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からすの話。

いつものゴミの日。

いつもの時間にいつものように、ゴミ袋を手に外に出る。

いつも会う奥さんが前を歩いていたので、足を速めて横に並んだ。

おはよーございまーす

あ、おはようございます~

雲が出てますね 雨になるのかしら

どうでしょうね~

無難にやりとりしながらカラス除けネットを協力して持ち上げ、2つのゴミ袋を奥に押し込んだ。

奥さんはふと視線を近くの電柱にやり、

アラ?珍しい…カラスがぜんぜんいない

でんせんのからす

カラスはいつも、離れたところでマンションのゴミステーションを狙い、人がいなくなるのを待っている。

賢いカラスはちゃんとゴミの日を知っていて、必ず1羽か2羽、多い時はもっと、近くの電線や、家の屋根にとまっているのだ。

ところがその朝は、ただの1羽も、黒い姿が見えなかった。

ホントだ…

それに、なんだか 怖いような雲

ドロドロとかき回した沼のような、奇妙な雲が重たく空を埋めている。

嵐が来るから、カラスもお山にいるのかもしれませんね

大変!私たちも 濡れる前に家に戻りましょ

少し早足でそれぞれの棟へ、会釈をして別れた。

玄関を入り、テレビを点けて、ソファに腰を下ろして、まもなく。

ドン!と大きな衝撃のあと、建物全体が大きく左右に揺れた。

つぎつぎ更新される地震のニュースを見ながら、落ち着かない1日を過ごして、今、考えている。

あの雲は何だったんだろう。

そして、カラスは何故いなかったんだろう。



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2018/06/20 11:30

ごとんの話。

朝方に地震があった。

午前中に会う相手に連絡を取ろうと、電話をしても通じないが、LINEはすぐにつながる。

最寄りの鉄道路線が不通のため、今日は中止ということで用件は済んだが、お互いなんとなく心細くて、やりとりが続く。

怖かったですね!お家は大丈夫でしたか?

前の震災から家具は固定してるので、特に被害はなかったです

うちもです
 

先方も関西なので、「前の震災」は阪神淡路大震災のことである。

あ、でも、何かガチャンって割れた音がしました

大変!ケガはなかったですか?

それが、分からないんです


はてなのすたんぷ

音は聞いたけど、何が割れたのか…家が散らかってる証拠ですね!

なるほど!しばらくお足元に気をつけてくださいね


ありがとうのすたんぷ

と、相手のスタンプで終わったのだが、私は途中からモゾモゾ、落ち着かなかった。

実はうちでも、揺れ始めの時、家のどこかで

ごとん

と、重たい物が倒れる音がしたのを思い出したのだ。

ところが、どこで、何が倒れているのか、広くもない家を見回っても、わからない。

ヨソサマの足元を心配している場合ではない。

被害状況の調査は、現在も鋭意継続中である。



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ごきんじょ | コメント(22) | トラックバック(0) | 2018/06/19 11:30

ターシャノ本。

わが母、おばーちゃんの誕生日が近い。

後期高齢者相手に、もういいような気もするが、本人も期待しているようなので、やめにくい。

おばーちゃんのヤッカイなところは実用品を喜ばないところだ。

便利だろう、生活が楽だろう、と考えた品物は、イマイチ嬉しくなさそうだ。

カワイイもの、キレイなもの、不必要なもの。

そういうものにリボンをかけてフワフワと包んであげると、キャーキャー喜んでいる。

自分より年上の人間を、いまさら正そうとしても無理だから、ここは先様の流儀に従うよりない。

数日来なけなしの頭をひねって、写真集なんかどうだろう、と思いついた。

たーしゃのいえ
(「ターシャの家」 KADOKAWAパブリッシャーズ)

