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ぼんぼん話。

むかし住んでいた町を歩く。

商店街の外れ、小学校の同級生が開業する、医院の前を通りかかった。こぎれいに改装し、駐輪場には子供乗せ自転車が数台。

サカタ医院のアホぼんといえば、近所でも有名だった。

ばかぼん

色白でおとなしい彼の夢は、尊敬するお父さんの後を継ぎ、お医者さんになること。

家族にとって願ってもない進路だが、その道のりは傍の目にも厳しく見えた。

家庭教師をつけ、塾に行き、どうにか高校まで出たアホぼんだったが、医大入試は甘くない。

都会の予備校に通い、寮に入り、一浪、二浪…。月のかかりは10万や20万ではないだろう。

折しも時代はバブルまっただ中。その費用は、お母さんがプロ顔負けの不動産売買や株取引を繰り返して捻出した、というウワサだ。

四浪してやっと、遠い地方の、誰も知らない私立医大に受かったアホぼんは、病に倒れたお父さんの後を継ぐのに、なんとか間に合った。

若先生がアホぼんだったのは周知の事実である。

医院はたちまちさびれるかと思いきや、年寄りに優しく、子どもに親切で、ゆっくりと患者の話を聞く彼は、優秀なホームドクターだった。

難しい病気にはすぐ、大病院に紹介状を書いてくれるサカタ先生は、お父さんの時よりも、ずっと繁盛しているらしい。



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2018/05/21 11:30

えどっこ話。

タダイマ~!

土曜ももう夜中近くなって、ムスメが帰ってきた。

終日家でダラダラしていた私は、相変わらずのヒドい格好である。

なにそのカッコ!パーカ裏返しだよぉ~

ふ…フン、知ってるヨ!

気づいてなかったぶん、つい語気が強くなる。

こいつぁーな、次に脱いだら表になる、ってぇスンポウだい!

スンポウって何~?

突然現れた江戸っ子にムスメは面食らっているが、私だってビックリだ。

50年以上生きてきて、「~という寸法だ」という表現を、口に出したのは初めてである。

時代劇で見る架空の江戸っ子がよく使う、こういう表現。

いっしんたすけ
(架空の江戸っ子の代表)

知ってても、実際言ってる人を見たことがない。

がってんだ! あたぼーよ! てやんでい!

威勢のいい台詞を、冗談ぽくなく使ってみたいものだが、まあ無理だろう。

トーヘンボク、アンポンタンなんてのも、知ってて使えない言葉である。

そういえば、宮沢賢治は

…ミンナニデクノボートヨバレ

…サウイフモノニワタシハナリタイ


と歌ったが、岩手ではデクノボーという言葉は使うのだろうか。

もし彼が、ほんとうに「サウイフモノ」になりたいと考えた場合、

明日から僕のこと、デクノボーと呼んでね、ヨロシク!

などと近所じゅうを言ってまわるだけでなく

宮沢賢治 改め デクノボー

と記したチラシを配布するなどしなければ、定着はなかなか難しいのではないか、と、よけいなことを考えた。



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/05/20 11:30

かげつの話。

あの若者が画面に大写しとなり、お目出度いニュースが流れた。

ふじいそうた7だん

…藤井聡太六段が 船江恒平六段との対局に勝ち 七段に昇段しました

加藤一二三九段が17歳3か月で樹立した最年少記録より18か月早い15歳9か月での七段昇段となります


駒の進め方も知らない私には、彼のすごさも分からないが

やけに「か月」の多いニュースだな

と思った。

人や動物の年齢を○歳○か月と表すことはままある。

成長スピードの速い乳幼児は、1か月でぜんぜん違ってくるから、その差に注目するのは当然だ。

しかし、ある程度の年齢を過ぎれば、か月の部分は言わないのが普通である。

30代40代と、1ケタめを略すのはまだしも、アラサーだの、アラフォーだの、2ケタの部分までボカシてしまう。

か月がつくのは若い証拠よね

60歳8か月のムラカミさんが言うと

私たちもつけようか

63歳3か月のイシザキさんが答える。

何ならもう、か月のとこだけでいいんじゃないですか?

