けっきょく母は出て行かず、家にとどまった。

それから父が亡くなるまで、相変わらずブツクサ言いながら、母は連れ添ったわけである。

あーゴメンゴメン!お水あげるの忘れてたわ!

今日も、父の仏壇あいてにモノを言っている母。

こらえ性なく所帯崩しをしてしまった私には見えないものを、母は見ているのだと思う。

今日はいい夫婦の日

こうべやまいけーき
(近頃売ってるのを見ない、神戸屋マイケーキ)



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ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2017/11/22 11:30

ヒッコシ本。

冬物を取りに、ムスメが久々に帰ってきた。しゃべりながら食べるご飯も久しぶりだ。

アタシさ~ 引っ越そうかと思って~

ムスメは、大学で入ったアパートに、卒業した今もまだ住んでいる。

やっぱり 会社遠いしさ~

イイじゃん 越しな越しな!

私は引越しが好きである。自分はこの先もう引っ越すことは無いと思うが、人が引っ越すと聞くだけでワクワクする。

あ、じゃあ荷造り手伝ってやろうか?

ヤだ!

いつもフニャフニャしてるくせに、やけにきっぱり断るところを見ると、また散らかしてんな。

私はムスメの部屋に行ったことがない。散らかった部屋を見るのがイヤだからだ。(→げしゅく話。

絶対怒るもん~ アタシ、もう死ぬまで 二度とゼッタイ怒られたくないから~

そんなに?!

そこまで言うなら仕方ない。手伝いには行かないことにして、飲み食いしてバカ笑いして、その日は終わった。

翌朝、ムスメが

あ、これもう読んだからあげる~

通勤カバンから文庫本を取り出した。

ありがとうと受け取った本を、ムスメが出勤して行ってからよく見たら

ざんえ
(「残穢」 小野不由美 新潮文庫)

アンタね、アパート探してるときに、よく読めたねこんな本。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/11/21 11:30
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