実家の去年のカレンダーは、この人の庭の花の写真だった。

ターシャ テューダーは絵本作家。

制作の傍ら花を育て、手作りの自給自足生活をしたことで有名な人だ。若い女がよく

アタシ、将来は、カワイイおばあちゃんになりた~い♥

などとほざくが、クラシックなドレスに痩身を包み、美しい庭で花々に囲まれたターシャは、いかにもそんなイメージだ。

パラパラとページを繰ると、花を生けた暖炉のある室内、アンティークの食器や家具など、おばーちゃん好みの素敵な写真がたくさん載っている。

これでいーやと買いかけて、待てよ、と手を止める。

そういえばあの人、ターシャのカレンダーを指してなんか言ってたな。

ステキな風に写ってるけどね 並み大抵の苦労じゃないよ こうなるまでは…

そんなもんかね。

それに亡くなった後は相続争いになったらしいしね 兄弟は他人の始まりよ 怖い怖い!

ミョーに詳しいな。

たしかに、人のしないスタイルを貫き、自身の美意識の許さぬものを排除する生活は、楽しいことばかりじゃないだろう。

若いオンナは、いきなりカワイイおばあちゃんにはなれない。

コワモテのオバサンになり、憎らしいババアになり、日々を生きアクが抜けて、やっと歳月にさらされた、カワイイおばあちゃんになるのである。

私より近づいているぶん、おばーちゃんは彼女の姿に、憧れではない何かを見ているのだろう。

ターシャの写真集を棚に戻し、昼寝するネコが表紙の1冊を手に取る。今年は、これにしよう。

たーしゃてゅーだー
(Tasha Tudor 1915.8.28 - 2008.6.18)



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ブックガイド | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/06/18 11:30

むさしの話。

駅で面白そうな展覧会の掲示を見た。

ちずえくすぱんしょん

和泉市久保惣記念美術館

行ったことのない美術館だ。アクセスを調べがてら、HPを見ていて、思わず声が出た。

ああ、ここにあの絵があるのか!

こぼくめいげきず

枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)宮本武蔵の作である。

美術書でこの絵を見て、剣豪武蔵が書画をもよくしたと知り、意外だったのを覚えている。

武蔵といえば、思い出すことがもう1つ。

私が中学生の頃、父は単身赴任をしていた。

ちょうど女の子は父親と距離を取りたい時期。会えないからといって寂しくもない。

父のほうも昔ニンゲンとて、自分から接触してくることもない。

ところが、中3の夏休み前、父から手紙が届いたのである。母宛に用事のある時はいつも電話の父だから、ちょっと驚いた。

角ばった父の字で書かれた、宛名は私の名前。

何事かと開いてみれば、何事でもない。かんたんな近況報告のあと、とってつけたように

我 事において後悔せず 宮本武蔵

と、書いて終わっていた。

読み終わってもいっこう釈然としなかったが、あれはたぶん、受験生の私に対して、父なりの激励だったのだろう、と、今は思う。

それにしても、15歳の娘に贈る言葉が、宮本武蔵とは。

後にも先にも、父からの手紙はあの1通っきりである。

今日は、父の日



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/06/17 11:30

おしるし話。

長く電車に乗るのに読む本を忘れたので、雑誌でも買おうと駅構内の売店に入った。

ビジネス書やスポーツ誌が多くて選択の余地があまりない。適当な女性誌を1冊手に取り、レジの列に並ぶ。

袋ニオ入レシマスカ?

おにぎりや飲み物ならいいが、雑誌の時はこう聞く、とマニュアルで決まってるんだろう。

あらためて選んだ雑誌の表紙を見たら

れたすくらぶ6がつごう1

うわっ、なんだコレ。すんごい痩せたい人みたいじゃん。

袋もらっちゃおうかしら、と一瞬迷ったが、よどみないマニュアルトーク

オシルシデヨロシイデスカ?

つづけて言われてしまう。

色付きのテープをびーっと引き出す手元を見て、ふと

あのそれ、その「ダイエット」のとこに貼ってもらえます?

へ?

