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まくあけ話。

黒いハサミが、天を切り裂いて東に飛んでいく。

ツバメだ。

つばめとぶ

振り仰ぐ薄藍に澄んだ空に、半袖の腕をかざしながら

ああ、春が終わる

そう思った。

雪解けのせせらぎも聞かない、街暮らしの身にも、折りふしの移り変わりを知らせるさまざま。

友からの花の便りが春の訪れを告げ、春たけた喜びは、到来のタケノコの味わいにも。

この、南からの小さな旅人の来訪もそれだ。

ツバメの飛ぶ空は霞たつ春の空ではない。

透明水彩の青がひろがる、初夏の空でなければ。

小さなハサミが、春のしっぽをチョキンと切って落として、今年も鮮やかに初夏の幕が開く。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/04/30 11:30

たおるの話。

うちのタオルは3種類

小さいほうからハンドタオル、フェイスタオル、バスタオルだ。

とまあ、私が明確な区分をしているにもかかわらず、はみ出してくる迷惑なヤツがいる。

しかし、うちのタオルはすべてモライモノであり、色もサイズも選択の余地はない。迷惑でも付き合っていくよりないのだ。

バスタオルには、ホテルサイズと称し、やけにでかいのがある。

子供が小さい時はシーツ代わりに重宝したし、使うぶんには気分がいいのだが、問題は洗濯だ。

干し場に困るし、また厚手なので乾きが遅い。

逆にちょっと小さいのもある。スポーツタオルというやつだ。

スポーティーな人間など1人もいない我が家に、なぜ紛れ込んできたのかわからないが、家にいた時はムスコが風呂上がりに使っていた。

しかし、昔から、私は風呂の脱衣場では着替えない。湯気がこもって湿っぽいからだ。

タオルを身体に巻いて寝室まで行き、そこで下着やネマキを着る。

たおるのまりりん
(画像はイメージです)

想像するのも恐ろしいが、幅の狭いスポーツタオルでこれをやると、肝心なところがマルダシだ。

この先けっして使うことは無い、と改めて気づき、フェイスタオルの引き出しに移した。

1階級下げて、新天地でがんばってもらおう。

今朝、洗面所を、件のスポーツタオルに替えてみた。

当然予測がつくことだが、長い

ぞろんと垂れ下がった先が、収納の天面にのっかって、みっともない。

うーむ。

スポーツタオルの今後の去就については検討の余地があるようだ。

本日、よく拭く、タオルの日

たおるのひ



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/04/29 11:30

ぶっさん話。

例年通り、予定のない黄金週間

ムスメはさっさと旅行に行ってしまい、ムスコは大学のある街から帰らない。

ションボリするのも悔しいので、ここは敢えて、混んだところに出かけてみることにした。

ほっかいどうぶっさんてん

エレベーターで一気に催事場の階まで上がると、ざわざわと人だかり。

賑やかな売り声に、気持ちが高まる。

入り口付近はいわばミルキーゾーンである。

生チョコ、プリン、チーズケーキ。生乳ソフトクリーム、白い恋人…。

北海道の物産といえば乳製品。白くて甘いものが並ぶショーケースを見比べながら、奥に進む。

次に控えるは実演・試食ゾーンだ。

揚げ油がチリチリ音を立て、楊枝に刺したホタテ、ジャガイモ、子持昆布。いろんな食材の切れっぱしが、通路の左右から差し出される。

かぼちゃコロッケ251円。焼きもろこしコロッケ251円。ザンギ100g 486円。スモークサーモン100g 1188円…。

どれもこれも買いそうになるが、1人で食べることを思い出し、サイフを出す手を押さえる。

そこを過ぎれば弁当ゾーンに入る。

限定50個!北海ちらし2376円、幻のうに丼、30食限り2001円、道産牛ヒレステーキ重2160円。

チマチマした詰めあわせより、食材をありったけご飯にのせた、ハデなお弁当が主流のようだ。

何か夕飯に、と思ったが、これだけある中から、さてどれか1つというと決まらない。

2つ3つ買うのなら、海鮮を1つ、お肉を1つ、というように、楽しく選べそうだが、1人暮らしに弁当2つは要らない。

選びあぐねて通路を行き来するうちに

弁当1個2千円って高くね?

