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ついてた話。

あれ?

朝起きたら、リビングのライトが点いていた。

照明というより、シャレこいて見せるため、たまの来客の時だけ点ける、インテリアライトというやつである。

昨夜は点けた記憶はないし、寝る前リビングは真っ暗だったはず。

じゃあ一体誰が?

胸がドキドキし始めたのは、私が小心者だから、というだけではない。

実はここ2週間ほど、家のカギが見あたらないのだ。

うちのカギは3つあって、1つはおばーちゃんに預けている。

あと1つは私のバッグの中。

3つめはだいたい玄関に置いてあるのだが、バッグを持たずにちょっと家を出る時など使うこともある、このカギが無いのである。

普段使わないカギだから、無いのに気づくのも遅かった。

もしかして、もっと前から無かったのかもしれない。

もしかして、誰か悪者が、うちのカギを持ち去り、自由に出入りしているのかもしれない。

知らない人が触れたと思うと、見慣れた部屋の景色が、急によそよそしく見え始める。

ひどく心細い。

いっそカギを全とっかえしようか、などと、お金のかかる解決を考える。

いかんいかん!これしきで弱気になってどうする!

窓を開けて冷たい空気を入れ、大きく息を吸って、おまけの景気づけに、頬を両手でぱんぱん!と叩く。

まずは、なんでライトが点いたか、原因究明だ。

ライト本体を念入りに検分した後、電源付近を調べようとかがみこんだら、薄暗い隅っこに何かが光っている。

あっ!

無いと思っていたカギが、そこに落ちていた。

ひゃっほう!やったぜ!

カギ、失くしてなかった!

悪者、入ってきてなかった!

ここ数日、薄雲のようにかかっていた心配が晴れてゆく。

ライトの謎は解けないままだが、もうどーでもよくなってしまったエーカゲンな私である。

わるもの



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2018/02/28 11:30

あやまる話。

チラホラと、梅のたより。

どこかにお出かけしたくなるお天気だが、私はシケたツラを陋屋にとどめている。

確定申告のせいである。

父亡きあと、書類処理能力が皆無なおばーちゃんのため、やむなく引き受けてきた確定申告。(→ しんこく話。

年金生活の高齢者所帯でも、それなりに時間も労力もかかるのだ。

当のご本人は、仕上がった申告書を税務署にお持ちになるのを、重要な任務と考えている。

わざわざご持参あそばさずとも郵送すればいいのだが、せめて当事者感覚を持ってほしいので、黙っている。 

記入事項で確認したいことがあって電話したら

今、出がけでややこしいから!後でかけるから!

と、一方的に切られた。

一瞬ムッとしたが、病院の予約で急いでたのかな、と胸を押さえる。

しばらくして折り返しの電話がかかってきたが、後ろがザワザワしていて出先らしいので

診察済んだの?

と聞くと

やーね!ちーがうわよー!エ、イ、ガ!

笑いながら訂正された。街の映画館にお出かけらしい。

ナニナニの映画を見てねえ、ドコソコでランチしてねえ…

と、長々とはじまりそうなのを遮って、こちらの用件を伝えたら

そういえば確定申告、いつごろ出来そう?いつ持って行けるかわかんないと、私も困るんだけど!

と、叱るトーンで返された。なにしろ相手が母親なので、長年の習慣でつい

あーゴメンゴメン、今日やるから!

と謝ったものの、もしかして怒ってよかったんじゃないか、と、電話が切れてから思った。

いーたくん
(スピーディーなネット申告なら親子ゲンカも防げるよ!)



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/02/27 11:30

かえるの話。

洗っておいてやったセーターを取りに、土日うちに帰ってたムスメが

ちょっと貸して

と、私のスマホを持って行った。返してよこしたのを見たら、アイコンが増えている。

買って以来、ほとんど新しいアプリを入れていないスマホ。その機能の0.4パーセントくらいしか使ってない自信がある。

これ何?お金かかるやつ?

ケチの私は、お金がかかるのではと思うと、おっかなくて何もできないのである。

だいじょーぶ、タダ タダ!

そう言われてひと安心して、触ってみたら森の中の家が映った。

カエルが主人公の、流行のスマホゲームらしい。

カエルがいろんなとこに行って、お土産くれるからね それを集めるの

しかしそれをなぜ私にやらせる?