54歳2か月の私も提案してみた。

いいんじゃない?私、3か月でちゅ ばぶばぶ…

フフフ…ばぶばぶは要らないわよ

そんな昼休み。



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/05/19 11:30

ここくの話。

まーた、ヒドイ写真を撮ってるね!

一昨日の記事「じどりの話。」を読んだ友だちに言われた。

彼女には以前、もっとマシな写真を撮れ、と叱られた(→ かんばん話。)ことがある。

ヒドくない!ちょっと失敗したけど、絶景だ…

ちょっと見して!

みなまで言わせず、スマホを奪われた。

ろーとれっく

アラ?キレイじゃない

でしょ?アタシだって やる時はやるよ!

エバッてみたものの、じつは撮りたくて撮ったわけではなく、おばーちゃんに

このバラは見たことないから撮っといて

命じられて撮った写真であることは秘密だ。

友だちは、しばらく意外そうにキレイなバラを見ていたが、やがて

あっ!やっぱり…

画面を送っていた指を止めた。

ここく

アナタ、これトイレの中でしょう!

あ、バレた?

何度も言うけど、なんでこんな写真を撮るの!

だって珍しい銘柄だからさ… ビワコで「湖国」だよ!ステキだと思わない?

ステキじゃない!

言い張る彼女からスマホを奪い返し、さっさとカバンにしまった。

「湖国」の写真は今も、大事にフォルダーに入っている。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/05/18 11:30

バールノ本。

16日午前7時55分ごろ、東京都杉並区の西武信用金庫西荻窪支店で、出勤してきた支店長が、男にバールのようなもので頭を数回殴られたうえ「金を出せ」と脅され、現金1100万円を奪われました 男は逃走し、強盗の疑いで行方を追っています

家事をしながら聞き流していたテレビの画面に、思わず注目したのは

バールのようなもの

の一言のせいである。

ばーるのようなもの
(「バールのようなもの」清水義範 文春文庫)