などと、無くもがなの疑念がきざした。

しまった!

お祭りの中で、うっかり我に返ってしまったら、もう何も買えない。

弁当ゾーンからの撤退を決め、実演ゾーンに。しかし

ビーフカツレツ981円ってゼータクじゃね?

シャケ4切1381円って…


こうなったらもうダメだ。

さらにミルキーゾーンまで退却した私は、かろうじて十勝いちごソフトを購入した。

それにしても、北海道の人は、どこの物産展に行くのだろう?

そんなことを考えつつなめるソフトクリームは、やっぱりおいしいのだった。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2018/04/28 11:30

じーぱん話。

テレビ各局では、朝から隣国の歴史的会談の模様が実況されている。

板門店というこの場所に、私は30年前に行ったことがある。

大学の有志が参加する研修旅行の日程に組み込まれていたのだ。

現地大学との交流行事、韓国料理と伝統芸能の夕べ、繁華街で買い物…ウキウキする予定表の中

DMZ 非武装地帯見学

の1行はやはり異質だった。

当日の朝、バスに乗り込み、まず国連軍の駐屯基地、キャンプキティホークに向かう。

日本語が上手いような、ヘタなようなオバサンにいざなわれ、1室に集められて注意を聞く。

DMZ内での禁止事項など、こまごま注意があるが、あらかじめ聞いていたことがほとんどだ。

…ロシュツのおおいフクソウや、ジーパンはイケマセン…

いわく、ジーパンはアメリカの労働着である。

南側の人々は米国の奴隷として働かされている、という宣伝画像に使われるので、穿いて来ないように、という注意は、全員になされていた。

ところが、うかつな男子学生のひとりが、それを失念した。

うわー、オレ、入れないの?

あんなに言われてたのに、バカだねえ、と、皆からタメイキが漏れる。

なんとかならないか、鳩首協議の結果、用意のいい女の子がレインコートを取り出した。

腿までまくってレインコートを着、前をきっちり止めれば、かろうじてジーパンが見えなくなる。

めでたく全員が、見学ツアーに出発することができた。

ぱんむんじょむ

ものものしい軍装に身を固めた歩哨兵があちこちに立っている。

そこに見えているのに、越えてはならない線。

仲間と一緒にパチパチと写真を撮りながら、なぜかいけないことをしている気になる。

ふと気づけば、境界の北側から、深緑の軍服の兵士がこちらをじっと睨んでいた。

視線の先には、さっきのジーパンの男子学生。

風にヒロヒロと揺れる女物のレインコートの下に、毛脛が2本出ている。

ジーパンよりよほど奇妙な彼の姿を、北の軍人はどう思っただろうか。



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むかしむかし | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/04/27 11:30

はとやの話。

春の嵐が去り、ひさびさに洗濯物を干しながら、つい鼻歌が出た。

何気なく歌っていたのは、小学校の校歌

晴れた日には、校歌が似合う。

しだいに高揚する歌声は、ハナウタと呼ぶには少しばかり大きめになり、青空に吸われていく。

今日の用件は忘れても、子供のころの歌は忘れない。人間の脳ミソって不思議なものだ。

今も昔もテレビっ子の私は、CMソングもいっぱい覚えている。

昨晩は、お風呂に入る時、無意識に

♪4、1、2、6、…♪

と歌っていた。



これだ。

様々な音源に囲まれている今と違い、昔の子供が触れた音楽は限られている。

繰り返されるCMソングは、良いも悪いもなく、柔らかい頭に染み込んだ。

とはいえ、関西在住の我が家にとって、温泉といえば有馬であり城崎であり、

♪ いとーにいくなら ハ・ト・ヤ ♪

歌ったところで、次の旅行はハトヤにきめた、とはならなかった。

本日4月26日はよい風呂の日

伊東には、まだ行ったことがない。



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むかしむかし | コメント(20) | トラックバック(0) | 2018/04/26 11:30

はげます話。

ふと点けたテレビに、知ってる顔が映った。

学生時代の同級生のオノ君だ。

オノ君は、同期の出世頭で、人も知る大企業で役員をしている。番組は、その会社で起こった問題を糾弾する内容である。

TVレポーターに詰め寄られ、昔と変わらぬ人の好さげな顔をゆがめて、苦しい表情のオノ君を見るのは、つらかった。

翌日、パソコンを見ると、クラスのメーリングリストから、たくさんのメールが回っている。

オノ、辛そうだったな 大丈夫か?