マニュアルにないことを言われたお姉さんは、一瞬止まって地声になった。

いや… メチャクチャ痩せたいみたいで恥ずかしいから…

れたすくらぶ6がつごう2

↑こういうことだ。

へ…ハハハハ…!なるほど、え、いや、ダイジョウブ、大丈夫ですよ!ハハハ…

お姉さんは、笑いながらテープを切り

…ハハハ…ここに貼ることになってるんです スミマセン

やっぱり表紙ではなく、しっかり裏表紙のバーコードの上に貼った。

アリガトーゴザイマシター

マニュアルトークに戻った声に送られ、ホームに向かう。表紙は内側に、丸めて持つことにした。



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2018/06/16 11:30

いたたた話。

私の腕に青アザを見つけた同僚(→ しゃはばの話。)は、続けて言う。

今日は長袖のほうがよかったんじゃ…

あー!シマッタ!

今日は社外の人も来る会合があり、私は司会役である。

よりによって人前に立つ日に、いいトシしてでっかい青アザを作ってしまった。

そういえばぢょん子さん、前回も…

お願い!言わないで!

前回のこの会合の時、私ははじめて司会を命じられた。前日から緊張し、準備に怠りなかったが、寝る前にふと鏡を見て、思った。

明日は人の前に出るのに、なんだこのマユゲ

さっそくカミソリを出して、眉を整えることにした。ふだんはつながりそうな箇所をちょりちょり剃るだけだが、今日は念入りに。

それがいけなかった。

イタッ!

使い慣れない方向にカミソリを使って、切り傷を作ってしまったのだ。

翌日、マイクを握る私の目の上には、怪しいバンソーコーが貼り付いていた。

会合で会う人にとって、私は負傷の人だ。

格闘家にはけっして見えないだろうが、DV亭主の存在くらいは憶測されるかもしれない。

ただでさえおっくうな司会役、ますます気が重くなる。

きずだらけのろーら
(♪~ ろぉらぁ! ~♪)



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/06/15 11:30

しゃはばの話。

どうしたのそれ! スッゴイ青アザ

半袖から見える二の腕をさして、同僚が言う。

いや、なんちゅうか、車幅がね…

え?事故したの?大変!

違う違う大丈夫!ほら私、運転しないし…

30年来のペーパードライバーである私だが、教習所に行ってた頃はまだがあった。

金髪ヤンキーのオニーチャンが昼寝の時間と心得ている学科の授業も、大マジメに受けた。

印象的で今も覚えているのは、車幅感覚を育てる、という授業である。

言わずと知れた、クルマの前後左右の距離感のことだ。

まず、車幅をシャハバと重箱に読むのが気に食わない。

なぜシャフクでもクルマハバでもなくシャハバなのか。

そして、技能講習が進むと、私にはこのシャフク、いやクルマハバ、もう何でもいい、車幅の感覚が決定的に欠けている、とはっきりする。

運転がヘタなだけならいい。

ところが近頃、またしてもこの車幅感覚の欠如が気になりはじめた。

いや、クルマに乗らないのだからシャハバはおかしい。人幅、つまりジンハバ感覚(シャハバに準じ重箱読みとする)が、危うくなっているのだ。

昨日、外から帰ってきて、いつものように玄関のドアを開け、いつものように家に入った時

イタッ!

左の上腕に激痛

ドアチェーンをかける3センチほどのでっぱりにぶつかったのである。

どあちぇーん

自分の家だから、でっぱりの存在は前々から知っている。通り抜けられるだけの間隔は十分ある、と確信して踏み込んだので、勢いは激しかった。

若木の枝のようだった少女の頃と同じ、とまではいわないが、まさか現在の身体の幅が、ここまで広かったとは。

現実に即したジンハバ感覚の育成が急務のようだ。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/06/14 11:30