20年も前の本だから、若い人は知らないかもしれない。

ニュースでよく見る「バールのようなもの」って何なんだ?ということを、マジメに検証する、というテイの、しかし実は大いにフザケた、小説である。

バールというのは、むろんこれだ。

ばーる

クギを抜いたり、がっちり固着したものをこじ開けたりするのに使う工具。

じつはうちでは震災以降、万が一のドアの変形に備えて、玄関の傘立てに置いている。

こんな単純なもの、「ようなもの」と表現しなくてもいいように思うが、正確を期すニュースではそうもいかないのだろうか。

「ようなもの」と言わざるを得ないと考えられるのは、事後に推察する場合だ。

強盗なりドロボウなりが発覚した後、例えばシャッターが壊されていると

うーむ、これはバールのようなものでこじ開けたらしい

となるわけだ。

ところが、今回のニュースでは、気の毒な支店長は、犯人に面と向かってドカドカ殴られている。

おまけに、犯人は金庫に侵入した後、収納庫をその凶器でこじ開けて、現金を取り出したらしい。

これはもう「ようなもの」ではなく、バールと断言できるのではないか。

こじ開けに便利なよう、片端をL字に曲げた鉄製の工具を、バールと呼ばずしてなんと呼ぶのか、「ようなもの」呼ばわりした人に聞いてみたい。

もしかしたら、ニュースを書く人には、「バール…」と打つと自動的に「…のようなもの」までが出力される予測変換機能がついているのかもしれない。



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/05/17 11:30

じどりの話。

おばーちゃんは、良く言えば流行に敏感、普通に言えば新しもの好き、悪く言えばミーハーである。

話題の新名所には、もれなく1度は行っておきたいらしい。

インスタ映えする絶景スポットにお出かけする彼女に随行した。

天気はよし、平日だというのに、若いヤツらがうじゃうじゃ。

見晴らしのいい場所に陣取って、スマホに向かってシナを作り、自撮り写真を撮っている。

コイツら働きもせずに、と思いつつ、そこは年の功。後期高齢者を前に立て、ニコニコ

ごめんなさい ちょっと写真を撮らせてくださいね

と言えば、夜の蝶みたいに化粧の濃い女の子も、ピアスをいっぱい突き刺した若造も、わりに素直に場所を譲ってくれる。

おばーちゃんの来た証拠の写真を2、3枚撮って、さあ帰ろう、となった時、ふと魔がさした。

スマホを買って1年が過ぎたが、自撮りはしたことがない。

写真に撮ったって、見慣れた顔が美しくなるでなし、とは思うが、付いている機能を使わないのももったいない。景色を後ろに、1枚撮ってみた。

すまほでじどり

失敗!

角度が悪くて、頭のてっぺんしか写っていない。まあ最初だし、こんなもんか。

ところが、家に帰って見返すと

すまほでじどり2

なんだコレ?

すまほでじどり3

空を飛ぶ虫の躍動的な姿が、見事にとらえられているではないか。

初めての自撮りで、なかなかの名作が撮れて、たいへん満足である。



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2018/05/16 11:30

よーぐる話。

♪~めいじぶるがりあよ~ぐると~♪

聞き慣れたメロディーがテレビから流れてきたと思ったら、今日はヨーグルトの日らしい。

ヨーグルトといえば健康

よーぐるとのひ

鍛えた身体のタレントがCMに出るのも、健康イメージのためだろう。

私はヨーグルトの酸味が好きでなくて、子供にやっても自分はほとんど食べなかった。

それがこのごろ、毎日食べるようになった。キッカケは、ある健康食品

年相応の不調を愚痴交じりに友だちに訴えたら、これいいよ、と勧められた。

試しに彼女の買い置きをもらって数日食べてみたら、悪くない。

薬ではないから、目に見えてどうこうは無いけれど、身体に良いことをしてる実感がある。

さっそく購入したが、毎日になると、独特の味が気になりはじめた。

勧めてくれた友だちに相談すると

ヨーグルトに入れるといいわよ 私はそうしてる

教えてくれたので、試してみるとたしかに食べやすい。

以来、毎日ヨーグルトを食べているわけだ。

さきの連休、朝寝坊のムスコが起きてきたとき、私はちょうど、健康食品を入れたヨーグルトを、グルグル混ぜていた。

胡散臭げに私の手元を見て、ニヤッと笑うから

なによ?

と問うと

…いや… ババアになったなと思って…

あーそうだよ、ババアだよ。

ババアだからあっちこっち具合が悪いけど、できればゴキゲンでいたいんだよ。

かつてボーヴォワールはこう語った。

人はババアに生まれるのではない ババアになるのだ

あれ、ちょっと違うか?まあいっか!



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てれびじょん | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/05/15 11:30

ふきふき話。

私はいいトシをして美容全般に無頓着である。

紫外線に乾燥、美肌の敵と果敢に戦う美魔女たちを横目に、あらゆる対策を怠っている。

トーゼンの報いでシミも出ているが、人間だいじなのは気の持ちようだ(→ はんてん話。)。

そんな私も美容院には行く。

あんまり髪を振り乱していると、ヤマンバが来た、と、狩人に撃たれる恐れがあるからだ。

さいきんチラチラ白髪が出始めたので、美容師さんの勧めで、ヘアマニキュアをする。

ぺたぺた薬剤を塗って待つことしばし。

ジリジリジリ…

タイマーが鳴って、シャンプー台に導かれた。

余分な薬剤を洗い落としてもらってサッパリと起き上がると、美容師さんが

アラ…

何かに気付いて、タオルを手にした。

ワセリンだかコールドクリームだかを指にとり、頬にちょんちょんとつけて拭きとる。

髪染めの薬剤が飛んだらしい。

くりくりと拭いたあと、拭き跡を見て首を傾げ、またクリームをつけたので、私は気づいた。

親切なアナタには言いだしにくいけど、それはこすっても取れないのよ。

アノ、それ、

言いかけたのと、ほぼ同時に

あっ!