釈然としなかったが、ムスメは何も言わず、会社に行ってしまった。

せっかくなので、おっかなびっくり、新しいゲームをいじってみる。

家の中に入ると、小さいカエルがモゾモゾしている。

「あそびかた」の通りに弁当と荷物を支度してやると、いつの間にかいなくなった。

どうやらどこかに旅に出たようだ。

仕事から帰ってまた見てみると、カエルも帰っていて、リビングでゴハンを食べている。

なんか、ちょっとカワイイかもしれない。

夜になって、ベッドの上で本を読んでいる丸っこい姿は、誰かに似ている気がする。

思いついて、カエルをムスメの名前にしてやった。

ムスメが帰っています

そんな通知が来ると、なんだかおかしい。

にづくりかえる
(洗ったセーターが荷物に入らず悩む『ムスメ』)

 

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ごかぞく | コメント(16) | トラックバック(0) | 2018/02/26 11:43

ぽちぽち話。

今日お邪魔した会社は、おとなしい人が多くて、いつうかがってもシーンとしている。

とはいえ堅苦しい社風ではなくて、服装も自由なようだ。

担当者のシモダさんも例にもれず、静かな声の人。

声がデカくてやかましい私だが、相手が静かだとつい、つられて穏やかな声になる。

淡々と話が進み、淡々と用件が終わりかけた時、話の接ぎ穂にふと

あら、シモダさん、柄シャツ珍しいですね 

そう口に出してみた。シモダさんはいつも白のボタンダウンシャツの人なのに、その日は珍しく、ポチポチと水玉の飛んだダンガリーのシャツだったのだ。

すると、マジメなシモダさんの表情がふとゆるみ

まあ… 着るなら今日かな、と思いまして…

あいかわらず静かだが、笑いを含んだ表情になった。

着るなら今日?どういうこと?と、シャツに目を凝らして…あっ!

かーりんぐのしゃつ

ポチポチ小さな水玉模様と見えたものは

かーりんぐのしゃつ2

カーリングのストーンだった!

すごーい、かわいーい、どこで買ったんですか、と、私が騒いでいると、静かに机に向かっていた女子社員さんが集まってきて

ゴメンネ!ぜんぜん気づかなかった!

もおー、なんで黙ってるの!

口々に言いながら、笑顔でシモダさんを囲む。

この事務所が、こんなに賑やかなのは初めてだ。

シモダさんの地味すぎる応援が効いたのか、その日、カーリング女子日本代表が英国代表に勝ち、銅メダルを獲得した。



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2018/02/25 11:30

はなたれ話。

最初に見た時、なんかヘンだなとは思ったのだ。

ほどほどに混んだ昼過ぎの電車。通路をへだてて斜め前の席にその人はいた。

薄茶の登山帽をかぶり、ショルダーバッグをかけた70代くらいのオジサンだ。

顔には昔ながらのガーゼのマスク。今どきの、顔の下半分を覆う使い捨てマスクではない。

どこもおかしいところはないはずなのに、やっぱり、なんとなーくヘン。

失礼にならない程度に観察したが、何がヘンなのか、理由は分からない。

あきらめて、車窓に目を移せば、明るく晴れた冬空は澄んで、ガラス越しの日差しが暖かい。ついウトウト眠くなりかけた時

うあ~!

吠え声がして、私も、右隣の若い女性も、ビクッとして飛び上がった。

見ればオジサンのアゴが横にバックリ裂けている!

ギョッとして二度見すると、裂けたアゴと見えたのは口で、オジサンはただアクビをしただけ。

マスクで隠れているはずのオジサンの口は、完全に覆われることなく、下唇が露出していた。

つまり、オジサンはマスクを鼻にかけていたのである。

マスクをしている人は、ふつう鼻から口を隠す。最初の違和感、それはマスクが顔の真ん中にある、ということだったのだ。

それにしても、なにゆえこのオジサンは、口を覆うことをせず、鼻だけを守るのだろう。

大量に吹き出す鼻水を受けている、とか。

誰かに鼻をかじられて、歯型がバッチリついている、とか。

あるいはものすごく美しい鼻の持ち主、鼻タレント略して鼻タレなのか。

そんな妄想に頓着するようすもなく、鼻マスクのオジサンは席を立ち、前を通って降りていった。

ぽあろのひげ
(寝る時ヒゲにマスクをかける人もいる)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/02/24 11:30

はこはこ話。

実は箱が好きだ。

わが母おばーちゃんもまた無類の箱好きなので、箱好きの血、というのがあるのかもしれない。

おばーちゃんは、きれいな箱は捨てられず、入れるものが無いと箱に箱を入れて保存する。

箱イン箱、マトリョー箱である。(→ あきばこ話。

私はそうならないよう、空き箱は捨てるが、オルゴールや箱根細工など、お土産や記念品でいただく箱は、喜んで大切にする。

何を入れるわけでもない。

手のひらに載る小さな箱は、中に何も入っていなくても嬉しいのだ。

ガラス扉の中にしまってあった、そんな箱のひとつを手に取ってみたら、コトリと音。

あれ?何か入れたかな?覚えがないけど、私以外にこの箱を触るものはない。

開けてみると、中にカワイイ人がいた。

すきーけいと

昔むかし、スキーウエアじゃなく、セーターを着たころ、毛糸玉のオマケについていたお人形だ。

スキーシーズンのうちに出てこられて、良かったね。

白いタオルの山にのせてやると、小さなスキーヤーは、張り切って前傾姿勢になった。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/02/23 11:30