オノ君昔とちっとも変わらない 誠実に答えてたよね 

内部通報集めたり、貴社が狙い撃ちされたな

ユーザーや関係者を称する人物も映ってたが、かなり情報操作もある感じだぜ

なんでオノんとこだけ問題視されるんだ? 業界ではどこもやってることだろ

元気出せよ!また飲みに行こうや!


励ましのメッセージがずらずらと並ぶ。

私もその輪に加わろうと、キーボードに置いた手が、ふと止まった。

オノ君は大好きな友だちだ。

でも、彼の会社は友だちじゃない。

番組で指摘された事象は、何を差し置いても早急に正すべき大問題に思えた。

彼は今、誰よりも気にしなきゃいけないし、飲みに行ってる場合じゃないし、よそでもやってる、なんて言い訳は、ゼッタイできない状況なのだ。

オノ君のことは心配だけど、気にするなとか飲みに行こうとか、私はやっぱり言えない。

書きかけたメールを送信せずに、パソコンを閉じた。

がんばれ。心でそれだけ唱えて。

はげます



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/04/25 11:30

きりきり話。

子供の頃、私とイモートは、髪を長くして結っていた。(→ ゆわいた話。

自分ではできないので、母に結ってもらうのが、毎日とてもユーウツであった。

飛んだり跳ねたりしても崩れないよう、キチッとゴムで縛ってくれるのだが、これが痛いのだ。

私は今も昔も痛がりである。

髪を真ん中で半分に分け、右側の髪を勢いよくとかす。もつれた髪がプチプチ千切れそうだ。

そこでまず小さくイタッ、と声が出る。

次に束ねた髪の根元をギュッと握ってひっぱる。

頭の皮がひきつって、イテテ…と声が漏れる。つい、ひっぱられた方向についていくが、空いたほうの手で、頭をグイッと押し戻される。

最後にゴムでギリギリ縛られる。毛根がムリヤリ向きを変えられる痛みで、イーと顔がゆがむ。

そして、同じことが左側でもう1度。

痛みで放心状態の私の次は、イモートの番だ。

なぜかイモートはちっとも痛くないらしく、

今日ねえ、ほうかごにねえ、クミちゃんとねえ…

などと、頭上の母と話をしながら、ラクラクと、しかもかわいく、髪が結いあがっていく。

母も痛がらないイモートのほうがやりやすいのか、三つ編みに編んだり、リボンをつけたり、凝った髪型にしてやっていた。

中学に上がるとすぐ、私は髪を校則通りのオカッパに切った。

軽くなった頭で美容院を出た時の、明るい4月の空を今も覚えている。

はつねみく
(こんな長い髪をこんな高い位置で結ったらコメカミが痛いと思う)


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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/04/24 11:30

よそくの話。

ちょっとした用件で、メールを書く。日時など見直して、送信ボタンを押した。

しばらくして着信があったので見ると、さきほどのメールの相手である。

なにか不手際があったか、と、あわてて出ると、電話口ではもう笑っていて

…プププ…何さっきのメール!

え?何か間違ってた?

ナニカ、じゃないわよ~! 自分で見てごらん

笑いながら切られてしまった。

送信ボックスに残った文面を見ても、特に間違いはない。首をかしげつつスクロールしていると、最初の最初、1行目にでかでかと

こんにゃく芋~!