べいちょう話。

この時代に生まれて、幸せだったのか、と、時々考える。

高度成長の下、未来は右肩上がりに良くなると信じた子供時代。

周囲を満たしたきらめきが、すべて泡沫となるとも知らずに浮かれた、青年期。

そして、世の中悪くなる一方に思える今、それでもこの年に生まれて良かったと思うこと。

それは、東西の名人の落語を、生で聞けたことである。

同級生がポップスターに熱を上げていた時代、私のアイドルは噺家だった。

談志がいた。志ん朝がいた。そして枝雀がいた。

高校生が、行列も徹夜もせず、ロックコンサートよりずっと安く、フツーに独演会の切符を買えたのだから、贅沢な時代である。

すぐ目の前の白木の板の上、汗の滴が見えるほど近くで、彼らの噺を聞けたことは、私の数少ない自慢の1つだ。

そんな私も学校を出て、就職して、銀行だか何だかにお使いに出されたある日。

大阪駅前の大きな交差点で、を見た。

舞台で見るよりずっと小柄で華奢だが、思い切って派手なチェックの上衣と、スッキリした立ち姿が、その世界の人であることを思わせる。

上方落語の至宝と呼ばれた人が、意外にも付き人の1人も連れず、信号の変わるのを待っていた。

後で知ったのだが、事務所が近くのビルにあったらしい。

爆笑王・枝雀は既に亡く、その弟子に遅れること15年、米朝師匠も亡くなった。

生で聞いた米朝の地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)は、今も私の宝である。

かつらべいちょうししょう
(昨日に続き単なる連想ネタでした。米朝師匠ごめんなさい)



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/06/13 11:30

てれこの話。

♪て~ん て~ん てれこちゃん… ♪

窓の外、降りだしそうな空を見ながら、こんな歌が浮かんできた。 

ヤン坊マー坊の天気予報を懐かしがる人は多いが、テレ子ちゃんを覚えている人は、あんまりいない。

その昔、デンデンコウシャがスポンサーのテレビ天気予報があったのだ。

小さい女の子が歌うテーマソングは

♪て~ん て~ん てれこちゃん あしたのおてんき ど~ですか

ダイヤル いち!なな!なな!

「てれこちゃんのてんきよほ~!」♪


というものだったが、あらためて歌ってみると、ちょっとおかしい。

たとえばヤン坊マー坊天気予報を見た人が

♪うごかすちからだ ヤンマーディーゼール~♪

の歌声に、

今日は晴れだし、新しい耕耘機でも見に行くか!

と思う可能性は、ゼロではない。

しかし、テレ子ちゃんを見た人は、その瞬間、177番にかける用事が無くなる。

テレビで予報しておきながら、天気予報の177番を勧める、という矛盾に気付いたのか、放映期間はあまり長くなかったようだ。

覚えている人が少ないのにも理由があったのだ。

それにしても、何十年も忘れていたテレ子ちゃんを、いきなり思い出したのは何故だろう。

ぼんやりテレビを見ていて、思い当たった。

てれこちゃん

テレ子ちゃんによく似た髪型の人が、朝からテレビに映っていたからだ。

♪ …あしたのおてんき ど~ですか♪

ちいさく歌いながら、テレビを消した。

  

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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/06/12 11:30

ひょうしき話。

公園を突っ切って反対側に出ようと急いでいたら、標識に行く手を遮られた。

ねこじてんしゃ1

なんだコレ?

ネコがダメなのか?

自転車がダメなのか?

はたまた、自転車に乗ったネコは入れないのか?

徒歩のネコや、自転車に乗ったイヌは迷いそうだ。

さいわい私はネコでもなく自転車にも乗ってない、たんなる徒歩のオバハンなので、標識をかるく避けて侵入した。

それにしても、と、広い公園を横断しながら考える。

ネコはあの標識を見ても、立入禁止だとは分かるまい。自転車に乗っている時ならなおさらだ。

うちに来た通販の段ボールを思い出した。

むしたちいりきんし2

虫立入禁止。

虫は絶対に読めないであろう、この表示。いったい何のためになされているのか。

虫をたからせないでください

だとすれば、私だって大賛成だ。

大賛成だが、そもそも虫がたかってもかまわない商品なんてあるのだろうか。

ゴム長靴だって、電球だって、暖房便座だって、虫がたかっていたら、私はイヤである。

でも、自転車に乗ったネコなんてステキなもの、立入禁止にしないで、気持ちよく走らせてやってほしいなあ、と思った。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/06/11 11:30
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