おかしの話。

毎年この時期に、食べるお菓子がある。(→ とちがら話。

お祭りの間だけ作られる、椿の花の形のお菓子である。

のりこぼし
(「糊こぼし」 → 御菓子司 萬々堂通則

あまり和菓子を好まない私が、買ってまで食べる数少ないお菓子だ。

今年も駅まで出たついでにお店に足を運んだ。

いつものように、かわいいお菓子が3つ並んだ紙箱を求めようと

スミマセン…この…

指さしかけて手を止めた。

今年は1人なんだ。

柔らかさが命の生菓子を3つも買っても、食べあぐねるかもしれない。

声に応えて奥から出てきた、丸顔の店員さんが、黙ってしまった私を、せかさずに待ってくれる。

やっと出た言葉は

…この、箱入りください

やっぱり、1つだけ、とは言えなかった。

形も大きさも、ちょうど落ちた椿の花ほどのお菓子。

来年は、1つください、と言えるかな。

風に飛ばされそうな小さな紙袋を大切に提げて、1人暮らしのうちに帰った。



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/02/22 11:47

きいてた話。

数年前から、更年期の不調をきっかけに、数種のサプリメントを試してきた(→さぷりの話。)。

さぷり

スーパーの薬局で手に入る一般的なものだし、決して高価なものではない。

対策の甲斐あってか、症状は落ち着いたが、そうなるとゲンキンなもので、ふと

これってまだ飲まなきゃダメ?

などと思い始める。

更年期、それは年が更まる時期

つまり、アラタマリ終われば、更年期も終わりなのである。

調子がいいのはサプリのおかげじゃなく、アラタマリ終わったからなんじゃないの?

そんな疑念が湧いて、とりあえず、飲み切った1つを、新しく買うのをやめてみた。

1日2日では何も起こらない。3日たっても、1週間が半月になっても、痛くも痒くもない。

もう忘れかけたある時、ふと思った。

なんだか家が荒れてるな…

部屋のあちこちに、そこにあるべきでないものがある。

どこもかしこも、なんとなくホコリっぽい

どこも悪いところはないけれど、なんだか腰が上がらない。

仕事に行って、ご飯を食べて、特に困っていないながら、どうも身体の動きが悪い。

好きな本を読むのも億劫で、ドンヨリする。

自転車も寒いから、お出かけは最低限、どうしてもの時はバスに乗る。

みんな寒さのせいにしていたが、ハッと思った。

もしかしてアレをやめたせい?

重い腰を上げて買いに行こうと思ったが、なにしろ面倒なのでAmazonで注文した。

やめたサプリを再開して1週間。

昨日は自転車に乗って、気になっていた本を借りに、遠いほうの図書館に行ってきた。

もちろん洗濯も掃除も済ませてからである。

いやーホント、こんなことあるんですね。ビックリだ。



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2018/02/21 11:30

なくした話。

きのうテブクロを失くした。

ムスメが置いていったお下がり、いやお上がりを、自転車に乗る時使っていたものだ。

モノとしての命を残したまま、不要になったたくさんの道具や衣類。

子供が去った後の家には、こんなヌケガラがたくさん残っている。

かなりの量を捨てたけど、なかには具合よく使えるものもある。

テブクロは、そんな風に残ったもののひとつだった。

失くした、とわかった時、しまったなあと思ったけれど、不思議に惜しくはない

もっと前に、すでに役目を終えたものが、あたりまえに消えてなくなっただけ。

まるで積もった雪が溶けて消えたような、そんな風に思えた。

晴れ晴れと、ほんの少し寂しく、冬が終わり、春が来る。

次の冬は、新しいテブクロとともに来ることだろう。

ゆきがらてぶくろ




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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/02/20 11:40

おっさん話。

若さが躍動するスポーツの祭典、オリンピックだが、中継を見ていると案外、オッサンがウロウロしていることに気付く。

メダルかけ係のエラそうなオッサン、IDカードを首にせかせか歩き回るオッサン、選手と同じハデな服を着せてもらって、用もなさげにボーッと立っているオッサン…。

気にしだすと画面のあちこちに、いろんな国の、いろんなオッサンがいる。

国籍も色々だが、人種に関係なくオッサンらはみな固太りである。

スポーティーなジャンパーも、エンブレムのついたブレザーも、肩はパッツパツだ。

おそらくオッサン自身、かつてはスポーツで鍛えた人なのだろうと想像する。

そして、バタバタしてるの、ボーッとしてるの、どのオッサンも揃って有能そうには見えない。

それぞれの国でそれなりの肩書を得て来たのだろうが、オッサンの代わりに若い子に仕事をさせたら、たぶん人数は3分の1で済むだろう。

重量にすれば10分の1くらいに減らせるはずだ。

たくさんの固太りのオッサンを、開催国まで飛行機で運んでくる燃料もバカにならない。

地球資源の枯渇が警告される中、今後はオッサンたちの処遇も考えていくべきかと考える。

たいかいすたっふゆにふぉーむ
(こういう人たちはぜんぜん映らない)



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/02/19 11:30
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