と書いてあった。

こんにゃくいも

カーッと顔が赤くなるのが分かる。おそらく、予測変換のミスであろう。

こんにちは、のつもりで、こんにゃく芋、と入力してしまったのだ。

私はわりにこういう間違いが少ないほうだと思っているが、やはり過信は禁物だ。

それにしてもなぜ、こんにゃく芋なのか。

記憶を探っても、誰かとこんにゃく芋の作柄について意見を交換したり、こんにゃく芋の品質管理の在り方を調べたりしたことは無い。

なにより私はこんにゃくがキライなのだ。

このキカイは、私の何を根拠に、よりによってこんにゃく芋を提示したのか。

購入して1年が過ぎ、少しはお互い気心が知れてきたように思っていたスマホに、足元をすくわれたようだ。

やはり迂闊に気を許してはならない、と、あらためて気持ちを引き締めた。



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2018/04/23 11:30

キモノノ本。

4月、新学期

学校というものに行かなくなってもうずいぶん経つが、緊張や、不安や、期待に満ちた日々の記憶は今も新しい。

子供の頃から、ずっと手元に置いているこの本を、ふと手に取るのもこの時期だ。

ひゃくまいのきもの
(「百まいのきもの」 エスティーズ著 スロボドキン画 岩波書店)

郊外の学校に通うマディーとペギーのクラスにいる、ワンダ ペトロンスキー。

移民の集まる地域に住み、ものを言わないワンダの持っていた、百枚の「きもの」とは…。

子供の、それも女の子の意地の悪さ、残酷さを目の当たりにするようで、決して気持ちのいい話ではない。

しかし、今も昔も、学校って、集団生活って、こんなものだ。

年齢が同じ、というだけの集団が、全員に心地よいものであるはずがない。悲しい思い、つらい目をする人が必ずいる。そのことを忘れるな、と、この本は私に教える。

貧しいワンダに、現実の救いは無いかもしれない。

だが、広げられた百枚の「きもの」が、そこにいないワンダに代わって、全てを覆す。

淡彩の挿絵が、子供たちがきっと一生忘れないであろう、その光景を鮮やかに描いている。

古い本だけど絶版だろうか、と検索してみたら

ひゃくまいのどれす
(「百まいのドレス」 エスティス著 スロボドキン画 岩波書店)

書名が変わっていた。

「百まいのドレス」…ドレスぅ?!

なんだか感じ出ないなあ…、「きもの」のほうがいいのになあ…。守旧派のオバサンは、ブツブツ文句を言ってみる。



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/04/22 11:30

ふじみの話。

今年は花が早い。

例年なら連休ごろに咲く藤の花なども、早くも満開らしい。

亀戸天神は浮世絵にも描かれた藤の名所だ。 (→ 亀戸天神社公式HP

かめいどてんじんけいだい
(名所江戸百景 亀戸天神境内 安藤広重)

もうずいぶん前になるが、東京に住んでいた頃、父が珍しく、1人でうちに来たことがあった。

大学の同窓会か何かだったろう。

少し早めにやってきた父に、どこか行きたいところある、と聞いたら

亀戸天神に行ってみたいな 藤には少し早いかも知れんが

と言うので、電車を乗り継いで出かけた。

晩年膝を悪くしてしまった父だが、その時分はまだ、駅の階段を上り下りしていたのだ。

はじめての駅を降りて、言葉少ない父と2人ブラブラ。すぐに赤い鳥居が見えた。

鳥居をくぐればすぐ、浮世絵で見た太鼓橋。渡れば左右には五分咲きの藤棚

たしかに赤い橋に紫が映えてキレイだが、ずいぶんな混雑だ。

意外に狭い境内に、花より多い人があふれかえっている。

そう、狭いのだ。

これが名高い亀戸天神か、拍子抜けするほどの狭さである。

すぐそばまでビルが迫り、ちょっとした児童公園か、マンションの敷地くらいしかない。

せっかく来たのだから、ケチをつけるようなことは言うまい。黙ってさらに混んだ参道を進むと、ぶった切るように境内が無くなった

それまで黙っていた父が

おい、これで終い

つい不満の声を漏らしたのを聞いて、いきなり、堰を切ったように、笑いがこみ上げた。

…ほんとにね、ビックリね…

やっとのことでそう言ったきり、ゲラゲラ笑いがとまらない。

すれ違う参拝客が、身体を折って笑う私を見て、驚いている。

憮然たる面持ちの父だったが、帰りに立ち寄ったのらくろ記念館で、機嫌を直してくれた。

父と2人の外出は、あれが最後だった、かもしれない。

たがわすいほうのらくろかん

→ 田河水泡・のらくろ館



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/04/21 11:30
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