彼女は熱いものに触れたように、タオルをひっこめた。

言葉もなく、申し訳なさそうな表情を浮かべた美容師さんを見て、私もなぜか、ひどく申し訳ない気持ちになる。

帰り道につい、ドラッグストアで美白化粧品を眺めた。

こじか
(たとえば小鹿の斑点のようなものだとなぜ思えないのか)



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/05/14 11:30

えぷろん話。

おかあさん なあに
おかあさんっていいにおい
せんたくしていたにおいでしょ
しゃぼんのあわのにおいでしょ

おかあさん なあに
おかあさんっていいにおい
おりょうりしていたにおいでしょ
たまごやきのにおいでしょ

(「おかあさん」 詩 田中ナナ)


お母さんというイメージ、そのままを表したような歌だ。

私だって母親だけど、どこでどう間違ったのか、こんな「お母さん」にはなれなかった。

ちゃんと洗濯するし、玉子だって上手に焼くのに、なぜだろう。

1つ思いつくのはエプロンである。

子供の本に出てくる「お母さん」はみんな、エプロン姿。ムーミンママをムーミンと区別するのは、シマシマのエプロンだ。

私はエプロンを持っていない

そもそも、エプロンで守るほど立派なお洋服を着ていないからだ。

家事で衣類が汚れても、洗えば済むんだから、エプロンなんて、よけいな洗濯物になるだけ。

そう考えてはいるんだけど。

エプロンが象徴する何かが、私の弱いところをついてくる。

名前のないお母さんを思い浮かべる時、そこには必ずエプロンがある。

「おかあさん」の詩にエプロンは出てこないが、このお母さんはきっとエプロンをかけている。

そんな気がする、今日は母の日

ちびまるこちゃんのおかあさん
(ちびまる子ちゃんのお母さんは「さくら すみれ」さんというステキな名前)



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ごかぞく | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/05/13 11:30

カンゴノ本。

私の本棚を見た人が例外なく

なんでこんな本持ってるの?

と尋ねる1冊がある。

かんごおぼえがき
(「看護覚え書」 ナイチンゲール著 現代社)

私は自他ともに認める面倒見の悪い人間である。

そのうえ自分のも他人のも、血が怖い

看護師に向いてない選手権大会なんてのがあれば、上位入賞は間違いない。

そんな私がナイチンゲールの著書を持っているのは、もちろん看護を学ぶため、などではない。

この本、面白いのである。

例えば、部屋と壁の清潔、という章には、衣類を汚して壁をキレイにする方法なる項があり、ご丁寧にこんな注がついている。

もし皆さんが汚れた壁に清潔なガウンやショールを掛けることによって汚れをぬぐい取るというのであれば、それも有効な方法である。そして、世間で寝室の壁面を清潔にするため、実施されている方法といえば、実際これだけなのだ。

わかりにくいがこれは冗談である。

言わずもがなの説明をすれば、著者は、ヴィクトリア朝英国人が拭き掃除をしないこと、そして、キッタナイ壁に衣類をひっかけて平気でいることを、皮肉っているのである。

この他にも、マジメな話にヘンテコなたとえを出したり、極端な例を挙げて読者をビビらせたり、どうもこの人、ただのカタブツではなさそうだ。

今に伝わる彼女のプロフィルからは、ご立派な部分しか伝わってこないが、この人、かなり面白い人なんじゃないか、と、私は睨んでいる。

白衣の天使と呼ばれることを嫌った彼女。

本日、5月12日は、フローレンス ナイチンゲールの誕生日であり、国際看護師の日である。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/05/12 11:30
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